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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
88/113

88.面倒事9

『クエフリーネさん、魔法の練習ってどれくらいしてもいいんですか?』


テラ様が神界に戻られて私と2人だけになってからサリアティリエルがそう聞いてきました。


「お昼までは一時間半ほどありますので、それまでは好きに魔法の練習をしてもらって大丈夫です」


『ありがとう、それでなんだけど、魔法をイメージするのってコツとか無いんですか?』


お昼までの時間を魔法の練習に使ってもいいと言うと、サリアティリエルはお礼とともに魔法をイメージするコツを聞いてきました。


しかし、魔法をイメージするコツと聞かれても、私は魔法を発動させる映像をイメージしてるからコツとかは考えたことがありません。

イメージで魔法を発動させるのが難しいようなので、ひとまず詠唱とキーワードで発動させるように勧めてみます。


「最初は詠唱とキーワードを使って発動してみたらどうですか?」


『私、ライトニングの詠唱なんて知りませんよ?』


ところがサリアティリエルはライトニングの詠唱は知らないと答えました。


(あれ?もしかして詠唱の認識も違う?)


「魔法の詠唱は発現させたい現象を言葉で表現するだけなので決まった文言はありませんよ」


『えっ?詠唱って決まってないの?』


(あっ、やっぱり)


「一般的な現象を発動をするための詠唱は知れ渡っていますが、その詠唱でないと発動しないなんてことはありません。発現させたい現象が文言に含まれていれば言葉が多少違っても発動します」


『詠唱ってそんな適当でいいの?』


適当と言えば適当ですが、詠唱はあくまでもイメージを補うためのものなのでイメージに合った詠唱なら問題ありません。


「まあ適当と言えばそうですね。ですから自分で考えた詠唱でも大丈夫です」


『それじゃあ、魔法って凄い自由じゃないですか?』


「先ほど、テラ様もそう言われてましたよね?」


『そんなに自由だとは思ってませんでした・・・』


サリアティリエルは、魔法は決まった詠唱とキーワードで発動して決まった現象を起こすものって認識していたのでしょうけど、こちらの世界の魔法はそんな概念は無いので同じ魔法に思えないのでしょう。


「例えばライトニングなら『空を走りし稲妻よ、我が手より発しその姿を現せ、ライトニング』」


サリアティリエルに説明しつつ考えた詠唱を唱えてキーワードを発するといつものライトニングが発動しました。


「こんな感じで自分で考えた詠唱でもちゃんと魔法は発動します」


詠唱とキーワードで魔法を発動させるのは初めてでしたが、ちゃんと魔法が発動してくれたので内心ではホッとしています。

自分で考えた詠唱でも発動すると言って、得意げに詠唱したはいいが魔法が発動しませんでした、なんてことにはならずに済みました。


『今のライトニングの詠唱は自分で考えられたんですか?』


「ええ、普段は魔法を発動させる時に詠唱なんてしないので今考えました」


それにしても詠唱してキーワードを発するって、よく考えると結構ハードルが高いです、羞恥心的な意味で。


『じゃあ、今の詠唱を真似て考えたら普通のライトニングになりますか?』


今の詠唱では放電現象を手から現れるようにしただけなので真っ直ぐ飛ばすには文言が足りません。


「う~ん、ライトニングを真っ直ぐ飛ばすには今の詠唱に真っ直ぐ飛ばすための文言を追加する必要がありますね」


そう答えつつライトニングを真っ直ぐ飛ばす文言を考えてみましたが、適当な文言は思いつきませんでした。


『さっきの詠唱に真っ直ぐ飛ばすための文言を追加すれば普通のライトニングになるんですね?じゃあ、ちょっと考えてみます』


私の返答を聞いたサリアティリエルはそう言うと、先ほど私が詠唱した言葉を思い出すようにブツブツと復唱していました。

とりあえず私が提案したように、詠唱して発動させることから練習するようなのでしばらく好きに練習してもらいましょう。


私は魔法の練習をし始めたサリアティリエルの邪魔にならないように、少し離れたところに移動してからライトニングレーザーの練習を始めます。


テラ様が発動されたライトニングレーザーは一瞬の出来事でしたので見たままをイメージすることは出来ません。

ですから、一般的なライトニングをイメージしてからそれを集束させようとしますがなかなか上手くいきません。

ライトニングを集束させようとすると発動しかけた魔法が霧散してしまうので発動することを強く意識すると、集束する前に一般的なライトニングが発動してしまいました。


「やっぱり集束させるのは難しいわ」


ライトニングを集束させることが出来ずに一般的なライトニングとして発動してしまい、集束させることの難しさを実感しているとサリアティリエルが大きな声を上げます。


『ああっ!ちょっとっ!普通のライトニング撃てるんじゃないですか!』


サリアティリエルは私が集束に失敗して発動した一般的なライトニングを見ていたようで、少し不機嫌な様子でそう言いました。

一般的なライトニングを撃つつもりではなかったのですが、サリアティリエルが見たかったライトニングを今更になって私が発動したことに怒っているようです。


「テラ様のライトニングを練習していたら失敗して発動しただけで、一般的なライトニングを発動したのは今のが初めてよ」


『え~?でもテラ様みたいに指先から出してないじゃないですか』


(あっ!そういえばテラ様は人差し指から発動されていたわ!)


私はライトニングを発動するイメージだったので手のひらを突き出すようにしていましたが、サリアティリエルが言うようにテラ様は人差し指を指して発動されていました。

もしかしたら指先に集束させるようにイメージするといいのかもしれません。


「サリアティリエル、ありがとう。発動する時の手の形は気にしていなかったわ」


『えっ?よくわかりませんけど、どういたしまして?』


サリアティリエルはまだ魔法をイメージすることに慣れていなからか、私がお礼を言った理由をあまり理解していないようでした。


『それよりもさっきのライトニングをちゃんと見せてくださいよ』


どうやら私が一般的なライトニングを発動させたのを見て、イメージで発動させることにしたようです。


「わかったわ。じゃあ撃つわよ、ライトニング」


サリアティリエルのお願いを聞いた私はキーワードを発して一般的なライトニングを発動させました。


『あれ?キーワードって必要ないんじゃ?』


「イメージがしっかり出来ているなら必要ないけど、最初は今みたいにキーワードだけでも発したほうが安定すると思うわ」


『なるほど・・・じゃあやってみます』


サリアティリエルはそう言うと、目を閉じてライトニングのイメージをし始めました。

そして数秒後に目を開きキーワードを発します。


『ライトニング!』


サリアティリエルがキーワードを発すると、突き出した右手から一般的なライトニングが発動されました。

私が発動したライトニングを見てイメージが上手く出来たようです。


『やった~!出来ましたよ!』


「後は何度か発動してイメージを固めればキーワードを発しなくても発動出来るようになるわ」


『ありがとうございます、クエフリーネさん!じゃあ、向こうでもう少し練習してます』


そう言って移動したサリアティリエルは、光属性のライトニングを初めて発動させることが出来て凄く嬉しそうでした。

サリアティリエルはまだ魔法の練習を続けるようなので、私もしばらくライトニングを集束させる練習を続けます。


先ほどサリアティリエルに指摘されたように、手のひらではなく人差し指の指先にライトニングを集束させるようにイメージします。

すると指先が光り出し、バチバチと放電現象が起こりました。

先ほどとは違い、僅かに集束しているように感じますが、まだまだイメージとはかけ離れているようなのでもっと魔力を注ぎ込みます。

魔力を注ぎ込むと指先の光が強くなり、放電現象も激しくなっていきますが集束出来ているようには感じません。

注ぎ込む魔力が足りないのかと思い、多めに魔力を注ぎ込むと、指先の光が爆発するようにはじけて四方八方にライトニングが飛びます。


「きゃぁ!」


予想外の出来事におもわず悲鳴をあげてしまいました。


(あぁ~びっくりしたわ!勢いよく魔力を注ぎ過ぎたみたいね)


どうやら魔力を注ぐのが速すぎて集束させるのが追いついていなかったようです。


『凄く光りましたけど大丈夫ですか~』


ライトニングの集束に失敗したのを見ていたサリアティリエルがそう声をかけてきました。


「大丈夫、ちょっとびっくりしただけよ。気にせず練習を続けて」


私はそうサリアティリエルに返して、先ほどと同じようにライトニングを集束させます。

指先から放電現象が現れたら今度は集束させることを意識しながらゆっくり魔力を注ぎ込みます。

すると放電現象はそのままに指先の光が強くなっていきました。


(今度は上手く集束出来ているみたい)


先ほどとは違い、今度は上手く集束出来ていると感じた私は、ライトニング5回分ぐらいの魔力を注ぎ込んだところでキーワードを発します。


「ライトニングレーザー!」


私がキーワードを発すると指先の光が一瞬だけ強くなり、レーザーと呼べる光が発したかと思うと訓練場の魔力障壁に当たって拡散されました。


「やった!成功したわ!」


『わぁ!今の、テラ様のライトニングですよね?』


私が発動したライトニングレーザーを見て、サリアティリエルはそう言いながら近づいてきました。


「ええ、テラ様のライトニングを真似てみました。しかし思った以上に難しいですし、これでは使い物になりません」


『えっ?どうしてですか?さっきのライトニングはテラ様が撃たれたのと威力は変わらないように見えましたよ?』


「今のままでは時間がかかり過ぎです」


私が発動したライトニングレーザーは集束し始めてから発動するまでに5秒ほどかかっています。

さらに、集束する時に放電現象が現れているということは、おそらく集束の効率が悪いのでしょう。

そんなわけで、さっきのライトニングレーザーでは戦闘に使うことは出来ません。


『そっか~自由って言っても魔法はそんな簡単にはいかないんですね』


「そうですね。魔法は自由な発想で現象を起こせますが、そのためには相応の努力が必要です」


私の場合、思いついた魔法を練習するのは楽しく感じるため、努力をしているという意識はありませんが。


『私はとりあえず普通の魔法が使えたらそれでいいです』


どうやらサリアティリエルは、一般的な魔法が使えるようになればひとまず満足のようです。


「それで、ライトニングはどうなりましたか?」


『ふふ~ん、見てて』


私の質問に対してサリアティリエルは自信満々にそう答えると、キーワードを発することなくライトニングを発動してみせました。


『どう?この短時間で出来るようになったよ』


サリアティリエルはこの短時間で今まで使えなかったライトニングを使えるようになって、魔法を覚えることに自信を持ったようです。

私は初めから使えた、なんて空気を読まないことは言わないでおきましょう。


「ちゃんと出来てますね。それじゃあ、そろそろお昼にしますか?」


『そういえば、今日はまだ何も食べてなかったっけ。ライトニングも使えるようになったし、天界を案内してもらっていいですか?』


「わかりました。では食事をしてから案内しますね」


そういうことで私達は訓練場から食堂に向かいました。

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