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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第一章 異世界転生する為に
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4.問題発覚

『では只今からどういった転生を希望するかを決めていただきます。内容を決めるにあたり、サポートとして天使をおつけしますので相談や確認がありましたら遠慮せずにお聞きください』


テラ様がそう言われると、どこからともなく天使達が現れてそれぞれ転生者の前までやってきます。

私の前にやって来たのはペプロスという古代ギリシャの衣装を着た、金髪で青い目のいかにも天使って容姿の女性でした。


『岡崎燐子さんですね?今回の転生で担当になりました天使長のロカといいます、よろしくお願いします。天使長ですが気軽に『ロカ』と呼んでください』


彼女、ロカはそう名乗り、気軽に名前で呼ぶように言うので、私もロカにならい名前で呼んでもらう事にしました。


「あっはい、岡崎燐子です。私も『りんね』でいいです、よろしくお願いします」


『分かりました、それではりんねと呼ばしてもらいますね。りんね、まずはカルマポイントをどのように使用するか決めていきましょうか』


ロカはそう言うとにこやか微笑みます。


(いや、そう笑顔で話されても、私のカルマポイントはマイナスなんですよ・・・)


いかにも天使って感じの笑顔でカルマポイントの使い方を決めると言われても、私のカルマポイントはマイナスになってるので返答に困ります。


『どうされました?』


「あの・・・私のポイントはマイナス・・・」


『えっ?』


「私、カルマポイントがマイナスなんです・・・」


なんとかカルマポイントがマイナスな事を伝えると、ロカは驚いたように聞き返してきました。


『え?いったいいくつマイナスなんですか?』


「マイナス7239です・・・」


『マイナス7239ポイントなんて殺人でも犯さないとなりませんよ?』


私のカルマポイントはよほどのマイナスらしく、殺人を犯すぐらいしないと私のマイナスにはならないみたいです。

しかし、そう言われると思い当たる理由がありました。


「私、自殺しちゃったから・・・ですかね?」


そう、私は殺人を犯したりはしてないけど、自殺してるので、殺人と同じようにカルマポイントがマイナスになったのでは?と思ったのです。


『あ~確かに自殺なら『自分を殺した』として殺人と同じようにマイナスポイントが加算されますが・・・そもそも今回の転生で自殺者はいないはずでしたよ?』


(えっ?でも私は自殺して死んでるはず?)


ロカは自殺に関しては同意するように説明してくれますが、今回の転生には自殺者はいないはずだと疑問を口にしました。

そう言われても、カルマポイントがマイナスになってるんだから私が自殺してるのは間違いないと思います。


『ちょっとテラ様に確認しますね』


ロカはそう言うとテラ様のところに向かい説明し始めたようでした。

その後、2人して難しい顔になりながら私のところにやって来られると、テラ様が詳しい話をしてくださりました。


『今回転生予定の岡崎燐子さんは電車に飛び込み自殺されていました。ですが本来ですと『他者に押されて電車に引かれ亡くなる』はずでした』


「えっ?本来は自殺じゃなくて他者によって死ぬはずだった?」


私が自殺したのは間違いないようだけど、本来なら他者が原因で死ぬはずだったみたいです。

どちらにしても私が死ぬことは決まってたみたいで、なんともいえない気分になります。


『えぇ、そうです。今回の件は岡崎燐子さんが『谷澤祐也さんの記憶を有していた』のが原因と言えるでしょう』


詳しい話を聞いて困惑してると、テラ様は私が予定外に自殺してしまった原因をそう言われました。

しかし、私が祐也の事を覚えてたのが原因と言われても意味が分かりませんし、それよりも祐也がどうなってるのかが気になってしょうがないです。


「そうだ、祐也の事を教えてくれるんでしょう?」


『はい。谷澤祐也さんはこの世界に勇者として召喚されました』


「はぁ?」


祐也が勇者として召喚されたと言われても意味が分かりません。

説明されても意味が理解出来ずに混乱してるとテラ様は続けて言われました。


『異世界へ召喚された場合、世界の辻妻を合わせるために記憶の消去や環境の整理をおこない『初めから存在していない』事になります。本来ですと岡崎燐子さんも谷澤祐也さんの記憶が失われているはずでした』


テラ様の説明を聞いて誰も祐也の事を覚えていなかった理由が分かりました。

どういう理由でかは分からないけど、祐也は勇者としてこの世界に召喚されたために地球での存在が消されたのです。

そして、本来なら私も祐也の事を忘れてしまうはずだったみたいです。


「でも私は覚えていたよ。祐也の事、忘れなかった」


『ええ、それはおそらく称号のせいでしょうね。岡崎燐子さんがお持ちの《愛を求めし者》は想いを寄せる異性との記憶を留める恩恵があります』


本来なら私も祐也の事は記憶から消されてるはずだけど、私が持ってた称号のおかげで祐也の事を忘れずに済んだみたいです。


「じゃあ、その称号で祐也の事を忘れずにすんだんだ。祐也がこの世界にいるなら今回の転生でまた祐也に会えるようになるよね?」


私はこの世界に転生する事になってるんだから、転生後に祐也と再会出来ると期待が膨らみます。


『・・・ごめんなさい』


しかし、そんな私に対するテラ様の返答は謝罪でした。


「えっ、なんで?・・・」


テラ様に予期しない返答をされて私は困惑します。


『カルマポイントがマイナスのままでは転生する事は出来ません・・・魂の浄化をおこなうと全ての記憶はなくなります。称号を持っていても浄化により全てが消去されます』


今更そんな事を言われても受け入れられるはずがありません。

やっと祐也を見つけることが出来たのに、私は転生出来ないなんて納得出来るわけがないです。

私が自殺してしまったのが予定外ならなにかフォローしてくれてもいいんじゃないですか。


「なんか方法はないの?神様でしょ?どうにかしてよ・・・」


『創造神でも一度決めた世界のルールを破ると世界に悪影響が出ます。こちらの世界はまだ安定していないので崩壊に繋がる恐れもあります。ですからカルマポイントを精算してマイナスをなくしていただくしか方法はありません』


私はそう懇願しますがテラ様の返答は正規の方法でカルマポイントを精算するしかないと言われました。


しかし、私のカルマポイントはかなりのマイナスらしいので、正直、一生かかってやっとマイナスがなくなるのではないかとしか思えません。

一生かかるって事は結局は祐也に会えないって事です。


そんな意味のない事をするぐらいなら記憶も何もかも消してくれたほうがマシに思え、私は悪態をつくようにわめきました。


「カルマポイントの精算ってどれだけかかるのよ!結局は祐也に会えないって事じゃないの!それなら魂の浄化をしてまっさらな状態で転生したほうがマシよ!」


私が感情的に言った事を聞いてもテラ様は私を諭すように言われました。


『今回の転生には大きな意味があります。皆さんが今世での記憶を保持した状態で転生していただく事が重要なのです。世界を安定させる事にどうかご協力ください』


薄々分かってたけど記憶を残して転生する事に意味があるみたいで、テラ様は協力してくれるようにお願いされますが、私は祐也がいない世界で生きていける自信がないです。


「そんな事言ったって祐也に会えないなら・・・私また自殺しちゃいますよ・・・」


祐也が消えて天涯孤独になった私は自殺してしまったんだから、カルマポイントを精算してあらためて転生しても、祐也に会えないもどかしさからまた自殺してしまうのが目に見えていました。


『一つだけ方法があります』


「えっ?」


それまで一言も発せずになりゆきを見守ってたロカが神妙な面持ちでつぶやき、そしてその方法を話し始めました。


『カルマポイントを精算するには神の眷属となり善行をおこなうしかありません。期間はおよそ100年はかかるでしょう。逆に考えれば祐也さんが生涯を全うされ新たに転生された頃と言えます。祐也さんに記憶やスキルを保持して転生してもらえば来世で祐也さんと一緒になる事も可能かもしれません』


ロカは祐也と一緒になれる方法をそう説明しました。


『やっぱりそれしか方法はありませんね。実際に谷澤祐也さんに転生していただいても、必ず出会えるとは言えませんが一緒にいられる方法はそれしかありません』


そしてテラ様もそう同意され、祐也と一緒になれる方法はそれしかないと断言されました。


やはり私がカルマポイントを精算するには多大な時間がかかるようで、ロカの推測では100年ぐらいかかるようでした。

そして、私が転生出来る頃には祐也は新たに転生しているという事みたいです。


しかし、カルマポイントの精算のための100年がとてつもなく長く思えて、始める前から不安でいっぱいです。


『天界での100年なんてあっという間です。彼に会うための修業期間だと思えばいいですよ』


そんな私の気持ちを察したのか、ロカは明るくそう言ってくれますが、100年があっという間に経つとは到底思えません。

それでも祐也と会うためには頑張るしかないのです。


(それしか方法がないって言われたら同意するしかないじゃない・・・100年修業って・・・祐也に会うためなら頑張れるかな?)

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