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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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64.別れ

ヒラリーとディアからあらためてお礼を受けた私は、ヒラリーの案内で祐也達に会うことなりました。

祐也達はラヴェルナ神殿内の一室で待っているとのことです。


ヒラリーに案内された一室には祐也達4人が待っていました。

ガーランド、ロイン、ルイナの3人は魔王討伐に成功したからか、晴れやかな笑顔をしていましたが、祐也だけは相変わらず暗い雰囲気を纏っています。

その部屋にディアに続いて私が入るとガーランド達3人は驚いた表情を見せて固まりました。


(あれ?3人とも私を見て驚いてない?)


私がそんなことを思っているとディアが胸を張って自慢するように言います。


『リーネお姉様です!今日は普段のお姿で来ていただけました!』


ディアがそう言うと3人は納得したような表情になりました。


(えっ?私ってわからなかったの?)


どうやら、3人は以前の装備の印象が強かったようで、この装備を見ても私だとわからなかったみたいです。

私のことに納得した3人は口々にお礼を言ってきます。


『戦乙女様のご協力が無ければ私達はここへ戻ってくることは出来なかったでしょう。本当にありがとうございます』


『よくわからねぇけど、魔王の策を戦乙女様が潰してくれたからなんとかなったぜ』


『戦乙女様がユーヤ様を守ってくれたから魔王討伐は成功したわ。ありがとうね』


私は3人のお礼の後、私が強制送還された後のことを詳しく聞きました。

彼らの話によると、私が強制送還された直後、ディアはショックと魔力枯渇により気絶してしまったという。


魔王は魔神族の召喚に失敗したことで大きく焦り、祐也との対決に参加させようと上位種を集めますが、ルイナの魔法攻撃により大きなダメージを受けて、劣勢だった戦いを覆すことが出来ずに祐也に倒されたとのことでした。


やはり、魔王は魔神族召喚を唯一無二の策としていたようで、祐也達はそれ以降は比較的楽に戦えたようです。


私はそのことを聞いて、あの時に私が取った行動は間違っていなかったと安堵します。

私は魔神族により大きなダメージを受けたけど、結果的に誰一人死ぬこともなく魔王討伐を成功させることが出来たのです。


魔王を倒した祐也達はソドン村で1日休息を取ってからテラリベルに戻って来たということでした。

ロカから聞いていたとおり、テラリベルに戻った祐也達はそれぞれ別れて行動することにしたようです。


祐也はこのまま各地を回り魔物の退治を続けるという。

もちろんルイナも祐也と同行するとのこと。

ガーランドはテルヴィラに戻って冒険者を続けるらしい。

ディアはテラリベルに残り復興のために尽力するそうです。

意外だったのがロインです。

ロインいわく『魔王が討伐されたといっても、まだまだ魔物は多いので聖女様だけでは危険でしょう』ということで、ディアに協力して復興のために力を貸すことにしたみたいです。


ロインはもの静かであまり表情には出さないけど、ディアのことが気になるのかもしれません。

ロインがディアについていてくれるのは心強く思う反面、ディアに呼ばれる機会が少なくなると思うと複雑な気持ちになります。


魔王のことやこれからのことをひととおり聞いた後、祐也が真剣な面持ちで私に声をかけました。


『魔王討伐に協力してくれて感謝してる、君が居なかったら俺は死んでいたかもしれない』


そう言った祐也は、ためらうような仕草を見せた後、言葉を続けます。


『君にこんなことを言うのはお門違いだろうけど、俺は女神を許すことは出来ない』


祐也はそう言って部屋から出ていきました。

私は祐也の言葉を聞いて仕方がないと思います。

祐也は魔王討伐後にもとの世界に戻れることを期待していたのだろう。

勇者召喚が魔王討伐のためにおこなわれることを考えると、魔王討伐後にもとの世界に戻れると思ってもしょうがないのです。


しかし、勇者としてこの世界に召喚された祐也は、すでにもとの世界の存在を消されています。

勇者としてこの世界に召喚された時点で、もとの世界に戻ることは不可能なのです。

そんなことも伝えられずに僅かな希望として思っていたことが、魔王討伐を成功させても叶えられなかったら、たとえ相手が女神様でも怒りがおさまらないのでしょう。


私は今の祐也には心の支えが必要だと思い、ルイナの手を取って話しかけます。


〔ルイナ、聞こえてる?〕


『えっ?戦乙女様、ですか?』


私が話しかけると、ルイナは驚いて聞き返してきました。


〔そうよ。私が今から言うことを良く聞いて〕


私がそう言うとルイナはコクコクと頷きます。


〔今の勇者はこの世界に留まることに絶望している可能性があります。しかし、彼をもとの世界に戻すことは出来ません。だから、あなたが彼の心の支えになってあげて欲しいのです〕


『えっ?でも・・・』


私はルイナに伝えるには心苦しいことを正直に伝えます。


〔彼はもとの世界のことを忘れることはおそらく無いでしょう。だから、あなたもつらい役目になってしまうかもしれません。しかし、今の彼を支えられるのはあなたしかいません〕


ルイナは真剣な表情で私の話を聞いています。


〔だから、彼のことを慕っているあなたにお願いしたいのです〕


『えっ?どうして・・・』


〔私も戦乙女である前に1人の女性です。短い期間でしたがあなた達と同行していて気がつきました。だから、彼のことをお願い出来ますか?〕


私がそう言うとルイナは一度逡巡した後、大きく頷いて言います。


『私がユーヤ様のことを支えてみせます』


ルイナはそう言うと祐也を追って部屋を出ていきました。


祐也のことをルイナに丸投げしたような形になってしまったけど、私には他の方法が思いつきませんでした。

ルイナの気持ちを利用したようで心苦しく思いますが、祐也のことを考えるとルイナの協力は必要です。


(ごめんなさい、ルイナ)


私は心の中でルイナに謝罪しました。


それからしばらく待っていましたが祐也とルイナは戻って来ませんでしたので、ガーランドと別れの挨拶をして私は天界に戻ることにします。

ロインはしばらくはディアと一緒に行動するから、また会うこともあるだろうと考えて今回は別れの挨拶は見送りました。


〔ロイン、ディアのこと、お願いね〕


『はい、戦乙女様』


〔ディア、なにかあったら呼んでくれて良いからね〕


『ありがとうございます、リーネお姉様』


私は2人に軽く挨拶をして天界に戻りました。

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