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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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83.面倒事4

強制転移で移動してきたところは神界のような白い空間でしたが、私がわからないだけでここは異空間なのでしょう。


その空間にはテラ様をはじめ、ナスハ様、イニティニーニ様、魔物の女神様であるカルティリーナ様がおられました。

そして、近々女神様になるであろうロカもおり、この世界の6柱の女神様のうち4柱の女神様と女神様候補がおられるという凄いことになっています。


ここに私がいることがもの凄く場違いなように感じますが、私が話を聞いたことによって生じた問題なのでここにいないわけにはいきません。

私のそばにいた異世界の女性も女神様に囲まれて萎縮しているように見えます。


『では、お話をすることにしましょう。私がこの世界の創造神、創造の女神テラと申します。あなたのお名前をうかがってもよろしいですか?』


テラ様はそう話し始められ、異世界の女性に名乗るように促します。


『あっ、私はサリアティリエルといいます。これは仮名ではなく真名です』


『正直にお答えくださりありがとうございます。真名を教えていただけたことで、あなたが悪意を持って私達と相対しているわけではないことが証明されました』


テラ様がそう言われると女性は少し安心したような表情で静かに頷きました。


『それではサリアティリエルさんのことからお聞きしたいと思いますので自己紹介をお願いしてもよろしいですか?』


テラ様がそう提案されるとサリアティリエルは自己紹介をし始めます。


『えっと、私はサリアティリエル、種族は吸血鬼の真祖よ・・・です。年齢は3000歳は超えていたと思うけどあまり覚えてな・・・ません。今回、私の眷属がこちらの世界に送り込まれることになったのを見計らって逃げて来ました』


サリアティリエルの自己紹介を聞いたテラ様は、嬉しそうに手を合わせて言われます。


『まあ!真祖の方ですのね。この世界にはまだ真祖の方はおりませんので、是非、いろいろとお話をお聞きしたいと思います♪』


テラ様が嬉しそうにそう言われると、ロカがくぎを差すように言います。


『テラ様、まずは必要なことを聞いてくださいよ』


『わかってますよ、ロカ。それでは、サリアティリエルさん、今回、あなたの眷属がこちらに送り込まれることになった理由を聞いてもよろしいですか?』


『私の眷属がこちらに送り込まれることになったのはハーティ様の気まぐれです。今の私達の世界では、ハーティ様が気まぐれで崩壊因子を持たされ、崩壊因子を持たされた者はこちらの世界に送り込まれることになっています』


サリアティリエルが言ったことは普通に考えるとかなり酷い状況です。

要は、創造神の気まぐれで崩壊因子を持たされて異世界に送られてしまうってことです。


『なるほど、ハーティの気まぐれで崩壊因子を持たされるのは魔物だけですか?』


サリアティリエルの返答を聞いて私は驚きましたが、テラ様は淡々と質問を続けられました。

それにしても異世界の創造神のことを呼び捨てで呼ばれているあたり、テラ様はハーティ様のことを知っておられるようです。


『いいえ、全ての生物に対しておこなわれますが、人族やエルフといった一般的な種族が絶滅寸前なため、実質的に魔物のみとなっています』


(えっ?人族やエルフが絶滅寸前?)


サリアティリエルの言った言葉が衝撃的過ぎました。

サリアティリエルがいた世界は一般的な種族が絶滅寸前だと言うのです。

それはもう、世界が崩壊していると言ってもいいような状況に思えます。


『ハーティの世界はそんな状況になっているのですね。それはどれぐらい前からですか?』


『およそ400年前にハーティ様は異世界に送るための魔物を育てる宣言をされました。それ以降、世界に魔物が溢れるようになり、一般的な種族は徐々にその数を減らしていきました。吸血鬼は一般的な種族がいないと生きていけませんから、私達は密かに人族に紛れ、魔物に対抗していましたが、真祖の私でも手こずるような魔物が多くなり、種族の減少を抑えることが出来なくなっています』


サリアティリエルの話は衝撃的なことが多過ぎてなんとも言えませんでした。

真祖のサリアティリエルが手こずるような魔物ってことは、魔王クラスの魔物が大量にいるってことになるのです。

そんな魔物達がこちらの世界に送り込まれてくると、とんでもないことになってしまいます。


『わかりました。ハーティの世界がそのようなことになっているからサリアティリエルさんはこちらの世界に逃げ来られたということですね。しかし、こちらの世界ではなく、違う世界に逃げることは出来なかったのですか?』


『私程度の力では世界を渡ることは出来ません。ですから、異世界に逃げるためには送り込まれる魔物に紛れるしか方法がありませんでした。私の眷属が送り込まれることを知ってからは元の世界から逃げ出すことを優先したので逃げる先を選んでいる余裕はありませんでした』


サリアティリエルがいた世界は私が思った以上に厳しい状況のようで、逃げ出すことを優先した結果、たまたまこちらの世界に逃げてくることになったようです。


『意図的にこちらの世界に逃げてきたわけではないということですね。わかりました、特例としてサリアティリエルさんがこちらの世界に住まれることを認めても構いませんが、それには2つ条件があります』


テラ様はサリアティリエルが逃げてきたということを真実だと認識されたようですが、やはりこちらの世界に住むための条件は必要とお考えのようです。


『あの、条件とは?』


『1つはサリアティリエルさんの身体と魂を調べさせていただくこと。もう1つは私の眷属となり世界の安定化に協力することです』


テラ様の提示された条件は当然と思える内容でした。


今までも異世界の魔物を生きたまま確保して調査することも考えられてはいましたが、崩壊因子がどれくらい危険な物かがわからないので生きている魔物を調査することは断念されていたのです。

そこへ崩壊因子を持たされていないサリアティリエルが現れたことで、異世界の魔物を調査する機会が出来たのですから当然の考えだと思います。


そんなことを考えていると、サリアティリエルが返答する前にイニティニーニ様が話に割り込んできました。


『テラ様、ちょっといいですか?彼女の身体と魂を調べるのはいいけどもしかしなくても私の仕事が増えるってことになりますよね。ステータスに反映出来るようにするかどうかは別としても最低限鑑定出来るようにする必要があるから私の管理することが増えるんですがそのあたりはどうお考えなのですか?私が寝る間も惜しんで仕事をすることになるなんてことはありませんよね?』


イニティニーニ様はいつもの様に早口でそう言われました。

イニティニーニ様は地球からの転生者を受け入れたことでただでさえ仕事が増えている状況なのに、新たに異世界の魔物のことも管理する必要があるとなると、仕事が多過ぎて手が回らなくなると心配されているようです。


『今回のことはかなり特殊な状況ですので調査及び情報の管理は私がおこないますので安心してください』


『それなら私はもう必要ないですね?それでは仕事も溜まっていることですから先に戻ります』


イニティニーニ様はテラ様の返答を聞くと、そう言われてサッサと戻ってしまわれました。

イニティニーニ様が戻られると、今度はカルティリーナ様がテラ様に提案されます。


『テラ様、彼女の調査及び情報の管理は私がやるよ。魔物の管理の一環みたいなもんだから私でも出来るし、どうせそのうち真祖を増やすんでしょ?』


『素体のこともありますし、サリアティリエルさんには私の眷属になっていただきますので私がおこないます。カルティリーナには真祖を増やす時にお願いしますがそれはロカが女神になってからですね』


『そう?私は結構ヒマだから大丈夫なんだけど、それならテラ様に任せるよ』


カルティリーナ様はサリアティリエルの調査及び情報の管理をすると提案されましたが、状況が特殊なのでテラ様は自分でおこなわれるようです。

それにしても、カルティリーナ様は魔物全般の管理をされているのに結構ヒマというのは意外でした。


『サリアティリエルさん』


『あっはい!』


『先ほどの条件を受け入れられますか?』


『も、もちろん、お受けします。条件つきとはいえ、受け入れていただけたことに感謝します』


死なないために元の世界から逃げてきたサリアティリエルにとって、テラ様が言われた条件を受け入れないという選択肢はありえません。

創造神であるテラ様が受け入れてもいいと言われたということはテラ様の庇護下に入るということです。

自由気ままに生きることは出来ませんが元の世界にいて死を待つよりはまともな生を送ることが出来るでしょう。


『それでは、いずれ私の眷属となっていただきますが今すぐというわけにはいきませんので、サリアティリエルさんにはしばらくは天界で生活していただきましょう』


『テラ様、私は彼女のことをみる余裕はありませんよ』


テラ様の話を聞いていたロカはそう言いきりました。


(あれ?もしかして・・・)


『そうですね、ロカに任せるのも難しいでしょうし、サリアティリエルさんのことはリーネに任せましょうか?リーネ、お願いしますね』


(あ、やっぱり・・・)


テラ様の話を聞いていたロカは、テラ様からサリアティリエルのことを丸投げされる前に牽制していたのです。

ロカの言葉で私も気がつきましたが、ロカが無理なら必然的に私に回ってくるのは当然の流れです。


「わかりました」


私はそう答えることしか出来ませんでした。

本当のところ、サリアティリエルのことをみれる自信はないのですが、テラ様にお願いされて拒否出来る筈がありません。

そんな私をよそに、サリアティリエルは嬉しそうに声をかけてきます。


『出会いは良くなかったけど、これからはよろしくね!』


こうして私はサリアティリエルをみることになりました。

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