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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
80/113

80.面倒事1

私が現世に降臨してから5年ほどが経ちました。

私の部隊はあいかわらず私1人ですが、新たに調査専門の部隊が作られたこともあり、ここ数ヶ月は私の活動も特定された魔物を討伐するだけで済むようになってきました。


異世界から送り込まれてくる魔物も以前より少なくなっているようで、私が頻繁に現世で活動する必要がなくなったことを考えると、世界が安定に向かっているのではないかと思えます。


そんな日々をおくっていたある日、私に応援の要請がきました。

なんでも1週間ほど前に異世界の魔物を討伐しに向かった際に、2体の魔物を発見し、1体は討伐出来たそうですが1体の魔物に逃げられてしまったそうです。


魔物の討伐は昼間におこなわれたのですが、逃げた魔物はコウモリになって逃げたということで、太陽の光に耐性があることから、おそらく吸血鬼の真祖、ないしは神祖ではないかということで、かなりの強敵と予想されるため、4部隊と私の合計21人での作戦となるようです。


討伐に向かった場所が、ガストール王国の南西部にあるカラートの街の近くだったこともあり、逃げた魔物を探してカラートの街を調査したところ、街中で人々になりすます魔物を発見出来たそうです。

しかし、その魔物は夜になるとどこかに姿をくらますため、深夜に秘密裏に討伐するのが難しいということと、私が1人で討伐に向かうのは危険だということで今回の作戦となったようです。


今回の作戦では、昼間に街中で魔物を急襲して街の外に誘導し、街の外に展開している戦乙女で迎え撃つという流れで討伐することになるのですが、街中でその魔物を急襲するのが私の任務になります。


今回の作戦の襲撃者には、街中で行動しても違和感が無いこと、接近戦闘能力が高いこと、そして追跡能力が高いことが求められます。


街中での行動は調査専門の部隊なら誰でも違和感無く行動出来ますが、接近戦闘能力が高い隊員がいません。

また、接近戦闘能力だけで言えば、第1部隊隊長のライラが1番高いのですが、ライラはどちらかというと追跡が苦手なので今回の作戦では襲撃者に適しているとはいえません。

追跡能力に関しては、もともと得意な隊員がいないので私が1番適していると言えます。

そんな理由もあって今回の作戦の襲撃者が私に決まったのです。


今回の作戦をおこなうための事前の調査では、異世界の魔物は薄紫色の髪の女性で、街娘を装ったワンピース姿で行動しており、早朝になると何処から途もなく姿を現すということです。

早朝に姿を現すのが街の西門寄りであることから、夜はカラートの西に広がる魔の森に潜伏していることが考えられます。


それらの情報から、襲撃を受けて逃亡する際は魔の森へと逃げることが予想されるので、カラートの西側の魔の森までの間に部隊を展開することになりました。


昼間は街中で行動しているのに夜は街から離れてどこかに姿を隠していることから、この異世界の魔物は、私達戦乙女が異世界の魔物を討伐していることや、人々に姿を現さないことを知っている節があります。

また、予想される種族が真祖もしくは神祖であるため油断は出来ません。


作戦は明日の早朝に決行されることになり、今からの事前ミーティングに参加部隊が集まります。

参加部隊は第1、第3、第8、第17部隊と私の部隊で、第17部隊のみ後方支援部隊です。


参加部隊が集まるとカティア様が話し始められます。


『今回の作戦は大事なの。今回の魔物は魔王クラス、もしくはそれ以上の可能性もあるので油断禁物なの。特にリーネは単独で接敵するから注意するの』


カティア様がそう言われると集まった者達はそれぞれ真剣な表情で頷きます。

それも当然で、私が知る限り、魔王クラスの魔物はここ数年では見つかっていません。

それが、今回の魔物は魔王クラスよりも強い可能性があるのです。


私達戦乙女は魔王クラスならば対等に戦える力を持っていますが、それ以上となると個人差もあって厳しい者も出てきます。

私達戦乙女は女神様の眷属ですが不死というわけではないので、魔王クラスよりも強い魔物と戦うことは死の危険がつきまとうのです。


今回の作戦はそんな可能性があるのですから真剣になるのは当然なのです。


『それから、今回の作戦では人々のことは気にしないの。人々が襲われた場合はしょうがないけど、魔物の討伐が最優先だから今回は見られてもいいの』


この件は主に私に対して言われているようですが、人々が襲われた時の対処を考えると、私1人では対処しきれないように思いました。


「カティア様、私は守りが苦手で聖域も使えません。もし人々が襲われてしまった場合はどう対処したらよろしいでしょうか?」


私がそう質問するとカティア様はニカっと笑顔で言われます。


『そうなったらたぶんリーネも聖域が使えるようになるから大丈夫なの。そもそもリーネが聖域を使えないのがおかしいの。だから必要に迫られれば使えるの』


そんな不確かなことを言われても困るのですが、カティア様はテラ様が言われない限り、自身の考えを変えられないので、そういうことだと自分を納得させるように返事をします。


「わかりました」


とにかく、魔物討伐を最優先するということで、ある程度は臨機応変に動くしかないようです。


その後は他の隊員達と魔物の誘導や部隊の展開場所などを打ち合わせてミーティングは終了しました。

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