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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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78.新たな称号

天界に戻った私はテラ様に報告するために神界に移動します。

もともとは私個人のことでしたが、テラ様の眷属として現世に降臨したのでテラ様に報告しておく必要がありました。


私が神界に移動するとテラ様が声をかけてくださいました。


『リーネ、お疲れさま。現世の様子はどうでしたか?』


テラ様はそのように現世の様子を聞かれますが、テラ様のことだからきっと見ていられたはずです。


「見ていられたのではないのですか?」


私がそう聞き返すとテラ様は当然のように言われます。


『もちろん見ていましたが、リーネの目から見てどのように感じたかを聞きたいのです。なにしろ、私達が人々を直接祝福するのは初めてですので、当事者のリーネが感じたことを聞いておきたいのです』


「えっ?」


テラ様はそのように言われましたが、祝福に関してはリーア様がおこなわれているはずで、直接祝福するのが初めてなんて初耳でした。


「普段はリーア様が祝福されているのではないのですか?」


『もちろん、普段はリーアが祝福していますが、それは神託を通して祝福していますので今回のように人々を直接祝福することはありません』


私はテラ様の返答を聞いて、やってしまったという思いが湧いてきます。

というか、相談した時に人々を直接祝福してはいないことを教えてくれても良かったのではないでしょうか。

私がそんなことを思っているとテラ様は続けて言われます。


『それにしても、リーネが降臨した時の人々の反応はなかなかたのしかったですよ。やはり、婚儀がおこなわれている大聖堂に降臨すると女神と思われてしまうのでしょうね』


テラ様は私が降臨した時のことをそう言われましたが、『やはり』ってことは、女神様に間違われることは織り込み済みだったということになります。

きっと、私が慌てて訂正するのを見てたのしまれていたのでしょう。


「降臨時にテラ様の眷属と宣言したので女神様に間違われてはいないと思いますが、そんな可能性があるなら事前に教えておいてくださいよ。人々に女神様と思われて凄く焦ったんですからね」


私がそうこたえるとテラ様はたのしそうに笑顔で言われます。


『リーネが焦ったのは見ていてわかりましたし、そんなリーネを見ていてたのしかったですよ』


テラ様はあきらかにイタズラが成功して喜んでおられました。

テラ様は私やロカにちょっとしたイタズラを仕掛けてたのしまれるのですが、イタズラされる私にしてみれば女神様にイタズラされるのですから対応に困ります。


ロカならテラ様にもイタズラにたいする文句を言うのだろうけど、私はそこまで強く文句を言う勇気がありません。

しかし、今回は私だけでなく人々にも影響をおよぼしかねないことだったので本当に止めて欲しかったです。


「人々が勘違いをしてしまったら問題でしょう?」


私はテラ様にそう指摘しますがテラ様は問題がないように言われます。


『人々がリーネのことを女神と勘違いしても問題はありませんよ。そもそも、人々は私達のことをそれほど知らないのですから間違った認識をしていても仕方ないのです。リーネも地球の神のことはそれほど知らないでしょう?』


そう言われると私も地球の神様のことはほとんど知らなかったので、人々が間違った認識をしていても問題ないように思えてきます。


「確かに地球の神様のことはほとんど知りませんでしたけど・・・」


『そうでしょう。だからリーネがそのことを気にする必要はないのです』


私は気にしてるわけじゃなくて女神様に間違われるのが申し訳ないのです。

なにかが出来るわけでもない私のことを女神として敬う人々がいると思うと本当に申し訳なく思います。


「気にしてるわけじゃなくて私のことを敬う人々に申し訳がないんです」


『女神ではなくとも、すでに敬い、信仰している人がいますよね?』


テラ様はあきらかにディアとロインのことを言われていました。

正直なところ、2人にはいろいろと関わっているのでしょうがないと思っているのですが、あらためて指摘されると返答に困ります。


『それに加護も授けているじゃないですか』


そういえば、2人を祝福すると加護を授けることになるかもしれなかったことを思い出します。


「やっぱり、祝福したことによって2人に加護を授けてしまったのですか?」


私がそう質問するとテラ様は不思議そうに言われました。


『リーネは祝福の後に加護を授けていたじゃないですか。それもかなり強い加護を』


「えっ?」


テラ様は驚いている私に追い打ちをかけるように言われます。


『もしかして、天然で加護を授けたのですか?』


天然とは意図しておらず自然な行動で物事を起こしてしまうことを指しますが、天然と言われたこともショックですが、どちらかといえば天然気味のテラ様に天然と言われたのが衝撃的でした。


前世の頃は思っていませんでしたが、確かに自分自身でも天然と思える行動があったことは否めません。

特に戦乙女として現世に召喚されてからは何度もあったように思います。


しかし、祝福の後に言った言葉で加護を授けることになるなんて思ってもいませんでした。

私はただ、2人のことを思って言った言葉でしたが、どうやら強い加護を授けることになったようです。


「私は2人のためにと思って言った言葉で、加護を授けようなんて思っていませんでした」


私がそうこたえるとテラ様は私をフォローするように言われます。


『まあ、リーネらしい加護の授け方でしたし、相手は知った仲ですから問題になることはないでしょう』


意図せずに2人に加護を授けてしまったけど、とりあえずは問題ないみたいなのでホッとしました。


『それで、現世に降臨してみてどうでしたか?』


話がひと段落したことで、テラ様は話を切り替えて、あらためて私の感じたことを聞いてこられましたので、思ったことを正直に話します。


「聖女の婚儀ということもあってか、一般の人々は心から祝福しているように感じましたが、王族や高位貴族は2人を祝福している雰囲気ではなかったですね。祝福しているように笑顔を作ってはいましたがなにかを画策しているように思えました」


私は、そんな彼らを見たからこそ2人に加護となるような言葉をかけたのです。


『権力者とはそういう者がほとんどですからね。私達がもっと世界に干渉することで世界を良い方向に導くことも出来ますが、それでは人々のためになりませんから、この件は人々に委ねるしかないでしょう』


テラ様は私達が干渉すると人々のためにならないと言われますが、私は2人に加護を授け、力を貸すと宣言してしまっています。


「私が2人に力を貸すことは問題ないのでしょうか?」


『人々に委ねるとはいっても全く干渉しないわけではありませんので、リーネが個人単位で干渉する程度は問題ありません』


どうやら私が2人に力を貸す程度のことはおこなっても大丈夫なようです。

自分自身ことだとそれほど心配しないのに、2人のこととなるとなぜか過剰に心配してしまいます。


私がそんなことを思っていると、テラ様はふたたび話題を変えるように質問してこられます。


『ところで、なにか変化はありませんでしたか?』


しかし、突然変化がないかと聞かれて困ってしまい、聞き返してしまいます。


「変化とは?」


私が聞き返すとテラ様は困ったような表情をして言われます。


『リーネは初めて多くの人々に姿を現して加護を授けたのですよ?肉体的な変化は無いと思いますが、精神的な変化や能力の変化はあったのではないですか?』


テラ様にそう説明されると、さきほど考えていたことが変化ではないかと思えました。


「精神的な変化かはわかりませんが、加護を授けた2人のことが心配で仕方がありません」


私の返答を聞いたテラ様は少し考えてから言われます。


『それは精神的な変化ではなく2人を想う純粋な気持ちの表れでしょう。それよりも他にはありませんか?』


私が2人のことを心配しているのは気持ちの表れのようですが、どうもテラ様の質問にはなにか意図があるように思えてなりません。

今のところ肉体的な変化はないようなので後は能力の変化ぐらいしか考えられません。


となると、ステータスを確認するぐらいしか出来ることがないので、ひさしぶりにステータスを確認することにしました。

そしてステータスを確認していき、能力に特に変化はみられないと思っていると、最後の称号が増えていることに気がつきます。


「あっ!」


『どうしました?』


「能力の変化は無いのですが・・・称号が増えてます・・・」


『それはどのような称号ですか?』


正直なところ、この称号を口にするのはかなり恥ずかしいのですがテラ様に聞かれている以上、言わないわけにはいきません。


「恋愛の女神・・・です」


そう、私についていた称号とは【恋愛の女神】という称号だったのです。


恥ずかしいながらも私がそうこたえるとテラ様は嬉しそうに言われます。


『まあ♪それは喜ばしいですね♪おそらく、人々の中にリーネのことを恋愛の女神と思い込んでいる人がいるのでしょう♪』


テラ様はそう言われますが喜ばしい理由がわかりません。

人々の中に私のことを恋愛の女神と思っている人がいることは置いておくとして、私に恋愛の女神という称号がついていることを喜ばしいと言われると疑問が残ります。


以前、ロカが言っていたように、やはりテラ様は既成事実を積み上げて私のことを女神にするつもりなのでは?という想いが募り、なんだか知らないうちに外堀を埋められているのではないかとさえ思ってしまいます。


「称号とはいえ、私が恋愛の女神とは恐れ多いのですが・・・」


『そんなことはありません。リーネに恋愛の女神としての資質がなければ称号として現れることはありませんから、過度に卑屈になる必要はありません』


テラ様はそう言われますが、存外に私は女神様と同等だと言われているようにしか思えませんでした。


「テラ様のお力で称号を消したりは出来ないのですか?」


『出来なくはないですが、称号とは環境などによってつくものですから、リーネの称号を消してもふたたび同じ称号がついてしまいますよ』


称号がなくなれば気にせずに済むと思って聞いてみましたが、どうやら私の称号は人々に恋愛の女神と思われている限り消すことが出来ないようでした。


今回、ディアとロインの婚儀に降臨したことの報告を終えた私は、状況的に自分だけで考えてもどうすることも出来ないので、一度ロカに相談しようと思ったのでした。

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