第七話 魔法使いになった俺は念願の魔法学校の生活を満喫した!③
35歳を童貞で迎えるとなるという魔法使いになった俺は魔法を使い
この異世界アーティファに来たのだが元の帰るために始めた戦争で救国の
魔法少女になってしまう。
出来れば早く元の世界に帰りたいのだがそうもいかず、イライラするが
それならば逆にこの世界を満喫する事にした!
さて授業も終わって放課後ですよ。街に出て外食と新しく服を買いに行ってみよう。
なんせ俺のカードは天井知らずに使えるようになっているのです!
イロイとサーシャを誘おうとしたがフォージャイル学園長に書類の作成の手伝いを
させられて抜けられないらしい。魔法の国なのだから魔法でちゃっちゃと片付ければ
良いのにと思いながら外を歩いていると学生が壁に集まり何かを見ている。
近寄って何をしているのか聞くと壁の隙間に子猫が潜り込み出てこれないので
助けようとすると威嚇をしてくるそうだ。
皆子猫などデリケートな者を引きずり出す魔法を知らず、救国の魔法少女である俺に
助けを求めて来た。
俺は口笛で親猫が子猫を呼ぶように吹き、子猫に指先のにおいを嗅がせそれから口を
指で撫でてから顔全体を撫でてやる。子猫が親猫を呼ぶ鳴き声に変わったのを
確認して前足を掴んで引っ張り出す。
オォ~ッとどよめきが上がる。
「凄いどんな魔法なの?」
「これはビーストテイマーの技術?」
などと聞かれるがそうではなく、ただ俺の実家で猫を飼っていてまだ子猫の時から
飼っていたから扱いを知っているのだ。
これは子猫に私が親ですよと言うボディランゲージの様なもので本当に懐くぞ!
「ママーッ」
ん?この子猫今ミーとかじゃなくママって言ったな。ややミーと言う鳴き声に
近いが人間の言葉をしゃべるのは凄くないか?
近くの女の子の学生が俺が何で驚いているかを聞いてきたので言うとそんなの
凄くないよと言う。使い魔にする動物は魔力で知能がかさ上げされ喋れる者が
多いようだ。他の言葉は喋れない様なこの子猫は魔力が少しだけの子猫となる。
でも懐いてくれたし可愛いしどうにか出来ないかと考えているとまた来ました
俺の魔法!子猫の頭に指を当てて魔法を発動する。
【子猫の構造変化による知能上昇と言語能力の取得を行います。】
また抑揚の無い声で説明してくるとあっという間に完了が表示される。
魔法が発動している間微動だにしなかった子猫が俺の顔を見ながら
「ママが喋れるようにしてくれたの?ありがとう、それにさっきも壁に挟まって
る所を助けてくれてありがとう!人間のママはたよりになるニャー。」
周りが静まり返ってから大きい歓声が上がる。
俺と子猫が驚いて居ると周りから握手を求められたりハグされたり大変な事に
なって一通り騒ぐと一人の女の子が前に出て来て子猫を見つめて
「魔力供給の魔法?でも器の小さい猫では魔力を与えても喋れないしこれって
動物を喋らすことが出来る魔法?動物が何を考えているかが分かる魔法は
あるけど喋れる魔法は初めて見たわ。あっ突然喋り出してごめんね、私は
アージェン。魔法開発同好会の会長をやっているのだけれど流石は救国の魔法
少女、何でも出来ちゃうのね。
もし良ければ貴女の魔法について教えて欲しいの。」
アージェンと名乗った女の子は少女の俺の2,3年上のように見え、顔は割と
美人だがソバカスが多く眉間に皺を寄せて考えにふけるオタク気質のようだ。
他にべベラとアミーと言う魔法開発同好会の会員がついてきた。この2人は
日本にもいる垢ぬけた感じの女の子だ。魔法について知りたいようだがそれ
以上に良く喋る子猫が可愛くてしょうがないらしい。
魔法学園の入り口まで話しながら歩き浮遊列車に乗って買い物に行くと
告げると買い物に同行すると言い出した。
アージェンは俺の魔法に興味深々で先ほど使った魔法について詳しく聞いて
来るけど答えられずにいると自分で仮説をたて分からなくなるとまた俺に
聞き、答えられないとまた仮説をたてるの繰り返しだ。
他の二人は自分達の買い物と俺が何を買うのかが知りたいらしい。
浮遊列車に乗っている間ずっと質問攻めで辟易する。
大体どうやって魔法が使われているか本人自身が全く分かってないのに
質問されても答えようがない。それでも浮遊列車を降りた後も質問を続け
店の前まで来てもまだ続いている。
「あれっこの店って高い所じゃない?」
「ブランド物だけ取り扱ってる店よね。私達学生じゃあ一番安いのでも
買えないかも。」
話し続けるアージェンは気付いていないようだがべベラとアミーは知っている
ようだ。そうブランド物の服を買いに来たのだよ!金は大丈夫かって?
「私のカード青天井ですから!」
どよめく三人。戦争に勝って王様からいくらでも使って良いとお墨付きが
出ているのだ。だから遠慮なく使わせてもらうのだ。
元の世界ではブランド物をほとんど持っていなかったし高級店に入った事も
なかった俺だから店に入るのに腰が引けていたが三人もお供がいるから
割と堂々と店に入り買い物が楽しめた。
流石に高いだけあってどれも良い出来で鏡に映った少女の俺にどれも似合って
いて見飽きない。っと結構時間が経っているぞ。
付いてきた三人はアージェンはブツブツ言いながら考え込んでいるが他の
二人は高い商品に興味があるらしい。待たせたのもあるからハンカチなど小物
を三人にプレゼントする。
服などを買った後高級料理店で食事をしようかと考えたがこちらの世界の
食事のマナーを良く知らない。まあ何とかなるだろうと一番高そうな店に
入ろうとすると三人に同時に腕を引かれて止められる。
どうやら自腹でも奢ってもらっても行けない程の店らしい。
では普通の店で奢ると言う事で高級商品店の並びから離れた食堂で夕食をとる。
まだ俺の魔法について質問してくるアージェンに適当に答えていると
「貴方の魔法は途轍もなく凄いのに貴女が自分の魔法に全く関心が無いのが
分からないの!何でなの?」
アージェンは俺の魔法が理解出来ない事よりも俺が俺自身の魔法に無関心である
ある事が理解できなかったらしい。
そこで俺はフォージャイル学園長に調べてもらった事や自分でも調べた事、それ
でもあまりにも異質な俺の魔法は謎でしかなかった事を伝えた。
「そうね、呪文がほとんど要らず考えただけで発動し、こういう魔法があるよと
言ってきて魔法の説明をして後は自動で制御要らずと言うのは前代未聞レベルの
異質さだわ。この世界の魔法は自らが持つ魔力を使って見えない手で物を操る様に
動かす事や魔法物質(見えないが周りにいくらでも存在するらしい)を想像する
物に作り替える事、大きな魔法を使う時は精霊や神様に力を分けてもらって行う物
だけどどうしたら動くかどうしたら形になるか知らないと出来ないし制御する
呪文さえ要らないのは異常だわ。
それに魔法を提供してくるあたりは悪魔契約魔法に近いけど心当たりはない?」
それについては悪魔自身にほとんど会っていないし契約自体していない。それに
悪魔契約魔法は戦争の時に回復魔法を使う事でフォージャイル学園長に完全否定
されている事を伝える。
「うーん全く分からないわ。これが異世界特異魔法なのね。聞いていたよりも
理解できない点が多すぎるわ。」
また自らの思考にのめり込むアージェンをほっておいて子猫と楽しく会話している
ベべラとアミーに使い魔について聞くと
「そんなに興味があるなら実際に会ってみればいいじゃん。」
と簡単に言われて食堂を出て連れて行かれたのが使い魔の専門店。
話がこじれるかもしれないので助けた子猫は荷物の奥で寝てもらう事にした。
中に入るとペットショップと違いケージなどは無く、そこにいる動物ではなく
使い魔はいたるところでくつろいでいた。
羽を毛づくろいしているフクロウがこちらに気づくと挨拶をしてきたり新聞を読む
犬、筋トレしているフェレットなどが目に入る。
店内を周りを見ながらうろついていると
「ようこそおいで下さいました魔法学校の若き魔女たちよ!んっ?貴女はもしや
救国の英雄キキ様では?貴女にお会いできた事にアールシュフォン6世、光栄の至り
であります。」
時代がかかった喋りをするのはここの店員らしいがその姿は服を着た恰幅の良い
猫であった。しかも紳士風に挨拶をしてくる。
「それでどの様な使い魔をご所望でしょうか?このブリドー使い魔斡旋所は
お客様からの要望に名一杯お応えし満足度も国内最高をキープしております!」
「国って言ってもイヴァイタ連合全部じゃなくてレーゲン王国内ね。
うちの国使い魔あんまり良いのが居ないのよね。普通は皆他の国まで行って
探すわ。」
店員の猫アールシュフォン6世が自信満々に言うのを横からアミーが補足する。
アールシュフォン6世を見るとチッと口を鳴らすような顔になっている。
猫でもこんな顔が出来るのに驚かされる。
がこちらに気づくとすぐに営業スマイル(まあこれも普通なら奇妙なのだが)に
戻り
「戦の勝敗を決める空前絶後の一騎打ちとても素晴らしかったです。しかし
相手は手練れの鳥とネズミの使い魔がついてたのに対し、キキ様にはセンスの
よろしくない鳥の使い魔みたいのが居ましたね。
あれはダメですね、役に立っていませんでした。そこで鳥やネズミの天敵にして
ブリドー使い魔斡旋所の出せる逸材を紹介しましょう!これは救国の魔法少女
キキ様だけですよ!」
知らぬが仏とは良く言うが俺の世界とこの世界、両方合わせても確実に怒らせては
行けないトップ10の上位を行くと思われる者を役立たず呼ばわりするとはこの猫
神経が図太いのか馬鹿なのか。
部屋の奥に入っていったアールシュフォン6世を名乗る猫は年季の入った本を持って
戻って来た。そしてその後ろにはまだ成獣になっていない白い猫が正装を着て
付いてきた。手に持つ本は家系図で後ろの猫は甥っ子らしい。
それからは長々と猫の一族の話と甥っ子の素晴らしさを聞かされ辟易した。
「どうです我が甥っ子を雇わない理由がないでしょう?」
自信満々に言うアールシュフォン6世。猫のドヤ顔と言うのもこちらの世界で
始めて見た。いやそんなことよりかなり時間を使ってしまったぞ!アージェン達
3人を向こうから付いてきたにしろ待たせ過ぎは悪いだろ。
見るだけのつもりだったが掘り出し物なら手に入れてみるのも悪くない。
「君名前は?」
「名前はご主人様に付けられるまでありません。」
「じゃあお手、御替わり、回って、起立!うん全部出来たねよし合格!この子を
雇うわ。」
はあっ?何言ってんだオメー、を顔で表現する当たり顔芸のスキルでも持って
いるのではないかと思われるアールシュフォン6世に雇う事を言う。
今までの話を無視された上にペットレベルの判断基準に深くプライドが傷つけ
られて怒っているのかそれとも前代未聞の魔法少女との契約が結べて一族の
経歴に博が着いた事を喜んでいるのか背中を向けて書類作業をするその姿からは
わからない。
だがこれだけは言える!この使い魔の猫は俺が名前を決めれるのだと!
「これからよろしく頼むよ。」
「こっこちらこそよろしくお願いします!ご主人様!」
「わあっあなたも喋れるの?私は人間のママに助けてもらったの。あなたも人間の
ママに飼ってもらうのかニャー?」
荷物の奥に隠していたはずの改造子猫が顔を出し話し出すと凍り付く猫の使い魔。
魔力も無しに子猫が喋れるのはかなり異端だというのがこれだけでわかる。
でも仲良くして欲しいなあ、これからは同じ使い魔として育てていくつもりだし。
その後は何事もスムーズに進み、後は入金が確認され次第正式に猫を使い魔に出来る
のだった。
だったのだがしかし・・・
「うむキキか、ブリドー使い魔斡旋所でキキのカードを使って違法請求がされた様で
ブロックが掛かったぞ。あそこはたいした使い魔が居ないのにとんでもない金額を
吹っ掛けってくるから消費者管理組合から目を付けられておるんじゃ。
使い魔はまた他で探しなさい。
それより子猫を魔力供給無しで喋れるようにしたそうじゃな!そこら辺を詳しく
話してくれぬか?」
名前を付ける夢破れ、アージェンのようにのらりくらりとかわせない地獄の質問
攻めが待っていた。
相変わらず速く書けません。色々試してはいるのですが上手く行かないですね。
スピードアップすると誤字脱字が発生、主語が無くなる、話がはしょられる
など弊害の発生率が大幅に上昇してしまんですよね。
速度と正確さ併せ持って書き進めたいものです。