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別れ


こうやって2人で並んで帰るのはいつぶりだろう。



付き合っていた時も桃香が間にいて2人で帰る事なんてほとんどなかった。



「美雨、朝のことなんだけど」



ボーっとしていると悠斗から声をかけられた。



「俺、まだ本当に美雨の事好きだから」



真剣な顔をして言う悠斗を見て、嘘をついているようには見えなかった。



「…私はもう好きじゃないから」



「なんで?」



「自分の行動を見直してみたら?」



私は冷たい口調で言う。



こうでもしないと私も好きだと言ってしまいそうになる。



もし言ってしまったらまた同じ事の繰り返し。

私はそれに耐えられない。



「…浮気って言ってたけど、俺、浮気してないよ?」



は?何言ってんの?



「したじゃん」



「誰と?」



「桃香と」



ここまで言わなくちゃわかんないのかこいつは。



「桃香?別に桃香とはそーゆーんじゃないって言っただろ?」



「じゃあどうゆうのなの!?」



苛立ってしまってつい大きな声で言ってしまった。



「俺と桃香はただの幼なじみで…」



「ただの幼馴染みがあんなにベタベタするの?どう見たって桃香は悠斗の事を好きにしか見えないよ!こう思ってるの私だけじゃないよ、クラスのみんなだって思ってるし、あんた達2人を見たら誰だってそう思うよ!」



「でも、本当に浮気とかしてないんだってば!」



まだ言うか。



「私、2人がキスしてるの見たけど?」



「え?」



「キスしてても浮気じゃないの?」



「キスはしてない!確かにされそうになった事はあるけど、阻止したからしてない!」



へー、してなかったんだ。



でもね?されそうになったって言ったよね?



「そう、してなかったんだ。それは勘違いしてごめんね。でもさ、されそうになったのに何でまだ桃香からの好意がないって言えるの?」



「それは…」



言葉に詰まる悠斗。



「あのさー、たとえ悠斗の言っている事が本当だとして、好意がないからと言って他の女が自分の彼氏とベタベタしているのを見て良い気分にはならないよね?それがあんたら2人にとってスキンシップだとしても」



「…」



「桃香が転校してきて以来、いつも私達の間に入ってきて、2人で居る時間なんてほとんどなかったよね?なんなら悠斗と桃香が2人で居る時間の方が長かったと思う。これって私と付き合ってる意味ないよね?桃香と付き合えば良いじゃん?」



「なっ」



「桃香にベタベタされても悪い気はしないんでしょ?だからいつも拒んだりしないんでしょ?いつもいつもその光景を見せられる私の身にもなってよ…」



「ごめん、でも俺は別れたくない」



「だから、私達はもう別れてるんだってば。悠斗の行動が私を傷つけてるのわかんない?」



「美雨…」



いつの間にか私は泣いていた。



「ごめん、ごめん美雨」



泣いている私を悠斗は抱きしめた。



あぁ、落ち着く。落ち着いてしまう。

私が泣くといつも抱きしめてくれた時を思い出してしまう。



グイッと悠斗を離す。



「とにかく、私はもうあなたの事好きじゃないから」



涙を拭い、まっすぐ悠斗の目を見て言う。



「…わかった」



「じゃ、もうこれ以上話す事なんてないから」



そう言って私はその場から去った。






「…いいよ、今はそれで。もう1度好きにさせるから…」




去っていく私の背中を見ながらそう言った悠斗の言葉を私は聞こえなかった。



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