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みんなの安全を守ってきた「神の代行者」、パーティを追い出されたから、自分の安全を優先します。  作者: サアロフィア
第5章 情報伝達師 ざまあ

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33 楽をさせてあげて御縁を断つ

情報伝達師 ワタセは、ミエルを攻略する作戦を考えていた。


ワタセ こころの声

『さてと、まずはミエルといっしょにいるところを多くのギルド関係者に見てもらう所からだな。

 いっしょにいる頻度が高いと親しそうに見えると誤解してくれるひとは多いからな。』



ギルドでは、ミエルが依頼の掲示板を見ていた。 みやびはギルドにいる女友達との話に夢中になっていた。


ワタセ こころの声

『しめしめ、これはチャンスだな。』


ワタセは、ミエルに手を振りながら駆け寄ってきた。


ワタセ

「おはよう、ミエルさん。」


ミエル

「おはよう、ワタセさん。」


ミエル こころの声

『本当はあいさつを返したくないけれど、あいさつされても返事をしないという無礼はしたくない。

 5秒もかからない返事に時間を割かないことは相手への侮辱に他ならないからな。』


ワタセ

「いい依頼はありましたか?」


ミエル

「探し中です。」


ワタセ

「ミエルさんは、どんな依頼が得意ですか?」


ミエルは、ワタセに顔を向けずに返事した。


ミエル

「ごめんだけれど、依頼内容に集中して探したいので、急ぎの御用が無いのなら、話しかけないでくれませんか?」


ワタセ

「それは、失礼しました。 わたしも静かに探すことにします。」


ワタセは静かに依頼内容を読んでいたのを横目で見たミエルは、ほっとした。

ホッとしたのだが・・・


ワタセ

「おーっと、これは良い依頼だ。 ポイズン毒スライム捕獲、おひとり様10匹まで。 一匹あたり、2000バーシル。 10匹を倒せば、2万バーシルも稼げる。 よおし、これに決めたぞ。 それじゃあ、ミエルさん。 またね。」


ミエル

「ちょ、ちょっと、ワタセさん、その依頼はダメだ。」


ワタセ

「どうしてですか? ポイズン毒スライムと言っても、スライムが毒をもっただけでしょ。 毒消し草を用意するから大丈夫ですよ。」


ミエル

「そうじゃないよ。 それは、毒スライムの話でしょ。 ポイズン毒スライムは、スライムが破裂しないように、ギリギリの力加減で叩かないと増えてしまうんだよ。 だから、討伐じゃなくて、捕獲って書いてあるんだよ。 それに、ワタセさんの皮よろいや革靴はポイズン毒スライムが住んでいる沼地に入っただけで、すぐにとけてしまう。 特別な装備が必要だから、一匹あたり、2000バーシルと高いんだよ。」


ワタセ

「ええーーーー。 そうだったんですか? 毒スライムと同じだと思っていました。」


ミエル

「そうじゃないから、名前の頭に、ポイズンと同じ意味の言葉が栄語でも書いて念押ししているんだよ。」


ワタセ

「ミエルさん、教えてくれてありがとう。 いやあー、ミエルさんと仲良くなれて良かった。 じゃあ、白菜スライムとネギスライムの討伐にしておきます。 ミエルさん、ありがとう。 また、教えてくださいね。」


ワタセは、とても嬉しそうな笑顔で去っていった。


ミエル こころの声

『思ったよりも、悪いひとじゃないのかな。 いやいや、油断したらダメだ。 なぜかは分からないけれど、違和感というかなんかチガウ気がするんだ・・・』


ミエルは、人喰いオオカミを退治する仕事を選ぶことにした。 クエスト依頼の用紙をちぎる前に、みやびを呼びに行くことにした。


ミエル

「みやび、盛り上がっているところ、ごめんね。 そろそろ良いかな?」


みやび

「ああ、ミエル。 待っててくれてありがとう。 どの依頼にするか決まったか? さ。」


ミエル

「いっしょに掲示板まで来てくれるかな? みやびと相談してからにしたいんだ。」


みやび

「わかったさ。 じゃあね、みんな、またね。」


女友達たち

「みやび。またね。」x3


ミエルは、みやびが「できるさ。」と言ってくれたので、人喰いオオカミを退治する仕事をギルドの受付に持っていった。


そして、街道の安全を確保するための8匹を退治し終わったら、日が暮れてしまったので、ギルドへの証拠の持ち込みは、明日にすることにした。



その夜、ギルドの酒場では・・・


ワタセ

「いやあ、ミエルさんのおかげで助かったよ。 あやうく、ポイズン毒スライムに装備を溶かされて大損するところでした。」


酒場の客A

「そりゃあ、良かったな。 でも、ミエルさんのおかげでって、ミエルさんと親しいのかい。」


ワタセ

「今日、親しくなったばかりですが、ミエルさんの知識は素晴らしいです。」


酒場の客B

「おう、だったらよう。 おれも質問があるんだが聞いておいてくれないか?」


ワタセ

「直接、話せばいいじゃないですか?」


酒場の客C

「でもなあ、なんか近寄りがたいんだよなあ、あのひと。 性格が暗そうだし。 みやびちゃんは話しやすいけどよう。 なあ、みんな。」


酒場の多くの客は、うんうんと首を縦に振って同意した。


ワタセ

「じゃあ、聞いてみますが、期待しないでくださいよ。 今日のは、たまたま教えてくれたのかも知れないのでね。」


酒場の客B

「おう、あてにしないで待ってるぜ。」





翌朝、ミエルたちは宿屋からギルドに倒したオオカミ8匹を持ち込もうとした。

その道中で、ワタセと出会った。 ワタセの頭には雪が積もっていた。


ワタセ

「ミエルさん、おはようございます。」


ミエル こころの声

『えっ、待ち伏せしていたの? 雪が頭に積もるまで? なんか、いやだ。』


ミエル

「ワタセさん、頭に雪が積もってますよ。 はやく雪をどけないと風邪をひいてしまいます。」


ワタセ

「おや? どうりで寒いと思いました。 ミエルさんのおかげでクエストが上手く行ったので、御礼を言いたかったんです。」


みやび

「それなら、ギルドの中で待てばいいさ。 なんで外で待つのさ。」


ワタセ こころの声

『やはり、みやびはあほの振りをしているのか? 多くの連中は感動するだけなのに・・・』


ワタセ

「いやあ、少しでも早くミエルさんに御礼を言いたくて、中で待っていられなかったのですよ。

 やや、おふたりが手に持っているのは、人喰いオオカミですね。 重そうですから、手伝わせてください。」


ミエル

「いやいらないよ。 自分たちで持てるからさ。」


ワタセ

「そんな水くさいことを言わないでくださいよ。」


みやび

「なれなれしいさ。 それとも、わたしたちが倒したオオカミを、あなたが倒したことにしたいのか?さ。」


ワタセ

「そんなつもりじゃありません。」


ワタセは、とてもさびしそうな表情を見せてきた。


ミエル

「じゃあ、ワタシが運んでいるオオカミの半分、2匹をお願いして良いですか?」


ワタセ

「お安い御用です。」



ボクたちは、ギルドに着いた。


ギルドの受付嬢

「ミエルさん? もしかして、ワタセさんを入れて3人でオオカミを倒したのですか?

 ワタセさんのパーティー加入の申請は出されていませんよね。」


ワタセ

「いえいえ、違います。 ボクは途中で出会って運ぶお手伝いをしただけです。」


ギルドの受付嬢

「ワタセさん、まぎらわしいことをしないでくださいね。

 ミエルさんも、パーティーでないひとに荷物持ちなんてさせたらダメです。」


ワタセ

「いえいえ、ボクが無理を言っただけです。どうか、誤解しないでください。

 ミエルさん、かえって迷惑を掛けてしまい、すみませんでした。」


ミエル

「ああ、こちらこそ、ごめんね。 今度からは甘えないようにするよ。」



しばらくして、ワタセはミエルと仲が良いという噂が流れるようになった。



つづく



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