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9/9

やっぱりハッピーエンドで終わる


あの日の出来事を思い出すと少し鳥肌が立つが、もう終わったことだ。



私達は今日この学校を卒業した。



空は青く、太陽が出ている。

暑すぎず寒すぎず、ポカポカしてとてもいい陽気だ。



桜が舞っていて、周りからは笑い声や泣き声が聞こえる。



家族と写真を撮っている人もいれば、友達同士や先生達と写真を撮っている人もいる。



クラスで集合写真も撮った。



だけど、そこには桃香の姿はない。



あの後、桃香は学校に居づらくなったのか転校してしまった。



流石にあと少しで卒業だから転校するとは思ってなかった。

でも、そうさせてしまったのは私なのかもしれない。



桃香は転校する前、私に「ごめんね」と謝った。



そして、「元気でね!」と笑顔で言った。

それはいつも見る笑顔ではなく、何かを吹っ切れたような、そんな感じのものだった。

上手く言えないけど…。



ただひとつ言えるのは、謝ったのもあの笑顔も嘘ではないと言うこと。

作ったものではないと言うこと。



それだけはわかる。



私達は友達にはなれなかったけど、それで良いんだと思う。





あの後、悠斗から本当の事を聞いた。



本当は桃香が自分に好意があるのを知っていたんだとか。



小さい頃からあんな感じで、悠斗と仲良くする女子に嫌がらせをしていたらしい。

それを知っていたからあえて桃香の事を拒まず、私に危害が及ばないように近くで見張っていたらしい。



その事を私に言ったら私が心配するだろうと。

平気だからと言うだろうと…。



私がキスをしていたと誤解したあの時は、桃香がデートしてくれれば、今日1日彼女にしてくれれば美雨には何もしないと言ったかららしい。

そして、彼女だからとキスをしようとしたが、悠斗が拒んだらしい。



それをたまたま私が見てしまったらしい。



ほんと、なんてタイミングの悪いこと。



それから、あの日、花瓶の事を知っていたのは、杏奈から聞いたらしい。

なかなか戻ってこない私を探しに行って、教室前に私の鞄が落ちているのを見つけ、何かあったんだと私を探し回っていたらしい。

その時に悠斗に会い、花瓶の事や、美雨がいない事などを話し、2人であちこちの教室などを探してくれたらしい。



悠斗とのその後?



それはもちろん…



「美雨!」



「杏奈!」



「卒業おめでと!」



杏奈は私に抱きつく。



「杏奈もおめでとう!」



「ま、大学も同じだから寂しくないけどね!」



そう、私と杏奈は同じ大学に進む。

それから…



「おい、俺も忘れんなよな」



コツンッと頭を叩かれた。



「悠斗!」



そう、悠斗も同じ大学に進む。



「堀内、あんま俺の彼女にくっつかないでくれる?」



「はいはい、ごめんなさいねー。ほんと、悠斗くんは美雨の事大好きだよねー」



ニヤニヤしながらからかいまじりに杏奈は言う。



「当たり前だろ?な?」



いや、私に同意を求められても…。



私と悠斗はまた付き合うことになった。



「私の目の前でイチャイチャしないでもらえます?

あーあ、私も彼氏ほしーい!」



意外に面倒見もいいし、顔もスタイルもいいから大学でもモテるだろう。

あ、杏奈ってモテるんだよ?

告白だって何回もされてるんだよ?

ただ、好きな人と付き合いたいからーって高校生活誰とも付き合わなかっただけで。



まぁ、そんな杏奈が私は好きだけどね。

本人には言わないけど。



「美雨!写真撮るぞ!」



いつの間にか、悠斗と杏奈は大きな桜の木の下に移動していた。



「美雨!ほら早く!愛しの彼氏が待ってるよ!」



杏奈はケータイを持ち、すでに構えている。



愛しのって…。



まぁ、合ってますが。



私は走って2人の所に向かう。





私達は今日卒業した。

卒業まで色々なことがあったけど、それも今思えばいい思い出だったのかもしれない。



やっぱり最後はハッピーエンドじゃなくちゃね!






ハッピーエンド…だよね?

え、だよね?

本当にこれで終わりだよね?



続く!とかないよね?



終わり…だよね?だよね!







はい、終わりです。

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