32 信用を得るために
元苦労人の賢者ミエル
「なにか御用ですか?」
情報伝達師 ワタセ
「僕の名は、ワタセ。ミエル、あなたと仲良くしたいと思って、声を掛けたんだ。」
ミエル
「何が目的ですか?」
ワタセ
「そんな連れない言い方は無いだろう。ボクとキミの仲じゃないか?」
ミエル こころの声
『このひとはヤバそうだ。』
ミエルは、遠くでおしゃべりしている【武闘家みやび】を呼ぶことにした。
ミエル
「みやびー! お話しているところをジャマしてごめん。 でも、今すぐ来てほしいんだ。」
【武闘家みやび】は、おしゃべりをしていた相手に、ごめんねと手を振ってから、ミエルに駆け寄った。
武闘家みやび
「ミエル、めずらしいさ。
おしゃべりを止めさせて呼ぶなんて。」
ミエル
「みやび、ごめんね。
でも、このひととの話が長くなりそうだから、そばで聞いていてほしいんだ。」
ワタセ
「このひとだなんて、連れないなあ。ワタセと呼んでほしい。」
ミエル
「では、ワタセ様、ワタシになにをさせたいのですか?」
ワタセ
「そんなに身構えないでくれよ。」
ワタセは、ボクは敵じゃないですよーという満面の笑みを向けてきた。
みやび
「その顔、気持ち悪い。にこにこして近づいてきて、ホッとしたところで、お胸、おしり、足をさわってくるオトコよりもイヤな感じがする。」
ワタセ
「し、失礼な。ミエルさんは、彼女さんの躾をちゃんとするべきだ。」
ミエル
「みやび、ボクが感じたイヤな気持ちを代わりに言ってくれてありがとう。
ワタセ様、みやびは子供ではなく、大人です。ひとりの大人に対して、躾なんて言葉を使うあなたのほうが100倍も、無礼です。」
ワタセ
「ボクのアドバイスを迷惑みたいに言うのか?」
ミエル
「迷惑みたいではなくて、迷惑です。」
ワタセ
「初対面で仲良くしようというボクが良くなかったかな。
それでは、少しずつ距離が短くなるようにするよ。
またな、ミエルさん。」
ミエル
「いえ、もう来ないでください。
あなたとは仲良くなれないと思いますから。」
ワタセ
「そういう言い方は傷つくなあ。 じゃあ、また。」
情報伝達師 ワタセは、ようやく去っていった。
みやび
「ミエル、顔色が悪いさ。 トイレに行きたいなら、そう言えば良かったのに。」
ミエル
「うーん、そうじゃないんだけどなあ。」
みやび
「さあ、もらすまえに急ぐさ。」
ミエルは、みやびに急かされてトイレに行くことにした。
◇
情報伝達師 ワタセは、通路の角に背をもたれながら、ふたりの話を聞いていた。
ワタセ こころの声
『さすがに、ガードは固そうだな。 でも、まあ、人付き合いが苦手そうだし、何度も言い寄っていれば、なんとかなりそうだな。 それにしても、みやびという美女は、あほの振りをしているのか? ミエルよりもみやびの方がやっかいな気がする。』
つづく
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