1/4
宿命との出会い
君は、運命を信じるだろうか。
僕、梅田松竹は小説家だ。
昨年書いたファンタジー小説『風呂場の妖精』がヒットし、ドラマ化したりアニメ化したりしたのでそれなりに有名だ。
ヒット作を生んだ作家として僕は、いわゆる次回作を期待されていた。
そんなある日のこと、インターホンがなり、僕は出版社の人が次回作の催促に来たのかと思いしぶしぶドアを開けた。
そこにいたのは、見たことのない女の子だった。
綺麗なエメラルド色の目、透き通るような白い肌、そして夜の闇より黒く長い髪。
美しい子だった。
彼女は僕が顔を出すなりこう言った。
「私に、運命をくれ」
訳も分からず突っ立っていると、彼女はため息をついて去ろうとした。
僕は、正直彼女を変な子だと思っていた。
しかし、何かに引っ張られるように彼女に声をかけていた。
「君……名前は?」
彼女は意外そうな顔で振り向いた。
「サダメ……宿命と書いて、サダメと読む」
僕は、この出会いを運命だと信じている。
後にも先にもないだろうというくらい、特別な運命だと—————。