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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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84.面倒事5

異空間での話が終わった女神様達はそれぞれ神界へと戻られ、今から身体と魂を調査されることになったサリアティリエルはテラ様に連れられて天界へと移動し、なぜか私も調査に立ち会うことになりました。


テラ様が私とサリアティリエルを連れて移動された先は訓練場でした。

訓練場でどうやって調査するのだろうと思っているとテラ様に声をかけられます。


『リーネ、どうして訓練場?って顔をしてますよ。サリアティリエルさんはハーティの世界の方ですから力の使い方も調査しておきたいのです』


どうやら考えが顔に出ていたようで、テラ様は訓練場に来た理由を説明してくださいました。


『ここって訓練場な・・・ですか?』


サリアティリエルは私が初めて訓練場に来た時と同じように思ったようです。

まあ、初めて訓練場を見たら普通は闘技場だと思うだろう。


『そうです。闘技場のような建物ですが天使や戦乙女が訓練に使用しますので訓練場としています』


『戦乙女?』


テラ様の説明を聞いたサリアティリエルは戦乙女のことがわからないようで、ポツリと疑問を口にしました。


『戦乙女というのは神の眷属の中でも戦いを中心とした活動をおこなう眷属のことです。そちらのリーネも戦乙女なんですよ』


テラ様はそう説明され、最後は私の方を見て軽い紹介をされました。

どうやら自己紹介するように促されているみたいです。


「テラ様の眷属で戦乙女のクエフリーネです。天界の案内は私がしますのでわからないことは気兼ねなく聞いてください」


『あっ、クエフリーネさんなんだね。うん、改めてよろしくね』


私が名のるとサリアティリエルは知り合いに同じような名前の人でもいたのか、微妙な反応で答えました。


「私の名前に何かありましたか?」


『ごめんなさい、さっきまでリーネって呼ばれていたからリーネルティアとかそんな名前だと思ってたの』


確かに私の愛称から名前を想像するとサリアティリエルが言ったような名前を想像してしまいますが、実際は愛称が名前の後半だったので違和感があったようです。


『リーネはいろいろと特別でしたので名前は私がつけたのですよ。名前の後半が愛称になるのもちゃんと意味があるのです』


(えっ?)


私の名前に意味があるなんて初耳です。

愛称が『りんね』に似た響きになるように名前をつけていただいたと聞いていたので名前に意味があるなんて考えてもいませんでした。


「テラ様、私の名前に意味があるなんて初めて聞きました」


『あら?リーネには教えていませんでしたか?日本のことわざで『名は体を表す』と言うように、名前によって能力に影響があったりするのですよ。クエフリーネのクエフは種族を表していますからダー・・・』


「テラ様!ちょっと待ってください!」


テラ様が考えられたのは、おそらく『ダークエルフのりんね』でダークエルフはクエフ、りんねはリーネになってクエフリーネという名前をつけていただいたと想像出来ました。

テラ様につけていただいた名前だし、名前の響きも良いので気にいってはいますが、名前の意味をあらためて聞かされるとなんだか残念な気持ちになります。


「名前の意味はわかりましたのでそれ以上はおっしゃらなくても大丈夫です」


『そうはいきません。リーネには名前のことをきちんと説明していなかったようですので、あらためて説明しておきます。クエフリーネのクエフはダークエルフを表しています。これは種族的な能力が最大限発揮されることを想定した言葉で日本人で言うところの名字のようなものです。そのクエフに個人を表すリーネを繋げ、1つの名前としてクエフリーネと名づけたのです』


最初に名前のことを聞いた時はそんな適当なと思いましたけど、テラ様はちゃんと考えて私の名前を決めてくださったようです。


『ちょっといいですか?』


テラ様と名前に関してやり取りをしているとサリアティリエルが気まずそうに声をかけてきました。

今はサリアティリエルのことで天界に来ているのに私の名前のことでサリアティリエルを放置してしまっていました。


『ごめんなさい、今はリーネのことよりもサリアティリエルさんのことでしたね』


『いえ、それはいいんですけど、クエフリーネさんって私みたいに違う世界から来られたんですか?』


サリアティリエルの言葉を聞いて一瞬ドキッとしました。

今のやり取りで私が違う世界から来たと思えることがあったようには思えませんが、サリアティリエルには何か感じるところがあったみたいです。


『どうしてそう思われたのですか?』


『だって、私のいた世界では名前に力がともなうことは知られています。こちらの世界も同じように名前に力がともなうのにクエフリーネさんは知らなかったんですよね?だからクエフリーネさんは違う世界から来られたのかな?って思ったんです』


サリアティリエルがそう言うと、テラ様は一度、私の顔を見られました。

私のことを話すかどうかを私の様子を見て考えられたみたいですが、私に決定権があるとは思えませんし大人しくしておきます。


『そうですね、サリアティリエルさんも私の眷属になってもらいますのでお話ししておいてもいいでしょう。リーネは私が作ったもう1つの世界からこちらの世界に来てもらったのです。こちらの世界の安定のために転生という形で来てもらう予定でしたが、いろいろとありまして今は私の眷属として世界の安定に尽力してもらっています』


『そうだったんですか。それでクエフリーネさんは特別なんですね。創造神が直接名づけるなんて普通はありえませんもん』


サリアティリエルに言われて気がつきましたが、確かに創造神であるテラ様に名前をつけていただくなんて凄く特別なことです。

以前に私やロカを特別ひいきにしていると言われていたけど、名前をつけていただいたのは素体をもらった時なので、その頃からひいきにされていたと思うと嬉しいというよりも申し訳ないと感じてしまいます。


『そういったわけで、サリアティリエルさんにも新しい身体と名前を準備するつもりです』


『私なんかがテラ様から名前をいただいてもいいんですか?』


『確かにサリアティリエルさんは特殊な状況ですが、今後、私の眷属として活動していただきますのでこれは必要なことです』


『・・・ありがとうございます』


テラ様はサリアティリエルを自分の眷属とするにあたり、私と同じように特別な扱いをされるようです。


『それでは、あらためてサリアティリエルさんの調査をしたいと思います』


『私はどうすればいいですか?』


『それほど時間はかかりませんのでそちらに立ってじっとしていてください』


テラ様がそう言われるとサリアティリエルを包むように青白い光が現れました。


『わっ!』


『今調査していますから動かないでくださいね』


テラ様は青白い光を見て驚いているサリアティリエルにそう言われました。

どういう原理なのかはわかりませんが、どうやらテラ様は青白い光でサリアティリエルのことを調査されているようです。


『やはりハーティの世界の方ですから身体や魂の構成はこちらの世界とほとんど変わりませんね』


『「えっ?」』


思わず口にした声がサリアティリエルと被ってしまい、お互いに顔を見合わせてしまいます。

サリアティリエルも私と同じように疑問に思ったようですが、状況的に疑問を口にし難いだろうし私が質問することにします。


「テラ様、どういう意味でしょうか?」


『世界の基幹となる人族の構成はハーティと一緒に考えたのですよ。能力の付与方法は違いますけど、大本の形はこちらの世界と同じということです』


テラ様はハーティ様のことを知っておられるとは思っていましたが、今聞いた話だと、ハーティ様とはかなり親密な関係であるように思えます。

ハーティ様との関係は凄く気になりますが、私なんかが聞いていいようにも思えないのでこれ以上の質問はしないほうがいいでしょう。


『これなら魂の一部分を構成し直す・・・いえ、ちゃんと確認しておきましょう。リーネ、構成の違いを確認しますので調査に協力してください』


テラ様は話の途中で何か思い立ったのか、私に協力するように言われました。

私もサリアティリエルと同じように調査されるってことでしょうか?


「えっと、じっとしていたらいいでしょうか?」


『はい、すぐに終わりますのでお願いしますね』


テラ様がそう言われると、私の周りに青白い光が現れました。

なにか感じたりするのかと思いましたが、少し眩しいぐらいで特になにかを感じることはありませんでした。


『はい、大丈夫です。サリアティリエルさんは今の身体をそのまま使われることも可能です。長い時間慣れ親しんだ身体でしょうから、どうされるかはサリアティリエルさんにおまかせします』


『少し、考えさせてもらえますか?』


流石に3000年も生きているサリアティリエルにとって簡単に決められることではないようです。

私だったら前世の身体があっても今の身体に変えるのに躊躇しないような気がします。


『今直ぐに決める必要はありませんし、どちらにしても新しく素体を作る必要がありますので、新しい身体になっていただくのも数ヶ月は先になります』


そういえば真祖の素体を作ることはロカが止めていたから、新しい身体にするにしても素体を作るところから始めないとダメなようです。

ということは、数ヶ月はサリアティリエルのことをみないといけないっていうことです。


『それまでにはちゃんと決めたいと思います』


『お願いしますね。では調査を続けるとしましょう』


まだまだサリアティリエルの調査は続くようでした。

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