表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

真犯人


急いで教室に戻る。

すると、私の机で何かをしている人がいた。



「誰!?」



私は大声で言った。



その人物は急いで教室から出て廊下を走って行った。



逃すか!



私はその人物を全力で追いかけた。



誰、誰なの?

桃香だと思っていたのに、髪は短く、ズボンを履いていた。つまり、男子の制服だった。



外も暗くなり始めていて、電気もついていなく教室がくらかったので顔が見えなかった。



しつこく追っていると、男はある教室に入った。



資料室だ。



私は一瞬ためらったが、ここで見逃したら今日の花瓶みたいに、私だけじゃなく杏奈も怪我をしてしまうかもしれない嫌がらせをされる。



私は意を決して中に入る。



「誰なの?」



電気をつけ、奥に進む。



ガラッ



扉を閉める音がして急いでそちらに振り向く。



「きゃっ!」



私は見知らぬ男に押し倒された。



「だ、誰!っん」



手で男に口を塞がれた。



誰?



知らない男だが、ネクタイの色からして2年生だと分かった。



「はぁ、はぁ…」



男は息を切らしていた



「お前のせいだぞ」



な、何が?



「お前があの男と一緒にいるからだ」



あの男?悠斗の事?



ガラッ



その時、扉がガラッと開いて誰が入ってきた。



「あはは、いい気味」



誰か、そう、あの悪女が。



は?え?



私は混乱した。

桃香だと思っていたら違くて、でも桃香がここにいて。



どういう事?



「ねー、美雨、大丈夫?」



笑いながら桃香はそう言う。

しかも動画を撮っている。



「桃香!これはどーゆー事!?」



私は男の手をなんとかどかし、そう言った。



「美雨がいけないんだよ?悠斗と一緒にいるから」



は?



「せっかく邪魔して別れさせたのに、悠斗ったら美雨といたいとか言うんだよ?あり得ないよね?悠斗は私のなのに、私と一緒にいるべきなのに!」



何言ってんの?



「ねぇ、(まこと)くん、キスでもしちゃえば?ずっと好きだったんでしょ?」



この男は誠と言うらしい…。

て、は!?



「ほら、記念に動画撮っておいてあげるから」



そう言いながら近づいてくる桃香。



「な、に言って!」



振り解こうとするが振り解けない。



「美雨、誠くんずっと美雨の事好きだったんだよ?だから受け入れてあげて?」



何言ってんだこいつは!



「ほら!早くしなよ誠くん。私もこの動画を悠斗に見せれば流石に悠斗も引くでしょ?私も得するし!」



自分の得が狙いか!



「ちょ、ちょっと誠くん?離してほしいな」



私は抵抗するのをやめ、説得することにした。



「はぁ、はぁ」



でも、誠は興奮してしまっていて、私の声など聞こえていないようだった。



「誠くん、ほら、早く!」



急かしてんじゃないわよ!この悪女が!



誠の顔が近づいてくる。



もうだめだ!



私はギュッと目を瞑った。



「おい!」



そう声が聞こえて、パッと目を開けると、誠は私からはがされ、殴られた。



「ゆ、悠斗…」



桃香は震えた声で言う。



「はぁ、はぁ。大丈夫か?」



悠斗は私の体を起こす。



「う、うん」



「ゆうと〜、怖かったー」



桃香はパッと態度を変え、悠斗に抱きつく。



怖!この女怖!!



切り替えが早く、いつものだと思っていたが、今日はいつもとは違く、悠斗は桃香を離した。



「え?」



桃香はキョトンとする。



「何が怖かっただ。お前もそいつとグルだろ」



冷たく言う悠斗に桃香は少し怯えているようだった。



「え、わ、私だって脅されて仕方なく…。ね?美雨」



はぁーー?

何、同意求めてんの?



「そういう嘘いらないから」



「う、嘘じゃないよ!」



「じゃあこれは何だよ」



バッと桃香の持っていたケータイを取り上げ、さっきまで撮っていた動画を再生する。



「あっ…」



「何だよこれは!」



今までに聞いたことのないぐらいの大声で悠斗は怒鳴った。



「…っ、だ、だって、美雨がいけないんじゃん!私から悠斗を取って!だから取り返したのに!なのに悠斗は美雨といたいとか言うから!だから誠くんが美雨の事を好きだって言うのを偶然知ってそれで!」



「それで何?だから美雨に嫌がらせしたのか?机とか教科書とか花瓶とか。」



「そーよ?私が指示して誠くんにやってもらったの。

悠斗の事をあきらめされる事ができれば美雨はフリー。誠くんにもチャンスあるかもよ?て言ったら協力してくれたわ!どうせ美雨やクラスの人達は私を疑うって分かってたからね!それの何がいけないの?」



はい、開き直ってるよー。

自分がした事自分で言っちゃってるよー。

桃香さん完全に私悪くない!状態ですねー。



「たとえ今ここで言ったからって証拠なんてないし?」



「えー?証拠バッチリなんだけど?」



「え?」



扉の方を見ると、いつからいたのか、杏奈がケータイを構えて立っていた。



どうやら動画を撮っているらしい。



「な!杏奈!」



桃香は杏奈からケータイを奪おうとするが、サッとよけられ、桃香は転んでしまった。



「さてと、どーする美雨?」



え?



「この2人の事だよ」



と、杏奈に言われる。



んー…



「桃香、誠くん。今回のことは誰にも言いません」



「え?」



2人はキョトンとする。



あ、2人だけじゃなかった。

杏奈と悠斗もだった。



「美雨、いいの?」



杏奈に問われる。



「うん。…でも」



「でも?」



「今後、一切私達に近づかないで」



そう2人を睨みながら言い、私はその場を収めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ