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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
55/113

55.魔物の襲撃

私がディアのもとへ移動してくると、ちょうど祐也達は出発するところでした。


〔おはよう、ディア〕


『おはようございます、リーネお姉様』


私はディアと朝の挨拶を交わし、昨日と同じように馬車の上に陣取ります。

私は一度天界に戻っていたので、ディアに昨夜のことを確認するが魔物の襲撃は無かったとのことで、昨日のオーガの襲撃は魔王に関係があるかどうかは判断がつかないということでした。


ソドン村に向けて移動を開始した祐也達の旅路は魔物に出合うこともなく順調に進み、予定どおり食事休憩を取ることになりました。


祐也達が食事の準備を終えて食事を取り出したので、私も食事を取ることにしました。

ちなみに今日はチーズリゾットです。

実は昨夜、天界に戻ってから食堂でお米をもらってチーズリゾットを作っておいたのです。


私が食事を取るためにストレージからチーズリゾットを取り出すと視線を感じます。

そこで私が祐也のことを見ると、私と視線が合った祐也は視線を外しました。


(祐也が予想どおりの反応してるわ)


私は小さくほそく笑みます。

昨日の様子から、お米料理を出せば祐也が反応するだろうと思っていたからです。

私は「してやった」と心の中で思いながら祐也にチーズリゾットを差し出しました。

私がチーズリゾットを差し出したのを見て、祐也は嬉しそうに近づいてきます。


『催促したみたいですまん』


私が差し出したチーズリゾットを受け取りながら、祐也は少し照れたようにそう言いました。

そんな祐也を見て、私は少しだけ心が晴れたような気がします。


そんな私と祐也の様子を見ていたディアが少し照れながら声をかけてきます。


『リーネお姉様、私の分はございませんか?』


そう言ってディアがチーズリゾットに興味を示しました。

私はディア以外の視線を感じて、彼らを見ると他の3人も私のほうを見ています。


(祐也だけじゃなくて全員釣れちゃった?)


私はそう思いながら、ディアに理由を尋ねます。


〔ディア、どうして食べたいの?〕


『ユーヤ様が嬉しそうにされているので気になりました』


ディアがそう答えると他の3人も同意するように頷きました。

私はその様子を見て、苦笑いを浮かべながらストレージからチーズリゾットを出していきます。

私が昨夜作ったチーズリゾットは5食分あったのでギリギリ彼らに配ることが出来ました。


私が彼らにチーズリゾットを配ると祐也は大きな声で文句を言います。


『ちょっ、なんでおまえらも食うんだよ!』


『ユーヤ様を見て食べてみたくなりました』


『ユーヤ様だけ食べるのはズルいでしょ?』


『リーネお姉様のお料理ですから!』


『いや、みんな食うみたいだし・・・』


祐也の文句に対して彼らは口々に理由を言いました。


(ディアはさっきと理由が違うし、ガーランドはそんな理由なら食べるな!)


私が少々あきれながらも彼らがチーズリゾットを食べるのを観察していると、チーズリゾットは概ね好評でした。

チーズリゾットを食べ終えた彼らからお礼を言われつつ器とスプーンを回収してると最後に祐也がきます。


『なんか、いろいろとすまん』


バツが悪そうに言った祐也の言葉に、私は笑顔を浮かべて首を横振りました。


そんなこんなで食事を終えて休憩しているとガーランドが祐也達に言います。


『それにしても全然魔物が出ねえな。昨日のはたまたまか?』


ガーランドの疑問にロインが答えます。


『今の時点ではなんとも言えません。ソドン村に向かう街道はこの後、森の間を抜けることになりますので、そこで待ち伏せしている可能性もあります』


『そうね、この後の街道は森が近いからオーガが身を隠すのも難しくないわ』


『どちらにしても魔物の出やすいポイントですから警戒は怠らないようにいたしましょう』


彼らの話だと、どうやらこの後は魔物の出やすいところを通るようです。


移動を再開した勇者パーティーはおよそ1時間ほどで森の間を抜けるポイントに到着しました。

彼らの話どおり、街道から森までは5mほどしかなく、視線も通り難いので待ち伏せに向いているところでした。


そんな街道を警戒しつつ進んでいると私は違和感を感じました。

街道を通っているとはいえ、森がこれだけ近いと小鳥のさえずりや小動物の発する音が聞こえてくるはずが、それらしい音や鳴き声がまったく聞こえないのです。

私がそう思っていると祐也達も異常を感じたようで警戒を強めます。


私達が警戒を強めて慎重に進んでいると、突然、森の中から人の頭ほどの大きさの石が大量に飛んできます。

私はとっさに馬車を中心に円を書くようにエアウォールを発動させました。

森から飛んできた石は私が作り出したエアウォールに次々に弾かれていきます。


(この石の大きさだと普通のエアウォールじゃ防げなかったわ)


突然の奇襲に一瞬慌てた祐也達でしたが、私が作ったエアウォールが石を弾いているのを見て、落ち着いて周囲を警戒します。

そうして飛んでくる石が治まると同時に左右の森からオーガ達がうなり声を上げて襲いかかってきました。


私は急ぎ戦乙女の弓を取り出し接近される前にオーガを射抜いていきますが、いかんせん襲いかかってくるオーガの数が多いので接近を許してしまいます。

馬車の左手ではガーランドとロインがオーガと対峙し、右手は祐也1人でオーガと対峙していて、ディアとルイナは御者台から戦況をうかがっていました。


左手にいるガーランドとロインは4体のオーガと対峙しており、すでに2体ほど倒しているが後続のオーガはまだまだいます。

右手の祐也もルイナの援護を受けながらすでに2体のオーガを倒していますがこちらも後続がいました。

私は接近されていないオーガを射抜きながらも戦況の悪さに焦ります。


(完全に囲まれて物量で押されてるし、このままじゃまずいわ)


私はすでに10体以上のオーガを倒し、祐也達も合わせて11体ほど倒しているが、オーガはまだ30体以上いるようでした。

このまま馬車に接近するオーガが増えるとディアやルイナが危険に晒されます。


〔ディア!私が突撃するから守りを固めて!〕


『は、はい!』


私はそう言うと右後方にいるオーガの集団に向けて戦乙女の槍を物理的に飛ばします。


「槍よ!」


戦乙女の槍を発動後、戦乙女の剣に持ち替え左後方に突撃します。

オーガ達は森の中をかなり密集した状態で接近してきているので、下手に移動するとすぐに囲まれてしまいます。

だから私は空中を蹴り、オーガ達を上から切り倒していきました。

大きく時計回りに移動しながらオーガを倒していき、オーガが密集しているところに向けてもう一度戦乙女の槍を発動します。

これで左手にいるオーガはガーランドとロインが対峙している3体だけになりました。


残りのオーガは2人にまかせて右手に移動してくると、祐也が捌ききれなかったオーガが馬車に接近していました。

私が急ぎオーガに切りかかろうと思っているとルイナの魔法が発動されます。


『アイスジャベリン!』


ルイナが放った魔法がオーガの胸を貫き、接近したオーガは一撃で倒されました。


(やるわね、さすが祐也に同行しているだけはあるわ)


私がそう思っているとルイナはチラリとこちらを見て得意気に笑みを浮かべます。


(あれ?なんか対抗されてる?)


私はルイナの様子を少し疑問に思いながらも、残りのオーガを戦乙女の弓で射抜いていきます。

すると左手のオーガを倒したガーランドとロインが祐也に合流して残ったオーガ達を倒していきます。


(ふぅ、もう大丈夫ね)


私がそう思った瞬間、大きい咆哮を上げて身体が一回り大きいオーガが現れました。


(オーガの動きがずいぶんと統率されていると思ったけど、やっぱり上位種がいたわね)


オーガはけっして頭の悪い魔物ではありませんが、腕力にものをいわせて攻撃してくることがほとんどで、初めの奇襲のような手段をとることは基本的にありません。

また、個々の動きも統率されているような動きをしていたので上位種の存在が疑われたのです。


(しかし、これだけ倒されていたら上位種は逃走することも多いんだけど、この上位種は逃走するそぶりも見せないわ)


そうなのです。

この上位種が現れた時、オーガはすでに3体しか残っていませんでした。

これだけ配下が少なくなっているにもかかわらず、上位種が姿を現すのは普通ではありません。


(やっぱり魔王が上位種を操っていたと考えるのが妥当よね)


私はそんなことを考えながら祐也達の戦いを見守ります。

これだけ数が減っていれば、たとえ上位種がいても祐也達の敵ではなかったからです。


そうこうしているうちに上位種は祐也に倒されます。

私は周囲をうかがいますが魔物の気配は感じられませんでした。


『オーガに囲まれてる時はマジで焦ったぜ。戦乙女様が切り崩してくれなかったらヤバかったかもな』


『ええ、私も襲撃は予想しておりましたが、あれほどの数で襲撃されるとは思いませんでした』


『オーガの動きが統率されていたから上位種がいると思ったわ』


ひと息ついた彼らは口々に感想をのべます。


〔ディア、大丈夫だった?〕


『はい、少しびっくりしましたけど、リーネお姉様のおかげで特にケガもしておりません』


〔よかったわ〕


私はディアが特に攻撃を受けたりしていないのは知っていましたが、激しい戦闘だったので脅えていないか心配で声をかけましたが問題無いようでした。


『ロイン、この襲撃はやっぱ魔王の仕業か?』


『ええ、上位種が逃走するそぶりも見せませんでしたし、魔王が操っていた可能性は高いと思います』


『魔王のこともだけど、ソドン村が心配よ。ここでこれだけの数のオーガを集められるってことはこの先はもっといる可能性があるわよ』


今回の襲撃でこの先にあるソドン村の安否が心配されます。

ソドン村はここからおよそ1日の距離にあり、魔王がオーガを操ってここまで移動していた場合、ソドン村はその進行ルート上にあるのです。


『ひとまず、ここから移動しましょう。今日はこれ以上の襲撃は無いと思いますが、ここは危険なところには違いありませんから森が開けるところまでは移動したいと思います』


ロインがそう提案すると誰一人反対することはなく、私達は街道をこのまま進むことにしました。

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