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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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79.いつものやり取り

テラ様に報告した後、すぐにでもロカに相談するつもりでしたが、ロカは女神になるための訓練で忙しく、私は私で裏部隊として活動しており、なかなかお互いに時間がとれずに1週間が経ちました。


そして、今日、やっとロカと話をする時間がとれたのです。


いつものように食堂で待っているとロカがやって来て声をかけてきます。


『ごめん、リーネ、待った?』


「いいえ、私もさっき来たところよ」


『それならいいんだけど。それにしてもひさしぶりに会うよね』


ロカがそう言うのも当然で、前回、ロカと会ったのはディアに呼ばれる日の前日だったので、およそ40日ぶりになるのです。


裏部隊として活動するようになってからは、私が天界にいる時間が少なくなり、必然的にロカと会うことも減って、最近では一月に1度会うかどうかといったところです。


「ええ、そうね。本当ならもっと会って話をしたりしたいんだけど、部隊の活動で天界にいないことも多いから仕方がないわ」


『それに関しては私も申し訳なく思ってるよ。当初の予定ならリーネの部隊も5人体制で活動するはずだったんだけど、戦乙女の中に隠密活動が出来る眷属がいなかったのよ』


私の部隊が新たに作られた時にロカが戦乙女の中から隊員を選出して訓練してくれたのですが、隠密活動が出来るようになった戦乙女がおらず、私の部隊の隊員が増えることがなかったことをロカは気にしているようでした。


「ううん、それはロカのせいじゃないし、それに私が1人で活動するのももう慣れたから気にしないで」


しかし、私の部隊が出来てから3年が経って、1人で活動するのが普通になっているのでロカには気にしないでもらいたかったのです。


『そうは言っても、やっぱりリーネの負担が多いのは気になるよ。テラ様にも眷属を増やしてもらうようには言ってるけど、そう簡単に増やせるものじゃないからね』


どうやらロカは、私の部隊に入れる眷属を増やすためにテラ様に進言してくれてたみたいですが、眷属の人数を考えると10年に1人眷属に出来ればいい方なのでそれも難しいようです。


因みに、眷属の人数は戦乙女が18部隊90人+予備隊員8人+私で99人、天使長が7人、天使が56人で合計で162人になります。


「たとえテラ様でも、そこはなるようにしかならないでしょう?」


『まあ、私の時みたいに勢いで眷属にするわけにはいかないだろうしね』


さすがにテラ様も勢いで眷属を増やすことはされないと思いますが、絶対にされないと言いきれないのが怖いです。

テラ様が『リーネのためですからね』と言って眷属を増やされる可能性はなくはないのです。


「とにかく、私が1人で活動することに今のところ問題はないから大丈夫よ。それよりも今日はロカに相談したいことがあるの」


今日、ロカに話したいことは私の部隊のことではないので話を終わらせて、相談したいことがあると伝えます。


『聖女のことでしょ?』


「まあ、そんなところ。実は1週間ほど前にディアの結婚式があって祝福しに現世に降りたのよ」


『ええ、私もテラ様と一緒に見てたから知ってるよ。派手に降臨して女神様と思われてたよね』


私が話を切り出すとロカはしれっと見ていたと言いました。

テラ様が見ていたのは薄々わかっていましたが、まさかロカも見ていたなんて思っていませんでした。


「どうしてロカも見ていたのよ。ロカは女神になるための訓練で忙しいんじゃなかったの?」


女神になるための訓練で忙しいはずのロカが私のことを見ていた理由を問いただすと、ロカは苦笑いを浮かべながらも説明します。


『テラ様に『私達が人々の前に姿を現すのは初めてのことですから、きっとたのしいことになりますよ。それに現世の様子を見るのも仕事ですからね』って言われたのよ』


ロカは私のことを見ていた理由をそう説明してくれました。

どうやらテラ様は1人でたのしむだけでなく、ロカも巻き込んで私が降臨するのを見ていられたということみたいです。


「もうっ、それならロカもだいたいのことはわかってるんでしょ?」


『まあね、リーネが人々に恋愛の女神と思われてることや聖女とその伴侶に加護を授けたことは見ていたから知ってるよ』


ロカはニヤニヤと意地の悪い笑顔を浮かべながらそう言いました。

ロカにあらためてそう言われ、自分でしたこととはいえ、だんだん恥ずかしくなってきます。


「仕方がないでしょ!降臨する時に敬われるように演出したのはテラ様の指示だったし、加護に関しても、どうやって授けるかなんて知らなかったんだから!」


私は恥ずかしさを隠すように語気を強めてそう言いますが、ロカは私の言葉を受け流すように言いました。


『リーネのことだからなにかやらかすんじゃないかとは思ってたよ』


ロカの中では現世に降臨した私がなにかやらかすことが確定事項だったみたいです。

ひどい言いようですが、戦乙女として召喚に応じた時もやらかしている自覚があったので返答に困ります。

ロカはそんな私に追い打ちをかけるように続けました。


『だってリーネは前からいろいろとやらかしてるから、今回もやらかすだろうなってテラ様も思われていたよ』


テラ様もロカも私のことを天然扱いしているけど、私はいつからそんなキャラになってしまったのだろうと本気で悩みます。

多少やらかしてはいますが天然扱いされるほどではないと思っていただけにショックが大きいです。


「私って、そんなにやらかしてる?」


『回数で言ったらそうでもないと思うけど、リーネの場合、なぜか印象に残ることが多いのよ』


自分では認識していないけど、実際にはやらかしていることがあるのではないかと思い、そう聞いてみますがどうやらそうではないようでした。


「とにかく、私がやらかしたことは置いておいて、相談したいのは称号のことなのよ」


やらかした話を続けると終わりそうにないので、話を切り替えて称号について相談したいと伝えました。


『称号は環境でつくことが多いからね。もしかして恋愛の女神とかの称号がついた?』


「うっ・・・」


するとロカはなにかを察したのか、私についた称号をズバリ言ってきました。

私はロカに言われたことが図星過ぎて言葉が出てきません。

そんな私を見て、ロカはたのしそうに言います。


『その様子だと本当に恋愛の女神って称号がついたみたいね。まあ、あの状況で新たに称号がつくとしたら恋愛の女神ぐらいしかないよ』


ロカにあらためてそう言われ、私は開き直って言います。


「そうよ、恋愛の女神って称号がついて、恥ずかしいし申し訳ないの。それに、テラ様に既成事実を作られている気がするのよ。現世に降臨する時に敬われるように演出してって指示されたけど、テラ様はこうなることがわかってて指示されたんじゃないかって思うわ」


私が一気にそう言うと、ロカは真剣な表情で私の考えに同意するように言います。


『それは確かにあるかもしれない。テラ様は以前からリーネが女神としての力を持てるようにされてる節があるから、称号に関してもその一環なのかも。でも、称号は環境で変化することもあるからそれほど気にしなくてもいいんじゃないかな』


ロカはそう言って称号のことを気にしないように促しますが、私の称号はそう簡単に変わるものではありません。


「人々が私のことを恋愛の女神と思ってるかぎり、称号が変化することはないでしょ?テラ様に称号を消せないか聞いてみたけど、消してもまたすぐにつくって言われたわ」


『あ~それもそうか。でもリーネのは変な称号じゃないからまだいいよ。私なんか原初の戦乙女とか、もう変化しようがない称号もあるし、もっと恥ずかしい称号もついてるからね』


ロカは私の称号のことをフォローするようにそう言いましたが、逆にロカの称号が気になりました。

原初の戦乙女は私の孤高の戦乙女と似た感じで戦乙女になった時についた称号だとわかりますが、ロカが言うもっと恥ずかしい称号が気になって仕方がありません。


「因みに、それはどんな称号なの?」


『恥ずかしいって言ってるのに教えるわけないでしょ。だいたい、恋愛の女神が恥ずかしいなんて贅沢言い過ぎよ』


比較的なんでも話してくれるロカが教えられないってことは、よほど恥ずかしい称号なのでしょう。


「もしかして、ぼっち関係の称号?」


私はなんとなくそう思いました。

私がこの世界に来た時、ロカは天使達との距離感が微妙だと言っていたのを思い出したのです。

しかし、ロカは私の言葉を否定するように言います。


『そ、そんな称号はもうないよ!』


もうないってことは以前はぼっち関係の称号があったということですが、私が親しくするようになってぼっち関係の称号は消えたのかもしれません。


「私のおかげかな?」


私がそう聞くとロカは少し照れたような表情になりました。


『まあ、リーネのおかげなところはあるけど・・・』


めったに見られないロカの照れているところを見て私はニヤニヤが止まりません。


『だ、だけど、私の努力があっての結果よ!』


ロカは照れを隠すようにそう言いました。

そんなロカを見て、私はたのしくなり、つい言ってしまいます。


「わかってる、わかってる」


『ちょっと!リーネ!なにがわかってるのよ!』


ロカは語気を強めて怒るように言いますが、照れ隠しなのがわかっているだけに逆にほっこりしてきます。


「照れ隠しなんてロカもかわいいとこあるのね♪」


『べつに照れてなんかない!』


「はいはい、照れてない照れてない」


『ほんとに照れてないってば!』


「じゃあ、そういうことにしておくわ」


『まったく、なにがそういうことにしておくなのよ』


ロカと話をして称号の件は深く考えないようにしようと思えましたが、結局いつものやり取りになってしまいました。

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