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日本陥落  自衛隊古平曹長編 

終わりました

突然のことだった。安倍総理がお昼時に首相官邸で会見をしていた時だ。

【安全保障条約におききまして、トランプ、大統領が、その条約を無断に、破棄を通告したことを、国民の、皆様に申し上げている、次第で、御座います。既に米軍は、撤退、しており。私は・・・】

チャラン チャラン チャラン Jアラートの音色が狂鳴した

テレビは会見からアナウンサーに変わった。

【ただいまJアラートが発動しました。ロシア、中国、北朝鮮から核ミサイルが発射されました!予想弾着地点は札幌 霞が関 千葉 横浜 名古屋 彦根 京都 大阪 福岡 宮崎 そして首都東京でございます。】

【海上自衛隊によりますと。核ミサイルの撃墜に全弾失敗!!全弾以前と進路は変わりません!】

【みなさん、避難してください!!核ミサイルが後5分で着弾します】

【韓国、中国、北朝鮮、ロシアからの宣戦布告が行われました!日本政府はいまだ何の通達もしてません!!】【みなさん。核ミサイルが来てる…ん?あの黄色いのは・・・みなっ!!】


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あの日が全てを変えた。あれから、いくつか過ぎた。日本は陥落した。首都と霞が関が核の炎に焼かれ自衛隊の指揮系統はめちゃくちゃだった。俺は仙台の駐屯地にいたが駐屯地を指揮する将官が運悪く霞が関の方に向かっていたせいだ。俺らは仙台の駐屯地にそのまま待機し放射能が薄くなるのを待機していた。その間も地獄だった。北海道、沖縄、鳥取、島根、山口...いろんな所で同期がロシア、中国、韓国、北朝鮮による侵攻作戦を受け多勢に無勢で散っていった。救援要請の声が大きくなり。突然ブツッと消える。ただでさえ、日本は謎の疫病による感染が爆発的に起こり自宅待機が行われておりお昼の時間帯であったため火を使う家庭が多く火事が発生し広まった。また、まだ昨年の富士山噴火による作物の大不況や火山灰が積り首都圏近郊の農業は壊滅した。そして、昨日の夜。南海トラフ巨大地震が発生した。死体蹴りのようだ


駐屯地に沢山の市民が援助を受けに来た。駐屯地の人間が苦労してやりくりしてた貴重物資の中から他の駐屯地からの同期と集合するかと予想してたにも関わらず。この国の国民を守るという宿命に身も心もがんじがらめにし笑顔で市民に提供した。物資はあるから一列にといっても割り込みが起こり、物資を受け取ったら両手に抱えて走って逃げだしそれを追いかけるものもいた。老人大人が子供の未発達な背中を押し倒し我が物顔で受け取ろうとし物資が少ないと叫びだす。そして身の安全を保障しろと駐屯地に押し入った。



あれから、いくつかたったのだろうか。校庭で仮眠を取っていると何やら周りがうるさい一体何事かと目を覚ます銃口が私に突き付けられていた。あぁ。ようやく解放される。そう思い覚悟を決めると敵兵は私に対し「Freeze」と言った。全てのことが頭の中でクリアになった。なるほど。口惜しい。ここから逃げるんだ。あともう少し早k・・・パン!!乾いた発砲音が狂鳴した。


自分の右足に何かが”当たった”ような感じがしたと思った途端に”痛い”という神経の命令が脳からつま先まで駆け巡る。死にたくない、死にたくない。理性の枷はとうに外された。必死に生き延びようと足を前に出そうとしてもその都度激痛が脳を震わす。もう駄目だ。敵兵のフレアが上がり俺の泥だらけの頬を照らす。俺はここで死ぬ。不思議といまはそれが納得できる。「あぁ、ようやく死ねる。。。」頭の中ではとうに理解していた。核ミサイルが打ち込まれた時点でこの国の負けは確定していた。しかし自分は自衛隊だ。この国を守らなくてはいけない。この国の国土を文化をだ。守りたいものがある、あったんだ!。。。悔しさに涙が出る。さっきまでは死にたくない、死にたいなぞ考えていたがやはり口惜しい。駄目だ。。。もう。考えられない。遠くから何者かの足跡が来るのを最後に聞いて俺は目を閉じた。



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俺は不思議な空間にいた。そこには訓練を共にした友人。大切な俺の家族と彼女が楽しそうに宴会を開いているのだ。ここ何週間も飲んでない貴重な酒や美味しそうなご飯を囲んで談笑しているのだ。俺も彼らに会おうと駆け寄ろうとしても透明な壁にぶつかって届かない。「おいっ!みんな俺だ!小平だ!青木!小林!五十嵐!無事だったのか!!」必死に叫ぶと声が通じたのか彼らは俺を見つめた。その瞬間寒気が体を突き抜ける彼らの目は正気ではなかった。彼らは興が覚めたようにすたすたと見えないところに行ってしまう。「待ってくれ!俺だけをおいてかないでくれ!頼む、もうこれ以上耐えれないんだ!」


体を前かがみにした瞬間。俺は目を覚ました。どうやらあの空間は夢だったらしい。俺はベッドの上にいた。しかし、辺りを見回すと俺の知らない所だ見た目は山小屋の中にいるみたいだが、敵に拉致されたのかもしれない。警戒心をMAXにする。ベッドから出ようとして気づく俺の右足に包帯がまかれているのだ。右足の傷を思い出した途端に右足の痛みが再発する。あまりの痛さに顔を顰めるがどうやら俺は少なくとも俺に対して友好的な人の場所にいるみたいだ。敵がわざわざ貴重な医療物資を捕虜に使うとは思えないからだ。ハーグ条約?あんな紙切れなぞ俺のケツ吹きに使ったわ。しかしこの傷がある以上ベッドから動くのは体力の損耗になるのでやめよう。


秋風が山小屋の窓にあたりビュービューと音が鳴る。窓から景色を見ようと右足に負荷が掛からないように慎重に体を起こす、枯葉が一面に敷かれ葉っぱの落ちた木々が死んだように生えているがある程度は土地が開けているうえに丸太割をしていたのだろうか丸太に斧が突き刺さっているしかし、完全には割り切れていない。どこか俺に対し警告をするかのようだった。人が生活しているのは確実のようだ。不謹慎ながらも金曜日のジェイソンみたいだとふざけるまでに心が落ち着いてきた。自分は生きている。どこかわからない場所、知らない顔に囲まれながらも一人生きている、右足の痛さが存在を出張してくる。そうだ、自分は生きている!生きているんだ!!心は虚しさに満たされながらも生きているという事実に喜びが溢れた。


ザッ、ザッと何かを踏みしめる音が聞こえる。ついさっきまでの自分の喜びを嘲笑うように音が聞こえる。そうだ、ここは必ずしも安全地帯とは限らないのだ。近くのテーブルにあった埃取りようのモップを槍のように持ちベットの上で構えた。自分の楽観視さを後悔しつつも諦めが心の中で満ち始める。右足を負傷し動けない、更に敵の場合、当然重火器を持っている一人でなく一分隊だとしたら。ザッ、ザッ音がどんどん大きくなりこちらに近づいてくる、嫌だ嫌だ来るな来るな!バッ乾いた音が聞こえる撃たれたのか、いやそうではない扉があいたのだ。呆然としつつも部屋に入ってくる人を見つめた。


小汚い婆であった。頬は痩せこけ頬骨は張っておるが目の奥にある獰猛な生命力が特徴であった「目ぇ、覚ましたかい」声は低くしわがれているが目と同様に力強い。呆然としつつも相手が民間人であることに気づき「おばあさん、ありがとうございます。私は自衛隊の古平というものです。治療をして頂きありがとうございます。できれば現在地を教えてもらえますか」

おばあさんは目を細めながら「相変わらず自衛隊は変わらないねぇ。。。ここは奥羽山脈の一部である船形山だよ」船形山か、確かに駐屯地の近くにはあるが人が移動するにはかなり遠い、おばあさんの発言が引っ掛かる「目が覚めたらいい、ご飯でも食べようか。。。あんたは寝とれ」おばあさんは背負っているバッグを下ろし中から蒸気で加熱するお弁当を取り出した

「男なら牛タン弁当好きだろ。。私も食べよう、先に食べてなさい。私はバッグの中身を整理する。。」牛タン弁当だなんて!下から涎が出てくる夢中になって弁当を食べた。おばあさんに対する違和感なそ忘れていた。旨い、牛タンが旨い!右足の傷を治すように体の奥深くまでに牛タンの味が染み込んだ。戦争のことなぞどうでもよかった。そんなことよりも生きて飯を食うことしか考えられなかったし考えたくなかった。考えるのを俺はやめた。


米粒残さず一つも残さず食べた、俺が食べ終わるのを見図るようにおばあさんが現れた。

俺は背筋を正し「おばあさん、こんな時期に貴重な食糧を分けていただきありがとうございます」おばあさんは、目を瞑り何秒かした後また目を開けて俺に尋ねた「いまの自衛隊の生存部隊の数とその場所はどこだ」今までのしわがれた声が嘘のようにしっかりとした強い口調で尋ねた。背筋から汗が流れる。俺はびっくりしながらも軍事機密ですと答えようとすると「詳しいし段数は私には分からないが約一万人。確定に生存しているのは伊丹です、そこみ天皇陛下が避難してるからです」おかしい、ありえない、やめてくれ「そうか、天皇はそこにいるのか。。。お前ら、移動するぞ!!」婆さんの姿はそこには居なかった。おばあさんの顔が剥がれる、フェイスマスクを脱ぎ捨てた若い白人の女兵士がそこにはいた。


その声に反応するようにいままで枯葉だと思っていたものが動き出す、そのギリースーツに着いた星条旗を見て俺は俺でなくなった。今までの自分の行動が走馬灯のようによみがえる

「あああぁぁぁぁああぁぁぁあ!!!!!どうして!!!!」女は冷たく笑いながら「状況だ。自白剤が含まれてる可能性があったのをお前は分かっていたはずだ。不審な点もいくつもあった。この状況はお前が作ったのだ」不味い、死にたくない、時間を作り逃げる時間を作らなければ「まってくれ、俺はまd」「待たない、さようなら弱者よ」女の持ったM1911の撃鉄が動くのを目にして意識が暗転した。俺は古平は死んだのだ


ザッ、ザッと軍靴の音が山の中に響いている


日本陥落 古平編 ~END~

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