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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
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48.裏技的解体

翌日、私は昨日の件をロカに相談しました。


「ロカ、現世では戦乙女が聖女を認めるかどうかっていうふうに伝わってたわよ、どうなってるの?」


『前例が一度しか無いから最初に召喚された戦乙女のことをそのまま決りと捉えたんじゃないの』


「じゃあ、人々に関心が無いっていうのもそうなのかな?」


『関心が無いわけじゃなかったと思うけど、なにぶん最初の召喚だから自分の立ち位置もわからなかっただろうし、試行錯誤したんじゃない?』


「人々との距離感とか難しそうだものね」


私は昨日の出来事を思い出しながらこたえます。

現世に召喚されても基本的に会話出来るのは聖女だけで、その他の人々とは会話することが出来ません。

その状態で人々から話してこられても対処に困るのは確実です。

それならば初めから人々に関心が無いと思わせたほうが面倒なことにはならないのです。


『それで、リーネはどうしたの?』


「どうって、私は最初の召喚の時に愛称で呼んでいいって言ってるし認めてるようなものでしょ?だからディアには認めてるから安心してって言ったわよ」


私がそういうとロカは楽しそうな表情で言ってきます。


『ずいぶん彼女のことを気にいってるみたいじゃない?』


「気にいってるというか、ディアは妹みたいな感じなのよ。だからなんとかしてあげようって思ってしまうの」


私の言葉を聞いてロカは笑いながら言います。


『ふふ、本当にリーネお姉様なんだね』


「ロカ、笑いながら言わないでよ、お姉様って呼ばれたからそう思ったわけじゃないわよ!』


私は強く否定するように言いました。


『そういうことにしとくよ』


「なにがそういうことにしておくなのよ、本当にそうなんだからね」


『うんうん、そうよね』


「わかってる、みたいな返事しないでよ」


私達の会話はあいかわらずでした。


「そういえばロカはストレージの中って整理してる?」


『ん?ストレージの中はあまり整理してないかな?急にどうしたの?』


「昨日、ディアが対価を求められていて、私になにか出せないかと思ったんだけどストレージの中は異世界の魔物だらけなのよ。それで探すのを断念したからロカは整理してるのかなって思ったの」


私の話を真剣に聞いていたロカが言います。


『私も似たようなものよ。大昔の魔物がたくさん入ってるから整理する気にならないよ』


「ロカでもそうなんだ。異世界の魔物だけでもなんとかならない?」


私がロカにそういうとロカは少し考えてから言います。


『う~ん、異世界の魔物をなんとかしようと思ったら鑑定出来るようにしないとダメだから難しいんじゃないかな』


「イニティニーニ様の仕事が増えてしまうのね。それじゃあ、たしかに難しいわ」


私はロカの言葉を聞いてイニティニーニ様の仕事が増えることに気づきました。

異世界の魔物を鑑定出来るようにするにはそれだけのデータをあらたに構築する必要があるからです。


『とりあえずストレージを整理してみたら?この際だから私も整理するよ』


「ええ、そうするわ」


私達はそう言ってストレージの中を整理することにしました。

私がストレージの整理をしてるといろんな物が出てくるので、ひとまず異世界の魔物は1つのフォルダーにまとめて、それ以外を整理していきます。

武器や防具も戦乙女に関する物は別のフォルダーにまとめていきます。

そうこうしていると解体していない魔物の死体だけが残りました。


「ロカ、魔物の死体ってどうしてる?」


『異世界の魔物とは別でひとまとめしてるよ』


「でも使える素材とかがあるでしょ?」


『そうだけどいちいち解体してられないから必要になるまで放置かな』


「ストレージの中で解体出来れば・・・」


私はロカの言葉を聞いてそう思いました。

ストレージの中で解体出来れば身体を汚すこともなく速く解体出来るんじゃないかと思ったのです。

私がそんなことを考えて悩んでいるとロカが声をかけてきます。


『リーネ?どうかした?』


「・・・」


『リーネ?』


ストレージの中で解体する方法を考えていた私は、解体する方法を思いついて声をあげます。


「そうだわ、時空魔法を使えば解体出来るかも」


『リーネ?また変な魔法を作るつもりじゃないでしょうね?』


「変な魔法って人聞きが悪いわね。大丈夫よ、時空庫とストレージを組み合わせるだけだから」


『イニティニーニ様が怒られるようなことはやめてよ』


ロカは以前イニティニーニ様に怒られたのを思いだしたのか、そんなふうに言いました。


「大丈夫、ちょっと待ってて」


私はロカにそういうとストレージと時空庫を開き、ストレージから直接時空庫にオークを移動させます。


「うん、ストレージと時空庫で直接移動は出来るからたぶん出来るはず」


『リーネ?』


「ごめん、もうちょっと」


私そう言って次は時空庫からオークの睾丸だけをストレージに入れるイメージをします。

するとストレージに睾丸だけが増えて時空庫にはオークが残りました。


「よし」


私は時空庫のオークを部位ごとにイメージしてストレージに移動させていくと、ストレージに入った時にはきちんと解体された部位になってしまわれていました。


「ロカ、うまくいったわ、今、ストレージと時空庫を使ってオークを1体解体出来たわよ」


私がそういうとロカは聞き返してきます。


『えっ?今解体してたの?』


「理屈は単純よ。ストレージや時空庫は中から物を出す時って物のイメージで出すでしょ。物の入った袋を中身ごと出すことも出来るし、袋の中身だけを出すことも出来るでしょ?」


『ええ』


ロカは少し不思議そうな表情で返事をしました。

私はさらに説明を続けます。


「だから時空庫のオークを部位ごとにイメージしてストレージに移動させたのよ。外に出ている状態から部位ごとにストレージに入れることは出来ないけど、時空庫の中からなら部位ごとに移動させることが出来たの」


『・・・』


「ロカ?」


ロカの反応がおかしいので私は声をかけました。

ちゃんとロカにわかるように説明したつもりですがロカの反応が無かったからです。


『本当にリーネって変なことを思いつくよね?』


するとロカは私の思いつきに対してあきれたように言いました。

そう言われた私はそれに対して反論します。


「べつに変じゃないでしょ?倉庫から倉庫に移動させてるようなものだし」


『時空庫からストレージに直接移動させるのはまあいいとして、時空庫から部位ごとに移動させるって発想が変よ』


「えっ~?変じゃないわよ」


『いや、絶対に変だから』


「じゃあロカは使わないのね?」


『使わないとは言ってないでしょ』


「もうっ、私のことを変だって言っておきながら使うんだから」


私が少しおこりながら言うとロカが言いました。


『それとこれとは別なのよ』


私はあきらめてストレージの魔物の死体を次々に時空庫に移動させ、解体したことのある魔物をストレージに解体しながら移動させます。


『へぇ~本当に解体出来るんだ』


ロカも試したようでそんなふうにつぶやきました。

私は黙々と解体を続け、最後にワイバーンとアースドラゴンが残ります。

どちらも亜竜と呼ばれるドラゴンとは少し劣る魔物で、私が魔の森で実地訓練をしている時に倒した魔物でした。


「ロカ、ワイバーンとアースドラゴンの解体ってどうするの?」


私はワイバーンとアースドラゴンの解体はしたことが無かったので、ロカに解体方法を聞くと大まかに教えてくれます。


『ワイバーンは眼球、角、牙、爪、尾の毒針を取って翼を落とす、後は腹から内臓を取って皮を剥いでいく。内臓と肉は食用になるから内臓は部位ごとに、肉は筋肉の筋にそって切り分けていけばいいよ』


「ウロコは取らないの?」


『ウロコは皮につけたまま加工することもあるから皮につけたままにしておくのが一般的かな』


「ふ~ん、ありがとう」


私はロカに大まかな解体方法を聞きワイバーンを解体していきます。

私の解体スキルもそれなりに上がっているのでそれほど苦労せずに解体することが出来ました。

私がワイバーンの解体を終わらせてもロカはまだストレージの中を整理しているようです。


「ロカ、まだストレージに魔物の死体が入ってるの?」


『今で半分ってところかな?思った以上に入ってたよ』


私は少しあきれましたが、ロカが眷属になってからの年月を考えるともしかしたら少ないのかもしれません。


「ロカ、悪いけどアースドラゴンも教えて」


『アースドラゴンは簡単よ。牙と爪を取って皮を剥ぐだけよ。肉は固くて食べれないから処分ね』


「肉が食べれないとほとんど捨てることになるわね」


『アースドラゴンは皮の値うちが高いからけっこうお金になるのよ』


「そういえば腹以外は剣が通らなくて苦労したわ」


私はアースドラゴンを倒した時のことを思い出してそうつぶやきます。


『普通の剣じゃアースドラゴンのウロコと皮は貫けないからね』


私はロカの言葉を聞いて疑問がわきました。


「ロカ、私が戦った時ってテラ様にもらった普通の剣だったわよ?」


『そうだった?』


私がそう言うとロカはあさっての方向を見て言いました。


「ロカ、どうしてそんな方向を見てるのかな?」


『ストレージの整理がまだ終わってないからよ』


「私のほうを見てても出来るでしょ?」


『いや、上を見てるほうがやりやすいかな』


「ふ~ん、そうなのね」


『そう、そうよ』


「ふ~ん」


私はテラ様にもらった剣を取り出しアースドラゴンの背におもいっきり斬りつけます。

私が斬りつけたアースドラゴンは私の剣を見事に受け止めていました。


「本当ね、普通の剣じゃ、今の私でも斬れないわ」


『そ、そうでしょ』


「ロカの剣は斬撃強化の特性がついていたんだっけ?私は普通の剣で、普通の剣で、普通の剣」


『リーネ?ちょっと怖いんだけど・・・』


「どうして?ロカは私のなにが怖いのかな~?」


『ごめんって、あやまるから』


「ロカ、どうしてあやまるの~?」


『いや、だから、本当にごめんなさい』


ロカが気まずそうな表情でそう言ってきたので、私はため息をついてから言います。


「はぁ、ロカ、今更だから怒らないけど、ごまかそうとしないで。ロカの悪い癖よ」


『本当にごめん、あの頃はリーネの反応がたのしくてちょっとイタズラしちゃってたのよ』


「ほんとにもう、じゃあ、私はアースドラゴンを解体するからロカも整理を続けて」


私はそう言ってアースドラゴンを解体します。

アースドラゴンの解体はロカの言うとおりでやることが少なくて簡単でした。


「とりあえずこれでストレージの中がスッキリしたわ。ロカはどう?」


『ええ、私もだいたい整理出来たよ』


「そういえばワイバーンとアースドラゴンのウロコってどれくらいの値段がつくの?」


『ワイバーンがウロコ1枚で金貨3枚、アースドラゴンがウロコ1で金貨2枚ってところかな?』


私はロカが言った金額が思っていたよりも高くて少し驚きます。


「へぇ~じゃあ、ワイバーン1体でもけっこうな金額になるわね」


『それがそうでもないのよ』


「えっ?どうして?」


『ウロコは基本的に綺麗な状態じゃないと価値が10分の1になるし、普通はパーティーで討伐するから1人当たりの金額はそれほど高くならないのよ』


「ふ~ん、パーティーで討伐するワイバーンを私1人で倒させたのね」


私が無表情でそう言うとロカがあわてて言います。


『あっ!いや、私達は眷属だから・・・』


「ロカ、ごまかそうとしないの!」


『・・・ごめんなさい』


「もういいわよ、ロカは親しいからイタズラをするって前向きに考えるから」


『ありがとう、リーネ』


「なんだかんだ言ってもロカと一緒だとたのしいからね」


私は笑顔でそう言うとロカはお礼を言います。


『ふふ、ありがとう』


「じゃあ、ワイバーンのウロコを10枚ほど金貨に替えてくれない?」


私はある程度の価値があるワイバーンのウロコをロカに金貨に替えてもらうことにしました。


『べつにワイバーンのウロコを出さなくても金貨30枚ぐらいなら渡すよ?』


「気分的にモヤっとするからそこはちゃんとしておくわ」


『そう?じゃあ受け取っておくよ』


そう言ってロカにワイバーンのウロコを金貨に替えてもらいました。

これで現世でお金が必要になってもなんとか出来そうです。

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