終わらせたはずだよね?
昨日、悠斗と話してきっちり終わらせた。
「美雨、昼食べよ」
はずだった…。
「みーうー」
悠斗を無視してお弁当を広げる。
「ちょっと、美雨。いいの?」
コソッと話しかけてきた杏奈に小さく頷いてお弁当を食べる。
杏奈は私と悠斗を交互に見る。
「あー、私用事が…「杏奈、私に相談したい事があるって言ってたよね?」」
キリッと杏奈を睨む。
また2人きりにされてたまるか!
「あーります、あります!だから、悠斗くん席外してくれない?」
杏奈は席に座り直し、焦りながら言う。
「あー、わかった…」
そう言うと、悠斗は自分の席に戻っていった。
「杏奈」
「は、はい!」
「今さ、逃げようとした?」
「し、してません」
「本当は?」
私は杏奈をギロッと睨む。
「し、しました…」
へー、ふーん。
「お弁当のおかず、今日はあげません」
「え!酷いよ!」
酷いのはどっちだ。
ブーブー文句を言う杏奈をほっといて黙々とお弁当を食べる。
「てかさー、さっきの何?ちゃんと悠斗くんと話したんだよね?」
ほんと、それだよそれ!
ここは教室。みんないるのにどうして平気で話しかけてくるかなー?
みんなめっちゃ私達の事見てたし、コソコソなんか言ってるし。
それに、今日は桃香もいるんですけど!
桃香、すっごい顔で私を睨んでたからね?
悠斗は気づいてないんだろうけど。
「美雨?聞いてる?」
「聞いてる聞いてる。知らないよ、あいつが何考えてんのかわかんないよ」
チラッと悠斗の方を見ると、目が合ってしまった。
フイッと顔を背け、杏奈と別の話をし、昼休みを過ごした。
放課後、無事に帰宅した。
無事…ではないけど…。
あの後、1つの授業が終わる度に話しかけてきて、放課後も一緒に帰ろうとか訳のわからない事を言ってくるし…。
まぁ、杏奈を盾にして断ったんだけど。
まぁ、明日になったら今日みたいな事はないだろう。
そう思って過ごして1週間。
今日もまた悠斗に付きまとわれた。
あの日から毎日毎日なんなの!
いや、まじで!本当に!
ムカつくムカつく!
ベッドで足をバタバタさせる。
「みうー、お客さんよー」
「はーい」
突然お母さんからお客さんが来てると言われ、急いで玄関に行く。
お客さん?誰だろ?
現在の時刻は午後8時。
外はもう暗いだろうに。
杏奈かなー?
どうしたろんだろう急に。
「杏奈?どうしたのー…」
私は玄関を開けた。
「ごめん、堀内じゃないんだ」
そこに立っていたのは悠斗だった。