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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第一章 異世界転生する為に
25/113

25.訓練場で1

私達は食堂から訓練場に移動して来ました。


『じゃあ、今日の訓練を始めるよ』


「ロカ、ほんとにここで訓練するの?なんか、見学してる天使や戦乙女が多くない?」


『さっきの件があるからしょうがないでしょ。私だって、こんなに見学者が居るなんて思わなかったのよ』


この2日間、訓練場で訓練をしていたが見学者は1人も居ませんでした。

それが今日は数十人の見学者が居たのです。


「こんなに見学者が居ると、さすがにやりにくいよ」


『でも訓練は必要だから、見学者は諦めて』


「しょうがないか~」


私は見学者の事は諦めて、訓練に集中する事にしました。


「それで、今日は何をするの?」


『今日は戦乙女の鎧を装備して防具の特性を体感してもらおうと思ってるのよ』


「防具の特性か~戦乙女の鎧は装備しただけで、実際に使ったわけじゃないもんね」


『じゃあ、戦乙女の鎧に換装して』


「テラ様が用意された鎧・・・だよね?」


『テラ様との約束だからね。天界で戦乙女の鎧を使う時はそちらを使って』


「ん、分かった、換装」


私が専用の鎧に換装すると、見学者の居る場所が騒がしくなります。


「あちゃ~なんか見せるために換装したみたいになってない?」


『そう見えるかもしれないから私も戦乙女の鎧に換装するよ』


ロカはそう言って戦乙女の鎧に換装しました。

すると、先ほどよりも一層騒がしくなります。


「ロカ、酷くなってない?」


『・・・たぶん気のせいよ』


「いや、明らかに酷くなってるよ?」


『・・・私が戦乙女だった事を知らない子が多いみたい』


「これ、どうするの?」


『どうもしないよ?そのうち治まるでしょ』


「やっぱりやりにくいな~」


『はいはい、気持ちを切り替えて。リーネは防具の特性は覚えてる?』


「え~と・・・たぶん?」


『その様子だと覚えて無いでしょ?』


「なんとなくは覚えてるよ?」


『まあいいよ、じゃあ剣を出して。軽く打ち合ってみるから』


「うん」


私は言われた通りに大剣をストレージから取り出します。


『ちょっと!どうして大剣なのよ』


「えっ?この装備は大剣がセットじゃないの?」


『その大剣は強過ぎて危険なの、訓練で使う様な物じゃないよ』


「え~?衝撃波って気になってたんだけどな~」


『確かに衝撃波は気になるけど』


「ちょっとだけ試してみてもいい?」


『しょうがないか、私の方には向けないでよ』


「うん、じゃあ振ってみるね」


そう言って私は大剣を上段に構えて振り下ろします。

すると、大剣の先から空気を切り裂いた様な衝撃が起こり、大地を切り裂いて10mほど飛んでいきました。


「うわっ、凄っ!!」


『もうっ!テラ様は何を考えてるのよ!こんなんじゃ誰も近寄れないじゃない』


「衝撃波?が凄い飛んでいったね」


『衝撃波って言うから周りに軽い衝撃が起こる程度だと思ってたけど、これじゃ斬撃波じゃない』


「でも、テラ様はオマケって言われてなかった?」


『オマケってレベルじゃないの、衝撃波だけで普通の魔物は一掃出来てしまうレベルなのよ』


「でも、真っ直ぐにしか飛んでないから一掃するのは難しくない?」


『横に振ったらどうなるか想像出来ない?』


「あっ、それはヤバいかも」


『とりあえず、大剣は私が許可しない限り使わないで』


「うん、そうするよ」


私は周りを見ながらロカに同意します。

見学者達は大剣の衝撃波を見て大騒ぎしていました。


『じゃあ、大剣をしまって戦乙女の剣を出して』


「打ち合うなら戦乙女の剣でも危なくない?」


『魔力の剣身を作らなければ大丈夫でしょ。それに戦乙女の武器にも慣れておかないとダメよ』


「そっか、戦乙女の武器もあまり使ってないもんね」


私はロカの説明に納得して戦乙女の剣を取り出します。


『じゃあ、軽く打ち合ってみるよ』


「ちょっと待って」


『どうしたの?』


「この鎧を付けてると動きが速くなったり、空中を移動出来る様になったりするんだよね?」


『ええ、そのはずよ』


「そのはず?」


『大剣があんな調子だから、その鎧も私が思ってるのと違うかもしれないの』


「じゃあ、どうするの?」


『・・・』


私が聞き返してもロカは考え事をしているのか、無言のままです。

そして、ロカが無言のまま剣を振ってきました。

私はロカの剣を自分の剣で受け止めます。


「ロカ?」


私はロカに声を掛けますが、ロカは無言のまま続けて剣を振ってきます。

私はそれを受け止めつつ、更に声を掛けます。


「ちょっと!何とか言ってよ!」


すると、ロカが剣を振りながら返事をしてくれました。


『話しながらでも大丈夫そうだから、このまま説明するよ』


「えっ?なんなの?」


私は剣を受け止めつつ返事をします。

ロカは、そんな私に剣を振りながら説明してきます。


『私が初めに振るった剣は不意を突いてたはずなのにリーネは普通に受け止めたよね?』


「えっ?普通に振ってきたでしょ?」


『今も話しながら剣を受けてるけど、考えながら剣を振ったり出来た?』


「そう言われると・・・出来なかったかな?」


『そういう・・・ことよ』


ロカの動きが速くなり、言葉が途切れます。

私はロカの動きに合わせながら話し掛けました。


「そういう事って、どういう意味?」


『・・・』


しばらく無言で剣を振ってきたロカが、剣を振るのを止めて一息いれます。


『ふぅ、私でもしんどいのにリーネは余裕ありそうね』


「もうっ、ちゃんと説明してくれないと意味が分かんないんだけど?」


『ちゃんと説明するから。まず、不意に対応出来た事と動きながら話を出来たのは思考補助のおかげだと思うの』


「思考補助って髪飾りに付いてる特性だっけ?」


『そうよ、普通は話しながら動くっていうのは、身体が思考に影響されずに動くって事だから、私みたいに剣を振る動きを身体が覚えて無いと出来ないのよ。だけどリーネは話すのも身体を動かすのも、いつもの様にしてなかった?』


「そう言われるとそうかも。剣を受けるのも話すのも特別意識しなかったし」


『それに、最後は本気で動いた私に苦も無く付いて来れたから、体力回復と速度上昇の特性も発揮されてると思うのよ』


「そっか、体力回復の特性もあったね」


私は手をニギニギしながら返答します。

ロカとのやり取りでかなり激しく動いていたはずだが、疲れなど微塵も感じていませんでした。


『ほんとに余裕そうね』


「うん、全然疲れてないよ。あっ、そういえば、空中を移動するのってどうやるの?」


『空間制御は踏み込む動作で足場が形成されるから、足場があるつもりで踏み込むと空中を蹴れるの。だけど、足場が形成されるのは一瞬だから、空中に留まったりは出来ないのよ』


「空中に足場があるイメージをしたらいいのか。ちょっとだけ試していい?」


『いろいろ試してみるといいよ』


「じゃあ、ちょっと試してみる」


そう言って私がジャンプをすると、かなり高く飛べました。


(あ~重力制御もちゃんと発揮されてるじゃん)


私はジャンプ後、地上には降りずに空中を蹴って移動します。

いろいろと移動していると、足場は単純な物では無く足の裏に形成されているのが分かります。

そこで、壁を蹴る様に切り返したり、大きく一回転してみたりと、思い付いた移動を試してみます。


「ロカ!これ、凄い楽しい!!」


『リーネ、はしゃぎ過ぎ。何がそんなに楽しいの?』


「え~?遊園地のアトラクションみたいじゃん!」


『アトラクションは分からないけど、それだけいろいろと動き回れるのはリーネぐらいよ』


「そうなの?」


『リーネは私達と違ってイメージする事が得意だからじゃない?』


「特別イメージが得意って気はしないけどな~」


『ついでに武器も使ってみたらどう?』


「うん!ちょっと使ってみる!」


私はそう言うと、少し高く登って行き戦乙女の弓を取り出します。


「ロカ!いくよ!」


そして、私はロカに向けて矢を放ちます。


『ちょっと!リーネ!』


ロカは慌てて攻撃を回避しました。

私がロカの側に降り立つと、ロカが怒り気味に話し掛けてきます。


『なんで攻撃するのよ!』


「ロカもさっき、突然攻撃して来たでしょ?!」


『さっきのは特性を確認するためよ!』


「さっきはほんとにビックリしたんだからね!」


『ごめんって、悪気は無かったのよ』


「うん、わかったよ。それで、この後は打ち合ってみるの?」


『そうねぇ~盾の替わりになる障壁も確認しておかないと。ちょっと障壁を出してみてくれる?』


「あっそっか、この手甲の特性に障壁ってあったっけ。でも障壁ってどうやって出すんだろ?」


『たぶん障壁をイメージすれば出ると思うよ』


「障壁をイメージか~う~ん?」


(障壁ってバリアみたいなもんかな?)


私は左手を前に出し、アニメで見たハニカム構造のバリアをイメージしました。

すると、縦1m横50cmほどの大きさで、ハニカム構造が特徴的な半透明の障壁が出現しました。


「あっ、出たよ、イメージ通りだね」


『リーネのイメージ通りなの?私には珍しい見た目なんだけど』


「確かハニカム構造って言って、強度が強い構造なんだよ。アニメのバリアはだいたいこんなイメージだったし」


『ふ~ん、それって維持するのは難しくない?』


「今の状態だとほとんど意識しなくても維持出来るみたい」


『じゃあ、後は強度か。ちょっと攻撃してみるよ?』


「これでちゃんと受けれるかな~?」


『大丈夫、手には当たらない様に障壁の端を狙うから』


「それなら大丈夫かな?」


私はそう言うと身構えます。


『じゃあ、いくよ?』


そう言ってロカが剣で攻撃して来ます。

ロカが攻撃して来る場所を意識していると、攻撃が当たりそうな部分が点滅して構造が細かくなり厚みが増します。

ロカが振った剣は障壁で見事に止められていました。


『リーネ、何かした?』


「剣が当たりそうな所を意識したら、勝手に構造が変わったの」


『へぇ~強度も変えられるのね。大きさはどう?』


「大きさか~ちょっと待って」


そう言うと、私は両手を前に出し、障壁が身体の前面を覆うイメージをします。

すると、私の身体全体を遮れるぐらい大きい障壁になりました。


「大きさもイメージで変わるみたいだよ」


『これって意識して使うなら盾より優秀じゃない?』


「でも盾みたいに受け流したりは出来ないんじゃない?」


『イメージで形や大きさが変わるなら盾の形でイメージすれば良いのよ』


「あっ、そっか。別に障壁って言っても壁にする必要は無いのか」


そう言うと、私は盾の様に左手に付けている状態の障壁をイメージします。

すると、今度は盾状の障壁になりました。

試しに左手を動かしてみると、盾を装備している様に障壁も動きます。


「出来たよ、これなら盾みたいに使えるね」


『私が言った事だけど本当に出来るのね。イメージ頼りにはなるけど、これなら大剣なんかの両手武器も使えるよ』


「障壁を出したまま弓も使えるよね」


『テラ様はこの障壁を私達にも使える様にする気はあるのかしら?』


「どうして?」


『みんな見てるのよ、リーネだけが使ってると不満が出るかも』


「あ~これは確かに便利そうだもんね」


ロカとそんなやり取りをしているとテラ様の念話が聞こえてきます。


〔皆さんに報告がございます〕


「あっ、テラ様の念話だ」


〔只今、訓練場にて新しい特性を持たせた装備の試行をおこなっております。この試行により有用性が高いと確認出来た特性は、今後の装備に取り入れますのでしばらくお待ちください〕


『「絶対に見てたよね」』


私とロカの声が被ります。

そう、テラ様の念話は訓練場の私達をフォローする様な内容でした。

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