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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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63.僅かな疑問

私が天界で目を覚ました日から4日後の朝、いつものようにロカが私の様子を見に来ました。


『おはよう、リーネ。身体の調子はどう?』


「おはよう、ロカ。今日も特に問題はないかな」


『そう、じゃあ、今日は聖女に召喚されるからそのつもりでいて』


「えっ?」


ロカから召喚されると言われて驚きました。

今の私は天界で経過観察中なのに、ロカが召喚に応じるように言ってきたからです。


『今日にも祐也さん達がテラリベルに到着するのよ。そこで聖女がラヴェルナ神殿から呼びかけをおこなうことになっているから召喚に応じてあげて欲しいのよ』


ロカはそう言うけど経過観察中の私が召喚に応じて現世に降りる理由がわかりませんし、今の私は戦乙女の鎧が使えないから現世に降りる装備が無いのです。


「ディアのことは気になるけど、現世に降りる装備も無いし、理由もわからないんだけど」


『理由は最後の顔見せみたいなものよ。祐也さん達はテラリベルでそれぞれ別れて行動するみたいだからね。後、装備はテラ様にいただいた装備でいいよ』


ロカの説明で最後の顔見せってことはなんとなく納得出来るが、装備の件は本当にいいのか疑問が残ります。

そもそも、テラ様から私専用の装備を説明していただいた時に、その装備で現世に降りないように言ったのはロカでした。

そのロカが私専用の装備でいいと言っているのに納得出来ません。


「ロカは私が召喚に応じる前は普通の装備じゃないとダメって言ってたよね?どうして今はよくなったの?」


『今回の魔王の件で戦乙女の装備にも多様性を持たせることになったの。だからリーネが専用装備で現世に降りても問題が無くなったのよ』


ロカの説明を聞いて、そういう理由なら納得出来るか、と思っているとロカは続けて言います。


『それにリーネが聖女と仲良くしているから、人々の戦乙女のイメージも少し変わってしまったからね』


ロカは私を見てニヤリとしながらそう言いました。


(あぁ~やっぱりやっちゃってたんだ・・・)


私が気まずくて返答に困っているとロカはさらに続けて言います。


『別に問題があったわけじゃ無いから気にしなくてもいいよ』


ロカの言葉を聞いて、私の行動で問題があったわけでは無いことがわかりほっとしました。


「人々に伝わっている内容がわからなかったから、私がどう対応したらいいかわからなかったのよ」


『そういうわりに聖女にたいしては積極的だったんじゃない?』


ロカは私がディアのことを妹のように思っていることを知っていてそんなふうに言ってきましたが、私は少し恥ずかしくなり建て前の理由を言います。


「ディアは本当に聖女に相応しい女性だから協力してあげたくなったのよ」


『ふふ、まあ、そういうことだから今日は現世に降りて祐也さん達に挨拶してきてね』


私がそう言うとロカは楽しそうに言葉を返してきました。


(それにしても、祐也達とは今日でお別れか。祐也も私のことは忘れてルイナと一緒になればいいのに)


私は祐也のことを考えてそう思ったけど、なぜかしっくりきません。

現世の祐也は私のことに引きずられて苦悩しているから、私のことを忘れてルイナと一緒なるのが1番だと思っているのに気持ちが落ち着かないのです。


私がそんなことを考えているとロカが心配そうに声をかけてきました。


『リーネ、大丈夫?』


「大丈夫よ、ちょっと感慨深いなって思っただけ」


私はモヤモヤする気持ちを棚上げすることにしました。

いくら考えてもモヤモヤする理由がわからないのでこのことは考えないことにしたのです。


『それならいいけど、なにかあったらちゃんと言うのよ』


「わかってるって」


『じゃあ、私は戻るから後はお願いね』


ロカはそう言って戻っていきました。


それからしばらくしてディアから呼びかけがありました。


〔リーネお姉様、私の呼びかけに応じてください〕


私は呼びかけに応じてディアのもとへと跳びました。


* * * * *


私が跳躍して来たところはラヴェルナ神殿の神託の間でした。


『リーネお姉様!ご無事だったのですね!』


私がディアのもとに移動してくると、ディアはそう言って私に抱きついてきました。

そんなディアは目に大粒の涙を浮かべています。


〔ごめんなさい、ディア。ずいぶんと心配させてしまったわね〕


私がそう言うとディアは涙を拭きながらこたえてくれます。


『最初はショックでしたけど、テラ様のご神託をいただいて、リーネお姉様が無事だとお聞きしましたので安心しておりました。ただ、リーネお姉様のお顔を見た途端に気持ちが抑えきれなくなってしまいました』


私はディアの言葉を聞いて嬉しく思いました。

私とディアは戦乙女と聖女という関係ですが、そんな関係が無くても私はディアのことを大切に思っているし、ディアも私のことを大切に思ってくれていることが感じられたからです。


私はディアを抱きしめ返してお礼の言葉を口にします。


〔ありがとう、ディア〕


(私は祐也のそばにいるために戦乙女召喚に応じたけど、ディアの召喚に応じて本当に良かったわ)


私はそんな思いに駆られたが、自分の行動に疑問が浮かびました。


私はどうして祐也のそばにいたかったのだろう、と。


『リーネお姉様、まだお身体の調子が悪いのでしょうか?』


そんな私の様子を見てディアが心配そうに声をかけてきました。


(ディアにこれ以上心配をかけてはダメだわ)


〔大丈夫、ちょっと考えごとをしていただけよ〕


とにかく今はディアのことを考えようと私は気持ちを切り替えます。


『ところでリーネお姉様、いつもとお姿が違うようですが・・・』


ディアは私の装備が以前と違うことに気づいてそう言いましたが、私は装備が違う理由を正直に言うか悩みます。

以前の装備は魔神族の攻撃で破壊されてしまっているが、そのことを正直に伝えるとディアは余計に心配するのではないかと思ったのです。


〔以前は伝手と同じ装備にしていただけで、普段はこちらの装備を使っているのよ〕


私はこの説明なら以前の装備のことは気にならないだろうと考えて、嘘にならないように気をつけつつ説明しました。


『普段はこちらの装備をお使いなのですね。あの・・・たいへんお似合いだと思います』


ディアは照れながらそう言って私の姿を誉めてくれました。


〔ふふ、ありがとう〕


私達がそんなやり取りをしているとヒラリーがやってきます。


『戦乙女様、このたびの魔王討伐にご協力いただき、たいへん感謝しております。戦乙女様のご協力が無ければ魔王討伐は成し得なかったとユーヤ様からもお聞きしておりますので、あらためて感謝の意を表させていただきます』


『戦乙女様、ありがとうございました』


ヒラリーはそう言って大きく頭を下げました。

あらためて私にお礼をしたヒラリーを見て、ディアもあわてて私にたいしてお礼の言葉を口にします。


『リーネお姉様、私の召喚に応じていただき、そして魔王討伐にご協力いただき、ありがとうございます』


私は2人からあらためてお礼を言われて少し照れくさくなりました。

今の私は2人からしたら女神様の眷属で戦乙女だから敬う対象になるのだろうけど、私はもともとはただの一般人だから敬われることに慣れていません。


〔私は戦乙女として使命を果たしただけです〕


だから私はそうこたえることしか出来ませんでした。

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