表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第一章 異世界転生する為に
11/113

11.弓術

『こちらの世界で一般的な弓といえばこのショートボウ。地球の弓道で使うようなサイズもあるけどこちらでは持ち運べる事が前提だからこのサイズが標準になるの』


ロカはそう言いながら弓を一つ渡してきました。

渡された弓は弓道で使う弓よりだいぶ小さく、一本の木から削りだして形にしているようでした。


(弓道の弓の半分ぐらいか・・・)


大きさの違いに戸惑いながらも弓を握り弦を軽く引いてみると弓がしなります。


(あれっ?思ったよりも弓がしなる。もっと弦を引く必要があるみたい)


軽くしか引いてないのに弓が思ったよりもしなるので目一杯引くのが怖いです。


『どう?』


「地球の弓よりだいぶしなりますね。こんなにしなると弓が壊れそうに感じます」


『これは一般的な弓だけど、たぶん地球の物より丈夫だから壊れないと思うよ。地球でやってたぐらい引いてみて』


そう感想を口にしますが、ロカは壊れないと言うので思い切って目一杯引いてみる事にします。


「そうですか?じゃあ引いてみます」


そう言って弦をいっぱいまで引いてみるけど、弓は強くしなっただけで壊れる様子はありません。


(あ~やっぱり胸が邪魔だわ。弓道の所作は使えないから斜め前に撃つ感じにしないと撃てなさそう)


しかし、弓はともかく、胸は想像どおり邪魔になりました。

この大きさだと胸当てで押さえてもあまり効果はなさそうなので弓道と同じようには出来そうにありません。


「弓は大丈夫でしたけどやっぱり胸が邪魔になりますね。弓道の所作は使えないから斜め前に撃つ感じになります」


『こちらではそれが普通だからたぶん大丈夫。じゃあ矢を撃ってみる?とりあえず100mからでいい?』


どうやらこちらの世界では斜めに撃つのは普通のようで半身になる事はないみたいです。

それにしても、とりあえずで100mからって感覚がわかりません。


「えぇ~?いきなり100mとか無理ですよ」


『いや、エルフなら普通の範囲だし大丈夫。ちゃんと的は見えるでしょ?」


ロカがそう言いながら的を指すので的をよく見て見ると違和感がありました。


「そりゃ見えて・・・んっ?・・・あっ、視力が凄く良いのか!」


パッと見た感じ100mぐらい離れているのがわかるのに、それだけ離れた的の中心がしっかり見えるので違和感があったのです。

まだ慣れないので変な感じですが、新しい身体は視力が凄く良くてかなり遠くまで見えるようでした。


『そうよ、エルフは視力が良いから得意なら200mぐらいまで当てるのよ。向こうに200mの的があるけどちゃんと見えてるでしょ?』


そう言われたのでその的を見ると、その的も中心がしっかり見えました。


「確かに見えてます。凄い不思議な感じ」


『というわけで100mから撃ってみて』


「は~い」


これだけしっかり見えてたら100mからって言われるのも納得出来てしまうので、そう返事をすると弦に矢をつがえて的に向かいます。


(斜め前を見ると違和感あるな~100mだから結構上に撃たないと・・・)


構えに違和感を感じながらも、弓道の遠的よりもかなり上に向けて撃たないと届かないと思い、角度をしっかりつけて撃ちます。


「えい!」


かけ声とともに撃った矢は想像とは違い、的のかなり上を飛んでいきました。


「あれっ?方向はOKだけど高さはほとんど落ちてないのかな?」


『そうね、射速が結構出るから100mなら50cm上ってところよ』


「じゃあ次はそれぐらいで狙ってみます」


ロカのアドバイスとおりに的の50cm上を狙いすまし、静かに矢を射ると矢は的の中心からやや左側に当たりました。


「当たった!ほんとに50cm上でいけたよ」


100mの的に矢が当たって喜んでいるとロカが感心したように言います。


『お~凄い、100mなら急所も狙えるんじゃない?リーネの弓術っていくつだっけ?』


弓術がいくつかなんて急に聞かれても覚えてないのでステータスを確認しつつ答えます。


「えっ~と(ステータス)・・・7ですね」


『あ~納得だわ。とりあえず後10本撃ったら200mね』


確か、スキルの数値は5で1人前って話だから弓術が7の私は上級者に分類されるようで、100mの的をしっかり狙えるのも不思議ではないようです。


(それにしても100mの次は200mっておおざっぱ過ぎない?普通なら10m毎に刻んで距離を伸ばしていくと思うんだけど)


「そんな簡単そうに言わないでくださいよ」


『リーネが簡単そうに射ってるからよ』


弓道の所作は使えないけど、ちゃんと弓を安定させたり狙いをつけたりすることは出来るので、ロカには簡単にやってるように見えたみたいです。


その後は100mの的に向かって10本の矢を撃ち、6本は中心に4本は中心の周りに当たりました。

これは矢を撃った私でもびっくりするぐらいの高成績です。


『やっぱり100mは余裕ね、次は200mよ。高さはどれぐらいで狙うつもり?』


次は200mですが、距離が倍だから単純に狙いも倍ってわけにはいきません。

軽い矢でも重力に影響されるし、距離が伸びるとそれだけ射速も落ちるのでそのへんは経験次第でしょう。


「距離が倍なので1mプラス20cm上かな?」


『なるほど、まあ上乗せ分をどう見るかね』


「とりあえず撃ってみます」


あらためて200mの的に向かうと距離があるから狙いをつけるのが難しいです。

なかなか思うように狙いがつけれないので、一度深呼吸をして呼吸を整えてから狙い直すと、狙いが安定したので静かに矢を撃ちました。


「どう?」


『惜しい、的には当たってるけどだいぶ下だね』


私が撃った矢は200mの的の下ギリギリに刺さっていました。


「初めてで的に当たったら上出来ですよ」


もう3cmほど下だったら的から外れていただろうけど、ギリギリでも当たりは当たりなので問題ありません。


『こっちも後10回ほど撃ってみて』


「わかりました」


200mの的も10回撃ってみることになったので、呼吸を乱さないようにして10本の矢を撃つと6本は的に当たり4本は外れました。

6本的に当たったといっても、中心近くには1本しか当たっておらず、それ以外は端っこばかりです。


「この距離は難しいです・・・」


100mと200mでは難易度が雲泥の差です。

10m刻みとまではいわないけど、150mの的があればもう少し練習になったと思わなくもないです。


『1本が中心近くに当たっただけ上出来かな?スキルレベルが上がればもう少しいけると思うけど』


「6本も的に当たったら上出来ですよ~」


まあ、実際には中心近くに当たった1本以外は外れのようなものだから成功率は1割といったところです。


『その弓と矢はストレージに収納して、次は、この【戦乙女の弓】が時空庫に入ってるはずだから手に持つように換装してみて』


ロカはそう言うと、何でできているのかもわからないアーチェリーで使うような弓らしき物を取り出しました。

その弓に弦は張られておらず、パッと見た感じでは弓には見えませんが、ロカが【戦乙女の弓】と言っているので弓なんでしょう。


とにかく、さっきまで使ってた弓と矢をストレージにしまい【戦乙女の弓】をイメージして換装しました。


「ちゃんとありました。これでどうするんですか?」


『今からこれで200mの的を撃ってもらう。高さは気にせず真っ直ぐ狙って』


ロカはそう言いますが弦も矢も無いこの弓でどうやって的を撃つのかわかりません。


「これ弦も矢もありませんけど?」


『そのまま弦を引くイメージで引けば魔力が弦と矢になるよ』


どうやら【戦乙女の弓】は魔力を使う弓のようでイメージすることで弦と矢が現れるようです。


「とりあえずイメージで引けばいいんですね」


そう言って普通に弦を引くイメージで腕を動かすと白く光輝く弦と矢が現れました。

不思議な状態に驚きつつも弦を引き絞り、いっぱいになったところで矢を射るイメージで撃ちます。

すると光輝く矢が真っ直ぐに的に向かって飛んでいき、的に当たると同時に強い光が放たれます。

しばらくして強い光がおさまるとそこに的は存在していませんでした。


「えっ?!」


『どう?【戦乙女の弓】は?』


「的が無くなってます!」


【戦乙女の弓】で撃った矢が的を粉砕したのか、蒸発させたのか理由はわかりませんが、とにかくそこにあったはずの的がきれいさっぱり無くなっていたのです。


『あれぐらい普通よ。矢に属性を持たせればいろんな付加効果も付けられるのよ』


「凄いです!!これ、私が持ってていいんですか!?」


『たぶん素体に紐付けされてると思うからそれはリーネにしか使えないはず。私の持ってるのも私しか使えないし』


これは私専用だそうで私しか使えないようになってるみたいですが、専用武器なんて特別感があってなんとも言えません。


「凄い興奮します!!」


(こんな凄い武器を使っている姿は絶対に格好いいよね!もういろいろと妄想が・・・)


『いや、落ち着いて。次は槍だね』


「はぁ~・・・」


『リーネ、聞いてる?』


「はい!次は流行りですね!」


『聞いてないじゃない・・・』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ