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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第二章 戦乙女として
108/113

108.妹2

ディアを連れて天界に移動した私は個人部屋の中にディアを招き入れました。


個人部屋の中に入ったディアは『リーネお姉様のお部屋』と呟いて嬉しそうにしていますが、部屋の中は私が来た時からほとんど変わっていません。

空いた時間に個人部屋で料理やポーション作成をしていますが、必要な道具や材料はストレージに入れているので部屋の中には置いていませんし、私物と言えるものはほとんどありません。


『リーネお姉様の香り・・・』


私の殺風景な部屋の中に入ってなにが嬉しいのかと思っていると、ディアのそんな呟きが聞こえてきました。


(私の香りって・・・)


まさかディアがそんな反応をするとは思っていなかったのでちょっと驚きましたが、聞こえなかったことにしました。


それよりも、話をするならば飲み物が必要かと思い準備をしていて気がつきましたが、今のディアは魂だけの状態です。

そんな状態で臭いってわかるのでしょうか?

いや、それどころか神界では私に抱きついてきましたよね?


先ほどの呟きから疑問に思った私はディアに質問してみることにしました。


「ディア、あなたは今、身体がない状態だけど、5感があるの?」


私がそう質問すると、ディアはキョトンとしました。


『そう言われてみると不思議ですが、生きていた時となんら違いが感じられません』


どうやら身体が無くても5感は感じられるようです。

ディアが女神様の眷属になるからそうなっているのか、亡くなっても5感が無くならないのかはわかりませんが、とりあえず5感があるようなので飲み物を飲むことも出来そうです。


よく考えると、私が女神様の眷属予定の魂と会うのはこれが初めてなので、そのへんがどうなっているのか知りませんが、気にしたら負けのような気がしたので『そういうもの』と思うことにしました。


「そうなのね」


私はそう言うとディアに緑茶を出し、自分用にコーヒーを準備しました。

なぜ緑茶とコーヒーかというと、私は緑茶かコーヒーしか飲まないので今すぐに準備出来る物が緑茶かコーヒーしかなかったからです。


ディアに緑茶を出し、自分用にコーヒーを準備したところでディアが怖ず怖ずといいます。


『リーネお姉様と同じ物がいいです・・・』


(えっ?)


ディアがそんなことを言うなんて思っていなかったので驚きました。

自分が飲む物を私と同じにしたいなんて、ちょっとかわいらしいと思ってしまいます。


しかし、コーヒーは苦味が強くクセもあるので、飲み慣れていないとおいしく感じられない飲み物です。

ディアがコーヒーを飲んだことがあるのならいいのですが、初めてだとおいしく感じられないと思うので確認しておきましょう。


「これはコーヒーっていう飲み物だけど、ディアは飲んだことがある?」


『いえ、コーヒーという飲み物があることは知っていましたし、興味もあったのですが、機会がなかったので飲んだことはありません』


どうやらコーヒーの存在は知っていて興味もあったが、飲める機会がなかったようです。

コーヒーを飲んだことはないですが、興味はあったようなので、ディアにもコーヒーを出すことにしました。


私はブラック派なので砂糖やミルクは準備していませんでしたが、ディアのためにコーヒーを出して、飲みやすくするために砂糖とミルクを準備して説明します。


「コーヒーは苦味が強い飲み物だから、飲みにくいなら砂糖やミルクを入れるといいわ」


『紅茶みたいな物ですか?』


コーヒーを出して説明するとディアはそう質問してきました。

そう言われてみれば紅茶も砂糖とミルクを入れて飲むこともあるので、ディアが紅茶と同じような飲み物と思うのも仕方がありませんが、コーヒーは香りと苦味を楽しむ物と思っているので、紅茶の感覚で飲むのは難しいと思います。


「飲み方は紅茶に似てるところもあるけど、コーヒーは香りと苦味を楽しむのよ」


そう答えてコーヒーを口にします。


(うん、やっぱり苦くないとコーヒーを飲んでる気がしないわ)


コーヒーをちゃんと楽しむなら、ミルクは入れてもいいけど砂糖は入れないほうが私は好きです。


私がコーヒーを口にしたのを見て、ディアもブラックのまま恐る恐る口にします。


『!!』


コーヒーを口にしたディアは、声には出しませんでしたがかなり苦く感じたようで、眉間にしわを寄せてボソッと呟きます。


『これ、マジックポーションを飲んでるみたいです・・・』


確かにマジックポーションは苦いですが、コーヒーのような香りもないですし、苦味の質が違うので、マジックポーションを飲んでもコーヒーと同じようには感じませんが、ディアは苦いということでマジックポーションと同じに感じたようです。

まあ、コーヒーは嗜好品なので無理に苦いまま飲む必要はありませんし、ディアは砂糖やミルクを入れて飲めばいいと思います。


「砂糖やミルクを入れれば苦味が抑えられるからディアでも飲めると思うわ」


そう言って砂糖とミルクを入れるように促しますが、ディアはコーヒーをジッと見たままで砂糖やミルクを入れようとしません。

どうしたのかな?と思って様子を見ていると、私のことをうかがいつつ聞いてきます。


『リーネお姉様は入れられないのですか?』


どうやら私が砂糖やミルクを入れる様子がないので不思議に思っているようです。


「私はブラック、コーヒーをそのままで飲むほうが好きかな。たまにミルクを入れることはあるけど基本的にはそのままね」


質問にそう答えると、ディアは衝撃を受けたように目を見開いて固まってしまいましたが、しばらくすると『これは試練ですっ』と言ってブラックのままコーヒーを口にしました。

しかし、やはりブラックのままだと飲みにくいようで、眉間にしわを寄せながらチビチビと口をつけていますが、ほとんど減っていないので口をつけた段階からすすんでいないのではないでしょうか。


そんなディアを見て、本当に一生懸命お姉ちゃんの真似をする幼い妹のように思ってしまい、助け舟を出すことにしました。


「今日は長く話をすることになると思うからミルクを入れたほうがいいと思うわ」


そう言って自分のコーヒーにミルクを入れつつディアにもミルクを入れるように促すと、目を輝かせるように私を見てから自分のコーヒーにミルクをダバダバと入れました。


(あ、かなり苦く感じていたみたい・・・)


ディアがミルクを入れる様子を見てそんなことを思ってしまいました。

コーヒーにミルクを入れるとはいっても、私が入れるのはほんの少しなのですが、ディアはかなりの量のミルクを入れたのでカフェオレのような色合いになっています。


大量のミルクで薄めたコーヒーを口にしたディアは少しずつコーヒーを飲み出しましたが、まだ少し眉間にしわを寄せているのでコーヒーは苦手なのだろうと思い、無理はしないように促します。


「コーヒーは嗜好品だから、おいしく感じられないなら無理に飲む必要はないのよ」


私がそう言うと、ディアはキッと私を見てから言います。


『お姉様が飲まれてるからおいしいはずです!』


(それはおいしいと感じていないってことよね?)


今の言い方だとおいしくないと言っているようなものですし、私が飲んでいるからおいしいはずって考えはどうかと思います。

ディアは私のことを信仰していたわけですし、私がすることは全て肯定して受け入れようと思っているのかもしれませんが、コーヒーのような嗜好品まで気にする必要はないと思います。


もしかすると私の妹になるための試練とか思っている可能性もありますが、生前に約束したことはちゃんと守りますし、いまさら妹にしないなんてことは言わないので無理はしないで欲しいのです。


「嗜好品の好みなんて人それぞれだから私に合わせる必要はないのよ?」


私がそう言うと、ディアはプクッと頬を膨らませて言います。


『コーヒーの味が苦手なのはどうでもいいですが、お姉様が飲む物が飲めないのが嫌なんです!』


(えっと・・・)


どうやら私が思っていたよりもディアが私にたいして抱いている想いは強いようでした。


(弟とは違うのよね・・・)


前世の私には弟がいたので自分よりも年下の家族がいることに違和感はなかったのですが、本当の妹として接してくるディアの強い想いに少し困惑してしまいました。

ディアが強い想いで接してくるのが嫌なわけではないのですが、どう対応していいのかがわからないのです。


しかし、ディアの想いが嬉しいのは事実ですし、本当の妹として受け入れることにしたのですから、ここはディアの想いを肯定しておくしかないように思います。


「ディアの気持ちはわかったわ。でも、私はディアに無理はしてほしくないと思っていることも覚えておいてね」


ディアの想いを受け入れるようにそう返すと、ディアは『お姉様っ』と呟いて凄く嬉しそうに目を輝かせました。


(それにしても・・・)


先ほどからディアの言葉使いが砕けてきたように思いますが、私にたいする想いが強くて言葉が乱れたのでしょうか?


「それはそうと、ディア、言葉使いが乱れてない?」


ディアの言葉使いが気になってそう問いかけると、ディアは慌てて取り繕うように言います。


『すみません、リーネお姉様が飲まれているコーヒーが飲めなくて、苛立ちが少し言葉使いに出てしまいました』


ディアの返答を聞いて、私と話す時は言葉使いに気をつけていることがわかりました。

生前のディアは貴族でしたので、今までの話し方が普通なのだと思っていましたが意外とそうではないようですので、これから本当の姉妹になるのですから言葉使いなどは気にせずに普段通りに接して欲しいと思います。


「ディア、私達は本当の姉妹になるんだから普段通りの話し方でかまわないわ。姉妹なのに話し方を気にするなんて私は嫌よ」


ディアに普段通りに話してもらおうと思ってそう言うと、ディアは一瞬びっくりしたような表情をしましたが、すぐに満面の笑顔を浮かべて言います。


『姉様、ありがとう!ちょっと変な言葉使いになることもあるかもですが、これからは話したいように話します!』


言葉使いを気にしなくなった話し方は思っていた以上に砕けていて、これまで私が持っていたディアの固いイメージは払拭されました。


コーヒーのことが発端で言葉使いの話になりましたが、これからディアと深い話をするのですから前もって言葉使いのことがわかって良かったのではないでしょうか。


ニコニコと笑顔で嬉しそうにしているディアを見てそう思いました。

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