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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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65.カレー

私の経過観察はおよそ1ヶ月間続きましたが、特に問題もみられないとのことで晴れて現場復帰となりました。

経過観察の間はヒマで時間を持て余し、いろいろと料理をしたり、錬金術の勉強をしたりして過ごしました。

もちろん、食堂のメニュー改善もおこないましたので、今ではオークカツの他にも唐揚げやハンバーグといった、ロカが喜びそうな料理を食堂で食べることが出来ます。


このころになると私が料理を教えていたこともあって、エリザリーナさんを苦手に思うこともなくなりました。

そして、今日は新しいメニューを追加するために、エリザリーナさん達に料理を教えることになっています。


その料理とは、カレーです。


私は今までこの世界には調味料が少ないと思っていました。

しかし、テラ様に聞くと、この世界にも地球と同じような植物があることがわかりました。

同じような植物はあるけど香辛料として使われていないだけだったのです。


そこで私は無理を承知でテラ様にお願いしてみたところ『カレーは地球でも人気ですからね』と言われて快く準備していただけました。

そんなわけでカレーを作ることが出来るようになったのです。


私は昨日のうちに一度カレーを作ってみてロカに試食してもらいました。

この世界に普及していない香辛料を多く使うので基準となる味を決めておきたかったのです。


カレーを試食したロカは『おいしいけどちょっと辛いよ』と、ヒーヒー言いながら食べていました。

一応、試作したカレーは辛さを抑えたのですがロカにはちょっと辛く感じたようでした。

だから、今日エリザリーナさん達に教えるのは辛さを抑えた、いわゆる甘口のカレーです。


カレーの準備をして私が食堂にいくと、エリザリーナさん達が待っていました。


「おはようございます、エリザリーナさん」


『おはようございます、クエフリーネさん。今日もよろしくお願いしますわ』


エリザリーナさん達と挨拶をかわした私は、勝手知ったる食堂の厨房に入りカレーの準備をします。

食堂の厨房には料理を教えるために何度も足をはこんでいるので、どこに何があるのかは把握しています。


今回、カレーの作り方を教えると言っても、エリザリーナさん達はもともと料理が出来るので教えることは香辛料のことと手順ぐらいです。


私がカレーの香辛料として準備してもらったのは、ターメリック、クミン、シナモン、カルダモン、ナツメグ、コリアンダー、レッドペッパー、クローブ、ジンジャーの9種類です。

この際なので私がカレーに使う香辛料を全て準備してもらいました。


この9種類に胡椒を加えた10種類の香辛料でカレー粉を作っていきます。

ちなみに、この世界の胡椒は黒胡椒しかありません。

エリザリーナさん達は私が準備した香辛料の数を見て驚いています。


『クエフリーネさん、本日は多くの香辛料を準備されていますが、これを全てご使用になるのですか?』


私が準備した香辛料を見てエリザリーナさんがそう質問してこられました。

エリザリーナさんが疑問に思うのは当然で、これまでは香辛料と言えば胡椒と僅かなハーブしかありませんでした。

それなのに私が10種類も香辛料を準備しているのを見たら疑問に思うのは当然です。


「今日の料理は香辛料がメインと言っても過言ではない料理なのでこれだけの香辛料を使います」


私はカレーのことをそう説明をして、香辛料を粉末状にしていきます。

テラ様に準備していただいた香辛料は粉末にする前の状態だったので粉末にする必要があったからです。


香辛料を1つずつ説明しながら粉末状にしていき、昨日決めた配合になるように分けていきます。

次に配合どおりに分けた香辛料をフライパンで煎っていき香りを出します。


これでカレー粉が完成しました。


「これがカレーの味を決めるカレー粉です。今回は私が配合を決めましたが、香辛料の配合を変えることで香りの強さや辛さを変えることが出来ます」


私はそう説明してエリザリーナさん達にカレー粉を差し出します。


『このカレー粉というのは複雑な香りがしますわ』


エリザリーナさんはカレー粉の香りを確認しながらそう感想を言われました。

カレー粉を確認してもらったので次はコンソメを合わせて味見をしてもらいます。

コンソメは朝のメニューにスープをつける時に教えていたので、今ではあたりまえのように準備されています。


『コンソメと合わせただけなのに口の中にいろいろな香りが広がり、味は複雑で一言では表現出来ませんがおいしいと感じられますわ』


「辛さのほうはどうですか?」


『後から辛みを感じられますが、それほど強い刺激ではありませんので問題無いと思いますわ』


味見をしたエリザリーナさんはそうこたえてくれました。

他の天使達も味に問題はみられないということで、今回試した配合を基本とすることになりました。


香辛料の配合も決まったのでここから本格的にカレーを作っていきます。


大鍋でみじん切りにした玉ねぎとしょうがを炒めていき、玉ねぎが色づいたら細かく刻んだじゃがいもを加えてさらに炒めます。

じゃがいもに火が通ったらコンソメを加えてじゃがいもの形が残らなくなるまで煮込ます。

その後、あらかじめ煮ておいたビッグブルの角切り肉とカレー粉を加えてさらに10分ほど煮込んだら完成です。


「これでカレールウの完成です。カレー粉をあらかじめ作っておけば手順は難しくないのですぐに作れると思います」


『じゃがいもは溶けてしまっていますが、これは必要なのですか?』


「じゃがいもはカレーに甘みをつけるのと、とろみを出すために入れていますが、必ず必要というわけではありません。甘みは蜂蜜を加える方法もありますし、とろみをつけずにサラっとしたカレールウにしても問題ありません」


私が今回作ったカレーはいわゆるビーフカレーにあたるので、形として残る具材はビッグブルの角切り肉だけになるようにしたのです。


カレールウが完成したのであらかじめ準備しておいたライスと白パンを用意して試食してもらいます。


『これは・・・!』


『ライスとも白パンとも合いますね』


『食べれば食べるほど食欲が湧きます』


『もう少し辛くしてもいいかも』


『とにかくおいしいです』


などなど、試食した天使達はおおむね気にいったようでした。


私が今回のカレーも食堂のメニューになるだろうと思っていると、私達が新しい料理を作っているのに気づいた天使達が食べたそうにこちらを見ていました。

食堂内にこれだけカレーの匂いが充満していたら食べたくなるのは当然でしょう。


「エリザリーナさん、作ったカレーを今からみなさんに出してもいいですか?」


『私達だけが食べてみなさんにお出ししないと文句が出そうですから、試食としてお出しすることにいたしますわ。クエフリーネさん、お手数ですがもう一つ大鍋にカレーを作っていただけますか?』


「わかりました。急いで作りますね」


エリザリーナさんは今食堂にいる天使達だけで最初に作ったカレーはなくなると思ったみたいです。

私もエリザリーナさんの考えに同意してカレーを追加で作ること承諾しました。


(カレーの匂いって食欲をそそるからな~)


そんなことを考えながら新たにカレーを作っていきましたが、大鍋2つでは足りずに3つ目を作ることになりました。


こうして食堂のメニューに新しくカレーが追加されました。

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