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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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96.ライアティナ1

テラ様と別れた私達は戦乙女の訓練のために訓練場に移動することにしました。

私は訓練場に移動する間にライアティナに戦乙女の活動や人々の戦乙女にたいする認識を説明します。


「・・・というわけで、私達の活動は人々に知られてはいけないし、戦乙女として人々に姿を現していいのは聖女の召喚に応じた戦乙女だけなの」


『ふ~ん、じゃあリーネは戦乙女の活動をしながら聖女に呼ばれたら現世に姿を現しているってことかな?それって面倒じゃないかな?』


ライアティナの言うように、戦乙女の活動の合間にディアの召喚に応じるのは手間がかかりますが、私が戦乙女になったのは祐也のそばにいるためであり、ディアの召喚に応じることは初めから決まっていたので面倒と思ったことはありません。


「私が戦乙女になった時からディアの召喚に応じることは決まっていたから面倒と思ったことはないわ」


『まあ、リーネがいいなら私がどうこう言ってもしょうがないかな』


ライアティナの言いたいことはわかりますが、妹のように思っているディアのお願いを断るつもりはありません。


「ライアティナだって親しい相手にお願いされたら断れないでしょ?」


『・・・うん、まあ、それはあるかな』


私の言葉を聞いたライアティナは少し寂しそうにそう答えました。

そんなライアティナを見て私はハッとします。


全てを捨ててでも元の世界から逃げると決断したライアティナにはいろんな葛藤があったことでしょう。

それは当然ながらライアティナとって親しい相手との別れも含まれていたと考えると、私が言ったことはそんなライアティナの気持ちを考えていない発言でした。


「ごめんなさい、ライアティナの気持ちを考えていなかったわ」


私が謝ると、ライアティナは寂しそうな表情を変えずに否定するように顔を横に振りつつ言います。


『ううん、親しかった相手が500年以上前に異世界に送られてしまってからは親しい相手は作ってなかったから大丈夫・・・かな』


ライアティナは親しかった相手との別れが本当に辛かったのだろう。

そうでなければ500年以上も親しい相手を作らないなんてことは普通では考えられません。

ライアティナはきっと、親しい相手が創造神の都合で異世界に送られ、強制的に別れさせられることを恐れて、新たに親しい相手を作ることを止めてしまったのでしょう。


「本当にごめんなさい」


私があらためて謝ると、ライアティナは気持ちを切り替えるように笑顔で言います。


『私に気づかってくれるのは嬉しいし、リーネが謝る必要はないかな。なんか、私って変わり者のダークエルフに縁があるのかな』


ライアティナは笑顔でそう言いますが、それは私が変わり者と言っているのですよね?


確かに私は多少言動に失敗することはありますが、それでも変わり者と言われるほどではないと思いますし、知り合ってまもないライアティナに変わり者と言われるのは納得出来ません。


「私は変わり者と言われるようなことはしていないわよ?」


私がそう反論するとライアティナは笑いながら言います。


『ふふっ、ごめん、変わり者ってのはあくまで私の基準だから』


そう言ったライアティナは変わり者と言った理由を続けて説明してくれます。


『ハーティ様の世界ではダークエルフは基本的に邪悪な存在なんだけど、そんなダークエルフなのに邪悪な考えを持たない変わり者が私の親友だったんだよ』


どうやらライアティナの認識では邪悪ではないダークエルフは変わり者ということのようです。

ハーティ様の世界ではそうだったかもしれませんが、今後はこちらの世界で生きていくのですから、その認識はあらためてもらわないといけません。


「こちらの世界ではダークエルフは邪悪ではないわよ」


『うん、わかってる』


私の言葉を聞いたライアティナはそう答えますが、やはり寂しそうな雰囲気があります。

ライアティナの親友と同じダークエルフというだけの私では代わりにはならないだろうけど、私と一緒にいることで少しは寂しさが紛れるならライアティナといろんな話をしてみてもいいのかもしれません。


「私では代わりにならないだろうけど、話を聞くぐらいなら出来るから、話せることがあったら話してみない?」


『ありがと。ほんと、リーネって変わってるかな』


私の提案を聞いたライアティナは、先ほど私は変わり者ではないと言ったのにもかかわらず変わってると言いました。

ライアティナにとって私はそんなに変わってるように感じるのでしょうか?


「私ってそんなに変わってるように感じるの?」


『ごめん、わかってるつもりだけどダークエルフの認識がなかなか変えられなくてつい言っちゃうかな。でも、変わってるってのは良い意味だから気にしないで』


どうやらライアティナはダークエルフが邪悪という認識が強く、こちらの世界ではダークエルフは邪悪ではないと頭では理解していても、邪悪ではないダークエルフは変わってると思ってしまうみたいです。


「そういうことね。まあ、これから徐々に認識をあらためていけばいいわ」


私がそう話を切り上げると、ライアティナはもじもじしながら言いにくそうにします。


『うん、それでね・・・』


「どうしたの?」


『・・・愛称で呼んでもらっていいかな?』


そういえば、新しい名前になってからはライアティナとしか呼んでいませんでしたが、愛称で呼んでもらうようにお願いするのがそんなに言いにくいのでしょうか?

まあ、ライアティナのことを愛称で呼ぶのはいいとしても、ライアと呼ぶか、ティナと呼ぶかは本人に決めてもらったほうがいいでしょうし、どちらがいいか聞いてみることにします。


「愛称で呼ぶのはいいけど、ライアとティナ、どちらで呼んだらいい?」


私がそう聞くと、ライアティナは恥ずかしそうにしだしました。

サリアティリエルの愛称を決めた時は恥ずかしそうにすることはなかったのに、どうして今回は恥ずかしそうにしてるのでしょう?


『あの・・・アティって呼んでもらってもいい・・・かな?』


私はてっきりライアかティナになると思っていましたが、ライアティナは間を取ってアティと呼ばれたいようです。

そういえば、サリアティリエルでもアティって愛称で呼ぶことも出来るし、もしかしたらライアティナにとってアティって愛称は特別なのかもしれません。


「アティって特別な愛称じゃないの?私が呼んでも大丈夫?」


『リーネに名前をつけてもらった時に思ったんだよ。特別な愛称でアティって呼べる名前なんて普通は思いつかないよ。だからリーネとなら・・・』


ライアティナはそこまで言って口を閉ざしました。


「ライアティナ?」


私が声をかけるとライアティナはあらためて想いを口にします。


『リーネがいいなら、私と親しくして欲しい』


ライアティナは500年前に親友を失い、その辛さから新たに親しい相手は作っていませんでした。

しかし、500年もの間、親しい相手を作らないというのもそれはそれで寂しかったのでしょう。

こちらの世界に逃げてきたことでライアティナは新たな生を得たような状態になり、そこに親友だったダークエルフと同じような私と知り合ったことで親しくなりたいと思ったのかもしれません。


ライアティナの親友だったダークエルフと同じように親しくなれるかはわかりませんが、私を必要としてくれているなら受け入れないなんて選択は出来ません。


「私には差し出された手を払うなんて出来ないわよ。だから、これからよろしく、アティ」


『ありがとう、リーネ』

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