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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第一章 異世界転生する為に
31/113

31.初実戦

『戦乙女のことはこれで理解出来たよね?』


「うん、わかったよ」


『じゃあ、訓練に移るよ』


「訓練に移るのはいいけど、移動する場所は思いついたの?」


『ええ、魔の森の外周部からは少し中に入るけど、特徴的な滝があったからそこに移動出来ればいいかな?と思ってるの』


「えっ?そこに移動出来れば?」


『私がそこに行ったのは100年以上前なのよ。だから、私がイメージしている場所が現在も存在しているかわからないの』


「そんな状態で空間跳躍して大丈夫なの?」


『リーネが戦乙女の槍を練習してた時みたいに、跳躍する先の指定が認識されなかったら空間跳躍は発動しないから大丈夫よ』


「ソンナコトモアリマシタ・・・」


『じゃあ、跳ぶからつかまって』


「はい」


そう言ってロカは空間跳躍を発動します。

すると、見た目が人工的な滝の前に移動していました。

私達が移動して来ると水を飲みに来ていた動物達が逃げていきます。


「なんか驚かしちゃったみたい」


『人に見られていなかったらいいのよ』


「あっ、さっきも聞いたけど人に見られるとまずいことがあるの?」


『私達が現世に降りているといろいろとトラブルになるから出来れば人には会いたくないのよ』


「あ~トラブルは面倒だね」


『他人から私達を見ると、若い女性が2人だけで危険な所にいるって思われるのよ』


「それで?」


『何故若い女性2人なのか?とか、どうしてここにいるのか?とかいって疑問を持たれるとややこしくなるのよ』


「確かに私達のことは話せないもんね」


『だから出来るだけ人には会いたくないの』


「なるほど」


『じゃあ、これからは索敵と隠密のスキルを確認するから川にそう感じで適当に歩いてみて』


「適当でいいの?」


『敵を探しながら静かに移動する意識だけしておいてくれればいいから』


「敵を探しながら静かに移動ね」


私はそう言うと川にそって歩き出します。

敵を探しながら静かに移動する意識をして歩いていると、足下にある何かの足跡のような物に気がつきました。


(あっ、意識して見ていたわけじゃないのに感覚的に足跡に気がついた?)


「ロカ、何かの足跡があるみたいだけど」


『どれ?』


「これなんだけど」


私が示したのは動物に半分踏まれた跡がある少し小さな足跡のような物でした。


『動物が踏んで半分しか形は残ってないけどゴブリンの足跡ね。足跡を見つけた時ってどんな感じだった?』


「意識して足跡を探していたわけじゃないけど感覚的に足跡があるって気づいたよ」


『やっぱり索敵も知識と経験が補完されてるみたいね。じゃあ、このままゴブリンを探してみて』


私はロカに促されゴブリンを探します。

足跡を追いつつ静かに移動してゴブリンを探していると、ギャア、ギャアという動物のものではない鳴き声が聞こえてきました。

私がそちらを確認すると、およそ50m先の木の陰からゴブリンらしき魔物が見え隠れします。


「(ロカ、あそこにゴブリンがいるみたい)」


私は小声でロカに伝えます。


『(確かにゴブリンね。もう少し近づいて)』


私はうなずくと静かに距離をつめていきます。

およそ20m手前まで近づいた私がゴブリンを確認すると3体のゴブリンが移動していました。


「(ロカ、ちょっと思いついた魔法を使ってもいい?)」


『(思いついた魔法?ゴブリンに使うの?)』


「(うん、思いついた魔法で攻撃してみるよ)」


『(いいよ、好きに攻撃して)』


私はロカに許可をもらうと思いついた攻撃魔法を発動します。


「(アースニードル)」


私が魔法を発動すると、ゴブリン達の足もとから大地がつらら状に何本も隆起してゴブリン達の足に突き刺さります。

ゴブリン達は足を貫かれ身動き出来なくなった状態でギャアギャアと騒ぎます。


「敵を足止め出来ればと思ったんだけどけっこう上手くいったよ」


『リーネってやっぱり発想がちょっと変わってるよね?』


「え~!なんで~?!」


『だって、一方的に攻撃出来るんだから普通なら倒せる魔法を使わない?何で足止めなのよ?』


「いや、思いついたのが足止めする魔法だったから」


『まあいいか。でも、今の魔法だと弱い魔物にしか効果はないと思うよ』


「何がダメ?」


『大地から伸びてくる速度が遅いから強い魔物なら初見でも回避出来ると思う。大地に繋ぎ止めることを意識してあの大きさにしたんだと思うけど、繋ぎ止めようとは思わずにもっと小さくて鋭利な物を打ち出すほうが効果はあるんじゃない?』


「なるほど、次はそれでやってみるね」


『で、あれはどうするの?』


ロカは身動き出来なくなったゴブリン達を指さしながら聞いてきます。

ゴブリン達は未だ大地に貫かれた状態のまま騒いでいます。


「どうするのがいい?」


『近づいて剣でトドメを刺すのが普通かな?首をハネれば確実よ』


「首をハネるのか・・・後ろからでもいいよね?」


『初めてだし後ろからでもいいよ。人型の魔物を初めて倒す時ってけっこうくるから』


私はゴブリン達の後ろに回り込み1番後ろにいるゴブリンの首を剣でハネました。

手にはゴブリンの首をハネた感触が残っていますが不快感や忌避感などは特にありません。

私がゴブリンの首をハネたことで私に気づいた残りの2体は、無理矢理体をひねり手にした棍棒のような物を振り回します。

私はゴブリン達が振り回した棍棒を剣で軽くいなし続けざまに首をハネていきました。


『抵抗なくあっさり首をハネたけど気分はなんともない?』


「特に気分が悪くなったりとかはないよ、むしろ普通って感覚があるかな~。これも知識と経験が補完されてるおかげかな?」


『初めて人型の魔物を倒した時って、平気な人はいるけど普通って感覚はまずないよ。やっぱり知識と経験が補完されてるおかげだと思うの』


「うまく説明出来ないけど、昔の私は異常と感じてるけど今の私が普通って言ってるみたいな感じなの」


『それは感覚的にってことよね?』


「そうだよ、実際に頭の中でそんなやり取りがあるってわけじゃなくて感覚的にだよ」


『なるほどね~リーネは知識と経験が補完されてる恩恵が大きいかもね』


「えっ?どうして?」


『リーネは前世の知識と記憶があるから普通なら前世の基準で物事を考えてしまうけど、知識と経験が補完されてるから前世の基準に捕らわれてないのよ』


「確かに、前世の基準で考えたらゴブリンを倒すのは無理だったかも」


『でしょ。それに索敵や隠密もしっかり出来るみたいだから、もう訓練というより確認作業よね』


「確認作業って言われるとなんだかやる気なくすよ。出来て当然ってことでしょ?」


『むしろ、私がやる気なくすよ。訓練の意味ある?って感じ』


「そっか、ロカにも悪い感じになるのか~」


『じゃあ、ある程度弱い魔物を倒したら食料を確保するよ』


「さっきみたいに探せばいい?」


『それでいいよ』


私はさきほどと同じように敵を探しながら静かに移動を開始します。

川ぞいを大きく外れていく獣道を歩いていると、前方からゴブリン達の叫び声とドタバタと暴れている音が聞こえてきます。


「ロカ、この先でゴブリン達が暴れているみたいだけど」


『何かと戦ってるのかもね。近づいて様子を見よう』


私はうなずくと音のする方向に移動します。

ゴブリン達が確認出来る距離まで近づくとゴブリン達は大きなイノシシと戦っているようでした。

ゴブリン達は5匹でイノシシを囲み攻撃していますが、イノシシは体長が1.5mぐらいで明らかにゴブリンよりも大きいためかゴブリン達はあまり上手くダメージを与えられていないようです。


「イノシシと戦ってるね。こんな場合どうするの?」


『ゴブリン達もイノシシもまとめて魔法で攻撃かな?』


「じゃあ、さっきの魔法を使ってみるよ?アースニードル」


私は先ほどのロカのアドバイスを参考に編み針ぐらいの鋭利な針をイメージして魔法を発動しました。

するとゴブリン達の足下から10cmほどの針が次々に射出されます。

大地から射出された針は1mぐらい飛び、ゴブリン達は全身に針が刺さり、イノシシは腹部に大量に刺さってどちらとも死に絶えました。


『うわ~思ったよりもエグい魔法ね』


「エグいって、ロカのアドバイスを参考にしたんだけど?」


『もともとはリーネの思いつきでしょ?』


「う~ん、そうなんだけど・・・なんか釈然としないよ」


『ゴブリンついでにイノシシも取れたし結果的にはOKよ』


「まあいいか。それにしても大きなイノシシだね、これは食料にするんだよね?」


『これぐらいの大きさなら普通かな?大きくなると2m以上のイノシシも見かけるし。このイノシシはもちろん食料にするよ、ちょっと内臓は処理したほうが良さそうだけど』


「どうしたらいい?」


『これは私が処理するよ』


そう言うと、ロカは短剣を取り出しイノシシに刺さった針を抜いてイノシシの内臓を取り出します。


『それにしても、リーネの土属性魔法って何で金属になるの?』


私がロカの手際に見とれているとロカが抜いた針を見ながらそう質問してきました。


「う~ん・・・私の知識だと石は何かの鉱物なんだよね。で、硬い鉱物を意識すると何かの金属になっちゃうの」


『これってただの鉄って感じでもないしいろいろ混ざってそうよね。何の金属なの?』


「さあ?」


『いや、何でリーネがわからないのよ?』


「具体的にイメージしてるわけじゃないから私にもわからないよ、たぶん何かの合金だと思うけど」


『はぁ・・・リーネ以外がすぐに真似出来るような魔法じゃないし、まあいいか。はい、とりあえず内臓は処理したから』


イノシシの内臓を処理したロカはイノシシの血で真っ赤になっていました。


「ロカ、血が凄いことになってるけど?」


『これ?解体してたら普通よ。それに、クリーン。はい、綺麗になったでしょ?』


「へぇ~クリーンって今まで汗とかでしか使ってないからあまり実感なかったけど、今のを見ると凄く便利だね」


『生活魔法って言うぐらいだから使えるのと使えないのではかなり差があるよ』


「それで、この後はどうするの?」


『木の実を探しながら移動して、ある程度採れたら1度モニュメントの所まで戻るよ。その後にイノシシの解体と昼食かな?イノシシはリーネがストレージにしまっておいて』


「大きい物をストレージに入れるのは初めてだ。おっ、ちゃんと入ったよ」


『当たり前でしょ。じゃあ、リーネが先頭で木の実を探しながら移動して』


「は~い」


私達は木の実を探しながら移動し始めました。

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