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第六話 魔法使いになった俺は魔法少女になった!

異世界アーティファに転移の魔法でやって来た俺、鈴木直樹は何故かこの世界に

来てから美少女になってしまう。

嬉しい反面転移の魔法で元の世界に戻れない辛い事になった。

それを打開するには異世界への扉が必要だったが、すぐに使えるはずのイヴァイタ連合

の異世界への扉は破壊されていて使用不可能であった。

そこで腹黒い学園長からヘクトール王国に勝てば異世界への扉の使用権を貰える事を

吹き込まれ、利用されているのが分かっていても戦い、一騎打ちまで持ち込んだ。

これに勝てば元の世界に帰れる!勝てるのか俺?帰れるのか俺?

「何なんだこれ?」


昨夜の襲撃を防いだ後殆ど休む事も無く連れ出され、ついた先の一騎打ち会場に

来た俺が最初に発した言葉だ。

何故なら会場の雰囲気が思っても居ないものだったからである。

会場は一騎打ち専用に造られた施設でテニスの会場に形が一番似ている。

最も観客席が異様に後ろに高く伸び続け、真ん中に魔法球がありその上に

大きな板が4面ある逆台形の浮遊物が浮いている。多分ここに魔法球で

起きている事を表示するのだろう。

ここまでは分かる。理解できる。問題はここからだ。

もう観客が入っているのだが既に出来上がっている人がいる。

その近くを野球の売り子のように背中に酒の入ったサーバを背負い売り

歩いているゴーレムが居れば器用に棒に肉を刺した物を焼きながら

売り歩いているゴーレム、土産品を売っているゴーレムが居た。


「キンキンに冷えた酒あるっすよー」「美味しい美味しい串焼きー

いかがすかー」


何かやたら人間臭い喋り方でゴーレムが物を売っている。

そして更に驚く事に観客席の端と端の画面が見にくい所には店が階段状に

連なりそこでも食い物・飲み物・土産品(ロゴの入ったシャツやキャラクター

グッズ)がこれもゴーレムによって売られていた。

売っているもの以外に託児所(もちろんゴーレムが面倒を見る)まである。


俺としては国の命運を掛ける大事な戦いだから観客もピリピリした空気の中

観戦するものだと思っていたのだ。

しかし現実は違い大人は酒飲んで騒ぎ子供も騒ぎながら観客席を走り回り

元の世界のスポーツ観戦よりマナーが悪いぞ。

良く見ると前の席の方で人だかりがあり俺の名前と相手の名前そして

倍率が書いてある。

・・・これは賭けか。ブックメーカーが居るようだがどうやら人間のようで

ある。

この景色は戦争でもなく一騎打ち会場でもなくスポーツ観戦でもなく

お祭り会場にしか見えなかった。


「驚いた?皆数年に1回位のイベントだからはしゃいじゃっているのよ。」


後から来たフィアナに状況を確認するとそんな答えが返ってきた。


フィアナから聞いた話を要約すると国の陣取り合戦で一部の地域の支配者が

変わってもそこに住む者の待遇が変わる分けでは無いらしく、国民は国家間で

最大のイベントと言う事で盛大に楽しんでいるらしい。


「キキちゃんそろそろ控え室に入りましょ?」


人の目の前で出来上がりやがって!俺も冷えたビールを飲んでおつまみ食って

楽しみたいのに出来ないこの状態でやさぐれていく中、フィアナに抱きしめながら

エスコートされて心は一気にヘブンモード!

ウキウキしながらすぐに付いて行く。


「おおっ来たか、もう大して時間が無いので一騎打ちの説明を始めるぞ。」


控え室は木で出来ているが豪華な造りでロッカーも大きめで飾りが部屋の

あちらこちらにあり部屋の真ん中に大きな木で出来たテーブルが配置されていて

その周りにこれも豪華な造りの木の椅子が並び、その一つに学園長が座って

俺の来るのを待っていた。

他にもイロイとサーシャ、アズメルとフィアナと言う何時もの顔ぶれだ。

それに先ほどから部屋の中を小鳥が飛びまわっている。

この小鳥は戦場で俺が助けた小鳥で名はミミである。

今回も俺が名前をつけるつもりだったが却下され再生の魔女キキの使い魔の

ミミから付ける事を俺以外の多数決で決まった。

懐いてしまい学生寮では飼えないので困っていると学園長の

『使い魔は問題ないので使い魔と言う事で許可する』と鶴の一声で許可された。

今までの3日間は俺の不在中は大人しく待ってくれていたのに今日は

肩に止まって降りないので連れて来てしまった。

飛んでると言えばこの頃は静かに後ろで見ているだけのイーニスが居ないな。

何処にいったのだろう?

そんな事を考えてると学園長が話し始めた。


「まず一騎打ちは本来戦争中に名のある魔法使い・魔女が一対一で戦ったのが

始まりで魔法戦士が死ぬのを防ぐため戦争とは別に試合形式での一騎打ちが

行われるようになったのじゃ。

もっと広い場所で行う実戦形式と魔法球で戦うシュミレート形式の2つがあるが

今回はキキの魔法が強力すぎると言う事で魔法球で行うことになった。

勝敗は至って簡素、相手を魔法を使って無力化、戦えなくする事じゃ。

持ち込んでいいものにマジックアイテム。これは魔力の底上げと魔法を封じ込めた

物などがある。

それと使い魔。自分の魔力を分力する事で戦いのサポートをさせる事が

出来るんじゃ。」


「分力とは何ですか?」


初めて聞く言葉である。


「そう言えばまだ教えていなかったの。分力とは自分の魔力を一時的に貸す

事じゃ。これによって使い魔でも魔法が使えるようになるのじゃ。

勿論人にも使え実力より遥かに強くなる事も出来る。

しかしこれは外部からの支援と言うことで禁止されておる。

ここで難しいのはマジックアイテムとの違いじゃ。

マジックアイテムと効果は殆ど同じで判断は非常に難しい。

じゃが分力は天井が無いので途轍もなく強くなれるんじゃ。

もっともペナルティーがあり、もし分力を受けた者が負けた場合魔力を

預けた者は預けた魔力と同じ力のマジックアイテムを勝った相手側に

渡さなければならぬ。

本来マジックアイテムは魔力を満たし使うと魔力が無くなるのだが

これに使われるマジックアイテムは常時製造者の魔力を使い続けると

言う物で渡した者はマジックアイテムを使われている間分力した魔力分

だけ魔力が弱くなるんじゃ。

じゃからこの頃の一騎打ちでは余り目にしなくなった物じゃ。

それから先程の分力で触れたが外部からの支援は一切禁止じゃ。

もっとも皆その位の不正はよくやるので誰が見てもおかしいと思える

程酷くなければ事実上許可されておる。

これまでが基本的なルールでこれからは心得じゃ。

心得とは法的罰則などは無いが行った方が良い事じゃ。

まず正々堂々戦うこと。

汚い言葉の使用は許可されているが使わず卑怯な行動もとらない事。

優雅にそして美しく戦う事も必要じゃろう。

そして何より大切なのが最初の名乗り上げじゃ。いかに強く美しいかを

印象付けるかはここで決まるからの!」


「どう言った事をするのですか?」


「まず自分の名を言い相手を倒す強い意志を表明するんじゃ。使って良い

言葉と言い回しが決まった中で上手く表現するんじゃ。

わしも名乗り上げをした事があるが中々高揚するものじゃった。」


「学園長も一騎打ちをした事があるのですか?」


「実際ならわしが勝っていたのに妖精に邪魔されて散々じゃったわい。

嫌な事をまた思い出してしもうたわ。この事は忘れてくれ。」


話し終えてから学園長がジェスチャーで分かったか?と問いかけてきたので

頷く。実際大体分かった。妖精が働いているのも分かった。

夢の中でDが言っていた不正とはこの分力だろう。

相手がどういう風に不正をするかは分からないがこれはDに対処してもらおう。

後は魔法で相手を叩きのめせば良いのだが優雅に美しくとか

荒事の反対に位置する事をやれとか滅茶苦茶なオーダーだな。

オホホホホッと笑いながらマジカルステッキで相手を叩きのめすのか?

優雅さはあるかもしれないが狂気が99パーセントを占めている。


「理解できたようじゃが体調の方は良いか?昨日は殆ど寝ておらんかった

じゃろ?何なら少し休憩を入れてから始めるよう要求してくるが?」


実は皆には昨日は殆ど寝れなかったと言ってしまっていました!

だってしょうがないでしょ?

『実は皆が寝ずに頑張って見張りしていたのに夢まで見てぐっすり寝てました!』

何て口が裂けても言えないよ!

・・・!相手も俺が寝ていないと考えているのだから逆手に取って

休憩は取らずに相手を油断させる事が出来るな。


「大丈夫ですよ学園長。戦いたくてウズウズして眠気なんて感じませんよ」


「おおっ若い者は頼もしいのう。先の戦のあの魔法も使うのかの?

くくくっ相手が可哀想に思えるほどの強さじゃわい。」


確かに劣勢になるとは考えにくいけどその時はDTモードを発動すれば

確実に勝てるだろう。

でも俺としては俺自身の魔法なのに分からない事が多い中で特に分からない

この魔法の様な物は使いたくは無いのだが。

ここは心得に有った様に正々堂々戦うか。


「じゃーそろそろ始まるから一騎打ち用の衣装に着替えましょう。

お姉さんも着替えを頑張って手伝っちゃうわよ。」


「あっ私も手伝います!この日の為にキキの衣装選びをしたのですから!」


「うむっワシ等は応援席に行っているのでフィアナとサーシャよ着替えを

手伝ったらキキを魔法戦士入場口まで連れてきておくれ。」


サーシャがウキウキしながら『私が選んだ衣装から一番良いのを選びましょ』と

言ってきたがあのフリフリとリボンだらけのパステルカラー全開の

服だよな?マジで勘弁して欲しい。


「前代未聞の魔法少女なんだから美しく可愛いのが良いわねー」


フィアナまで恐ろしい事を言う。

二人に前後を挟まれて歩いているので逃げることも出来ない。

嫌な汗が出てきた。


その後の俺は案の定抵抗出来ずにされるがままだった。

俺は恐怖と恥ずかしさで生まれたての子羊のように震えていたのだろう。

そう俺は女装なんて恥ずかしくて出来ないんだよ!ましてや女の子の

目の前で出来る訳ないんだよ。

何時もは鏡の前で鏡の中の俺が着替えていると自分に言い聞かせて

やっているから出来ていただけだ。

衣装を選ぶ時もシックな黒の衣装を選び『これにする。』と言っても

小鳥がささやく声ほども喋れずフィアナに

『うん?これはやめてこっちのスカートの短いのが良いの?キキちゃん

大胆だわー。でもお姉ーさんこういう服のセンスは良いと思うの』

簡単に選択肢を外されどんどん選びたくない方に選択肢が動いていく。

結果絵に描いたような魔法少女になりました!

無駄に多いフリフリとリボン、パステルカラーで短めのスカートと

言う非常にステレオタイプな格好だ。

今にもぶっ倒れそうなほど恥ずかしさで朦朧としている。

子供二人にいい様にされるとは何たる屈辱!


「ほら鏡で確認してみて。」


怒りと屈辱と恥ずかしさでおかしくなりそうになった時、フィアナが魔法で

姿見を造り出し見るよう促してきた。

・・・ふむっ悪くないな。

思っていたより黒髪にパステルカラーが合っている。

しかもフリフリだらけだが胸の部分が大きめに開いていていて

幼さと大人の魅力が矛盾無く醸し出されている。

後ろを向いて確認すると背中の部分が大きく開いていているのを

長い髪の毛で隠され淫靡さを演出しているが周りのフリフリと

リボンが中和している。

下を見れば細い足なのにニーハイソックスの上に肉のりしている!

スカートとニーハイソックスの間の絶対空間が俺を狂わせる。

この格好は良い!食わず嫌いではないが着ないで駄目と決め付けるのは

浅はかだった。

足を踏み出し腕を前に出してポーズを決める。

細い腕からチラ見せする腋、そして白く長めの首筋。

スラリと伸びた足と短く広がったスカートが堪らない。

やはり良いなーっ鏡の中の俺は最高に可愛い。


「凄く気に入ってくれたみたいで選んだ甲斐がありました!」


サーシャのその一言で我に帰る俺。

やってしまった!みんなの前で何時ものように悦に浸ってしまった。

どうしよう、このままでは変態ナルシストだと思われてしまう!


「私が見ても惚れ惚れするわー。キキちゃん最高よ!」


「本当にキキは可愛いです。絶対似合うと思っていました。」


ええっ?意外な反応に少し固まる。いやっこれで良いのだろう。

服が似合っていてつい浮かれる事ぐらいあるのだろう。

そう多少浮かれるのはしょうがない事だ。

だよね?

ナルシストがばれないうちに逃げようと出て行こうとするとフィアナに

腕を掴まれ、ばれたか!と思っていると紙を渡された。


「あと名乗り上げがあるからこれを見て喋ってね。」


どうやらカンペの様な物みたいだ。冷や冷やしたが、ありがたく頂いて

入場口に向かった。


「来たか、そろそろ魔法戦士入場じゃ。いや魔法少女か。

相手の驚く顔が容易に想像出来るわい。

そう言えば相手のテティアなる魔女はヘクトール王国の魔法戦士番付に

名前が無かったようじゃ。この手の突然に現れるタイプの魔法戦士は

特殊な魔法を使うから相手の出方を良く見てから戦うんじゃ。

良いな?」


昨日の暗殺者もそうだが特殊魔法と言うのはかなり厄介なものらしい。

確かに次から次えと面倒くさい!

いや俺の異世界特異魔法も特殊魔法に入るみたいだから人の事をどうこう

言えないな。

人のこと言えないと言えばイヴァイタ連合国家の番付にも俺の名前が

無かったんだよな?

皆が知らない間に強くなる。もしくは入学すると言う事はないだろうか。

っと言うことは相手も魔法少女か?

学園長に確認しよう。


「それは無いのう。確かに短期間で魔力が途轍もなく上がるのは

一定の時期の少女にしか起きぬ。

がしかし公表で2000前後と言われていたから純粋に魔力だけでの

強さで炎竜のラディーネに勝つには2倍近く上がらんといかん。

今までそれ程の伸びを見せるのは希じゃ。

更に魔力が上がってもそれに相応しい戦い方が出来なければ一騎打ちには

勝てんぞ。

特殊魔法を極めたベテランの魔女か魔法使いだろうの。」


んーっ何となく相手も女の子だと思えるんだけど・・・これが予感と言う

ヤツではないか?

俺が本当に大成する魔法使いならば当たるはずだが。


「ヘクトール王国とイヴァイタ連合国家の紳士淑女の皆様、これより

第19780回国家間合意一騎打ちを行います。

イヴァイタ連合国家からは彗星の如く現れあの伝説の暗殺者モサデグを

退けた最強と名高い幼い魔女、いいえ長い一騎打ちの歴史でもほとんど

見られない魔法少女、それが異世界から来た魔法少女キキだ!」


学園長に入場口から入るよう催促され門を抜けて会場に出る。

会場中が耳が痛くなるほどの歓声に溢れ俺に視線が集まっている。

パレードの時も恥ずかしかったが今回は如何にも魔法少女と言わんばかりな

格好で恥ずかしさのメーターが振り切ったのかぎこちなくでも手が

振れた。

でも下を見ると恥ずかしいが丁度良い具合に観客席の位置が高いので観客を

見る事で回避できた。

35歳の童貞には途轍もなく厳しい仕打ちだ。(童貞でなくとも厳しいか)


「続いてヘクトール王国からはあの炎竜のラディーネを一騎打ちで倒した

とても希少な人狼の魔女、いや今まで存在さえしなかった人狼の魔法少女

テティアだ!」


会場にまた割れんばかりの歓声が響き対戦相手が姿を現した。

その姿は人狼と言われただけあって獣の耳と尻尾が有り年齢は俺の体と

同じ位で普通の服に毛皮を纏った姿であった。

どうやら俺は大成する事が確定してかなり魔力を持った敵を相手にする事も

確定した。学園長の話もあるがこれで特殊魔法を使われたらヤバい

かもしれない。

その学園長を見るとこれ以上開かないと思える程口と目を開いていた。

怖い上に気色悪いわ!


「両選手魔法球前で名乗り上げをしてから魔法球に触れて下さい。」


魔法球に近づいて行くと当たり前だが相手のテティアも近づいてくる。

近くに行ってテティアがかなりの美少女である事が分かった。

まあもっとも鏡の中の俺は好きだが俺はロリコンではないのでどうでもいい。

気の強そうな顔立ちに不敵な笑みを浮かべている。


「よう、お初目にかかるぜ異世界から来たキキさんよ。あたいは人狼族の

酋長オーブルの娘にして巫女のテティアって言うんだよろしくな。

突然で悪いけどお前あたいに勝ちを譲ってくれねえか?

勿論タダとは言わないぜ。お前は元の世界に帰りたいのだろ?

ヘクトール王国の異世界への扉の使用権をあたいが取ってお前に貸してやるわ。

手ぶらも何だから欲しい物を持てる限り持たせてやるよ。

どうだ?お前にとって悪い話じゃないだろ?」


名乗り上げをしてくるのかと思ったら、相手の方からこんな取引を申し

出て来て驚いた。

確かに元の世界に帰るのが最大の目的だからなー。足元を見られている感じだ。


「それから魔力に自信があるみたいだけれど本当に使いこなせているのか?

あたいは完全に使いこなせているから強いぞ?

そこの強欲な学園長先生と違いあたいには英知と聡明さを持つ魔法使いの師匠が

ついて居る。無理して戦わなくても良いんだぜ?」


畳みかけてくる。年の割にずいぶん交渉は上手いようだ。

どう答えるかかなり重要と思えるので考える。

しかし周りを見ると飲んだくれたおっさんが『早く始めろー』とか野次を

飛ばしている。俺はそちら側で酒をあおりたいんだよ!

何かバカバカしくなってそれでいいかと考え出すと後ろから突き刺さる

視線が!振り向くと目を血走らせた学園長が首を横にブンブン振っている。

恐怖映像並みの怖さである。

学園長を見ていると上の方を見慣れた生物と言うか妖精のイーニスが

飛んで来た。


「妖精の女王様から伝言よ。キキはこの世界に呼ばれて来たのだから

何もしないで帰るのはダメだって。

ちゃんと戦って勝敗をつけないとダメなんだって。

大体私は貴女の勝利に賭けちゃったんだからね!勝ってもらわないと

困るのよ!」


妖精の女王の言いたい事はゲームなどの流れ的にはイベントは全てこなせと

言う事だろうか。

しかしそれより問題なのはイーニスだ。手に持っているのは屋台でくすねて

きた飴だけでお金とか賭ける物は一切持っていない。

・・・そう言えば妖精は情報を交換したりするんだよな。


「イーニスさん賭けたって何を賭けたのですか?」


「そこの賭けをやってる所に大勢仲間が居て良い情報を一杯持っていたから

賭けて来たの。

キキの真名。」


ブーーーッやっぱりそう来たか。さっきから居ないと思ったら予想屋の所に

居たのか。

学園長が何とかするって言っていたけど何ともなっていないよ!

どーすんだこれ?あれっ学園長が居ない?いやセコンドの席で我関せず

と言った感じにこちらに気づいていない。

これで棄権すると言う安直な方法は取れなくなった。

替わりに何時でもDTモードを起せるほどの怒りゲージが溜まったようだが。


「答えは決まったかい?」


テティアが問いかけて来たので即答で拒否する。

するとテティアは烈火のごとく怒りだした。


「お前は良いよな。異世界に来て高魔力と強力な魔法を使ってやりたい

放題やって富と名声を集めたらこの世界からおさらばか?

私には重大な使命があるんだよ!そんな遊び半分の生半可な気持ちで一騎打ち

だなんて笑わせるんじゃねえよ!

大事な事だからこちらからは譲歩したつもりだったけどお前はそれを蹴った!

良いぜ見ていろよ。魔法球の中でも凄惨な痛みを感じる事を教えてやる!

先に名乗り上げをさせてもらうぜ!」


言い終わると手を突き上げるポーズをとり


「あたいは酋長オーブルの娘にして巫女のテティア、史上初めてのケモノミミ

魔法少女!

キュートな耳とシッポは可愛さの証、鋭い牙は強さの証、野生の力でお前を

倒す!」


喋りながら腰を振ったり猫のポーズをとったり、やたらと媚を振りまくポーズを

する。それを会場は大きな歓声で応える。

嫌な汗が出て来た。テティアに恐れたのではなく、俺自身が似た事をしなければ

いけないかもしれない事に気づいたからだ。

先程フィアナにもらったカンペを見ると卒倒するような内容が書かれていた。

・・・どうしよう名乗り上げ無しにして戦おうかな。せめて鏡があればなー。

そう考えた瞬間目の前に大きな鏡が出現し、上にいくつもの照明が出現して

俺を照らし、横と下に光を反射させるレフ版みたいのまで出て来た。

これならいける!


「私はキキ、異世界よりやって来た愛の化身の魔法少女。強き魔力は守る人々を

救うため、仇名す敵を懲らしめるため、ラブリーチャーミープリティーに

絶対撃破してあげる!」


決まった。やはり鏡の中の俺は最高に可愛いな。今夜鏡に向かってもう一度

やっていみよう。割れんばかりの歓声が無視できるほど俺としては鏡の中の

俺に見惚れてしまった。


その後テティアは怒ったまま反対側に行ってしまった。

痛めつけられるのは絶対反対な上に女の子を攻撃するのも気が引けるな。

何で最初の話だけで解決出来なかったのかくよくよ考えていると審判が

寄って来て持ち物などの身体チェックを始める。


「持ち物は杖と箒だけでよろしいですか?他にマジックアイテムや使い魔は

ありませんか?」


「ここに居るぞ。」


審判の問いに答えたのはペットのミミであった。

・・・?いや違うミミは話す事が出来ないし何よりその姿が変だ。

ミミは綺麗な緑に黄色のラインが入りお腹が白い姿をしていたが、そのミミに

似た何かは黒に赤いラインが入りお腹にDの文字があった。

間違いなくDだ。

しかし配色センスもなんだが腹にDとかどうなんだろう。

見た目を直してくると言ったがDの元々のセンスが壊滅的である事が分かった。

それに何故ミミの姿をしているのか謎であった。


「遅れて申し訳ない。見ての通りミミの体を借りてきた。

やはり生きた物の方が依り代としては安定していて使いやすい。

しかしこの世界と我々の世界の魔法は細部に違いが多く変換に時間が

掛かってしまったのだ。

それで分かったのは相手が反則レベルの行為、この世界で言う分力なのだが

無効化出来ない事が判明した。私の膨大な魔法についての情報をもってしても

解析出来なかったのだ。

ちなみに相手は分力によってきーさんよりも魔力が上になっている。

私もこのミミの体に載せれるだけの魔力を載せてみたがそれで同程度の

魔力にまで近づける事が出来た程度だ。

これで私が助太刀したのが分かっただろ?異常なレベルの反則だ。

獣人の少女の後ろ盾になっている者は余程魔法に詳しいと見える。

どうにしろ全力を出しても勝てるか分からない相手だ。一切手加減は無しで

行こう。」


また長い説明的な話をするが、Dが何とかしてくれると言う手筈じゃなかったの?

それについて聞くと


「私の本体をこの場に顕現させ力を貸している者を特定し止めさせる事も出来る。

しかしそれを行うと利権の問題からこの世界の神とこの地域を支配している神など

複数の神や悪魔などと戦う事になるな。

まあ私に勝てる者など居ないからやってもいいのだがね。フッハハハッ」


笑いながらとんでもない事を言い出すD。分かった、だから止めてくれ!


「話し合いは終わりましたか?対戦者も待っているので魔法球に手を置いて

下さい。」


Dと話していたら審判に注意されてしまった。最悪な状態だがやるしかない!

意を決して魔法球に手を触れる。


「大丈夫、出来る限りサポートするから大船に乗ったつもりでいてくれ。」


Dが肩に留まりながら言う。前にもそんな事言っていたよな?

結構ポンコツだなと考えながら意識が魔法球の中に入っていく。


魔法球の中に現れたのは枯れた木が生えているだけの荒廃した土地だった。

箒に乗って上から見ても何も無く、俺の強力な破壊魔法を使うには

打って付けの場所に見える。

その何もない荒野の上に一条の光が差し、その光の中に審判とテティアが

箒に乗って飛んでいる。審判がこちらに手招きをしているから行ってみる。


「二人ともよろしいですか?それでは一騎打ち始め!」


俺が審判とテティアの所に行くと一騎打ちはすぐに始まった。

取り合えず相手の戦い方が分からないので距離をとり陶器製の杖でビームを

撃って様子を見る。

これをテティアはまるで木の葉のように舞うだけで全てのビーム攻撃をかわした。

避けながら飛んでいるのではなく、飛んでいるついでに箒を振っている感じだ。

余りの綺麗な避け方に見惚れてしまったが、これは俺の攻撃を先読みしている

のではないか?と思わせる動きだ。

こちらを見る分けでもなく飛んでくるビームを見ている訳でもでもない。

一体どんな魔法を使っているんだ?・・・あっこれ魔法の一騎打ちだったんだよね。


「強力だけど単調な攻撃だな、欠伸が出るぜ。攻撃とはこうやってやるんだよ!」


避けているだけのテティアが攻撃に転じてきた。

空中に氷の塊を出すとそれをこちらに向かって飛ばしてくる。

ビームとは違い速いが避けれない程ではない。

何だ同じじゃないかと高を括ったら、近づいてきた氷が弾け周りに四散し、一部が

当たり服が破けた。


「少し手を加えただけの魔法も避けられないってのか?って言うか防御障壁さえ

だせないのか?街をいくつも吹き飛ばす強力な魔法は使えてもこの程度の魔法も

避けれないなんてな。情けないぜ。」


はーっと『素人が来ちゃったよー』と言わんばかりなため息を付きながら

言われ、血管がぶ千切れる程頭に来たが次の言葉で冷静にならざるおえなかった。


「こんな初歩的な攻撃を食らうとはお前本当に素人だな。正直な感想お前は

担がれているんだよ、学園長さんに。少し話をしようぜ。」


何を馬鹿な!このマセガキが!と瞬間的に怒りの沸点が上がるが、言われてみれば

心当たりのある発言に気を取られ、なお且つ技術で負けていて魔力でも負けている

らしいからこのまま戦うより話を聞いた方が良いだろうと結論が出る。

肩に止まっているDは何も言わない。好きにしろと言う事か?

箒を静止状態にしているテティアの近くに箒を近づける。

最も信用した訳ではないので少し離れて向き合うようにする。


「良かったぜ、お前が名誉欲や物欲の塊の考えなしのバカじゃなくて。

少なくとも話が通じる理性と思考があってなによりだ。

さっきはお初目と言ったが強大な魔力がレーゲン王国の首都付近に

現れたのを知ってからお前を監視していたからあたいは知っていた。

他にもお前を調べに行ったスパイや使い魔が居たがあたいがが一番上手く調べていた

のは間違いねーな。

これらはあたいの使い魔のチッチとデーム、見てのとおりの鳥とネズミの使い魔だ。

心当たりがあるだろ?」


肩に乗せた鳥とネズミがお辞儀をする。

鳥とネズミ!魔法学園に侵入して来たネズミと逃走を助けた鳥か。


「そうよ、トーディ魔法学園に侵入したのはあたいの使い魔よ。

お前には話を聞いて欲しいから隠さず話す。最初はレーゲン王国の都庁に来ると

思って見張らせていて、お前が予測とおり来たからずっと付けさせていた。

本来なら使い魔の同時多数使役は難しいとされているけど獣人族のあたいには

獣操術のスキルが元々あるから朝飯前なんだぜ。」


「そうです、テティアお嬢様は才能の塊なればこの位は簡単に出来てしないます!」


「お嬢は天才ーっ、俺達はどこまでもついてくだけさ!」


テティアのスキルの説明にテティアを褒めちぎる合いの手を入れる使い魔達。


「スキルの事は置いておいてお前が魔力1万以上でなお且つ強力な爆破魔法を

使う事が出来る事は調べた上で対策も十分にとっていた分けだ。

爆破魔法に対抗する防御系の魔法を用意しているし、魔力もマジックアイテムと

分力で2万までかさ上げしているんだぜ。

はっきり言ってお前に勝ち目はねーぜ。」


魔力2万!?元々2千位しかなかったと言う事は1万8千もかさ上げして

いるのか?先ほどの学園長の話からは有り得ないだろ?


「そんなに魔力を分けてくれる者が居る分けないだろ?」


「普通に考えれば当然な疑問だな。だがこれが一番重要な事なんだよ。

ここからは心して聞けよ?。

あたいが住むヘクトール王国亜人自治区は妖精や獣人など人ではない者が

住む事を決められた場所だ。

自治区内では皆仲良く共存して来たが人からの差別は酷かったぜ。

あたい達魔法が使えない獣人は馬鹿にされ、エルフなど高い魔力と強い

魔法が使える物は恐怖の対象だった。

でも人に接しないで生きれば良いだけだから今までは問題無かったんだ。

問題はエルフの数が減った頃から出始めたのさ。

この戦争の切っ掛けの一つに帝国に魔王を封じる人材の補給を他国に課した

事で、国を動かす動力源と言って良い魔法使いの取り合いがあるだろ?。

この帝国からの人材の要求は昔からで、忌み嫌われていたエルフは

最初に連れで行かれたって分けだ。

皆高い魔力を持っていたがそれが仇となりかなりの人数のエルフが帝国に

連れて行かれたのさ。

ゴーレムなど使えないあたい達は生産性が高くないのに人と同じ税の支払いを

求められて困窮してたんだわ。

エルフも高魔力所持者から連れて行かれるから残った者は魔力の低い者だけ

が残って、良くて大体魔力300ぐらいだ。それでエルフの長は憂いて居たわけさ。

そんな中獣人では有り得ない高魔力を持つようになったあたいに注目が集まり

エルフと獣人の間で話し合いをしたのさ。

その結果戦争にあたいが出て勝利する事で自治区から連れで行かれたエルフを

皆戻す請求を国に出す事が決められたんだ。

これが通ればエルフの高い魔力で生産性が上がり、あたい達獣人は重労働から解放

され、エルフは交配相手が増え、魔力の高い子孫が増やせるようになるって寸法さ。

言わばこの戦いにはあたい達の未来が掛かっているんだ。

だから帝国に連れて行かれたエルフまで分力やマジックアイテムの提出を

惜しみなく出してくれた分けさ。

もう分かっただろ?あたいには周りの皆の未来が掛かっているんだ!

お前の様に失う物が無い物見遊山で来ている魔法もロクに使えない異世界人とは

立場が違うんだよ。

もう一度言うぜ。今棄権してくれたら先ほど言った様に異世界への扉の使用権と

持てる限りのお土産も渡す。

ここまで譲歩するのはお前の魔法が異質過ぎてなお且つ魔力が高いからだ。

どんな魔法が出るか予想が出来ねえ。

どうだ、ここまで内情を晒して話したのだから皆の為に今度は棄権してくれ!

嫌だと言うなら地獄の責め苦を味わう事になるぜ?」


話を聞けば可哀そうな話であり、間違った話ではない。

最も物見遊山だの魔法もロクに使えないだのカチンと来る所は多いが。

取り合えずこの話に乗ってしまっていいんじゃないの?と軽く考える。

だって他にこだわらなきゃいけない事は無いよな?・・・あった。

妖精の女王の意見と真名について聞いてみる。

聞いた時点で相手のペースに持っていかれているのは癪だがしょうがない。


「大丈夫だ、あたいの魔法の師匠なら話を付けてくれるさ。それと真名については

国を通して禁止の制約を書かせる事になるからこれを国に請求するリストの

上位に持って行くと異世界への扉の使用権が難しくなるな。

だが大丈夫、まずお前にヘクトール王国に来てもらって一緒に戦えば

全て問題無く片付くぜ!

本当に大丈夫だって!前代未聞の高魔力所持者いや、魔法少女2人なら何でも叶うに

決まってるって!」


やたら大丈夫を連呼するあたりそれなりに長い人生経験が危険である事を

警告してくる。

だがこのままだと学園長の悪の野望に付いていく事になるだけだし

やはり簡単に考えてこの話に乗ってしまっていいんじゃないの?

と言う考えが頭の大半を占め始めた時


・・・崇高なる我をロクデナシ?・・・物見遊山の遊び人?・・・失う物が無い?

・・・不快だ・・・下劣な獣が・・・身の程を知らせてやる!


突然何処からか声が聞こえ、言いようの無い怒りが込み上げてくる。

それと同時に

[DTモード起動!DTモード起動!DTモード起動!DTモード起動!DTモード起動!]

魔法の声?でDTモードが発動をした事を知らせて来た。


!!!どうなっているんだ!勝手に魔法が発動した?何だこの声!

困惑していると目の前で話していたテティアが険しい顔をして離れて行く。


「それがお前の答えか。良いぜ、叩き潰してやる!精々泣きながら後悔しろよ」


あーっ勝手に発動した魔法を俺がとった敵対行為ととられた様でテティアは

臨戦態勢に入ってしまった。

その間にまた空間に暗い穴が出来てそこからファンネルの様な陶器製の杖が

無数に繰り出してきた。

そして先手を取ったのは無数の杖でビームを一斉発射した後に一糸乱れぬ

連携でビームを打ち、避けて出来た隙をビームソードで切り付ける。

その猛攻をテティアは見もせずに避け、使い魔2匹がそれでもかわし切れない

攻撃を氷の塊を出現させ盾に使って防御する。

こちらの攻撃に隙が出来ると見逃さずに反転攻勢に出てきた。

極大な氷の柱を飛ばしてくる力業から破裂する氷を近くに瞬間移動させてくるなど

トリッキーな技まで攻撃の種類は多いが、その攻撃は何重にも張り巡らされた

ビームシールドにものの見事に阻止されている。

俺自身は何もせず、出て来た杖達が独自に戦うのを見ているだけで

かなり手持ち無沙汰である。

そう言えば前回は髪から漏れる魔力が赤色になっているのを見ていなかったんだ

よな。炎の様に揺らめく赤であるのを見て黒髪に赤も合うかも!などと考えた

その後に、前回はDTモードの制御が利かなくて髪など確認する場合では無かった

事を思い出す。

・・・では何で今回は大丈夫なのだ?制御出来るようになったのか?

ちょっとした異変に戸惑っていると


「きーさん髪を見たり考え込んだり戦いに集中していないのか?」


肩に止まっているDに話し掛けられた。注意の為である事は間違いないだろう。

確かに全自動だからってこの行動は無いなと思い、謝ろうとすると


「見ろ、問題無い。偉大なる私は見ているだけで良いのだ。

クククッ無知なケダモノは惨めに狩られて己が分をわきまえるだろう。」


俺の喋ろうとした事と違う内容の言葉を発していた。

何故?何故なんだ?この状況に頭がついて行かず混乱状態になるがそれでも

Dに話し掛ける。


「おっ俺は何て言った?」


我ながらお粗末な質問である。だが自らの意思で話せた為安堵する。

俺の慌てぶりと話の内容に凍り付くDだったが少し考え込んで


「きーさんこの魔法をすぐに止めろ、やはり異常だ。誰かの作意を感じる。」


誰かの作意を感じる・・・Dの言った事は俺も前々から感じていたが

魔法に人格があったり思考があったりするのはかなりのレアケースらしい

から手を付けずに来たが、今回はこれを何とか解決したい。

解決と言っても使い方を全部知って使いこなす、と言う物ではなく取り合えず

魔法のオン/オフ位の操作だ。


だが今の状況はこちらが優勢で、今DTモードを止めたら先ほどみたいに逆に

俺が圧倒的に劣勢になるだろう。

どうしたものかと戦いを眺めていると使い魔のネズミが姿勢を崩し防御に

穴が開くと待ってましたとビームが四方八方からネズミを打ち抜き、更に

広がった防御の穴をビームサーベル状になった杖が一気に突撃し、鳥の

使い魔もろ共テティアを姿が見えなくなるまで刺し貫いた。

ビームサーベルの光で見えなくて良かった程残酷な倒し方だな、結局は

言った本人が痛い負け方してるじゃん!などとのほほーんと勝利を感じて

いるが何も反応が無い。普通勝ったら審判とかが出て来て判定出さないのか?


何かモヤっとした気持ちでいると地面の方から地鳴りがし出し、地上と俺の

間を何重にもビームバリアーが張られる。

更に杖が何本も近寄って来たかと思うと凄い力で乗っている箒ごと横に

吹き飛ばされたのである。

!何?魔法の謀反ですか!と思ったら大きな音と共に地面から氷の柱が勢い

良く伸びて来てビームバリアを全てぶち破り、俺が今まで居た所に

そそり立っていた。


「ふんっ惜かったぜ。あたいを倒したと思って油断してたんだろ?残念、先ほども

言いったがあたいは獣操術で何匹もの使い魔を操る事が出来んだよ。

倒したと思ったあたいは猫の使い魔キャンディだったって分けよ。

それからあたいの話を聞いてくれてありがとうよ。

話に乗ってくれればそれで手間が省けた。そうでなくてもこれだけの時間掛け

させてもらったから十分に強力な魔法が完成したんだ。

もうお前に勝ち目は無いけど許さないぜ?」


何処からか聞こえるテティアの声が言い終わる前に何本もの氷の柱が伸びて来て

それをなんとか避ける。

その後地鳴りが大きくなり地面を割って途轍もなく大きい氷の塊が出て来た。

でかい!見える地面の殆どが消え、氷の塊になったように見える。

そこにまだ止めていなかったDTモードの召喚された陶器製の杖がビームの

雨を降らす。

しかし表面を溶かすだけで殆ど効いていない感じだ。

それを理解したのか杖が集まり束になると形を変え、巨大な銃身の様な形に

なると今度は極太のビームを撃ち出す。

今度は先ほどよりも大きくえぐれる様に溶けてそれなりに効いている様に見える。

効いた事が分かると更に杖を召喚し巨大な銃身をいくつも空中に作り出す。

だがテティアも黙ってやられてくれるわけが無く黒い氷の塊を巨大な銃身に

飛ばしてくる。

それを空中で極太ビームで迎撃する。すると大量の蒸気と共に銀色の粉が周りに

飛び散った。

構わず極太ビームを連射するとその銀色の粉が舞っている辺りでビームが拡散

してしまい、氷の所まで届かなかった。

!これってビームは鏡状の物に反射されると言う空想科学上の設定だよな?

相手はこれを知っていたのか?

俺の魔法はそれでもかなりの数になった巨大な銃身から極太ビームを乱射する。

今度は相手側が氷の塊で迎撃し、銀色の粉を飛び散らかせて極太ビームを無効化

してしまった。

ここで驚いたのはビームが効かなかった事を理解し、この粉に俺の魔法が対策をした

事である。銃身の形が変わりレールガンに姿を変えたのだ。

そしてレールガンを乱射する。

分厚い蒸気とレールガンの発射音でどうなっているか良く分からないがこれなら

かなりのダメージを与えているだろう。


・・・結果全く効いていなかった。先ほどのビームの対策に驚かされたが

レールガンも見事に対策がなされていた。

巨大な氷の柱をレールガンに向かって伸ばし、弾丸を氷を割る事で威力を削ぎ

氷のある一辺を残し周りを固くする事で固くない所に弾丸が誘導され、氷の塊の

中心部から反れてしまう。氷が金属の様な光沢を見せている事から氷を金属で

強化しているから出来る事なのだろう。


しかし困った。自分で考えて戦うお利口な俺の魔法を止めてしまうと俺が

このとんでもなく全ての攻撃を対応してくる敵と戦わなくてはいけなくなってしまう。

今でもこちらが劣勢なのに止めれないだろ?


「おいっ見ろ!きーさんの魔法今度は楕円形の物を造り出しているぞ。

それから大量の放射能が漏れている。やばいな核兵器だ。」


「まさかここで核爆発を起こすのか?」


「今までの行動パターンから巨大な氷を巨大な熱で溶かすと言う考えに至ったからだろう。

だがこの核爆破の魔法はきーさんがこちらに来て使った最初の強力な魔法だろ?

相手は確実に対処してくるのは目に見えている。

このままでは敵を倒す前に私達がやられてしまうだろう。

早く魔法を止めるか避難する場所を確保した方が良い。

・・・どうなるか予測が出来ない今、最善を尽くすか?私は敵を倒す方法を

見つけてくるから後はきーさんで何とかしていてくれ!」


言い終えると真っ直ぐ上の方に向かって飛んで行ってしまうD。

Dにそう言われても優勢の時ならまだ止めていたが劣勢の今止めたら確実に

負け決定だろ?

取り合えず魔法を止めなければ俺が吹き飛ばされる。時間も無いので考え付いた

事を実行する。


「魔法よ止まれ!」


・・・全く反応がありません!

ならば実力行使だ!ビームを製造中の楕円形の核爆弾に向かって放つ!

簡単にビームバリアで弾かれました!


「はははっお前自分の魔法も制御出来てないのか?お供には逃げられ

魔法は暴走、とんだ残念さんだな。」


テティアのあざ笑う声が何処からか聞こえる。

Dの事は良いとして魔法の方はぐうの音も出ない程にその通りなのが腹立たしい!

なるべく汚い言葉は使わないようにしてきたがもう限界だ!


「おいっ俺の糞魔法!俺の言うとおりに止まれ!それとも俺に歯向かう気か?

良いだろう。だったらてめーのような○○○○は○○○だ!もういらねーよ。

Dに魔力を分けてもらってそれで戦う。お前は用無しだ!」


自分ではかなり辛辣な事を言ったつもりだが反応は・・・

核爆弾の製造が止まっている!やった!やりましたよと思っていると

何と言うべきか周りの空気と言うか空間から

[そんな!][何で?][頑張っているのに]と言う感情のような物が伝わって来て

気づけばDTモードは止まっていた。

止める事が出来た半面強力な魔法が完成している敵と俺が戦うハメになった。

下にある巨大な氷の塊を見る。これだけでも十分に強力なんだと分かるが

氷の周りに白い煙のような物が地面を這うように進み、通った後は地面が凍り

付いているのだ。

伸びてくる氷の柱にぶつかってもダメ、逃げ回っても白い冷気が増えてきたら

それに当たってもダメ。

ダメだ。完全に相手のペース、と言うか完成した魔法に包囲されて何時でも

俺を倒せる状態なのだ。

もうおしまいか?と考えているとDからの声が頭にダイレクトに聞こえ、ある

魔法を使う事を言われる。


「これなら勝てる!」


声に出して喜ぶと急いで氷の柱の届かない所まで上昇する。そして魔法発動。


「オーメルメルメフィムトリドリンタルアファームメティルグ。ツバールグ

ムティムティエキゾルダームシルンー」

(おー天に座する神よ、その偉大なる杖を打ち振るって我が敵を貫き倒したまえ!)


知らない呪文が勝手口から淀み無く出てくる。

今まであまり呪文など使わずに魔法が発動していたのに。と言うか科学やエセ科学を

再現する魔法に神は無いだろ?

また混乱する事になったが魔法は自動である物を創り出す。


「また高速で固い物質をぶつけてくるだけ魔法かよ?少しは学習した方が

良いんじゃねーの?」


テティアが何処からか馬鹿にしてくるが軽く聞き流す。何故ならこの魔法、

神の錫杖はレールガンで飛ばす硬度の高い物質を更に多い量を使い細長い棒状に

した上で軌道上から重力で加速を付けて落とし、そこから更にジェットエンジンで

加速して地面を深く穿つアメリカが持っているかもしれない兵器であり

多分今考えられる中でこの状況に最も適した武器だ。これならやれる!

でも何だか眠くなって来た。これは魔力切れのサインか?だとするとこの一撃に

賭けるしかない。


「それはどうかな?」


聞こえているか分からないがテティアに向かって可能な限り格好をつけて言いながら

目標の氷の中心部に向かって神の錫杖を打ち込む。

激しい音と衝撃がかなり上空に飛んでいる俺の所まで伝わってくる。

土煙でよく見えないがこれはやっただろう・・・先程も同じ事を考えてよな俺は。


「へへっ思ったよりやるじゃねーか。予想外の破壊力に正直ビビったぜ。

後何回か打ち込まれたらヤバかっただろうな。

だが残念、もう魔力切れだろ?諦めてとっととやられちまいな!」


予想外に倒しきれなかった。終わったと思った時


「果たしてそうかな?」


「D!」


頭上からDが降りて来て肩にとまるとグングン力が湧いてきて眠気が無くなった。

これは魔力が回復したのか?


「遅れて悪かった。時間はかかったが魔法球の外との魔力のリンクが完全に出来る

ようになった。どうだ、魔力が回復しただろ?私に触れていれば外の私の本体から

魔力の供給を受け続けられる。

後は何をするか分るよな?」


「言われなくても!」


氷の塊の中心部めがけて神の錫杖を連打する。

数十発の連打は轟音と衝撃波を発生させ周りを土煙で何も見えなくさせる。


「そこまで!勝者はイヴァイタ連合国家代表選手キキ!これにて試合終了」


周りが見えずどうなっているか分からないでいると審判のアナウンスが響き

精神が魔法球からはじき出されて熱狂的な声援の中に立っていた。


「よくやったぞキキよ!一時はどうなるかと冷や冷やしたが良くやった!」


「おめでとーキキちゃん。魔力の使い過ぎで疲れていない?」


「凄いよキキ!前代未聞の大勝負だったよ。」


「お疲れ様でキキ。私は絶対に勝つと思って安心して見てましたよ。」


皆が駆け寄り一斉に話し掛けてくる。学園長には肩を何度も叩かれ、イロイと

サーシャには両手を握られてブンブン振られ、フィアナには後ろから抱き着かれて

大変な状態だった。アズメルは少し離れて手を叩いている。


「いやー負けちまったぜ。お前結構やるじゃないか。さっきは酷い事を言って

悪かったな。仲直りに握手でもしないか?」


皆から揉みくちゃになるまで祝福されてる時に以外にもテティアから仲直りの

申し出がありこころよく握手に応えようとするとDが口ばしで俺を突いて

止めに入った。


「待てきーさん。その娘は相手から目を離さず瞬きが速く回数が多い。

声は平素を装っているが声に振動が多すぎる。そして差し出した右手ではない

左手は何かを掴む仕草をしている。

間違い無くきーさんを殺す気だ。握手をして体を引き寄せ、腰の短刀で首を

掻き切るつもりだ。魔法の様な予備動作が無い上に密接していれば魔法障壁は

出せず助けに入るのも難しい。試合前から考えていた必殺の行動だろう。

なあきーさん、私に良い考えがあるのだが実行してみないか?」


かなり物騒な事を言われ気が動転したがDの提案は確実にして安全な事から

すぐに採用、行動に移す。


「テティアさん、私の世界では勝負が終わった後互いに物を贈って相手を称え

たりするんだ。良かったら仲直りも兼ねてこれを受け取ってくれるかな?」


差し出したのは魔法で作ったサイバーパンク全開な首飾り。いや首輪だ。

テティアはかなり警戒したが魔法が掛かっていない、それに仲直りを兼ねた

相手を称える贈り物を断れば握手が出来ない事を考えてか微妙な表情で

首輪を付けた。


「悪いがこちらにはそう言った慣例は無いからもらうだけにするぜ。

さあ気を取り直して握手しようぜ。」


再び手を差し出してくる。


「いや気にしないでいいよ。こちらにも本当はそんな慣例は無いからね。

今付けてもらった殺意に反応して首を切断するその機械を付けてもらう

だけの方便だったからさ。」


手を突き出したまま凍り付くテティア。


「ついでに言っておくけどその首輪に魔法を掛けようとしたり無理に外そうと

しても作動するよ。こんな感じに。」


もう一つ作っていた首輪を見せ、その中にスイカに似た果物を入れ機械を

作動させる。2本の赤く熱したワイヤーが出て来てスイカの様な果物を

音も無く切断する。

それを見たテティアは恐怖が込み上げて来たのか首をブンブン横に振って

へたり込んでしまった。


うん?股間の辺りに水たまりが出来ているぞ。・・・これはお漏らしか!

美少女の獣人のお漏らしとくればマニア垂涎のシチュエーションだろうが

俺は鏡の中の俺しか興味が無いのでどうでもいい。


「安心してくれ。そちらが何もしてこなければ大丈夫さ。

それにテティアが、いや亜人自治区の皆が抱えている問題を私が処理出来る

かもしれない。」


今度はこちら側から手を差し出しながら言ってみる。


「今あたいはお前を殺そうとしていたのに、圧倒的にそちらが優位なのに

あたい達を助けるって言うのか?何を考えているんだお前は!」


「別に下心も裏も無いよ。ただ試合中に聞いた話を普通の感性を持った人なら

助けたくなるのが人情だろ?分力で常識を超えた強さになった君を私は倒した

のだから魔力だけはあるからね。

私の力と君の力、二人の前代未聞の魔法少女の力があれば問題無いさ。」


テティアは少し放心したような顔でいたが喜びと希望に満ちた晴れやかな

顔で俺の差し出した手を握って来た。


「まだ信じられないけどよろしく頼むぜ!」


「安心してくれて大丈夫だよ。この後は・・・えっ?おおいっD良く聞こえ

ないぞもう一度言って。

ゴホンッこの後の事は私が片付けるから君の周りの方を説得して回って

欲しいんだ。」


「・・・お前何言っているんだ?てか誰と話しているんだ?」


テティアはさっきまでとは一転して胡散臭そうな目で俺を見ている。

その懐疑的な表情を見てDの方針が変わり、かなり強硬な態度になった。


「君は人を殺す事も選択肢に入れていたのだから泥水をすする覚悟が

あったのだろ?ならば多少の苦労も問題ないしそんな些細な事は気にしなくて

良いのではないか?

しかし安心して欲しい。先ほども言ったが問題はこちらで全て片付けられる。

君は君の仲間達を説得してくれさえすれば良い。

簡単だろ?」


「問題を片付けるって実際にはどういう事をするんだよ?」


「君が言っていたようにエルフの帰還と自治権の強化を要請する。」


「そんな事してお前らが得するのか?異世界への扉の使用権を請求しづらく

なるし大体お前の国が許さないだろ?」


「それについては問題ない。まず国からの許可はある事で国の弱み(暗殺に

来た事)を握っているし学園長はある事を話せば喜んで許可するだろう。

異世界の扉の使用権は後回しに・・・って後回しって何だよ?どういう事

だよD!」


[まあまあ慌てるなきーさん、大丈夫だから任せておけ]とDは言うが一番大事な

事だろ!と心の中で叫ばずにはいられない。

取り合えず気を取り直してDの言う事を話す。


「やはりただの善意と言う物を人間は警戒するのものだな。では腹を割って

話すが君の魔法の師匠であるエルフ達を助ける事で貸しをつくり魔法についての

情報を引き出したいのさ。これで納得出来たかな?」


今度は俺を値踏みするような目で見るが合点が行ったのか握手の手を強く

握り返してきた。


「なるほどお前は、いやお前に助言しているヤツは頭が良いんだな。

それならこちらも歓迎だ。仲良くやろうぜ魔法少女の姉妹!」


テティアは肩をバンバン叩きながら笑っているが俺は対照的に勝ったはずなのに

得る物が得られない不快感でかなり渋い顔をしているのだろう。


「何と素晴らしい戦い!そして美しい友情!実に、実に素晴らしい!」


如何にも魔法使いです!と言わんばかりな黒ずくめの男が手を振りながら

近づいてくる。俺とテティアの顔を無遠慮に観察しながらだ。

テティアの顔が険しくなる。


「帝国の人攫いが何の用だ!」


「人攫いとは人聞きが悪い。私はインブロフ帝国人事管理官のモーダンと

言い正しい手続きの上で高魔力所持者を帝国に招いているのですよ。

それより何と素晴らしい戦いだったでしょうか!初の魔法少女対決に有り

得ない程の高魔力の今まで見た事の無い超魔法!心が躍るとはまさにこの事

ですな。是非帝国でその力を奮ってもらいたいものですな。」


「言っておくが成人にならないうちは魔女も魔法使いも連れていく事は出来ない

んだぜ、知ってんだろ?」


テティアがモーダンと名乗った男を睨みつけながら言った。


「知っていますとも。だから今はその様な事は口にしません。そして数年経てば

貴女達が優先的に帝国に来る事も知っていますよ。

でももしかしたら近いうちに帝国に来る事になるかもしれません。

では御機嫌よう。」


言うと踵を返し観客席、いや迎賓席の方に歩いて行ってしまった。

一体何がしたいんだ?

入れ替わりに司会進行役の男がやって来て「今の心境は?」とありふれて

事を聞いてきたので、こちらも試合前に考えていた謙虚だがありふれた事を

言って返した。


観客席から湧き上がる歓声。今までに見た事も無い景色に胸が詰まる。

他人事の様に戦ってきたがこんなに感情を揺さぶられるのか。


などと考えていたら司会進行役の男がいつの間にかに迎賓席からお立ち台に

上っているイヴァイタ連合国家主席とヘクトール王国国王にインタビューを

していた。

そしてついにイヴァイタ連合国家主席はお決まりの賛辞をすると俺に何を望むか

聞いてきた。

ここでDがまた突いてきて


「勝った事で取られた領土は戻り学生も連れて行かれずにすんだ。これらは元の

状態に戻っただけだから要求する事ではない。

先程言ったエルフの帰還と亜人自治区の自治権の強化を要求するんだ。

きーさんは異世界への扉の事が気になってしょうがないらしいがこれは

他の方法で解決できそうだから後回しにしよう。」


「ちょっと待て!また異世界への扉を後回しにするのか?そんなの方便だろ?

俺は元の世界に帰りたいんだよ!」


「そう考えるのは仕方ない。後で話そうとしたのだがヘクトール王国の異世界への

扉も破壊されていた。

何故そんな事を知っているかと言うときーさんを元の世界に戻る事を私も望んで

いて、イヴァイタ連合国家の異世界への扉を修理するため他の国の異世界への扉を

丸ごとコピーする事を思いついたのだ。

それでヘクトール王国の異世界への扉を見てみると元の形が分からない程壊されて

いたのさ。インブロフ帝国にも行ってみたが高魔力の神魔の類に反応する結界を

張られていて感知されずに侵入する事が出来なかったのだ。

私が手が出せない魔法、強力と言う分けでもないのに作りが複雑で知らない技術が

ふんだんに使われている魔法。魔法球でも同じ魔法をみた。

それと違いヘクトール王国の感知系に排除系の魔法は簡単に突破できた。

それで私は確信したのだ。高度な魔法知識を持っている者が居る事を。

最初はインブロフ帝国内の者と思っていたがエルフの魔法と分かったのは

対戦相手のテティア譲の魔法を見てからだった。

きーさん本当に元の世界に戻りたいのならエルフに助力してもらうのが

賢明だろう。いやそれしか考え付かない。」


Dの長い説明では使えるはずの異世界への扉は壊されていて、元の世界に戻るため

にはまず異世界の扉を修理できるかもしれないエルフに助けを求めるのが先だと

言う事だ。

一難去ってまた一難とはこの事か?大体誰だよ異世界への扉を壊した馬鹿は!


「きっ君大丈夫かね?」


忘れてたが優勝の品をもらうとこだったんだ。

俺に話し掛けて来たイヴァイタ連合国家主席は当たり前だがかなり偉いみたい

だが、険しい表情をする高魔力所持者に気圧されされてか慎重に話掛けて来た。

表情をほぐしてDの言ったとおりにする。


「私個人としては元の世界に戻るため異世界への扉の使用権を求めたいですが

求めません。国の事を思えば領土や魔法使いや魔女の見習いを求めるのが筋ですが

それも求めません。

何故なら試合中にテティアさんの切実な思いを聞いてしまったからに他なりません。

私はヘクトール王国の亜人自治区の自治権の強化とそれにともなう帝国に連れて

行かれたエルフの帰還を要求します!」


会場が静まり返る。間違えたかなと考え出した時に会場が割れんばかりの歓声が

上がった。


「何と言う慈しみの心!」

「自己を犠牲にしてまで相手を思いやる優しさ!」

「心清く優しい魔法少女キキに幸あれ!」


会場全てがスタンディングオベーションで俺を称えている。

盛大な勘違いである。が、手を振って応える。ぐるぐる回りながら手を振る。

心の中ではまた手間が増えたよ、と考えていたが俺の人生であるとは思えなかった

祝福の嵐に感動し、後に溜まった事を忘れて声援に応え続けた。


追加修正を繰り返していたら文章的にも時間的にもながくなってしまいました。

長い文章とは読みづらいものですから次からは出来る限り短く分けて書くつもりです。

今回で前半が終わったのでこれからやっと後半に入れます。

引き続き読んで頂けるとありがたいです。

それから感想なども頂けたらとてもありがたいです。


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