8話 フスカの森4
ゴーレムは全長7メートルほどで人型の巨大な泥人形だった。
「泥や粘土でできているようね。クレイゴーレムだわ」
「土でできているとなると地属性か」
クレイゴーレムはこちらに近寄ってきて、力任せに腕を振るう。
ブン、ブーン 攻撃は空振る
動きが遅いから回避は容易だ。
ブン、ブーン
攻撃が空振る。
力任せに殴ることしかできないのか同じ行動を繰り返す。
(力任せで単純な攻撃だけに当たれば相当なダメージをくらうだろう)
「動きが遅い上に図体が大きいから良いマトね、これなら毒薬と麻痺薬をぶつけれるわ。せいっ」
クルス・リンシーが投げた毒薬と麻痺薬が入ったそれぞれのビンがクレイゴーレムにヒットする・・が、動きに変化はない。効果がみられない。
(毒と麻痺は効いてないみたい)
(無生物なので毒や麻痺の状態異常にはならないということか?魔法をとりあえず試してみるか)
「バーン」
クレイゴーレムの足から体にかけて大きな炎が発生。
クレイゴーレムにヒットしてかなりの勢いで燃え上がるが倒れない。
「敵の図体はでかいものの、今の魔力なら1撃で倒せると思ったのだが。効いてるのは間違いないが倒しきれない。何か秘密があるのか?」
「GO!ヘルハウンド」
待機していたヘルハウンドがクレイゴーレムにとびかかる。
ヘルハウンドがクレイゴーレムの腕に対し爪やかみつき攻撃を行うが、防御力とHPの高さもありクレイゴーレムの腕が少し削れる程度だ。
ヘルハウンドはあごが外れるのではと思うほど、がばっと口をあけゴーレムめがけ炎のブレスを吐く。
炎のブレスがクレイゴーレムの足元へ。ひるんだようで歩みが止まった。
炎系は効いてるようだ。
(炎系は効いてるが倒せないのはなぜだ?水土雷系の魔法はあまり効かないだろうな。雷系は無効、水土系統はむしろ吸収したり溶けてクレイゴーレムと地面の接地面が増すことでクレイゴーレムが巨大化しかねない ここは……)
「グラビティ10」
対象のクレイゴーレムに10倍の重力負荷がかかる
重力に耐え切れずクレイゴーレムは仰向けに倒れた。
ズシーン!
(動きをほぼ止めることはできたが倒すことはできないようだ。)
弱点はないか近づいてよく観察すると
(ん?今まで気づかなかったがゴーレムの頭に羊皮紙のようなものが張り付けられているぞ)
emeth(真理)と書かれている。
(もしや……)
「ウインドカッター」
emeth(真理)という文字からeの部分が切り離され meth(死)に。
するとゴーレムは動きが停止した。
「倒せたみたいね、どうやったの」
「額に貼られていた羊皮紙の文字emeth(真理)をmeth(死)に変えたのさ。」
「すごいわ 素敵」
まんざらでもない様子で笑顔がこぼれるエンネア・ゼロ「へへ」
「ふーん、クレイゴーレムを倒したようね」
どこからか声が聞こえてきた。