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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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66.隠密部隊

それから月日は流れ、私が戦乙女の活動に復帰してから半年ほど経ったある日、私はカティア様に呼ばれました。

最近は異世界の魔物の数が減ってきてはいますが、擬装や隠蔽の能力を持った魔物が増えていて発見が難しくなっているので、その対策が決まったのかな?と思いながら神界へ移動します。


私が神界に移動してくるとカティア様が駆け寄ってきました。


『きたきた、リーネは今日から隊長なの』


「へっ?!」


私は驚き過ぎて変な声が出てしまいました。

カティア様に突然今日から隊長と言われても意味がわかりません。

そもそも、戦乙女になって半年ほどの私が隊長になる理由がわからないのです。


「ちょっと、カティア様、ちゃんと説明してください」


『ん~新しい部隊を作ることにしたから、その部隊長がリーネなの』


「いや、新しい部隊を作るのはわかりましたが、どうして私がその部隊の隊長になるのですか?」


『リーネが1番向いてるからなの!』


カティア様は力強くそう言われますが、私が隊長になる理由にはなっていません。

私が1番向いていると言われても、何にたいして向いているのかがわからないのです。


私がどうしようかと悩んでいるとテラ様が来てくれました。


『ごめんなさい、リーネ。突然で驚いたでしょう?』


「はい、カティア様に今日から隊長だと言われて驚きました。出来れば私が新しい部隊の隊長になる理由を教えていただきたいのですが・・・」


『だ・か・ら、リーネが1番向いてるから、な・の!』


『もう、カティア、それではわかりませんよ』


テラ様はカティア様をなだめてからあらためて説明してくれます。


『今回、新たに戦乙女の部隊を作ることになったのですが、この部隊は隠密活動をメインとした部隊になります。リーネも知っているとおり、最近は魔物の数自体は減っていますが、擬装や隠蔽の能力を持った魔物が増えています。その魔物に対応するための部隊を新たに作ることになったのですが、戦乙女達に隠密活動をおこなうことが出来る者は少ないのです。ですから、隠密活動をおこなえるリーネに隊長になってもらいたいのです』


テラ様の説明を聞いて私は納得しました。

私はダークエルフの素体をいただいたこともあって、隠密活動は戦乙女の中では得意なほうになります。

新たな部隊が隠密活動をメインとするならば、隠密活動を得意とする者が隊長になるのは当然の結果です。


「わかりました、そういう理由でしたら私が隊長になるのも納得は出来ます。ただ、私は人の上に立つのが初めてですので誰かにサポートをお願いしたいのですが」


私は前世も含めて人に指示をする立場になったことはありませんでしたので、私のフォローをしてくれる人が必要だと考えました。


『ごめんなさい、リーネ。実はまだ隊員の選出が終わっていないの。それに戦乙女達は隠密活動に馴染みがない者が多いので、選出が終わってもすぐに活動することは出来ないと思います』


「えっ!それじゃあ・・・」


私はテラ様の話を聞いて嫌な予感がします。


『しばらくリーネ1人なの!』


カティア様がなぜか得意げにそう言われましたが、私は嫌な予感が的中してなにも言えませんでした。

しかし、私は1人で隠密活動をおこなえる自信が無いのでなんとか出来ないかと考えます。


「じゃあ、ロカに協力してもらえないですか?」


そこで私は隠密活動が出来るロカに協力してもらえないか提案します。


『ロカには隊員の選出と訓練を担当してもらいますし、ロカからもリーネなら大丈夫と聞いていますので申し訳ないですがしばらくは1人でお願いしたいのです』


(あ、詰んだ・・・)


『装備は以前に準備した黒の装備が有効に使えると思いますのでそちらを使ってください』


テラ様の話を聞いてどうしようもないことがわかった私に、追い討ちをかけるように装備のことを言われました。

黒の装備のことはテラ様からいただいた直後に少し使用しただけで、しばらく使っていなかったのですっかり忘れていました。


私は黒の装備が欲しいみたいなことを口走った当時の私を叱りたい気持ちになりますが、いまさらどうすることも出来ません。

仕方がないので今後の私の活動内容を詳しく聞くことにしました。


「私がしばらく1人で隠密活動をおこなうことは承知しましたが、具体的な内容をうかがってもよろしいですか?」


『今、問題になっているのは街中で人々に紛れている異世界の魔物です。戦乙女達はむやみに人々の目につく行動はおこなえませんので、人々に紛れられてしまうと特定することが困難になります。そこで、リーネには戦乙女であることを隠して街中に入ってもらい、人々に紛れている魔物の特定と可能であれば討伐をしてもらいます』


私はテラ様の説明を聞いてため息が出そうになりました。

街中の魔物を特定するのはいいとして、可能ならば討伐するということは「人に扮している魔物を街中で殺す」ということです。

しかし、人に扮している魔物を街中で堂々と殺すことは出来ませんので、秘密裏に殺す、要は暗殺する必要が出てきます。


「魔物を討伐する場合は、やはり人々に見られないようにする必要がありますか?」


『そうですね、人々に見られてしまうと戦乙女とは知られなくても活動に支障が出てくる可能性もありますので、人々には見られないようにしてください』


私はダメもとで聞いてみましたが、やはり暗殺者紛いのことをしなければならないようでした。


(正しいことをするんだけど、暗殺者みたいなことをすると考えると気が滅入るわ)


私は隠密活動の内容を確認していき、後は私1人で討伐するのが難しい場合にどうするかです。


「私1人で討伐するのが難しい場合はどうしたらいいのでしょうか?」


『リーネ1人で討伐するのが難しい場合は、作戦を考えますので魔物の監視をお願いします』


(魔物の討伐が難しい場合は監視するということは・・・)


「その場合は現世に留まる必要が出て来ますが、そこは問題無いのでしょうか?」


魔物討伐の作戦が決まるまで監視するということは、常に魔物の所在を把握しなければなりません。

そうなれば必然的に現世に留まる必要が出てきますが、戦乙女の私は現世には存在していません。

ダークエルフのクエフリーネという人物は現世には存在しないのです。


『そこは問題ありません。魔物の特定にもある程度の期間が必要だと思いますので、リーネには冒険者の肩書きを準備してあります』


テラ様はそう言われ、見たことのある金色のカードを取り出されました。

それは冒険者ギルドのギルドカードでした。

冒険者ギルドのギルドカードは身分証になるので現世に留まるには都合がいいのですが、金色のカードです。


「テラ様、冒険者の肩書きが必要なのはわかりますが、どうしてA級なのですか?A級だと逆に目立ちませんか?」


『どうしてと言われましても、リーネの実力を考えると最低でもA級になりますよね?』


私の質問を聞いたテラ様は不思議そうに質問で返されました。

私としてはC級ぐらいならば目立たずに活動出来ると思うのですが、テラ様は目立つことを考慮されなかったようです。


『他に聞いておきたいことはありませんか?』


私が隠密活動をすることやその内容は聞いたので特に聞いておくことは思いつきません。


「特にありません」


『ではリーネ、裏部隊としての活動をよろしくお願いします』


テラ様はサラっとそう言われました。


(テラ様、裏部隊ってイメージ悪くないですか?)


『リーネは裏隊長なの!』


こうして私はA級冒険者の肩書きを得るとともに、隠密活動をする裏部隊の隊長になりました。

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