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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第一章 異世界転生する為に
36/113

36.本当の気持ち

私達は食事を終えて一息つきました。

そこで、ロカが声を掛けてきます。


『それで、さっきのはどういうこと?』


「テラ様の時もそうだったけどロカって直ぐに顔に出るんだよ。だから、何かあるな、ってわかっちゃうの」


『えっ?顔に出てるなんて長いこと言われてないよ』


「昔は言われてたの?」


『まあ、人族だった頃はよく言われたけどテラ様の眷属になってからは言われたことはないよ』


「ロカってテラ様の眷属になってからは言葉使いを気をつけたりしてたんでしょ?」


『ええ、そうよ』


「こんな言いかたしたらアレだけど仮面を被ったみたいに表情を出さなくしてたんじゃない?」


『そう言われると確かにそうね。テラ様の眷属になってからは表情を出さなくしてたかも』


「でも今は私と普通に話してるからきっと表情に出ちゃうんだよ」


『そういえば以前、エリザもそんなことを言ってたっけ。リーネとは人族だった頃の感覚で話してるから自然に表情が出てるのね』


「私は話してて楽しいし今のロカが好きだよ」


『ふふっ♪ありがとう』


「ううん、今日はいっぱい迷惑掛けたし、私のほうがありがとうって言わなきゃダメだよね」


『迷惑だなんて思ってないよ。だから、何かあったら私にちゃんと話してよ?』


「そうだよね・・・」


『リーネ、何かあったの?』


「ううん、大丈夫」


『じゃあ、そろそろ休みましょ。見張りは私が先にするからリーネは休んでいいよ』


「うん」


私は休むために自分の作った寝床の上で横になります。

私が星空を見上げながら考えにふけっているとロカが声を掛けてきました。


『リーネ、寝れないの?』


「ううん、いろいろ考えちゃってね」


『何か悩んでるの?私に話せないこと?』


「そうじゃないんだけど・・・」


『じゃあ、聞いてあげるから話してみて』


私は少し悩み、ロカに話してみることにしました。


「・・・私ね、小さい頃に両親と弟を事故で亡くして祖父に引き取られたんだけど最初は祖父に慣れなくてね。その時、合気道を習ってた祐也に頼るようになったの」


私が話し始めるとロカは真剣な顔で静かに話を聞いてくれます。


「祐也は私がどんなことを聞いても嫌な顔をせずに私がわかるように説明してくれたの。だから、私は祐也のことをお兄ちゃんみたいに感じてなにかを決める時でも祐也に聞いてから決めてたの」

「何時の頃からか祐也を好きに思うようになって、祐也がいないなんてことは考えられなくなってた。祖父が亡くなった時も祐也が私を支えてくれたんだよ」

「そんな祐也が私に婚約の話をしてくれて凄く嬉しかった・・・でも、突然、祐也はいなくなってしまったの。私には祐也がいない世界なんて考えられなかった、生きている意味なんてなかったの。だから私は自殺しちゃったんだよ」


私は半べそをかきながら話しを続けます。


「でもね、今日、ロカに自分の意志を持ってって言われて、考えたの。前の私って自分の意志で行動してたのかなって。そう考えると、祐也に聞いて、祐也に決めてもらって、祐也が言ったことをしてた私は、自分の意志でなんか行動してないよね」

「私はただ祐也に依存してただけだったの。じゃあ、祐也が好きって気持ちはどうなのって考えると、依存してたから好きと思ってただけでほんとは好きでもなんでもないかもしれない。そんな考えになったの」

「私は祐也に依存してたけど、じゃあ、祐也はどうだったんだろう。私が依存してたから仕方なく相手をしていたんじゃないか、言ったことの責任を取るために私と婚約したんじゃないかって思うと、祐也の気持ちも分からなくなっちゃったの」

「ねえ、ロカ。ロカは好きな人がいたんだよね?人を好きになるってどういうことなのかな」


私は今の考えや気持ちを全てロカに話しました。

ロカはしばらく考え、話し始めます。


『あらかじめ言っておくけどこれは私の考えだからリーネには当てはまらないかもしれないよ』


私は静かにうなずきます。


『リーネも薄々気づいていると思うけど、私が好きだった人は鍛冶師でこの装備はその彼に作ってもらった物なの。彼はとても口下手でろくに話も出来ないような人だったけど、私が注文した物はいつも出来が良くて丁寧に作られているのがわかったの』

『私はそんな彼にお礼も兼ねて食事に誘ったら、凄くびっくりされて『自分でいいのか?』って聞いてきたのよ。彼は自分の出来ることで私に貢献出来ればそれで良かったって言うのよ』

『私はその時に彼の印象が大きく変わったの。私を支えようとしてくれてる彼に好意を持つようになっていったのよ』

『彼は口下手だから声には出さなかったけどちょっとした仕草や行動で示してくれるから彼と一緒にいると心が安らいだの。私と彼の好きの形は違うけどお互いに相手が好きだったのよ』

『だから私はこう思うの。人を好きになるってことは、人それぞれなんじゃないかってね。だから、リーネも難しく考えないで素直な気持ちでいたらいいと思うよ』


「人それぞれか・・・でも、私みたいに依存してたらわかんなくなっちゃうの」


『リーネは戦乙女としてやっていくんだからもう祐也さんに依存は出来ないでしょ?これからは自分の意志で行動していくんだから今は深く考えないで、再び祐也さんに会えた時に祐也さんが好きならそれでいいんじゃない?』


「人を好きになるって難しいね」


『だから、難しく考えないの』


「うん・・・すぐに答えは出ないけど、祐也が好きだって気持ちは信じることにするよ」


『今はそれでいいと思うよ』


「ロカ、ありがとう。話を聞いてもらって、ちょっとだけ楽になったよ」


『それじゃあ、もう寝なさい』


「うん、おやすみなさい」


ロカに話を聞いてもらい、少し気持ちが落ち着いた私は疲れもあってあっという間に眠りました。


* * * * *


『リーネ、起きれる?』


「ん?ロカ?」


『そろそろ見張りの交代だけど、大丈夫?』


「うん、大丈夫」


私は返事をしながら起き上がり、少し身体をほぐします。


『じゃあ、火を絶やさないように気をつけて。何かあったら起こしてくれていいから』


「わかった。じゃあロカ、おやすみ」


『ええ、おやすみ』


私と交代でロカが寝床に横になりました。

私は焚き火の近くに座り火の様子をうかがいます。

焚き火が少し弱まっていたので枯れ枝を足しました。

足した枯れ枝がパチパチと音を立てて燃えだした焚き火を見ながら耳を澄ますとフクロウの鳴き声やオオカミの遠吠えらしき声が聞こえてきます。

私は森の中を見渡しました。


「そういえば、こっちに来てからちゃんとした夜ってはじめてなんだ」


私はしっかりと森の中を観察しました。

焚き火の明かりが木々を照らし、森の中は明暗にわかれています。


「あれ?」


私は違和感を覚えました。

明るい所は普通に見えているのですが、暗い所も色が薄くなった感じで見えているのです。


「これって暗視の効果かな?暗い所はモノクロっぽく見えてる」


しばらく森の中を観察していると時々わずかな光が漂っているのに気づきます。

その光はふよふよと漂っているかと思うと突然速く動いて木の陰に隠れました。

しばらくすると再びふよふよと漂い始めますがすぐに木の陰に隠れます。

私はその光が気になり周りを確認しつつ近づいていきます。


『リーネ?何かあった?』


私が移動しはじめると寝ていたはずのロカから声を掛けられました。


「ごめん、起こしちゃった?」


『大丈夫よ、野営の時は警戒してるから浅くしか眠らないの。それで、どうしたの?』


「あそこで小さな光が漂ってたの」


『小さな光?』


私は小さな光が漂っていた場所をさして答えます。

私達が話をしていると小さな光は再びふよふよと漂い始めました。


「あっ、あれ」


『木の精霊じゃない、こんな浅い森で見かけるなんて珍しいよ』


「あれって木の精霊なの?」


『そうよ、あれは木の下位精霊なの。普通はもっと深い森の奥にいかないと見られないんだけど』


「へぇ~なんかふよふよしてて可愛いね」


ロカとそんなやり取りをしていると、木の精霊は凄い勢いで森の奥に消えていきました。


「あっ、消えちゃった・・・」


『精霊は気まぐれだからね。特に問題がないなら私はもうひと眠りするよ』


そう言うとロカは再び横になります。


「うん、大丈夫だからロカもちゃんと寝てて」


私はロカにそう声を掛けて火の番に戻ります。

焚き火を見ながら森の中を確認していると、再び木の精霊がふよふよと漂いはじめました。


「あっ、またふよふよしてる」


私がしばらく見ていると、木の精霊が徐々に近づいて来ます。


「もしかして私に興味があるのかな?」


私はロカを起こさないように静かに移動して近づきます。

私がある程度近づくと、木の精霊はいったん木の陰に隠れますがすぐにふよふよと漂い始めました。

近くで見ると木の精霊はわずかに緑がかった光をしていることがわかります。


「私に興味があるの?」


私は木の精霊に声を掛けてみました。

すると木の精霊は私の問い掛けに答えるかのようにわずかに強く光ります。


「私に興味があるんだね」


私が手を前に出すと、木の精霊は手の周りをふよふよと漂います。

私はしばらくその様子を眺めていると、徐々に心が穏やかになっていくのを感じます。

私の心が普段通りの穏やかさになった時、木の精霊は、私の心の変化を感じたかのように森の奥に消えていきました。


「もしかして慰めてくれてたのかな?」


私はそう感じました。


「ありがとう」


私は木の精霊にそう感謝の言葉を声にしてから野営場所まで戻ってきました。

先ほどはロカを起こしてしまいましたが今度はロカを起こさずに済んだようです。

私はそのまま焚き火を見ながら周りの警戒を続けます。


「そういえば、暗視って真っ暗でも見えるのかな?」


私は森の奥を目を凝らして見ます。

昼間と同じようには見えないけど、およそ100mぐらいまでは木々をしっかり確認出来ました。


「100mぐらい先までは見えるか、普段の半分ぐらいは見えてるみたいだね」


私は暗視の能力を確認して納得します。


「そういえば精霊眼ってのもあったけどそれで木の精霊が見えたのかな?後でロカに聞いとかなきゃ」


そうしていると徐々に空が白んできました。

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