表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
85/113

85.面倒事6

『それでは、次はステータスを出していただけますか?』


『ステータスですか?』


『そうです。ステータスの構成を調査して、こちらの世界でもハーティの世界の魔物を鑑定出来るようにしたいのです』


今回、サリアティリエルのことを調査するに当たって、異世界の魔物を鑑定出来るようにすることは重要な要因でした。


『鑑定は何でされるんですか?』


そう思っているとサリアティリエルは何で鑑定するのかと逆に聞き返してきました。

私にとって鑑定は鑑定スキルでするという認識なので、サリアティリエルが聞いていることの意味がわかりませんでした。


『ハーティの世界では鑑定に種類があるのですか?』


『鑑定は魔眼と呼ばれる特別な目を持っている者しか出来ません。その鑑定も魔眼の種類によって鑑定出来る内容が変わってきます。一般的な鑑定は鑑定眼を持っていれば鑑定出来ますが、力の強い者を鑑定する場合は神眼などの上位の魔眼を持っていないと鑑定出来ません』


サリアティリエルの話では鑑定するには魔眼を持っている必要があり、その魔眼の種類で鑑定出来る内容も変わるそうです。

私はこちらの世界のことしか知りませんし、前世でのファンタジー的なことも知らなかったのでサリアティリエルの言ったことは不思議以外のなにものでもありませんでした。


『なるほど、私が思っているよりも技能は細分化されているようですね。それでは、あらためてステータスをお願い出来ますか?』


『はい、ステータス』


テラ様にそう促されたサリアティリエルはステータスを表示させたようです。


『これはなかなか興味深いですね。サリアティリエルさん、ステータスは正しく表示されていますか?』


『細かいところは覚えてないのでわかりませんが、たぶん大丈夫だと思います』


テラ様はサリアティリエルのステータスを見ておられるようですが、私には見えないのでどう反応していいかわかりません。


『基礎レベルが存在していて身体の能力も全て数値化されているのですね。技能も1つごとに別れていて、なおかつレベルもあるとなると管理はたいへんでしょう』


サリアティリエルのステータスが見えない私のためにか、テラ様はそう感想を言われました。

しかし、ファンタジー的な知識が疎い私にはサリアティリエルのステータスをイメージすることは出来ませんでした。


『ステータスの数値化は必ずしも良いとは思いません。ステータスが数値化されているため、ほとんどの人はステータスの数値を気にして行動します。ですから数値にあらわれない直感力や観察力といった能力が養われないのです。私はステータスの数値化がおこなわれる前から生きていますからステータスを確認することはほとんどありません』


そういえばサリアティリエルは私が奇襲したのを難なく受け止めていました。

私の姿が多少奇異に見えたのもあるとは思いますが、直感力がないと私の奇襲を受け止めるのは難しいと思います。


『おもしろいとは思いますけどステータスの数値化は今のところ考えていませんね。そうですね、リーネに意見を聞いてみましょうか』


意見を聞くと言われてもステータスが見れていない私には意見しようがないです。


「サリアティリエルのステータスは見れないので意見もなにもないです」


『そうでしょうね。ちょっと待っててください・・・はい、一部分ですがこんな感じです』


名前:クエフリーネ

性別:女性

年齢:28歳

種族:ダークエルフ

経験値:3672155/3800000

基礎レベル:237

HP:32597/32597

MP:47617/47617


テラ様がそう言われて空中に映し出されたのは私のステータスを数値化したものでした。

しかし、意見と言われてもHPやMPってなんだろうっていう疑問が先に湧いてきます。


「意見と言われても、そもそもHPやMPがわかりません」


『そういえばリーネはゲームのことはほとんど知らないのでしたね。HPは生命力でこの数値が0になると死亡するということです。MPは魔力で魔法を使うと減っていき数値が0になると魔力枯渇状態になるということです』


テラ様の説明でHPとMPのことは理解は出来ましたが新たな疑問が湧いてきました。


「例えば心臓を一突きにされたらHPが一気に0になるってことですか?」


『厳密な減り方は違いますが概ねそうなります』


どれだけ数値が高くても急所を攻撃されると一気に0になるなら数値化している利点はないように思えます。

MPに関しては魔法の使い方を考え易いとは思いますが、必要かと言われると疑問が残ります。


「正直に言って数値化している利点がわかりません」


『そうなんですよね、ステータスの数値化にはあまり利点が無いと私も思っています。HPに関して言えば、衰弱している時の程度や思わぬケガや病気を見つけ易いというぐらいしかないでしょう』


どうやらテラ様も私と同じように感じておられるようで、ステータスの数値化には否定的です。


『このステータスの数値ってクエフリーネさんの能力を反映されてるんですか?』


私のステータスの数値でなにか気になったのか、サリアティリエルはそんな質問をしてきました。


『ええ、一部分だけですがリーネの能力を数値化しています』


『へぇ~私よりも基礎レベルが高いってことはクエフリーネさんってきっと強いんだね』


サリアティリエルが言ったことが不思議でした。

3000年以上生きているサリアティリエルよりも私のほうが基礎レベルが高いと言うのです。


「私の基礎レベルって高いのですか?」


『人族で英雄と呼ばれる人の基準が100レベルぐらいだからかなり高いです。私の基礎レベルは211なんで種族差を考えてもクエフリーネさんには勝てないかも』


サリアティリエルの話だと私の基礎レベルはかなり高いようですが、基礎レベルを基準に考えてしまっているサリアティリエルは、なんやかんや言ってステータスの数値化の影響を受けていると思います。


「個人の強さにはいろんな要因があるので基礎レベルを基準にして強さを考えていたらダメだと思います」


そう指摘するとサリアティリエルは自分がステータスの数値化に影響されていたことに気づいたようです。


『あっ、そうだね。基礎レベルがあるからどうしてもそれを基準に考えるようになってたみたい』


サリアティリエルは意識していないつもりでも、数値として見れてしまうので気づかぬうちに影響されてしまっていたようです。

そんなやり取りをしているとテラ様が私のことを誇るように言われます。


『リーネには特殊な状況での戦闘をしてもらっていますから戦闘経験は豊富ですし、総合的な強さでは今いる戦乙女達の中で1番だと思います』


確かに隠密活動をするようになってからいろんな状況での戦闘をこなしてきましたが、私が戦乙女の中で1番強いは言い過ぎでしょう。

それに個人の強さなんて戦乙女の活動に影響がなければ1番だろうが10番だろうが関係ないと思います。


「戦乙女の活動に影響がなければ何番でもいいです」


『あら?それは優等生的な発言ですね。リーネは遠近戦闘をともにこなせるからそう思うのですよ』


『近接戦闘に特化してる私からすると魔法以外の遠距離攻撃が出来ないのは結構たいへんなんですよ』


強さの順位なんて気にしていないのでそう言うと、テラ様とサリアティリエルから反論されました。

優等生なつもりはないし、自分の強さを誇示するつもりもなかったのですが、どうやら強さを気にする人にとっては上から言っているように聞こえるみたいです。

それにしても強さってそんなに気になるものでしょうか?


「そんなに個人の強さって気になるのですか?」


『逆になんで気にならないんですか?』


そう思って質問すると、サリアティリエルに質問で返されてしまいました。

なんで気にならないのか聞かれても気にならないからとしか答えようがありません。


『常に戦闘をおこなっている者は、大小の違いはあれど、個人の強さを気にしていない者はほとんどいないと思います。リーネもロカと訓練をしていたら多少は気になりませんか?』


そう言われれば、訓練をし始めた当初はロカに追いつこうと頑張っていたし、ロカぐらいには強くなりたいとも考えていました。

強さの順位はともかく、ロカを目標にして訓練していたのは事実です。

そう考えると私も多少は強さを気にしていたということです。


「今では全然気にしていませんが、あらためて昔のことを考えると、私も多少は強さを気にしていたようです」


『そうでしょう。戦乙女達は自分の強さを気にしていますし、強さにも誇りを持っていますから、リーネが個人の強さを誇っていてもいいのです』


テラ様はそう言われますが強さを誇るってどうすればいいのでしょう?

今までなにかに誇りを持つなんてことがなかったので誇り方がわかりません。


「そう言われますがそもそも誇り方がわかりません」


『ふふ、リーネらしいですね』


私らしいってどういうことなのか気になりますが、テラ様に突っ込んだらやぶ蛇になりそうなので出かかった言葉を飲み込みました。


『ロカって方はさっき話をした空間におられましたよね?クエフリーネさんって女神様と訓練してるんですか?』


そんなやり取りをしているとサリアティリエルがよくわからない質問をしてきました。

さっき話をした空間に女神様達と一緒にロカもいたのでロカのことも女神様だと思ったようです。


『ロカはもう1人の私の眷属ですが今は天使長をしてもらっています。近々、女神になってもらいますから半分正解ですね』


当事者のロカがいないにもかかわらず、女神になってもらうことを教えているあたり、テラ様はサリアティリエルに隠し事はされないつもりなのでしょう。


『そうなんですか、てっきり女神様だと思ってました』


『サリアティリエルさんには後ほどロカも紹介しますが先ずは調査を続けるとしましょう』


そんなわけで微妙に脱線しながらも調査は続くのでした。

作中にステータスの数値化に関して否定的な文章がありますが他者作品を否定する意図はありませんのでご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ