表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
87/113

87.面倒事8

ダークネスアローをイメージで発動出来て嬉しそうにしていたサリアティリエルが不思議そうな表情になって質問してきます。


『そういえば、クエフリーネさんって魔法の適性はどうなってるんですか?適性があれば初期から使えるダークネスアローを知らなかったんですよね?』


サリアティリエルがしてきた質問は魔法の適性に関してでしたが、私の思っている適性とは微妙に意味合いが違うようです。

適性があれば初期から使えるというのはどういうことでしょう?


「ダークネスアローが初期から使えるとはどういう意味ですか?」


『えっ?ダークネスアローは魔力を制御出来るようになった時点で闇属性の適性があれば使えるようになりますよ?』


(ん?適性があれば勝手に覚えるってこと?)


サリアティリエルの説明では魔力が制御出来るようになればダークネスアローは勝手に覚えると言っているように聞こえます。


「適性があればダークネスアローは勝手に覚えるってことですか?」


『そうですよ?それ以外でどうやって覚えるんですか』


サリアティリエルの認識ではダークネスアローは勝手に覚えるようですが、今さっき私がダークネスアローを覚えたのはどう思っているのでしょう?


「魔法は見て覚えたり、イメージで新しく作り出したりしますよ」


『え~!適性属性の魔法は順番に覚えていくんですよ!』


サリアティリエルはそう言いますが、そもそも適性属性という概念がありません。


こちらの世界の魔法の適性とは、魔法をイメージする力と魔力を制御する力、そして魔力量だけしかありません。

イメージする力も、詠唱とキーワードを唱えることを前提とするならば必要ありませんし、魔法の適性が無い人は魔力の制御が苦手な人か、極端に魔力量が少ない人だけになります。


『こちらの世界の魔法とは私達女神の御業を人々にもある程度使えるようにしたものですので、一般的に広まっている形はありますが実際には決まった形の魔法は存在しません。ですから魔法は覚えようとしない限り自然と覚えることはありません』


サリアティリエルの魔法に対する認識がかなり違うようなのでテラ様はこちらの世界の魔法を説明されました。


『じゃあ、適性属性でも自分で覚えないとダメなんですか?』


『そもそも適性属性という概念がありません』


『うそ・・・』


テラ様の説明を聞いたサリアティリエルはショックを受けたようで小さく呟きました。

まあ、今まで認識していたことが大きく違うと言われたら確かにショックだと思いますが、これからサリアティリエルはこちらの世界で生きていくのですからそこは慣れてもらうしかないでしょう。


『それじゃあ、ダークエルフのクエフリーネさんが光属性の魔法が使えたりするんですか?』


「ライトニングぐらいなら使えますよ」


ハーティ様の世界ではダークエルフは光属性の魔法を使えないのか、サリアティリエルはそんな質問をしてきましたが、光属性でパッと思いついたのがライトニングだったのでそう答えました。


『クエフリーネさんが使えるってことは私も使えるってことですよね?実際に見せてもらってもいいですか?』


サリアティリエルはダークエルフの私がライトニングを使えると言ったのが半信半疑なのか、使って見せてとお願いしてきました。

まあ、ライトニングぐらいなら特別な魔法ってわけでもないので見せても問題ないでしょう。


「いいわよ、今から発動させるからよく見ておいてね」


私はそう答えるとライトニングを発動させました。

私が発動したライトニングは、いつものように突き出した手を起点にしてジグザグに飛びます。


『えっ?ライトニングですよ?』


(ん?ライトニングに見えなかった?)


「今のがライトニングですよ?」


『真っ直ぐ飛んでないじゃないですか!』


真っ直ぐ飛んでないと言われても、私のライトニングは稲光のイメージだからもともと真っ直ぐには飛びません。


「私のライトニングはこれが普通です」


『いやいや、ライトニングって言ったら真っ直ぐ飛ぶでしょ!』


サリアティリエルはさっきテラ様が説明してくださったのをちゃんと聞いてなかったのでしょうか?

魔法には決まった形は無いのでライトニングが必ずしも真っ直ぐ飛ぶ必要はありません。


『真っ直ぐに飛ぶライトニングなら私がお見せしましょうか?』


サリアティリエルとそんなやり取りをしていたらテラ様がライトニングを見せてもいいと言われました。

テラ様が攻撃魔法を使われるのは見たことがないので凄く気になります。


「テラ様、お願いしてもよろしいですか?」


『私も見たいです』


私とサリアティリエルがそう答えるとテラ様はライトニングを見せることを承諾してくださります。


『わかりました。軽く撃ってみますのでよく見ていてくださいね』


テラ様はそう言われると人差し指で的を指して魔法を発動されました。

テラ様が魔法を発動されると人差し指から光が発せられて瞬時に的を貫通し、訓練場の魔力障壁に当たって拡散されました。


テラ様はライトニングと言われていたので魔法の構成自体はライトニングなのでしょうけど、どう見てもレーザーです。

訓練場の魔力障壁で拡散されたのを見てもかなりの威力があったことがわかりますし、テラ様が撃たれたのはもはやライトニングレーザーと呼べると思います。


テラ様のライトニングを見てそんなことを考えつつサリアティリエルを見ると、ポカンとしていて呆気にとられた様子です。


『軽く撃ったつもりでしたが予想よりも威力があったみたいですね。どうでしたか?』


『今の、ライトニング?』


サリアティリエルにはライトニングに見えなかったようで呟きとも質問ともとれるような言葉を口にしました。

そういう私もレーザーにしか見えませんでしたが。


「テラ様、今のはライトニングで間違いないのですよね?」


『リーネまでそんなことを聞きますか。ちゃんと電気を帯びさせた光を集束させて撃っていますからライトニングで間違いないです』


あまりに一瞬の出来事でしたので電気を帯びているかわかりませんでしたが、テラ様はちゃんとライトニングと呼べる魔法を発動されていたようです。


しかし、電気を帯びた光をそのまま撃てば一般的なライトニングとなるのに、どうして集束されてから撃たれたのでしょうか?

電気を帯びた光を集束させるのはイメージが難しそうですし、一般的なライトニングとは難しさが段違いだと思います。


それにしても、テラ様が撃たれたライトニングレーザー(一般的なライトニングと区別するためにこう呼ぶことにしました)はかなり格好いいと思うので後で練習してみようと思います。


『普通のライトニングにしてください!』


そんなことを考えているとサリアティリエルが切れ気味にそう言いました。


私もテラ様が一般的なライトニングを撃たれると思っていたので気持ちはわからなくもないですが、私が撃ったのもテラ様が撃たれたのもライトニングには違いないのです。


『私やリーネの認識では、先ほどそれぞれが発動させたライトニングが普通のライトニングという認識ですので、サリアティリエルさんには早めに魔法の認識をあらためてもらう必要がありますね』


先ほどのライトニングがテラ様にとっては普通ということは、テラ様の中では攻撃魔法は集束させるのが普通なのかもしれません。

それにしても、サリアティリエルは魔法に関して固定概念が強過ぎるのでもう少し柔軟に考えた方がいいでしょう。


「サリアティリエルは魔法をもっと柔軟に考えたほうがいいですね。初めから決まった形で考えると出来ることも出来なくなります」


『そんなこと言われても、前は決まった魔法を覚えるだけだったからしょうがないでしょ!』


『リーネが言っているとおり、魔法は自由な発想で現象を起こせると思っておいてください』


『・・・わかりました』


テラ様にそう言われてサリアティリエルはしぶしぶながら納得したようです。


『とにかく、これで魔法の使い方も確認出来ましたのでサリアティリエルさんの調査を終わりたいと思います。サリアティリエルさんは、この後、リーネに天界を案内してもらってください。リーネもお願いしますね』


魔法の使い方に関してはいろいろとありましたが、無事に調査は終了したようです。

後はサリアティリエルに天界を一通り案内したらとりあえず今回の件は一段落ついたといえるでしょう。


『あの、せっかくなんでもう少し魔法の練習をしていいですか?とりあえず闇属性以外の魔法を使ってみたいんです』


サリアティリエルはとにかく今まで使えなかった魔法を使ってみたいらしく、魔法の練習をしたいとお願いしてきました。


『リーネ、構いませんか?』


サリアティリエルのお願いを聞いたテラ様が私に確認してこられますが、今日はもともと魔物の討伐の予定だったのでこの後の予定はありませんし、後はサリアティリエルに天界を案内するだけなので少しくらい魔法の練習に時間を割いても問題はありません。


「この後は特に予定も無いので問題ありません」


『では、私は神界に戻りますのでサリアティリエルさんのことはお願いしますね』


テラ様はそう言われると神界に戻られました。


この後、サリアティリエルは魔法の練習をすることになりましたが、お昼まではまだ1時間半ほどあるので、サリアティリエルにはその時間で魔法の練習をしてもらって、お昼に食堂で昼食を取ってから天界を案内すればいいでしょう。


せっかくなので、サリアティリエルが魔法の練習をしている時間で私もライトニングレーザーの練習をしてみようと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ