表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
良識のある異世界生活を  作者: 猫の甘噛み
13/20

13

今日も休日なのだが、昨日のケインさんとの練習の後、無理やりシャーロットに一緒に出かける約束を取り付けられた俺は、貴族達の集う住宅街にある、白石で作られた噴水に来ていた。まあ、あいつにこんなことを言うのは途轍もなく癪なのだが、あいつも一応はレディということで、シャーロットを待たせないように一時間前から来ていた。そして噴水の縁石に座って目を瞑り、眼前にケインさんを置いた試闘をしているとき、遠くから馬車の音が聞こえた。ここでは高位の人しか馬車を使ってはいけないから、間違いなく高位の人なのだろう。失礼があってはいけないので、背筋を伸ばしその方々が通られるのを待っていたのだが、しばらくすると、見慣れた家紋が目に入った。ああ、あれは確か公爵家のものだ。とすると、ああ、あいつが来たのだろう。シャーロットが。俺はそれとなく胸ポケットにしまった懐中時計を取り出して時間を見る。すると約束の三十分前だった。あいつ、来るにしても早くないか?まあいい、その分早く終われるだろうから。そして縁石に座って待っていると、俺の前で馬車が止まった。中からシャーロットが出てきた。そこまでは良かった。俺としてはそこまでしか予想していなかった。いや、それ以上のことは起きてほしくなかったとも言える。なんと、馬車の中には公爵様がいらっしゃったのだ。

も!申し訳ありません!ついシャーロットご令嬢のみだとばかり思っていて……

「ハッハッ。いいんですよ。私も先ほどこの娘が皇太子様と約束を取り付けたと聞いて、急いで身支度したくちですから」

いえ、恐れ多い。

「……まあ、娘は頼みましたよ。この娘は幾分照れ屋なので正直に気持ちを伝えられないでしょうが、見て呉れだけはいいでしょう?」

「ちょっと、お父さん?」

いえいえ、彼女がいいのは見て呉れだけではありませんよ。頭は冴えていて、魔術体術に造詣があり、包み込むような優しさがあるのですから。この前なんて練習後の私めのために水を持ってきていただきましたので。

「はは、王家継承候補最有力の方にそう言っていただけるとはありがたい。しかし、シャーロットよ。最近よく出かけると思ったらそんなことをしていたとは」

「な、何よ」

「……ハッハッ、何、昔の私たちを思い出すなと」

そう言って公爵様は俺に一礼すると去っていった。

で、まだ三十分くらい早いがどうするつもりだ。

「……そうね、私たちがこれから行くところは10時開店だしまだ早いわ。ここでゆっくりしていましょう?」

ゆっくりって言っても……何を話せばいい。

「もう、バカね。だから万年ぼっちなのよ。話したくなったら話すでいいの」

そんなもんか。

「そんなもんよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ