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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第一章 異世界転生する為に
35/113

35.野営と鑑定

私達は野営の準備をするために少し開けた場所に移動して来ました。


『この辺でいいかな?じゃあ、焚き火用の枯れ枝や枯れ木を集めよう』


「魔物が居る森で火を焚くと魔物が集まって来ない?」


『確かに焚き火をすると魔物に見つかりやすくなるけど、魔物に見つかることよりも魔物を見つけられないことの方が危険だから夜間は常に火を焚くのよ。それに料理をするのにも火を使うから焚き火は必要になるよ』


「そっか~じゃあ、集めて来るよ」


『枝を集める時も魔物には注意して』


「わかった」


そう言うと私は枝を集めに向かいます。

改めて森の中を見ると結構な量の枯れ木や枯れ枝が落ちていました。

私はそれらを拾いストレージにしまっていきます。


「ストレージ様々だね、これなら楽に集められそう」


私がしばらく枯れ枝や枯れ木を集めていると見慣れた草が目につきました。


「あっ、これってセージだよね?料理以外にも毒消し薬に使えるって言ってたし採ってかえろ」


そう言って私は見つけたセージを採っていきます。

目についたセージを夢中になって次々に採っていると、グゲッ、グゲッと言う魔物の声が聞こえました。

私が声のした方を見ると10mぐらいの場所から2体のゴブリンがこちらに向かって来ていました。


「あちゃ~セージに夢中になり過ぎちゃった」


私はそう言いつつ剣を抜きゴブリンを迎え撃ちます。

2体のゴブリンが木の棒を振り回して攻撃して来たのを横にかわしつつ木の棒をいなして1体の首をハネます。

もう1体のゴブリンは仲間が殺された事で逃げ出しました。

私は逃げ出したゴブリンを落ち着いて魔法で攻撃します。


「ウインドカッター」


私がウインドカッターを発動すると逃げたゴブリンの首に命中して首が落ちました。


「うん、この距離なら動いてても狙った所に当てれるよ。あっ、そろそろ戻らないと」


私は急いで野営場所に戻ります。


『ずいぶん遅かったけど何かあった?』


「ちょっとね」


『返り血がついてるけど?』


「いやぁ~その~・・・薬草を採るのに夢中になっちゃって・・・」


『それで魔物に見つかったのね。ちゃんと倒して来たんでしょ?』


「・・・うん」


私はバツが悪くなり小声で返事をします。


『じゃあ、問題ないよ。焚き火の準備をするから集めてきた枯れ枝や枯れ木はここに出しておいて』


「いいの?」


『何事も経験だから。薬草を採るのに夢中で魔物に気づくのが遅れるなんて新人冒険者がよくやることだからね』


「ごめん、次からは気をつけるよ」


『それで、何に夢中になってたの?』


「これなんだけど・・・」


私はセージを取り出しつつ答えます。


「これってセージだよね?」


『鑑定してないの?リーネは鑑定スキルが10レベルだから鑑定すればわかるよ』


「あっ!そう言われれば鑑定ってあったね。1度も使ってないから気がつかなかったよ」


『なんで1度も使ってないのよ。普通なら自分の装備を鑑定してみるでしょ?』


「装備のことならロカやテラ様が説明してくれたし特に鑑定しようとは思わなかったよ?」


『どんな素材が使われているか?とか、どれぐらいの品質か?とか、思わないの?』


「思わないよ?」


『はぁ・・・その剣でいいから鑑定してみなよ。鑑定したい物を意識して鑑定と念じれば鑑定出来るから』


「ふぅん、剣を鑑定か~」


私は剣を見ながら鑑定と念じると頭の中に剣の詳しい情報が表示されました。


名称:ー

形状:ブロードソード

品質:C

レア:E

特性:ー

※鉄製の一般的なブロードソード


「あっ、鑑定出来たけど品質のCとかレアのEって意味がわかんない」


『品質はAからEの5段階になっていて一般的にはCが標準でAが最高品質。レアは入手のしやすさを表していてこちらも5段階でEなら普通に入手可能でAなら入手困難になるのよ。その他に、戦乙女の装備のような特殊な物はSやSSといった表示になるよ』


「物を鑑定して品質が分かるのは確かに便利かも」


そう言うと私は戦乙女の剣を取り出し鑑定してみます。


名称:戦乙女の剣

形状:ショートソード

品質:S

レア:S

特性:不壊・物理耐性低下・魔力剣身創造

※ミスリル合金製

※戦乙女専用の小剣


「わぁ、ほんとだ、この剣は品質やレアがSだよ。それに特性や素材も分かるんだね」


『でしょ?何かを入手したらとりあえず鑑定してみるといいよ』


「じゃあ、セージも・・・」


『鑑定は後でいくらでもして良いからまずは焚き火の準備をするよ』


「・・・は~い」


『じゃあ、ここを10cmほど掘って掘った土で周りを囲うようにして』


「石を使ってかまど状にはしないの?」


『石を使うと集める手間がかかるし最後に埋め戻す時にも邪魔になるからに使わないよ』


「キャンプの焚き火とは違うのか~」


『キャンプ?』


「森や草原なんかでテントを張って外で生活する遊びみたいなことだよ」


『わざわざ外で生活するのが遊びねぇ~』


「地球じゃ魔物なんて居ないしテントを張ってまで外で生活することなんてないからね。あっ、そう言えばテントって使わないの?」


『今回の実地訓練では出来るだけ物がない状態で生活することを覚えてもらうからテントはなしよ』


「テントを使わないならたいしてすることなくない?」


『焚き火の準備以外にも用を足す穴を掘って寝床を作るからそうでもないよ』


「用を足す穴は分かるけど寝床を作るの?」


『外套を着ていても地面で寝るのはつらいから、木の枝葉や落ち葉を使って簡単な寝床を作るのよ』


「それなら木の上に寝床を作ったらダメなの?」


『1人で野営する時は木の上に寝床を作ることもあるけど今回は2人だから地面の上に作るよ』


「木の上に寝床を作ることもあるのか~」


『じゃあ、焚き火用の穴を掘るよ』


「焚き火用の穴ってどうやって掘るの?魔法?」


『そんなに深く掘るわけじゃないから普通は剣なんかを使って掘るよ』


「え~!剣が傷むじゃん、魔法で掘れないの?」


『土属性魔法で掘るにしても調整が難しいのよ』


「じゃあ、私がやってみるよ」


そう言って私は地面に浅く穴を掘る方法をイメージします。

いくつかイメージした中にゾウが踏みしめて窪みが出来るイメージがありました。


(そうか!穴を空けようと思わずに地面を押し潰して凹ませばいいんだ。えっと、押し潰ぶす・・・よし!)


「いくよ、スクワッシュ」


私が魔法を発動すると指定した地面がベコっと10cmほど陥没しました。


「上手くいったんじゃない?」


『地面に浅い穴を空けるのは難しいんだけど、どうやったの?』


「穴を空けようと思うと難しかったから押し潰して凹ますイメージでやったら上手くいったよ」


『それって土属性魔法じゃないよね?』


「あれ?そう言えばそうか。ちょっと待って・・・」


私がステータスで魔法を確認すると時空魔法にスクワッシュが追加されていました。


「時空魔法になってたよ」


『やっぱり。今の魔法ってちょっとした重力操作だと思ったよ。ほんと、リーネは変な魔法ばかり作るよね?』


「そんなことないもん!」


『はいはい。じゃあ、向こうに用足し用の穴も掘っておいて』


「もう!ロカってたまに私のことを適当に扱ってない?」


『気のせいよ。それよりも日が暮れてくるから野営の準備を終わらせるよ。私は焚き火を準備するからリーネは用足し用の穴を掘ったら寝床を作ってみて』


「は~い。用足し用の穴はどこらへんに作ったらいい?」


『焚き火から5mぐらい離れた場所ね、寝床は焚き火を挟んだその反対側に作ってくれたらいいよ』


「わかった」


そう返事をして私は用足し用の穴を空けにいきます。


「5mか~この辺かな?ロカ!この辺でいい?」


『そこでいいよ』


「よし、さっさと空けてしまおう、スクワッシュ」


用足し用なので焚き火用に空けた穴よりも少し深めに穴を空けておきます。


「用足し用の穴はOK。寝床はどんな感じで作るの?」


『草が集まってる場所を上手く利用していったん草をまとめたら少し大きめの枝葉をのせてある程度形にするのよ。その上から落ち葉や草をのせて最後に香りの強い薬草をのせたら完成よ』


「ん?最後に薬草を乗せるの?」


『虫除けよ』


「あっ、虫除けか。薬草は何でも良いかな?」


『香の強い薬草なら何だっていいよ』


「じゃあ、採ってきたセージも使えるね」


そう言って私は寝床を作り始めます。

ロカの説明通りに草が集まっている所で1度草をまとめ、少し大きめの枝葉のせるとちょっとしたクッションのような感じになりました。

そこに落ち葉と近くに生えている草をのせていき、最後にストレージからセージを10株ほど取り出してのせます。

完成した寝床を見てもらおうとロカのほうを見るとすでに焚き火が完成していました。


「わぁ、焚き火だ~焚き火を見るとテンション上がるね」


『焚き火でテンションが上がる理由が分からないんだけど?』


「え~?キャンプとか焚き火ってテンションが上がるんだけどな~」


『それよりも寝床は出来たの?』


「うん、ロカの説明通りに作ってみたけど、どうかな?」


『そんな感じね。一晩過ごすだけだから細かいことは気にしなくていいよ』


「じゃあ、もう1つ作るね」


『寝床は1つでいいよ』


「えっ?」


『夜間は魔物を警戒するために見張りを立てるから交代で睡眠を取るのよ。だから寝床は1ついいの』


「そっか、見張りは必要だもんね。じゃあ、これで野営の準備は終わり?」


『そうね、後は食事のために尖らせた木の枝を作っておくぐらい』


「尖らせた木の枝?何に使うの?」


『肉を焼くために肉に刺して使うのよ。ある程度切り分けた肉を木の枝に刺して焚き火の周りにさしておくの』


「肉を焼く用か~。夕食は肉と木の実の他に何か作るの?」


『今回はスープを作る道具もないからそれだけよ。最低限の食事だけどこれも経験だと思って』


「肉と木の実だけか~肉はたくさんあるけど道具がないと料理も出来ないしな~」


『普通は鍋なんて持ち歩かないからね。じゃあ、肉を出してくれる?』


「どっち?」


『どちらでも、リーネの食べたいほうでいいよ』


「じゃあ、たくさんあるからオークにするよ」


そう言って私はストレージからオークの肉を取り出します。

ロカはオークの肉を受け取ると、ある程度の大きさに切り分けて木の枝に刺し焚き火の周りにさしていきます。

しばらくするとオークの焼けた匂いが漂い始めます。


「お腹空いた~ロカ、まだ焼けてない?」


『中がまだ全然よ、先に木の実を食べたら?』


「木の実を先に食べると肉が焼けるまで我慢出来なくなりそうで・・・」


『じゃあ、焼けるまで待って』


「うん・・・ロカ、魔法で焼けたりしないの?」


『さすがに肉を焼く魔法なんて知らないよ。というかリーネはもう少し食事を我慢出来るようにならないとダメかも』


「え~?これ以上我慢するの~?」


『昼食の時にも言ったけど冒険者をやってると1食抜くなんてよくあるのよ?』


「何かをしていて我慢するのはいいんだけど食べれそうな時に我慢するのは苦手かな。あっ、もう焼けてない?」


『リーネはちょっと意志が弱いかな?前世の影響なんだろうけど。肉はまだよ』


「そこは否定出来ないかも。それより焦げてきてるよ!」


私は焼いている肉を見ながら返答します。

肉の表面には黒く焦げた所が目立ち始めました。


『まだ、もう少しよ』


「えぇ~?焦げ焦げになっちゃうよ?」


『焦げ焦げになるまで焼くのよ』


「・・・ロカ?嫌がらせじゃないよね?ほんとに焦げ焦げまで焼くの?」


『ほんとよ、焚き火で肉を焼くとなかなか火が通らないから表面が焦げ焦げになるまで焼くの。そろそろいいかな?はい、リーネ』


私が渡されたのは真っ黒に焦げた肉の塊でした。


「ほんとにこれを食べるの?」


『そうよ、表面を1~2cm切り落としたら大丈夫だから』


「良かった~焦げ焦げは食べないんだね」


『焦げた所なんて苦くて食べれないんだから当たり前よ』


「これ、何で切ったらいい?」


『あれ?ナイフって渡してなかった?私も久々だから・・・これを使って』


ロカはストレージから刃渡り10cmほどのナイフを取り出して渡してくれました。

私はナイフを受け取りつつ質問します。


「久々ってどれくらい野営してないの?」


『この辺に来たのは100年以上前だからそれ以来よ。久々だから準備が面倒で忘れてたみたい』


「・・・ロカ、準備が面倒だったから装備が少ないんじゃないよね?」


『そんなことはないよ。リーネが冒険者になって苦労しないようにって・・・』


「冒険者になるのに事前に訓練ってするの?」


『・・・いや・・・あまりしないかな』


「ロカ!」


『私の装備はあるんだけどリーネの装備は現世で用意する必要があって・・・最低限でいいかなって・・・』


「・・・」


『ごめん・・・面倒っていうか手間がかかるからエルフの集落にある物しか準備しなかったの』


「ロカにはいっぱい迷惑を掛けてるからしょうがないけど、正直に言ってよ?」


『話してないことがあっただけで嘘は言ってないよ』


「ロカってごまかすの下手だよね」


『リーネ?急に何なの?』


「後で教えてあげるから、先に食べよ?」


そう言うと私は焦げた肉の表面を切り落として食べ始めます。

肉の中はピンク色だけどちゃんと火が通っていて、ローストポークの様な味と食感でした。

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