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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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56.三角関係?

森が開けるところまで移動することにした私達は、倒したオーガをかたずけてから移動を再開します。

因みにオーガは私がストレージに収容することになりました。


移動を再開した私達はさきほどの襲撃が嘘のようになにごともなく進みます。

それからおよそ2時間ほど移動して予定していた夜営場につきました。


『あぁ~さすがに疲れたわ~』


『早いとこ飯の準備をしようぜ』


予定していた夜営場についたことでルイナとガーランドが声をあげます。

そんな中、真剣な表情のロインが提案します。


『当初の予定ではここの夜営場で夜営するつもりでしたが、もう1つ先の夜営場まで進みたいと思っていますがどうでしょうか?』


『ロイン、理由は?』


『ここで夜営をして明日ソドン村に向かうと到着は夕方になります。もし、ソドン村が襲われていた場合、オーガは村に集まっているでしょう。そうなると夕方から戦闘になってしまいます。ですから、今日中に次の夜営場まで移動しておいて、ソドン村には明日の昼頃に到着出来るほうが安全ではないかと考えています』


ロインは次の夜営場まで行く理由をそう言いました。

私はロインの説明を聞いて関心します。

私はダークエルフの種族特性で暗視スキルを持っているので夜間の戦闘も苦にはなりませんが、祐也達は人族なので夕方から戦闘になってしまうと視界の確保が難しくなるからです。


ロインの説明を聞いた祐也達は『なるほど』と納得したようで、私達は次の夜営場まで進むことになりました。


次の夜営場に向けて移動をし始めて1時間もすると日が傾きだし、しばらくすると周りは真っ暗になります。

さすがにこの状態で移動するのは難しいので、ライトの魔法で視界を確保して慎重に進みます。

それから1時間ほど移動してようやく次の夜営場に到着することが出来ました。


祐也達は当初の予定を変更して長く移動したためか、少々顔に疲れが見られます。

明日のことを考えると、早く食事を済ませて休むべきですが、祐也達はこれから食事の準備をしなくてはなりません。

私はそう考えて作り置きのピラフを出すことにします。


〔ディア、ちょっといい?〕


『リーネお姉様、なんでしょうか?』


〔昨日のピラフでよかったらすぐに出せるんだけど、どうする?〕


私がそう聞くと、ディアは少し考えてから言います。


『私は食べてみたいです』


〔じゃあ、祐也達にも聞いてくれる?〕


ディアの返事を聞いて私は祐也達はどうするか聞いてもらいます。


『リーネお姉様がよろしければお願いしたいとのことでした』


(さすがに疲れてるだろうから食事の準備は億劫になるわよね)


〔わかったわ〕


私はそう言うとストレージから5人分のピラフを出していきます。

私が出したピラフをそれぞれ受け取っていく時に祐也が声をかけてきます。


『なんか、いろいろとすまん』


申し訳なさそうに言う祐也の言葉を聞いて、私がどういう反応を返そうかと考えていると、祐也は言葉を続けました。


『それで、できたら米の炊き方を教えて欲しいんだ』


私は祐也の言葉を聞いて気がつきました。

祐也はずっと実家暮らしだったので、おそらく料理をしたことはないのでしょう。

そもそも、前世では炊飯器があるのでお鍋でお米を炊くことは基本的にしません。

そう考えると祐也がお米の炊き方を知らないのは当然でした。


さすがに魔王が行動していると思われる現状で教える時間を取るのは難しいので、魔王討伐が終わったら教えるとディアに伝えてもらいます。

祐也はディアから話を聞いて『ちゃちゃっと教えられないか?』とゴネましたが、魔王討伐を優先してもらうように伝えて納得してもらいました。


お米の件を祐也に納得してもらい安堵しているとルイナから以外な言葉をかけられます。


『もちろん私にも教えてくれるんでしょ?』


(えっ?ルイナってお米に興味なさそうだったのに?)


私がお昼にチーズリゾットを出した時、ルイナは祐也が食べるから祐也に合わせたって感じで、それほどお米に興味があるようには見えませんでした。

私はそんなルイナの態度を見て気がつきます。


(ルイナってそんなそぶりは見せないけど、もしかして祐也のことが好きなのかも)


ルイナは祐也がお米を食べたがっていることを気にして、自分でお米を炊きたいのでしょう。

そう思うと私の心境は複雑です。

私と祐也はそれぞれ想いを寄せてはいますが、現世で祐也と一緒になることは叶いません。

それならば現世の祐也はルイナと一緒になったほうがいいのではないかと思ってしまったのです。


現世では私のことを忘れてしまったほうが祐也のためになるのかもしれない。

私は現世の祐也と関わらないほうがいいのかもしれない。

そう考えると心が締めつけられルイナに嫉妬心がわいてきます。


しかし、今は魔王のことを優先すべきです。

だから私は自分の気持ちを棚上げするように、このことは考えないことにしました。


私はひとまず了承したとルイナに伝えてもらい、今日は天界に戻ることにしました。

私がディアに天界に戻ることを伝えると、ディアは私の顔を見て言います。


『リーネお姉様もずいぶんとお疲れのようですので、しっかりとお休みください』


(そんなに疲れてはいないけど気持ちが顔に出てたみたい。気をつけないとディアを心配させてしまうわ)


〔大丈夫、私は戦乙女だからこれぐらいは全然平気よ〕


私は笑顔でディアにこたえました。


* * * * *


天界に戻った私はお米を炊くために急いで自室に向かいます。

私が自室まで戻ってくるとロカが待っていました。


『おかえり、リーネ。今日はずいぶんと遅かったのね、大丈夫だった?』


「ただいま、ロカ。今日は昼間にオーガの襲撃があってたいへんだったのよ」


『オーガのことじゃないわよ、わかってるでしょ?』


私はロカにそう言われ、今の気持ちを正直に話します。


「大丈夫じゃないかも。正直、もうどうすればいいのかわからないの」


『なにがあったか話してくれるよね?」


ロカにそう聞かれ、私は祐也とルイナのこと、そして自分が思ったことをロカに伝えます。

もう自分で考えても、どうすることも出来なかったのです。

私の話を真剣に聞いていたロカは申し訳なさそうに言います。


『ごめん、リーネ。私にもどうしたらいいかはわからないよ。ただ言えるのは祐也さんを信じてってことかな。祐也さんを信じて出来ることをしていくしかないと思うよ』


(祐也を信じて・・・か。確かにそれしかないわね)


「ありがとう、ロカ。私もロカが言うように祐也を信じるしか出来ないと思う。だから、祐也のことを信じるわ」


『とにかく、なにかあったら私に話して。私じゃ答えは出せないかもしれないけど、話すことで気持ちが落ち着くこともあると思うから、私のことは気にせずにちゃんと話してよ』


私はロカの言葉を聞いて、感謝の気持ちしかありませんでした。


「ええ、ロカ、本当にありがとう」


私はロカがいてくれるから頑張れていることに感謝しました。

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