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異世界で真実の愛を  作者: ぬっすぃ~
第一章 異世界転生する為に
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10.格闘術

『よ~し、お腹も膨れたし訓練を始めよう。向こうの訓練場に向かうよ』


食堂で食事を終えたロカはそう言って移動し始めたので、私もロカについて訓練場に向かいます。


訓練場は建物が並んでるエリアから少し離れたところにあって、遠くから見た感じだと闘技場って感じの円形の建物です。

ロカについて中に入っていくと、中央スペースの周りには客席があり、どう見ても闘技場にしか見えません。


「ここが訓練場なの?訓練場ってより闘技場って感じがするけど」


『魔法の訓練もあるし他の天使達の訓練を見る事もあるから、闘技場の形はしてるけど名前は訓練場よ。じゃあ何から始める?』


私が思った通り闘技場らしいのですが、名前はあくまで訓練場だそうです。

それにしても訓練を始めるのに何から始めるか聞かれるとは思いませんでした。


こういうのはある程度決まった訓練をする物だと思ってただけに何をするか少し悩みましたが、新しい身体に慣れるためにもやり慣れた動きから始める必要があると思いました。


「う~ん?最初は新しい身体に慣れたいのもあるから合気道の型をやっていっても良いですか?」


なんやかんやで合気道は10年以上やってたし、型の復習は日課にしてたから1番やり慣れてるのが合気道の型だったのです。


『合気道の型?別にいいけど相手って必要?』


「いえ、1人で大丈夫です」


そう答えると合気道の型を初めから一つずつおこなっていきます。


(新しい身体は体幹がしっかりしてるし関節や筋は凄く柔らかい・・・苦手だった型もスムーズに出来る・・・)


『お~それが合気道の型か~相手を想定して動いているのが分かるね。確か護身術だよね?』


「えぇ、合気道は護身術って認識でしたね」


私は型を続けながらそう返答します。


新しい身体は前世の身体よりも圧倒的に柔らかく、それでいて筋肉もしっかりついてるようで、私が思ってる以上にスムーズに動けます。

型を流してるだけなのに身体を動かしてるのが気持ち良くなってきました。


(祖父が亡くなってから鍛練もおろそかになってたけど、この身体なら応用技術もちゃんと出来そう)


基本の型を流していてそう感じた私は、応用技術として習った攻撃技術の動きをおこなっていきます。

基本の型から攻撃技術に移行してしばらくするとロカが声をかけてきます。


『リーネ、ちょっといい?』


「なんですか?」


『合気道って護身術なのよね?』


「えぇ、そうですよ?」


そんな疑問を投げかけられますが、さっきも聞いてたので疑問に思いながらも答えると、さらに質問されます。


『なんで攻撃技術がそんなにあるの?』


今やってた攻撃技術は、合気道の型を応用した攻撃技術として祖父から習っていた物で、私の中では合気道の一部という認識です。

だから、なぜ攻撃技術がそんなにあるのかと聞かれても答えようがありません。


「これは祖父から応用技術として習った物ですので祖父に聞かないと分かりません」


『リーネのおじいさんって変わり者じゃなかった?』


そう答えるとロカは祖父の事をズバリ言い当てましたが、今のやり取りでなんで祖父の事がわかるのか不思議でした。


「なんで分かるんですか?祖父は周りから偏屈爺って言われてました」


「あ~、やっぱり。リーネの取得スキルが護身術じゃなく格闘術なわけだよ』


返事を聞いたロカは納得したようにそう言いましたが、私には意味がわかりません。


「??、どういう事ですか?」


『リーネのおじいさんが教えていたのはこちらの基準だと格闘術だったって事。合気道が格闘術になってたの不思議に思わなかった?』


そんな事を言われてもスキルの事がろくにわかってないから、合気道が格闘術になってても不思議に思うはずがありません。


「そういうものだと思ってました」


そんなやり取りをしつつ合気道の型を一通りやり終えると、ロカが提案してきます。


『一通り終わったみたいだし少し組み手でもしてみる?』


そう提案されますが、祖父の道場は田舎にあった事もあり、組み手は祖父か祐也としかした事がありません。


「組み手ですか?祖父や祐也とならしたことはありますけど同門内でしたから。ロカとやっても上手く動けるかどうか・・・」


不安混じりにそう答えると、ロカは笑顔で軽い感じに言います。


『まあ、軽くお手合わせって感じよ』


「わかりました」


とりあえずやってみようって感じでロカが言うので提案を了承しました。


『初めに言っておくけど、組み手だからって油断しないでね』


(えっ?どういう意味?)


笑顔でそう言われて戸惑っていると、少し離れた場所に自然体で立っているロカは、凄い速さで距離を詰めて右手を振りかざしてきます。


「速っ!」


攻撃してくる速度に驚きながらもなんとか右手をいなしましたが、いなす事しか出来ず後が続きません。

そしていつの間にか右足を払われて仰向けに倒れた私の目の前に、右手を突きつけたロカが笑顔で立っていました。


『油断しないでって言ったでしょ?』


ロカはたのしそうにそう言いますが、想像以上に動きが速かったので油断とかそういう次元ではない気がします。


「油断してませんよ~ロカの動きが想像以上に速かっただけです」


『それが油断なのよ。初めて対峙する敵がどんな速さでどんな動きをするか分からないから、相手の動きや速さに対応出来るだけの心構えが必要よ』


そう思って反論してみますが、ロカの言う事があまりにも正論すぎて納得せざるをえませんでした。


「わかりました・・・」


『直ぐに終わっちゃったからもう一度する?せめて速さには慣れた方がいいけど』


あまりにもあっさりと終わってしまったので組み手を続ける事にしました。

負ける事自体は気にならないけど、せめてもう少し手合わせ出来るようにしたかったのです。


「お願いします」


ロカが言うように速さに慣れようと思って3度ほど組み手をしますが、ロカの動きが速過ぎて全て5手ほどしか手を合わせられませんでした。


「はぁはぁ・・・無理・・・」


速さについていけずに倒された私は、地面に大の字になりながらつぶやきました。


(展開が速すぎて追いつかないよ・・・)


『身体能力と技術を考えればもう少し対応出来るはずだけど、新しい身体じゃまだ無理かな』


ロカはそう言いますが、速さに慣れてないうちからフェイントを入れてくるのはどうかと思います。


「分かってるならもう少し手加減してよ」


『十分手加減したつもりだけど』


「マジですか・・・」


一応、私の実力を考慮して手加減してくれてたみたいですが、組み手なんだからもう少し手加減してくれてもいいんじゃないかと思います。


『少し休憩を入れるわ。なにか飲み物はいる?』


「お茶かなんかで・・・」


『緑茶は無いけど紅茶っぽいのがあるからそれでいい?』


「はい、それでいいです」


『じゃあ、もらって来るから休憩してて』


考えるのも億劫になってそう答えると、ロカはそう言って食堂に向かいました。


「はぁ、ロカってマジで強いんだ。元戦乙女ってだけはあるな~」


ロカの強さに驚きながらしばらく休憩してると、ロカが食堂から戻って来ましたが手ぶらです。


「紅茶は?」


『ストレージの中。重い物をわざわざ手で持ってこないよ』


ストレージってポケットみたいなものなのかと思っていると、ロカは樽と木製のコップを取り出して渡してきます。

樽は高さ30センチぐらいの小さい物だが5リットルは入ってそうでした。

てっきり水筒みたいな物で持ってきてると思ってただけに樽を渡されて困惑します。


「いや、さすがに多過ぎない?」


『必要なだけ飲んで後はストレージにいれておけばいいよ。入れる時はストレージと意識して直す動作をすれば入れれる。出す時はストレージと意識して出す物を思い浮かべ出す動作をすると出せるから』


ストレージの認識が間違っていた事はわかったけど、どうにも現実感が無いので紅茶?を飲んで落ち着く事にします。


「とりあえず紅茶?を飲んでからストレージを使ってみます」


そう言ってもらった紅茶?を飲んでみると、思ったより味が薄く、烏龍茶みたいな感じでした。


(ストレージっ・・・おっ!入った?えっと、ストレージ・・・あ、樽と木製のコップが入ってるわ。樽の中身は表示されない?・・・あっ烏龍茶の樽になった。ある程度は私の認識で表示されるんかな?)


ストレージを使ってみて、驚きながらも仕様を確認しているとロカが声をかけてきます。


『一通り終わったみたいだけど次はどうする?』


次と言われたので前世でしてた薙刀と弓道も試してみたかったのですが、特に気になるのは弓術です。


「槍術と弓術も試したいです・・・特に弓術を・・・」


私は自分の胸を見ながらそう答えました。

合気道の型をしていた時はそれほど気にはなりませんでしたが、組み手をした時に胸が気になって上手く動けなかったのです。


(これって絶対邪魔になるよね・・・)


そんな様子を見たロカは私の気持ちを察したように言います。


『やっぱり胸が気になる?慣れれば問題ないと思うけど。じゃあ弓術からね?』


「それでお願いします」


そんなわけで次は弓術を試す事になりました。

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