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中身がない

作者: ぷりん

読みずらいと思います。


みんな何考えてるんでしょう?


 猫が、歩いている。

沢山の人の足元をするするとながれるように通り抜けてゆく。

なんて身軽なんだろうか。私もああなれたら楽しいだろうな、なんて部屋の窓から眺めていた。



 そういえば私は運動が特別苦手な子だった。

何かするたびに空回りしていつも男の子にからかわれていた。

毎回毎回やらかすもんだから女の子からも冷ややかな視線を浴びていたと思う。

恥ずかしくて仕方なかったのを覚えている。


 運動が特別苦手なように私には苦手なことが多かった。

みんなの言う普通ができなくて先生にも父にも母にもよく怒られた。だけど、どんなに怒られてもからかわれても、冷ややかな視線を浴びたとしてもみんなの求める普通にはなれなかった。

そんな自分が嫌で嫌で仕方なかった。

 でも、そんな私でもそれなりに好いてくれる子はいたわけで、私は毎日その子と登下校していた。

ある朝いつものようにその子と手をつないで歩いていた。

学校へ行く道をその子と歩幅を合わせてのんびり歩くのが好きだった。

他愛ない話をして、そのまま学校につくはずだった。でも違った。


たぬきが轢かれていた。

内臓が出ていた、それでもみんな何もしない。

車が内臓が出たままの死体を引きずる。

そしてもう一台その死体を受け取るように引きずっていく。

受け渡せば受け渡すほどその死体は原形のない何かに変わっていってしまった。


私の時間だけ止まったみたいに、ただただその光景を眺めていた。

その時その子が言った。

「○○にははやかったねー」


こいつは何を言っているんだろう。心底そう思った。

この状況を見て何も思わなかったのだろうか、

そんな私の心情を無視してその子は早く行こうよと手を引いてくる。あふれかけていた涙を引っ込めて私はその手に従った。



 多分そんな私の考えは、大人から見れば幼稚な考えに過ぎなかったと思う。

きっとあの子はもう大人だった。

今私がその時と同じ状況にいてももう「かわいそう」しか出ないだろう。

ただ、その死体に憐みの目を向けて数秒したらそれをただの景色にしてしまうのだ。




 なんて、雨に変わってしまった空を眺めながらそんな考えに浸る。

そういえば昨日は母の葬式があった、昔のことを思い出すのはそのせいかもしれない。


棺桶の中で眠る母は何も変わらなかった。でも小さいころ毎日のように浴びせられた怒声はもう聞こえてこない。私の記憶の中の母はいつも怒っていた。

こんな母親でも一応悲しいんだなと頬を伝う涙をぬぐいながら思う。

母は花の死体に囲まれて、最後には骨だけになってしまった。

あの死体を焼く時の独特なにおいが鼻について一日過ぎた今も残っている。


 思えば、花の死体で故人の霊を慰めようとするなんてずいぶんおかしな話だななんて思いながら

朝食を口に頬張った。

朝食を終えてもう一度外を見ると小降りだった雨が大雨になっている。

雨の音を聞きながら朝食後のコーヒーを飲む。

雨は好きだ。あの雨の日のにおいとか雨の音とか、少し暗くなる部屋とか。


 雨の音を聞きながらぼーっとしていたら、いつの間にか眠っていたみたいだ。雨がやみ少し日が下がってきていた。

 どうせなら散歩に行こうと家を出た。

久しぶりの散歩だし知らない道を歩いてみようと、子供のころ以来の冒険心を燃やしながらのんびり歩く。しばらく歩いていたら前から青年が歩いてきた。

若者には珍しい歩きスマホならぬ歩き読書だ、いや案外私が知らないだけで結構みんなやっているのかもしれない。

ふとその青年の本に目をやるとどこか見覚えがあった。たしか花を愛する男の子の話。

読み直してみようかな、なんて思いながらその青年の横を通り過ぎた。


 結局のところあの時感じた感情はぜんぶ忘れてしまった。

特に大したことも考えず、死体を日常の風景にしてしまう。まあ死体を毎日食べているのだから違和感なんかなくて当然なのだろうけど。


こうやって時々意味の分からないことを考えてまた忘れて考えて忘れて、、、



 一息ついて湯船につかるんだ。




最後まで読んでくれてありがとう。

確実に黒歴史を生成してますが温かい目で見ていただけると幸いです。


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