30 みやびとミエルの大金を使った約束
上級者ダンジョンの地下20階層
ミエル
「だれが仕掛けたワナか分からなかったから、そのままにしておいたけれど、ワナ解除師のナリルさんだったのか?」
みやび
「ナリルは、ミエルのことをバカにしていたけれど、ミエルの足元にも及ばないさ。
バカの私でも、自分が作ったワナにひっかかるほど、バカじゃないさ。」
ミエル
「みやび、自分のことをバカと言ったらダメだ。」
みやび
「ごめんなさい。
小さいころからのクセだから、なおらないよ。」
ミエルは、みやびを抱きしめた。
ミエル
「みやび、キミが無事で良かった。」
みやび
「ミエル、助けに来てくれて、うれしいさ。」
しばらく、抱きしめ合ったあとで、ミエルは、みやびを強く見つめた。
ミエル
「みやび、ボクにだまって、どこかに行かないでよ。
ボクは、みやびがいてくれるから、元気でいられるんだ。
それを覚えてください。」
みやび
「ミエルは、わたしがいるから元気。 覚えたさ。」
◇
ギルドマスターの部屋
ギルドマスター
「ミエル、苦労を掛けた。」
受付嬢
「ミエルさん、ナリルさんを倒してくれた御礼です。
そして、みやびさんを巻き込んでしまった慰謝料も入っています。」
みやび
「大金さ、ミエル。 もうかったさ。」
ミエル
「いいえ、そのお金はいりません。
その代わりに、おふたりにお願いしたいことがあります。」
ギルドマスター
「それは、この大金を手放すくらいに大事なことなのか?」
ミエル
「その通りです。」
受付嬢
「この大金に見合うお願い事って、いったいなにをさせたいのですか?」
ミエル
「みやび、よく聞いてね。
ギルドマスターと、受付嬢さんもお聞きください。」
ふたりは、おおきく、うなづいた。
ミエル
「みやび、ボクのことを心配してくれてありがとう。
うれしいよ。
だけどね、つぎからは、かならずして欲しいことがある。」
みやび
「どうすればいいさ。」
ミエル
「だれかと、どこかに行くときは、ボクと見つめ合いながら、一緒に行く人の名前と行き先を言って欲しい。
そして、いっしょに出かけるひとをボクの前に連れてきてほしい。」
みやび
「わかったさ。
だけど、今回は、ミエルがいなかったさ。」
ミエル
「そうだね。
だから、ボクがいないときは、ギルドマスターか受付嬢さんと見つめ合いながら、言って欲しい。
だれと、どこへ行くのか? かならず、いっしょに行くひとを連れてきて、言ってほしい。」
みやび
「わかったさ。
ミエルは、わたしを子ども扱いするのさ。
まあ、仕方ないけれど。」
ミエル
「ギルドマスター、受付嬢さん、どうかお願いします。」
ギルドマスター
「ああ、大丈夫だ。」
受付嬢
「そんなことのために、大金を受け取らないんですか?」
ミエル
「お金で、みやびの命は買えませんから。」
受付嬢
「はあ、みやびさん、うらやましいですよ。
ミエルさんに愛されてますね。」
みやび
「ミエルは、わたしのことを愛しているのさ?」
ミエル
「あ、あ、あ、・・・愛しています。」
ミエルは顔を真っ赤にしながら、みやびに言った。
みやび
「うれしいさ。 ミエルに言われた通りにするさ。」
この日から3日ほど、ミエルは、どこに行くときも付いてきた。
トイレのときも、ドアの前で待つくらいだった。
みやび こころの声
『これは、きついさ。
ミエルに、二度と心配かけないようにするさ。』
◇
未来知見の女神 ミサキ
「ふう、ふたりが無事でよかったわ。
それにしても、ナリルとかいう”5流以下”のために、上級ダンジョンの主に頼んで、ワナを停止させることになってしまったわ。
でも、そうしなかったら、ナリルとかいう”5流以下”とみやびさんが上級ダンジョンのワナに掛かって死ぬところだったから仕方ないんだけれど・・・
上級ダンジョンの主から、多額の請求をされてしまったわ。
ああ、ミエルが断ってしまったお金をもらいたいわ。」
ナレーション
「【ワナ解除師】が、上級ダンジョンの地下20階層に無傷で行けた理由が、よく分かりました。
つまり、なんとか師って、たいしたことないね。」
第4章 ワナ解除師 ざまあ おわり
次の第5章での、【ざまあ】 をお楽しみに!
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