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アイしアイされ  作者: エイ
8/29

「一人?」


「あっ、はい。午後からの会議で使う資料をセットしてて…」


「手伝うよ」


「あっ、でも…」

私は首を横に降った


「順番は?こっちのと同じでいい?」


戸高さんは会議室に入ってくると、資料の束を持って机に並べだした


「すみません」

私は頭をさげる


「本宮さんの姿が見えたから、ちょっとサボろうと思って」

戸高さんはいたずらっぽく笑った


「二人だと、すぐ終わっちゃいますね」

私もいたずらっぽく笑う


「そっかぁ、あんまりサボれないなぁ」

戸高さんは、残念そうに言った


「じゃあ、閉めちゃいましょうか」

私は会議室の扉をそっと閉めて、戸高さんに微笑んだ



「あれから、長野にご飯誘われた?」


「いえ、全然」


「そうなの?」


「はい…」


「おもしろくないなぁ~」

戸高さんは、口をとがらした


「おもしろくないって…長野君は私になんか興味ないですよ」


「え~、そんなことないでしょ。本宮さんと話す時は嬉しそうだけど…照れてるのかなぁ」


資料はとっくに机に並び終えていた

戸高さんが時計をチラッと見る


「よしっ、そろそろ戻ろうか」

戸高さんは、机をポンっと叩いた


「あっあの…」


「ん?」


戸高さんが私を見つめている


心臓の音がトクトクと早まる


もう少しだけ


もう少しだけ


もうちょっと


「だったら…」


「…だったら、戸高さんが連れて行ってください。飲みにでも…」


唇がキュッとなる、上手く笑えない


私の言う『 だったら』は何に対してだったのかな…


覚えているのは

その時、もっと戸高さんと一緒にいたかったということだけだ



断られると思ったから、気まずくて床をずっと見つめていた


戸高さんの靴の先がこっちを向いたのが見えた


「そうだね」


顔をあげると、戸高さんが微笑んでいた


── ◇ ── ◇ ── ◇ ── ◇ ──


「戸高さん、何かしたんですか?」


私は美和さんを見つめる


「したっていうか…まぁ、私も聞かれただけなんだけどぉ」


「何を聞かれたんですか?」


「え~。亜耶、知りたいの?」


『 本当は、言いたいくせに』


美和さんは、わざと大きなため息をついた


「それがさ、聞かれたんだよね。派遣の子に…」


派遣の子?

美和さんが働く会社で、派遣と言えば女の人に違いがなかった


嫌な予感がする


「戸高真也さんってどんな人ですか?って」


トダカ シンヤさんってどんな人ですか?


真也さん…?

私は胸の奥がギュっとなるのがわかった


「それがさぁ」

美和さんは、大きく目を見開くと、小声で言った



「私の友達がつきあってるんですけど、どんな人か気になって…だってさ」

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