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第三話 魔法使いになった俺はナルシストな変態になった

35歳の誕生日を迎えた日俺は魔法使いになった。魔法を使ってやってきた世界

アーティファ、そこで元の世界に戻るために戦争に参加する事になった。

魔法訓練の最中に童貞魔法と言うチート過ぎる強力な魔法が発動する。

俺は無事に元の世界に戻れるのだろうか?

フォージャイル学園長の研究室で魔法球を使って仮想戦争訓練をし疲れてきたな

と思い外を見るとだいぶ日が傾いてきた。


「今日はこの辺で止めておこう。キキは服や生活用品をまだ揃えておらんだろ?

役所からキキに情報端末紙が贈られていたので渡しておく。これで買い物が出来

るんじゃが使い方は2人に聞いておくれ。ワシはキキの見せてくれた魔法を再現

してみようと思うから魔法球を使う。緊急の用があったら建物のゴーレムに呼び

出しを命じてくれ。

それからキキには学生寮に住んでもらうからゴーレムに手配させておく。キキは

我々の隠し球じゃ、他の生徒となるべく接しないようにしとくれ。」


こちらの世界に来て成り行きで戦争に参加する事になりなお且つ戦争用の魔法の

勉強と訓練をすると言うハードスケジュールをこなし精神的に疲れて寝たいのだ

が、何も持っていないのも確かだ。無理してでも買いに行きたいのだが寝ていた

い。しかし目の前の真の敵が心を折りにくる。


「私が付いていくから大丈夫ですよ!部屋も服もカワイイ系でコーディネートし

ましょう。キキはクールな感じですがこれからは女の子として生活していくので

すからカワイイは外せませんね。全てカワイイ系で統一しましょう!」


これで寝ているから買ってきてなどと言う選択肢は消え、自ら進んで女性用下着

(しかも子供用)を買いに行かなければいけない認めたくない事実が残る。

おっと待った、何処かに行こうとするイロイの肩を掴む。


「下着とかも買いに行くんでしょ?僕は付いていかないほうが良いよね?」


逃がさんよ?俺1人では暴走するサーシャは止められそうにない。


「下着以外にも買う物があるから意見を聞かせて欲しいんだ。是非付いてきて

くれ。」


俺の顔をジッと見てから


「人の体に触れた状態で強く意識すると考えている事が伝わるんだ。分かったよ

付いていった方が良さそうだね。」


魔法の世界は色んな法則があってややこしいな。ついでにイロイ有難う。後で

何か礼をさせて貰うよ。

心の中で礼を言う。


「別にいいよ、僕も街に予定があったから付いていくだけさ。普段なら箒に乗って

出かけるんだけど買った荷物が多くなりそうだから浮遊自動車に乗って行こう。

今呼んで来るから待っていて。」


浮遊自動車?あの黒くて四角い空を飛ぶ物体か?イロイが何処かに行ってしまった

のでサーシャに聞いてみるとやはりあの物体らしく、電車とバスとタクシーを合わ

せた感じに使われているようで路線から少し離れていても来てくれるらしい。


「すぐに来てくれるそうだから急いで行こう。」


戻っていたイロイに急かされて学園の入り口に行くとあの物体が地面から少し浮く

状態で待っていた。やはり正面に顔があり目がこちらに向いて気持ち悪い。

中に入ると木で出来た電車のような内観で落ち着いた感じが良い。


「ここに情報端末紙を当てて。降りる時も情報端末紙を当てるとお金を払った事に

なるんだ。」


イロイが壁から出っ張った光る部分を指差して説明する。

聞いてみると情報端末紙は買い物以外に公共機関などの支払いも全て出来てこれ

だけで高度な機能と高度な社会構造が分かる。


浮遊自動車はある程度浮上してから走り出す。飛んでいる浮遊感は無く、音のし

ない電車のようでかなり快適であった。速度は電車より多少速い程度で窓の外の

流れる景色も綺麗で良い。

景色に目を奪われていると気付けば街の中心部に来ており、塔の形をした駅に着く所

だった。他にも浮遊自動車が飛んでいて各階の突き出た所に停まりそこで人が乗り降り

をするようで、俺達の乗った浮遊自動車も塔の中腹辺りに停まりそこから降りた。

そこにはエレベーターと棒を中心に螺旋階段があった。しかし良く見ると螺旋階段は

回りながら上に行く物と下に行く物がありどう言う作りかは分からないがエスカレー

ターになっていた。

2人はエレベーターの方が速いと言って来たが珍しいのでエスカレーターで降りていく

ことにした。エスカレーターから外の景色が見えて他にも幾つか似たような塔のような

駅が見え、下に大きなショッピングモールが見える(この場合駅ビルになるのだろうか?)

下に着くとさあ買い物か!と思ったら少し歩き街の中心部から少し離れた商店街で買い物と

言う事になった。2人が言うにはこちらの方が安くて実用的・可愛い物が多いとの事。


付いて行った先は地方都市に多い屋根のあるアーケード商店街で映画の○○○横丁とは似て

無いが道幅が5~6メートルで屋根の下に2階があり、直に2階に上がる階段や奥に伸びる

階段、2階にあるのに入り口が道路に面した所しかなく看板と商品を並べているどうやって

行くんだ?と思わせる店、屋根に写る動く広告、暗い店内に七色に輝く商品を置く店など

独特な雰囲気を持つ場所だった。

生活用品や学園で必要な物はイロイの意見を中心にサクッと買ってしまう。サーシャの可愛

い物は一切聞き流す。

しかし凝った商品が多くて買うのに迷ってしまった。例えば時計は微かに光りながら時刻を

表示し、背景に景色が現れたり人の手が数字を変えていくなどアニメーションを写し出し

触るとその日のニュースや気温などを表示して元の世界でも出来そうな事を幻想的に

表現していてどれも何時までも見飽きない商品だらけだったのだ。

それからフィギュアが売っているのだけれど細かい部分まで作り込んでいるけど全て陶器の

ような素材で出来ていた。艶かしい脚線美でつい買ってしまいそうになるが肝心なパンツが

作り込んでいない!胴体から足が突然生えている作りだ。

じっくり吟味しているとフィギュアの向こうでイーニスが睨んでいる。

これも良くない行いなのか?とりあえず「良い仕事は見えない所も造りこむものだから」

と誤魔化し、何故パンツが無いのかイロイに確認すると美の表現はOKだけれど性的なのは

一切アウトだそうな。胸も上の方は見えているし目なんか驚くほど綺麗に出来ているので

買って行こうかと思ったがこの子供の見た目でしかも学生寮にフィギュアを並べて置くのは

ダメだろ?と思い泣く泣く断念した。

後驚いたのは店員はほとんど居らず買いたい商品に持ってきた情報端末紙を触れさせるだけで

清算が済み面倒な箱詰め袋詰めはゴーレムが行ってくれた。


俺は髪は短い方だったので長くなった髪が気になってしょうがなく、床屋か美容院は無いかを

聞くとあるけど使わない方が良いと言う。何故かを聞くと魔力所持者の髪自体が呪具として

使え取引されたり悪用されたりするからだそうだ。この辺にある床屋や美容室は一般人用の

所で髪の毛の扱いが雑なので魔法学園の生徒は学園内に用意してある所で髪を切るらしい。

魔法使い・魔女専用の店は結構あるそうだが髪の毛の取り扱いが難しいため常連客のみの

店が普通で一見さんお断りが当たり前だそうだ。

じゃあ学園に帰って髪を切ってもらおうかと言うと今学生は軍事工場に学徒動員されていて

戻ってきてから3時間のみ開店してるから混んでいてとても待たなくてはいけないとの事。

サーシャがリボンで可愛く髪の毛を纏めると言って来たがこのままで良いと却下する。


そして難関の服。まず下着だがこの世界のブラジャーとパンツは元の世界の物とほとんど

違わない物と思われる。

店員は居らずゴーレムが商品説明や体のサイズを調べ、どれが良いかなど分からないので

こればかりはサーシャに頼む。大喜びで商品を漁り出したサーシャは色取り取りの下着を

大量に持ってきた。顔が引きつるが我慢する。

服はイロイが知っている範囲の学園の女の子の無難な服を選ぶ。もっともスカートは避けら

れず買ったがスカートの丈が日本の女子高生のスカートかそれ以上に短い。

しかしこれも歯を食いしばって我慢する。

最後に一騎打ち時の戦闘用の正装は地味な見た目でも動き易そうな服を選んだ。

ここでサーシャがピンクとフリルとリボンが多い服を持ってきて猛プッシュをしてきた。

俺はニッコリ笑って受け取る。着なければどうと言うことは無い!

俺は結構無駄に歳をとってしまったと思っていたがこの忍耐力。童貞であっても少し自分を

見直す。


最後に夕食の時間になったのでイロイお勧めのアーケードの2階の食堂で食事をとる。

サラダとパンとスープ、この辺りでは一般的な食事らしい。お勧めだけあって他の世界から

きた俺でも美味しく食べられた。

そして会計は俺が支払う。この位はしないと大人の男としてのプライドが許さない。

ええっ分かってますよ糞小さいプライドだって。でもやらずにはいられない。

考えてみたら先ほど後で礼をするとも言ったしな。


荷物が多くなってしまったがイロイが気を利かせて浮遊自動車を使う事を勧めて

くれていた事で楽に運べた。

学園に付くと早速学生寮に行く。入り口には学生寮を管理していると思われるゴーレ

ムが待っていて部屋に案内してくれた。ここで寮の違うイロイと別れサーシャと俺で

荷物を運び案内された部屋につく。

学生が居ないか気にしながらの移動だったが軍事工場から帰ってきて食堂で夕食を

とっている事が分かり問題無く荷物を運べた。


それではサーシャに出て行ってもらって気が進まないがお着替えタイム。

今のダブダブの異世界転移用の服では目立つし格好悪い。だからと言って女性用の

服を着る趣味もない。先程から考え続けてきたが答えが出ない。

ならばとりあえず真っ裸になってみよう!

買って来た姿見の鏡を壁に掛けその前に裸で立ってみる。裸の少女が仁王立ちで

立っている姿が見える。改めて見てもかなりの美少女だ。自分で言うのもなんだが

と言うより元の世界の男の俺とは顔の造りが全く違い、線が細く顔も小さい美人

タイプの顔だ。体は全体的に細身で手足は細く長い。それに歳に合わない大きな胸、

触ってみると張りがあり大きいのに乳首は上を向いている。

体を捻って尻を見ると小さくも無く大きくも無く形は整っていてエロさを感じる良い

尻だ。そして股間を見ると毛が生えていない。いわゆるパイパンだ。胸が大きいのに

毛が生えていないのは変だろ?と思って股間を詳しく調べようとすると


「鏡に映った自分を見て顔を赤くするなんてキキは野外露出オナニー好きでなお且つ

自己性愛者なの?」


いきなり上から声を掛けられビックリした。イーニスまだ居たんだ。


「高魔力所持者は大体変な性癖を持ってるそうだけどそう言うのは困るの。前にも

言ったけど懲罰の妖精部屋送りになっちゃうわよ?」


「いやチョッと待って欲しい!」


変な誤解をしているイーニスを手で制し俺達の話を聞いていたなら俺が元の世界で

男だった事も知っているはずで、その事を踏まえて変態さんではなくあくまでも

体を調べていることを伝えた。

そんなのおかしい、もっと説明しろと言ってくるイーニスに説明するのは構わない

けど他の妖精にはまだ話さないで欲しいと釘を打つ。

不満全開のイーニスに体が変った謎が解けるまでだと話し代わりに元居た世界の話を

後でゆっくり話す事で不満を治めてもらう。


気を取り直して服を着ることにする。まずは下着だ。サーシャが選んで買ってきた

パンツでまともそうなのを吟味していると


「じゃあ男だったのに女性用の服を着るの?そういう趣味なの?」


またイーニスが話し掛けて来る。こちらも恥ずかしいけど恥を忍んで服を着ようと

してるのにイーニスが邪魔して服が着れなくなったらイーニスのせいにするぞと怒っ

たらばつが悪そうに「少し離れているからお好きにどうぞ。」と消えた。


ふーっ流石に着替える気が失せた。立っている気力も無くなり床に胡坐をかくように

座る。うな垂れて下を見てまだ裸で居たことに今更気付く。立ち上がろうと前を見ると

股間の割れ目が少し開いた美少女が鏡に映っていた。

頭では俺自身だと分かっていても性欲が暴走して無くなったナニを握ろうとし、それが

叶わないのなら写真を撮って後でオナろうと裸のまま買って来た荷物を漁るがそんな物

は無い。

少し冷静さが戻ってきて愕然とした。自分の裸でオナろうとした事では無く、少女の

裸に興奮した事でも無くオナニーの事しか考えていない自分自身にである。

もし美少女が股を見せてくれるという美味しいシチュエーションになっても性交すると

いう選択肢が無くオナニーに走る俺自身に愕然とした。

これが魔法使いの呪いなのだろうか?

マジで少し泣く。


泣いた事で冷静さが完全に戻ってくると急にとんでもなく良いアイデアが思いついた。

荷物の中の制服っぽい服を選び下着と太ももの途中まであるストッキングを取り出すと

なるべく鏡を見て着替える。俺自身に着替えているのは俺ではなく目の前の女の子だと

心で言い聞かせながら。

そして着替え完了!目の前に絶対領域を持った美少女が完成する。そのままの状態で

絶対領域を堪能し見飽きるとスカートを捲る。更に後ろに向き前屈みになりながら

鏡を見る。更に更に鏡に向かいハイキックをしてみる。

今まで感じたことの無い快感と興奮、今ならエロオヤジといくら罵られても構わない

心境だ。人間として無くしてはならない大事な物をいくつも捨てて変な快楽を手にして

しまった。

しかし後悔は全く無い!我が人生に一瞥の悔い無し状態である。

だってほら美少女がパンツを惜し気も無く見せてくれるよ?服の前を開いて胸を見せて

くれたりこちらに向かってキスしようとしてるよ?

は~っ頭が蕩けそうだ~っ


「ねえキキはやっぱり自己性愛者じゃないの?そういう自慰行為はやってはダメなの。」


ん~っイーニスか、まだ居たんだ。


「先ほど話したけど俺は男でこの体を」

「それは知っているの、今の行為はどう見ても確認じゃないよね?完全にアウトーッ

懲罰の妖精部屋に行って改心してきてね♪」


一瞬にして目の前がブラックアウトし何処に居るか分からなくなると目の前が突然明るく

なる。俺の背よりかなり高い所に三人の老いた妖精がスポットライトを受けて座ってい

るのが見えた。


「ここに来てしまいましたね異世界転移者キキよ、私の名はゴディービア、他の2人は

イプサイスとローミガ、貴女の懲罰担当者です。イーニスから話を聞いていると思いま

すが汚い言葉を喋ったり道徳的に良くない行動を行った場合ここで数多くの妖精に取り

囲まれ罵詈雑言を延々と浴びせかけられるのが普通です。

しかし貴女は汚い言葉を自粛してきました。大変好感が持てる行動でなお且つ高魔力

所持者です。我々としては貴女を無下に扱いたいとは思いません。そこで懲罰の妖精

部屋の中で一番扱いの良い説得の妖精である我々が対応しました。

それでは魔女キキよ下品な自慰行為はお止めなさい。良いですね?

それから言い忘れましたが妖精は基本的に朝の8時から夜の8時までがお役目の時間

です。」


懲罰の妖精部屋に飛ばされてから頭と耳と目がハッキリとし体の感覚が曖昧になって

いるのを感じ精神だけが移動したとなんとなく感じた。

そして老いた妖精達が言いたい事は妖精が居る間は不埒な事はするなと言っていると

受け取る。よくよく考えてみればオナニーもセックスも禁止されたら大変な事になる

よな。

後1時間ほど鏡を見れなくなるけど妖精達に延々と悪口を言われるよりは良いだろう。


「魔女キキよ返事は?」


「申し訳ありませんでした。二度とこのような行いはいたしません、誓います。」


「良い返事です。貴女なら分かってくれると思いました。

最後に貴女にお願いがあるのですが聞いてもらえますか?」


「願い事ですか?何でしょう伺います。」


「貴女が通う事になった学園のフォージャイルですがあの者に貴女が使う魔法を

あまり教えないで欲しいのです。あの者は大変野心家でお役目にあたらせていた

妖精に何度も野心の芽を摘ませ今の地位で安定していたのです。ですが貴女の

魔法を使って最悪の場合国家転覆を起こすかもしれません。皆の平穏のため

貴女に対処してもらいたいのです。」


あの髭子供の頃から妖精にイタズラを受けていたと言っていたがそういう事だった

のか。学園長を庇うほど恩を受けている訳でもないし国家転覆と言うとんでもない

事をやらかすかもしれないなら止めさせた方が良いだろう。

もっとも学園長と一生徒だから何とも出来ないだろ?正直に難しいと言うか。


「お願い出来ますか?魔女キキよ。」


「出来る限りで行いたいと思いますが私は一生徒にしか過ぎません。命令されたら

断るのは難しいと思います。」


「それで十分です。後はこちらで対処します。ありがとう魔女キキよ。

では戻りなさい。」


目の前が一瞬明るくなったと思ったら元の学生寮の自室でさっきと同じ位置に同じ

格好で立っていた。


「どうだった懲罰の妖精部屋?」


イーニスが話しかけて来たので有りの侭に話した。


「あーっやっぱし説得の妖精かー、以前高魔力所持者を徹底的に怒らせて懲罰の

妖精部屋に実体で来て大暴れされたのよね。あっこれは秘密だったのよね忘れて

ね♪それに学園長ってそんな事考えていたんだ。良いネタになるわね!」


「・・・イーニスさん今簡単に秘密を話しちゃいましたよね?私の真名は大丈夫

ですよね?」


「もちろん大丈夫よ、今凄い勢いで価値が上がっているのに簡単に話す分けない

じゃない。」


何ですかその言い方。見合った以上の対価を出せば話すとしか聞こえませんが?

学園長何とかするとか言ってたけど大丈夫か?本人自身が問題の渦中に居るみた

いだし。前途多難だ。


とりあえず着替え終わったのでサーシャを呼んで格好をチェックしてもらおう。

部屋に居るゴーレムにサーシャを呼んでもらう。

暫くしてサーシャが来たので部屋に入れ格好を確認してもらう。

やはりカワイイ成分が足りないと言って来たがストッキングのチョイスは最高に

良いと鼻息を荒くして見続けていた。

イロイの意見も聞きたいので部屋を出ようとするとサーシャに止められ三角帽を

被るように言われた。

三角帽はここでは学生の証であり外では魔女・魔法使いの証になるからだと言う。

買い物の中に三角帽があったので被り部屋を出直す。

なるべく人に見られないように廊下を歩いていたが曲がり角から音も無く出てきた

女子生徒に顔を思いっきり見られてしまい帽子を深く被り直し誤魔化そうとした。

しかし


「あら貴女ここに居たのね。」


そう言いながらいきなり抱きついて来たのだ。人違いだと言おうとしたがその女子

生徒の柔らかく大きな胸に顔が埋まり言える状態で無い上に花のような良い匂いが

女子生徒の体からしてどうでも良くなってしまった。


「あらっ人違い?ごめんなさいね、貴女お名前は?」


余りの気持ち良さにウットリとしていると女子生徒が体を離し俺の帽子を上げ顔を

見ながら聞いてきた。

迷ったが話さないと余計怪しまれると思い応える。


「そうキキさんね覚えておくわ、新入生のキキさん。」


言うと横を俺達とは逆方向に歩いていった。

新入生のキキさんか、俺の事を知っているのか?

見た目17から18歳、綺麗なブロンドで俺よりも20センチぐらい背が高く

胸が大きければ少し肉付きも良い美人だ。俺的には超どストライクで色々お願い

したい女子生徒だ。ナニが無くなったのが悔やまれる事これで2度目だ。

サーシャが後ろに居たので見ると立ち去った女子生徒を見続けていたようだ。

サーシャに今の女子生徒は誰かと聞くと学園で有名な2人の高魔力所持者の1人で

フィアナと言う名であるそうだ。

美しさや優しさなど全女子生徒の憧れの的でサーシャも見惚れていたらしい。

このフィアナともう1人が学園長の秘蔵っ子らしいので学園長に話をつけておけば

俺の事を口外しないだろう。

名残惜しいがその場を後にして女子寮から庭を挟んで反対側の男子寮に行き

入り口のゴーレムにイロイを呼んでもらう。

出てきたイロイに格好を確認してもらい少し雑談をして部屋に戻る。

部屋に入ってまだ買ってきた物を出していないことに気付き急いで袋や箱から

出して部屋に置いたら11時を回り疲れてベッドの上に倒れこんだ。


・・・見慣れた夜道を歩いている。結構な回数往復した道。確かこの先によく通った

居酒屋兼食堂があったはず・・・懐かしい明かりが見えてくる。

引き戸のドアを開けて店内に入る。


「おっいらっしゃい、きーさん久しぶりだねーカウンター空いてるから座ってよ。」


「久しぶりです、とりあえずビールと何時ものお願い。」


見慣れた大将に注文をしながらカウンター席に座る。

食堂なんだけど店主の趣味でアメリカンな置物を多く置いてあり店内に演歌が流れ

ている。その変な環境の中で何故か美味しい中華料理をよく食べたんだ。

ビールにラーメンと半チャーハンそしてギョウザ。最高の取り合わせ。

新卒で入った会社の近くにありよく会社の先輩に連れられて飲んだり食べたりした

所だ。その会社が潰れた後も時々食べに来てたんだよね。

でも異世界旅行をするようになってから行かなくなったんだよな。

大将元気そうで何よりだ。しかし相変わらず客が少ないな。


「きーさんどうしたの?ここ1年位全然顔出さないから寂しかったよ。」


何故かこの人俺をきーさんと呼ぶ。会社で飲みに来る苗字が鈴木の人が自分を含め

3人居たから呼び分けていたのかもしれない。


「いやーここのところ休みは異世界に行っててなかなかこれなかったんですよー」


「はあ、いせかい?飲み屋かな?いやお楽しみな所ですかね?」


「大将異世界は異世界、別の世界ですよ。ただで何度も旅が出来るようになって

今日も行ったところですよ。」


「いせかいですか、何か良い穴場を見つけたみたいですね。今度自分にも紹介

して下さいよ。」


大将は異世界を何かの隠語と勘違いしているみたいだな。いやっそれより俺は何で

異世界に行った事を話しているんだ?手を見ると人より少し大きい男だった俺の

手だ。しかもその手はビールの入ったコップを持っている。

異世界に行ったのは夢で久々にこの店に来ていたのだろうか。


「それがさーJSかJC位の美少女がさー色々してくれんのよー最高だよー?」


「いやきーさん子供は手を出したらダメでしょ?犯罪だよ犯罪、分かってる?

きーさん犯罪だよ、きーさん犯罪」


カウンター越しに俺の肩を掴みガクガク揺さぶってくる。ちょっと待って欲しい。

説明をしようとすると周りが明るくなり目の前に表情の無い部屋に居たゴーレム

の顔があった。


「おはようございます。もう起きて準備をしないと朝食の時間に間に合わないので

起こさせて頂きました。」


言うと所定の位置に戻るゴーレム。どうやらゴーレムが体を揺すって起こしてくれた

ようだ。


・・・色々リアルな感じだったが夢だったのか。

慌てて自分の姿を確認する。手を見ると白く細長い指でどう見ても女性の手だ。

服装は昨日着た服のまんまだ。ベッドに倒れ込んでそのまま寝てしまったようだ。

きーさん犯罪だよ、かでも俺自身の体を見ているだけだから犯罪が成立しないだろ?

時計を見るとまだ7時前だ。イーニスも居ないし昨日の続きをしようかな♪

姿見の前でポーズをとると


「キキー起きてます?朝食を持ってきたのですけど開けてくれます?」


入り口の外からサーシャの声がする。このままお楽しみ続行を考えたが腹が減ってる

のに気付きサーシャを部屋に入れる。

ありがたい事に食堂から2人分の給食を持って来てくれたのだ。

サーシャやイロイ、学園長など学園に残る人は工場に行かされている生徒達とは

別のプログラムで動いているので食堂で調理師の人に頼めば時間や食べる場所も

融通がある程度きくそうだ。そのお陰で寮の部屋で人に会う事も無く食事が出来る

と言うことになる。

しかし俺としては昨日の巨乳美少女のような逸材がいるなら食堂で一緒に食事をした

いし、話もしたいし何よりまた胸に挟まれたい!

欲望は置いといて2人一部屋の構造上机も椅子も2人分あるのでサーシャと一緒に

食事をとる。

パンにサラダにスープこの世界の標準的な食事のようだ。

食べ終えた後に学園長が研究室で待っている事を聞くがまだ時間があるようなので

少し話をしていく。

俺は今回の戦争についてサーシャに聞いてみた。

サーシャの話では基本この世界の魔法使いの居る国は帝国、王国、連合国家の3つで

宗主国である帝国が戦争の規制をきつくしているので昔のように派手な陣取り合戦は

無くなり、政治的パフォーマンスや損の押し付けなどのために行うらしい。


魔法使いの居ない国、正確には魔法は使えるのだけれど帝国が提唱している魔法学に

則った教育と使用をしない国で、高魔力者も居らず征服しても旨味がないらしい。

逆に魔力=戦力である魔法戦争ではそういった国は攻めに行くどころではなく、大体は

条約を締結して戦争はしないようにしているそうだ。


それで今回の戦争はこの魔法使いの居ない国の一つに11年前魔族の王、魔王が現れ

抵抗する間も無く国は滅ぼされ、魔王は配下を連れ帝国に一直線に進撃して来た事に

発端があるそうな。

(サーシャの話では魔王とは魔族の王であり高魔力所持者を食べることで自らの魔力を

増幅する事ができ、配下の魔族と共に数百年に一度地上に現れて人、特に高魔力所持者

を襲うのだが帝国を中心に魔法使いの居る国は結界を何重にも張り魔族を避け、弱らせ、

退治して地中に深く埋め封印してこれを繰り返してきた。魔王は世界の悪の具現化で

滅ぼす事は出来ない。

何度も魔王に攻め込まれている帝国は慣れたものですぐに魔法で捕縛し封印を施した。

この封印は数人の魔法使いが特殊な術式を基に共鳴詠唱魔法で強さを増幅し行われる

もので魔法を掛けられた者の魔力を奪い続け魔族の場合弱い者は消滅し魔王もその力を

取り戻すのに数百年かかるそうだ。)

封印に掛かる時間は掛けられる側の魔力と掛ける側の魔力で変り今回は12年掛かる

そうだ。と言うかずっと12年!掛ける側の帝国はマニュアル化していて大体毎回同じ

位の魔力者を使っているので魔王も毎回同じ魔力、全然進歩せずに突っ込んでくるだけ

でこれを二千年以上繰り返しているらしい。

なんか色々気が遠くなる話だ。

しかし今回は異例で後一月で封印が完了すると言う時に魔王が過去に無い抵抗をして

術を施していた魔法使いと護衛の魔法使いが死んでしまい欠員の補充を王国と連合

国家に求めてきたのだ。もちろん魔力上位者からである。

これに対し王国は魔女と魔法使いを連れて行かれる前に連合国家に戦争を仕掛け

連れて行かれる人数以上に魔女・魔法使いの生徒を要求してきたのだ。

何故生徒?魔法使いはこちらの世界で言えば発電施設であり、原料生産機械であり

通信施設であり、製造機械であるなど万能の働きをするから一定以上は連れ出しては

いけないと欠員補充を求めてきた当の帝国本人が定めているのだ。

話がおかしいだろ?と思うが帝国的には戦争で魔法使いの取得は決まっている、でも

魔王を封印するのは魔法使い全員の使命で帝国が主導で行ったのだから帝国が要求する

のは当然の権利だそうだ。

生徒は良いのか?は生徒は魔法使い見習いと言うグレーゾーンになり相当吹っかけなけ

ればOKとの事。

今回王国が戦争を即決したのは王位継承が近い内にある事と連れて行かれる魔女の中に

炎竜のラディーネと言う完全戦闘向きの高魔力所持者が居たからだ。

要は王国の王位継承の国威発動と減らされる魔法使いの補充が今回の戦争の目的なのだ。

十日前の戦争でラディーネに一方的に攻め込まれ魔法使いは全員撤退、ゴーレムは全滅

と言う完敗だったようで諸国に軍事命令が発動し学徒動員してまでゴーレムの生産を

していたそうだ。

そして今に至ると・・・

異世界の俺からしたらどうでも良い戦争だけどその戦争のお陰で元の世界に戻るための

異世界の門をとる事が出来るのか。感慨深いな。


話も大体分かり時間も無くなって来たので学園長の研究室に直行する。


「むうっ来たか、では早速訓練をしよう。」


椅子に深々と座り目の下にくまの出来た学園長が俺達が部屋に入ると言って来た。

妖精達の話では俺の魔法を悪用しようと考えているらしいが目の下のくまについて

聞いてみると案の定俺の魔法の再現を寝ずに行っていたそうだ。

結果的には俺の魔法は魔力を大量に使う特殊な構造で完全な再現はどれも出来なかった

らしい。しかし魔力を最小化に創り返れば使えると目を血走らせて力説してくる。

相変わらずヤバイ感じだ。妖精達の話を聞いたから更にやばく感じる。

それでも元の世界に帰るため戦争に勝たなければいけないので訓練頑張るんですけん

どね。

気を引き締めて動く的を攻撃するなど昨日より実践的な訓練を行った。

そして訓練途中に新しい魔法があると更に戦い易くなると他に使える魔法はないかと

聞いてくる学園長。

思い浮かんだのがマスドライブとビームサーベル・ビームシールドだ。ビームサーベル

はレーザー砲同様とても熱く手に持った杖がすぐに燃えてしもうので長い陶器製の杖を

特注で作ってもらう事になった。ビームシールドもこれも熱いのでガ○ダムのファ○ネル

のように空中に浮きながら三角や四角のビームの壁を作るようにした。これは凄い収穫

だった。

この日指摘された事に強い魔法が使えても障壁の魔法が使えていない事があった。

例えば爆発の魔法を使った時自分自身の近くで使ったら怪我をしてしまう。そこで障壁の

魔法だ。見えない壁を回りに張り張り巡らせダメージを遮断してしまうのだ。

当たり前だが自分の使った魔法以外の外部からのダメージも遮断してしまう。

俺の場合は核爆破の魔法は使えても障壁の魔法が使えないから事実上核爆破の魔法は

お蔵入り状態になってしまう。

でもビームシールドを使えばある程度使用が制限されるが使えることが分かったのだ。

学園長曰くメジャーCマイナーの魔法で強い魔法を使うとカウンター的に必然的に覚えて

しまう魔法らしく使えないのが不思議らしい。

最後にマスドライブの魔法だ。月やコロニーからチタンやタングステンのような硬い物質を

大型のレールガンで射出する兵器だ。俺自身が理解した範囲内で核爆破の魔法かそれ以上の

破壊力であることが分かる。

妖精さんにも言われているのでこれは内緒にする。絶対に学園長に言ってはならない魔法

の1つだろ。

魔法を使うと精神力を使うのか精神的に疲れてきたので2日目の訓練は終わった。


夕食もとり風呂に入ってから寝ようと思いサーシャに風呂は無いかと聞くと学園にはシャ

ワーしかないそうだ。周りの学生に気付かれないように遅い時間にサーシャと2人で

シャワー室に入り他の人が来ないかサーシャに見張ってもらいながらのシャワーなので

鏡を見ながら楽しんで入るゆとりはありませんでした。トホホッ


シャワーを終えると入った時間が遅かったのでサーシャと別れてからすぐに就寝。

寝つきは良い方なのでベッドに入り布団を被ったら寝てしまったようだ。


・・・あれ?俺なんで走っているんだろう?しかも真っ暗な坂道を上に上るように。


「まてやこら!人っじゃねえ悪魔の話を聞けや!止まらねえとぶっ○すぞ!足をへし折って

頭を釘で地面に固定してから話を聞かせてやっても良いんだぞ!」


そうだ何度目かの異世界旅行に行った時悪魔に追っかけられたんだ。っと言うことは

これは夢?あの時は怖くて逃げながら異世界転移をして逃げたんだよな。

じゃあ今回もそれで逃げますか・・・魔法が発動しない。夢だからか?夢なら別に

悪魔も怖くはないよな?後ろを振り向いてみる。どす黒い顔に頭の左右に角がある

いかにも悪魔な姿だが顔が極道や殺人鬼でも敵わないほど凶悪な顔でさらに睨みつけ

て来ている。とても話せる状態じゃあないよ!

どうすればいいんだよ?夢とは分かっていても悪魔の顔の恐ろしさにパニック状態で

いると懐かしい明かりと食堂の入り口が見えてきた。迷わず食堂に飛び込む。


「いらっしゃいきーさん、どうしたの?そんな汗だくで。」


何時もと同じ調子の大将だがそれより悪魔が入ってこないか入り口を見ると完全に

閉まっていて誰かが外に居る様子も無い。


「みっ店の入り口まですげー怖い顔した悪魔が追っかけて来たんだよ!」


「悪魔?きーさん酔っ払って怖い人を怒らせたりしたんじゃないの?それに

うちの店はこいつらが護っているから大丈夫だよ。」


店の入り口付近に某有名SF映画の一般兵が銃を入り口に向けているのを指差し

ながら言う。

だから客に銃口を向けて置くな!と言いたい。まあ今回は少しだけ心強いが。


「とりあえずビールといつもの。」


全く気配も音もしないので警戒を解き何時もの様に振舞う。店の中のテレビが

演歌の番組を映している。変り映えの無さに心が落ち着きリラックスしていると

大将が料理を持って来ながら話し出した。


「きーさんが話していた異世界アーティファ、旅行雑誌に特集組んでたんで買って

来ましたよ。雑誌によるとかなり昔に元世界から分岐した珍しい世界で、世界に意思が

有るように魔力の高い人間を呼び寄せるらしいですよ。それからきーさんが言ってた

JCってきーさん自身がなってたんだね。残念だけど子供がビールを飲むのはダメね、

没収します。」


待て!俺の心の潤滑油を取るな!って言うか雑誌に載っているのかこの世界?

聞きたい事は山ほど有るがその前にビールだけは死守させてもらうぞ!

持って行かれそうになるビール瓶を掴んで引き戻すと目の前が明るくなりベッドの

横の机と一緒に置いてある椅子の足を掴んでいた。

連続して変な夢を見たようだ。


それより俺のビールが消えた事に落胆しているとサーシャがまた食事を持って

きてくれたので一緒に朝食をとった。

食事の最中にイロイから誰かが学園長の研究室に侵入しようとしたからすぐに来て

くれと連絡があり食事を残して研究室に急いだ。

サーシャの話では学園全体に結界の魔法が施されていて入り口からしか入れないように

なっていてゴーレムを中心とした警備・排除システムが構築されており、それを突破

して進入するのはかなり難しくなお且つ学園長の研究室まで気付かれずに入れたのは

優れた潜入能力と魔法らしい。

研究室にはイロイと学園長が居て俺達が到着するとすぐにサーシャに探知の魔法を使う

ように言ってきた。

何故サーシャに探知をさせているかをイロイに聞くとイロイが侵入者感知の魔法、サー

シャが追跡型探知の魔法を得意魔法とし、二人一組で進入を防ぎ入った者を探し出す

事が出来るらしく魔法の相性も良いので親の間では二人の結婚を決めているそうだ。


・・・緊急事態で来て見ればガキの惚気話に遭遇し、35歳で童貞の俺としてはこの

怒りの矛先を何処に向ければいいか悩んだが事が事なだけに怒りを抑えて話を聞く。

イロイの魔法は空間に自分の魔力を充満させることでその空間に誰が入ってきてどういう

行動をとったかまで分かるそうだ。

しかしこの魔法は隠す魔法を無効化しやすいが監視や録音の魔法と違い狭い範囲しか

カバー出来ず(それでも研究室1室全て)出て行かれると追跡が出来ない。

そこでサーシャがイロイから魔法的なフォーマットされた情報を元に侵入者を追跡する

そうだ。


「警告!警告!学園上空に侵入者を確認、直ちに対処行動を行います。」


突然部屋の片隅に居たゴーレムが話し出した。今度は堂々と進入してきたようだ。


「侵入者に逃げられました!侵入者はネズミの使い魔で今上空から侵入してきた鳥に

掴まり学園外に逃亡しました。」


サーシャが追跡の魔法の結果を言ってきた。学園長はゴーレムに触れながら聞いている。


「どうやらそのようじゃな。キキの情報が何処からか漏れたのじゃろう。ここの者から

漏れる可能性は無いから役所辺りからじゃろうな。相手は少なくとも2匹の使い魔を

使って来たのじゃ、しかもかなりの手馴れじゃ。用心せんといかん。

少し計画を前倒ししてキキの核爆破の魔法を連合国家の会合で発表し一騎打ちの魔法戦士

の権利の取得と我が国主導での戦略の許可を得てくる。

キキ済まぬがもう一度核爆破の魔法を魔法球の中で使ってくれ。その情報を写して諸外国

に見せ納得してもらう。さすれば短期間なら諸外国の警備魔法の使い手を借りる事も

出来るじゃろう。

事は一刻も争う。すぐに行うぞ。」


その日は始めに核爆破の魔法を使い、それを学園長が魔法で録画しこの国の国王を通して

諸外国にテレビ会議のようなものを魔法で呼びかけ行うが、すぐには話が通らないようで

数日は掛かり、その間はイロイとサーシャの二人を相手に実践訓練を行うことになった。

と言っても二人の得意魔法は警備と探査、戦闘もある程度出来るみたいだが二人纏めて

相手してもすぐに勝ってしまい訓練にはならなかった。

学園長が帰ってくるまでは新しい魔法の発明と・・・話でもして時間を潰すしか無かった。


お茶とお茶請けをゴーレムに用意してもらい応接用の机と椅子で世間話をしながらお茶を

飲む。

大体は今するべき戦争に関わる話で幾つか気になる事がありイロイとサーシャの二人を

質問攻めにする事になった。


「ゴーレムが戦争の主力になっているって本当なの?」


「もうかなり昔から今の戦闘形式になっているよ。昔は魔法を使えない人が兵士になって

魔法使いが後ろから支援する形だったんだけれど人が死ねばその分生産性が落ちるから

まず兵士がゴーレムに代って後方の遠距離攻撃の魔法使いが大砲を持つゴーレムに

代わり空から箒に乗って地上を攻撃していた魔法使いも空を飛ぶゴーレムに代り

命令を下す将軍と1人で戦況を変えてしまう程の魔女や魔法使い以外は必要無く

なったのさ。

今でも戦場の主力は槍と盾を持つ密集陣形を使うゴーレムで敵を倒しながら敵陣地を

占領していく形式が一般的でそれを補佐したり阻止したりする為に大砲を持った

ゴーレムや空を飛び爆撃などを行うゴーレムが存在しているんだ。」


「ゴーレムには魔法は効かないのか?」


「魔法に対する抵抗は一切無いから十分に効くけど戦闘用ゴーレムは大きさが成人

男性の1.5倍で圧縮した泥で体が出来てる上に鉄の鎧を着て非常に頑丈で動かし

ている魔法石を壊さない限り戦い続けるからゴーレムが集団で来たら並の魔法使い

では倒しきれないんだ。

だから高魔力所持者、特に魔法戦士になれる程の魔女位しか出番が無いのさ。」


「魔法戦士には女性が多いの?」


「前にフォージャイル学園長が魔法少女の話をしたけど女の子の方が魔力の上がり方が

大きく得意魔法の習得が速いんだ。反面他の魔法はあまり得意じゃない魔女は多いんだ。

割合で言うと魔女が魔法使いより1.5倍は魔力が大きいって習っているよ。

でも同じ位の魔力の所持者なら魔法使いの方が多彩な魔法が使えるんだ。」


「じゃあほとんど得意魔法しか使えない私は・・・やっぱり魔女なのか?」


「多分そうなるよね。逆に女の子のキキしか見ていない僕にはその方が理解できるし

異世界で男だったのが想像しにくいね。」


「私も美人で可愛いキキしか見ていないし男のしかも中年なんて考えたくないわ。」


二人揃って俺の35年間を否定しますか。そうですか、確かにオッサンより見目麗しい

少女の方が良いですよね。だがその全否定された童貞35年の軌跡が俺をここに導いた

んだよ!っと子供に怒りをぶつけても大人気無いだけだな。

ならどう生きてきたか話してみるか。・・・っん?高速情報並列化の魔法?こんな

魔法も使えるのか。

しかしこの突然覚える魔法はどう見てもこの世界の魔法とは根本的な部分で違うな。

もしかしたら元の世界ではスタンダードなのかもしれない。そうなるとこの世界の

常識で俺を魔女と見るのは可笑しくね?まあこの問題はおいて置いて試してみようか!


「二人とも向こうで過ごしてきた事を見せるから肩を触らせてもらうよ?」


「えっ?また新しい魔法を覚えたの?興味があるからやってみてよ。」


「私は良いかなーキキの過去を調べるようで悪いし。」


「まあそう言わずに新しい魔法を試すのも兼ねて私の向こうでの生涯を見てよ。」


でも待てよ、全て曝け出したら俺の黒歴史も恥ずかしい行動も見られてしまうな。

ここは俺の居た世界で日本の情報、特にエロい事やサブカルチャーなどと俺の人生の

簡単なあらすじを見てもらうことにしよう。


二人の肩を触ると自動的に魔法が発動した。目まぐるしく過去の記憶が蘇り、見た

景色や触った物の感触、食べた物の味、嗅いだ花の匂いなどがまるで二人と同じ

場所で体験したような記憶が溢れて混乱するが少しすると何事も無かったように

記憶が鮮明になる。

二人も記憶の混乱が起きた様だがやはりすぐに混乱が収まり感想を述べてきた。


「この世界に無いキャラクター物のグッズがカワイイ物だらけで羨ましいわ!それに

街の女の子の服や女子高生の制服の着方もカワイイわ!」


興奮気味に熱く語るサーシャにしてやったりと思っているといきなりイロイに肩を

掴まれ心の声が直接伝わってきた。


通信販売でおっおっ女の子の使用済みの下着が買えるの?あんな淫靡な画像が

載った記憶媒体や雑誌が簡単に買えるの?快楽商品オナホールのことらしい

あんなにいっぱいあってすぐに手には入れる環境が羨ましい!それにお金を出せば

美人と色んな事が出来るなんて!これじゃあ結婚なんかしないよね!


十代の青臭い性欲剥き出しの発言に少し引きながらも俺の事を少しは理解してくれた

事に気分を良くする。でも結婚出来なかった要因は働いていた会社が倒産して派遣の

仕事で収入が安定しなかったからとかのが大きかったんだけどそちらは無視ですか?

まあ良いや他にも聞きたい事があるから気にせず話をしようか。

でも二人とも俺の世界に思いを馳せているのか自分の世界に突入して黙り込んで

しまっている。なかなか話しかけ辛いな。


「只今戻ったぞ、んっ、どうしたんじゃ?」


変な空気が支配しだした部屋に場を仕切り直すが如く学園長が帰ってきた。

超が付くほどグッドタイミングだ。

しかし子供にエロい物を見せた事や新しい魔法を極力教えたくないので二人の肩を

触り今見たことは内緒にしてくれと伝え、話を変えることも兼ねて学園長に事の

結果を聞いてみた。


「うむっ上々じゃ、我が国の王を初め各国の王や首相、魔法戦士にキキの使った

核爆破の魔法を魔法球を使って見てもらったんじゃがこれが傑作じゃ!

一番上にに座する魔法戦士は2千半ばの魔力の風使いでラディーネに勝つ自信が

無く更にどう対処すれば良いかも分からないキキの魔法に快く魔法戦士の座を

譲ってくれて他の魔法戦士も異議を唱えなんだ。

皆キキの魔法を恐れて何も言えんのじゃ。

そしてワシがキキに短期間で魔法の使い方を教え使えるようにし、キキの魔法を

使った戦略がありワシに今度の戦争の指揮を一任してくれれば絶対的な勝利を

約束すると言ったら満場一致でワシを魔法大将に任命してくれおったわ!」


・・・また人の褌でと言うか俺の威を借るように凄い役職に就いてきたな。これ

じゃあ妖精達が危惧する訳だ。色々言いたい事があるが置いておいてどのように

戦うかを聞いてみる。


「まず戦争は規定の時間、今回は8時に開戦と言うことになっておりそれまでに

陣形を整えておくんじゃ。地上部隊は見ればすぐにわかるが飛行部隊は戦力と

配置を知られないように後ろで待機しておる。そこでまずレールガンを地上の

ゴーレムが密集している所に打ち込み大打撃を与えラディーネを誘い出す。

あの位の爆破魔法は今までも存在しているが破壊力の高い物ほど照準を合わせる

のに時間が掛かる。だからラディーネは凄い勢いで攻めて来るじゃろう。

これが狙いじゃ!あの魔女は炎の魔法を自分の周りに展開することで防御と攻撃を

同時に行っているから必ず攻めて来る。そこでキキはレールガンの近くで待機し

ビーム砲を打つだけでよい。

あの魔女は自分の炎の壁に絶対的な自信を持っておる。事実物質兵器では殆ど

ダメージを与える事は不可能じゃ。正しキキの魔法はそれを上回る。レールガンが

直撃すれば炎の壁でも護りきれんじゃろう。そしてビーム砲じゃが熱線と言う炎に

属する攻撃でなお且つ温度がラディーネを上回っておるから炎の壁は役に立たず

いとも容易く魔法障壁も貫通するじゃろう。

この場でラディーネを倒しておけば一騎打ちを求めても碌でもない者が出てくるか

放棄するじゃろう。問題はラディーネは好戦的な性格じゃが馬鹿ではない。

戦闘中の何処かで勝てない事を悟れば撤退し対策を立てて一騎打ちに出るじゃろう。

言い忘れておったが戦場で好敵手に会い一騎打ちを申し込む事も出来る。むしろ

昔は戦場での一騎打ちが一般的で、今行われている一騎打ちは魔法戦士の代理戦争

と言う位置づけで一回の侵攻に両陣営一度だけ申し込んで良いと言う取り決めの上

で行っているのじゃ。」


如何したものかと考え始める学園長に気付いた疑問を問いかけてみる。


「ビーム砲が直撃したら魔女でも死んでしまうのではないですか?」


「うむっそうではあるが安心せい。相手国から要請があれば戦闘を止めて治療を

行うからの。魔法使い達が乗る箒は安全装置が付いている物があって怪我をしたり

気を失っても自動で地面まで降ろす機能もあるんじゃ。」


「でも即死の場合は駄目じゃないですか。」


「これは戦争じゃ。取り決めで人が死なないようにはしているが人死にが出ない

訳ではない。キキ自身も死ぬ可能性はゼロでは無い。心して戦うが良い。」


学園長は最初から死人は殆ど出ないと言ってはいたがゼロとは一言も言っていな

かったな。元の世界に帰りたいと言う衝動が視野を狭めて人の命を犠牲に自分の

願望を達成させようとしている事に気付き戦慄する。

しかし戦争以外の方法で元の世界に帰るにはやり方が分からない。一からやり直し

になってしまう。

んっなにない、スタンガンの魔法?杖を二本持ち杖の間に高圧の電流を

発生させ対象の人間など生物の筋肉を痺れさせ行動不能にする。射程は0から20

メートル、命中率は100パーセントだが離れる事によって抵抗されやすくなる、か

痒い所に手が届く良い魔法を覚えたぞ!少し使い難いがこれで心置きなく戦える。

良くやった俺!良くやった俺の魔法!・・・ちょっと冷静に考えると俺の魔法は

意思があるんじゃないのか?タイミングの良い出現に使用方法まで教えてくれる

至れり尽くせりな便利さ。何か怪しい。

でも映画やアニメで魔法が題材になった物でも魔法自信に意思があると言うのは

無かったよな。いや俺の魔法は科学や似非科学を実現させる魔法のようだから

コンピュータの様な物に制御されているのかもしれない。

そう考えると合点の行く所が出てくるがそんな物確認しようが無いし、心の中で

呼びかけても何の反応も無い。

俺自身では限界があるな。戦争が終わったら嫌だけど学園長に調べるのを手伝って

もらおう。


「悩んで居るようじゃが解決したか?ワシは前の将軍などと魔法通信を使って

戦争の段取りについて話をする。話は数日は掛かると思うから皆その間は自由に

していてくれ。っと言ってもキキは引き続きなるべく他の生徒に顔を見せんで

くれ。良いな?」


「それならフィアナと言う女学生に顔と名前を知られてしまったのですが?」


「フィアナか、この者ともう1人アズメルはワシが散々目に掛けて来たんじゃ。

話しておこう。すぐに理解してくれるじゃろう。」



それから数日間やはり話が長引いて学園長から連絡が無い。また街に行って

時間を潰そうかと考えたが使い魔を放って俺を調べさせようとした者が居る

のだからそれも出来ず、部屋で3人でボードゲームなどで時間を潰すしか

無かった。

それに連日寝ると


「きーさんイヴァイタ連合って色んな世界から色んな人種や民族が来てるから

服装とか食べ物とか凄く幅広いよ!調べた所によると王都オデイルでその殆どが

店を出しているんだって。どれも見た目旨そうなんだよねー、きーさん食べてきて

感想聞かせてよ!」


必ず昔通った居酒屋兼食堂の店で大将と話をしている。しかもどうやって知ったのか

こちらの事を俺よりも知っている。


「大将その情報どうやって知ったの?」


「えっテレビだよ?」


何時もは時代劇のDVDしか流してないテレビに日本人風のキャスターが映り

こちらの世界、しかも俺が行こうと思っていた店に入って行き店長と思わ

れる人物と話し料理のリポートまでしている。

夢のせいか疑問も持たずに大将の話を聞き2・3件の店の内容を覚えて朝起きて

イロイとサーシャにに聞くと「何故知ってるの?」と言う夢の情報を肯定する

答えが返ってきて面白くなり、新しく出来たお菓子の店の美味しいと評判の

商品を代りに買ってきてと頼むと店の場所も名前も商品の名前も間違いが無く

二人が驚きながらお菓子を持って来た。

しかも行列が出来るほど評判が良かったらしく3人で食べてみるとこれがとても

美味しかった。


「これはキキの新しい魔法で調べたの?遠隔情報収集の魔法は幾つかあるけど

味やお店の裏話まで知る事が出来る魔法ってどんな魔法なの?」


当然聞いてくるよな、でも夢で通っていた店の大将が話してくれたからとか

言ったら途轍もなく話がこじれるので

「まだ使い方が良く分からないから完全に使えるようになったら話す。」

っと逃げた。

不思議である、本当に不思議である。魔法の世界に来たのに魔法以上に不思議な

事が夢の中でおきている。確かめたくてもまた大将に本に載っていたからとか

テレビでやってたからとかはぐらかされてしまうんだろうな。

次はネットで知っただろうか?どうにも解せぬ。


そろそろする事が無くなり飽きてきた頃の戦争二日前になってやっと学園長から

連絡が有り今日中に戦場に行く事になった。急ではあるが他にすることも無いので

魔法学園に行くと入り口に学園長が来ていて他にも十数人の先生と思われる人が

集まっていた。


「もう出発するので見送りに来てくれた先生方じゃ。本来なら全生徒と全先生で

見送り街中を通ってから行くものじゃが時間と安全性を考えて最小限の壮行式に

なったんじゃ。先生方に顔合わせをしてきなさい。」


人間社会では何処でも挨拶と人間関係は重要だからね、進んで挨拶に行く。

「君がキキか頑張ってくれよ!」「貴女は我が学園の生徒です。無理はしないで

下さい。」「我々の学園に1万越えの高魔力所持者の魔法少女か、期待してい

るぞ!」色々と声を掛けられ叱咤激励を受ける。

先生の列が終わるとその先に二人の生徒が並んでいた。フィアナともう1人男が

居る。多分こいつがアズメルだろう。


近づくとフィアナがまたもオッパイで抱きしめてくれた!甘い匂いと柔らかい

オッパイの感触に心が蕩けそうだ~っ


「キキ、私達の事は気にしないで戦って下さいな。貴女の命の方が大事です。」


「そうだよ僕達はヘクトール王国に連れて行かれても扱いは悪くないのさ。

それより僕達の事を思って戦って死なれたらそれはこれ以上に無い悲しみだよ。」


「ありがとうございます先輩方、危なくなったら逃げますよ。でも私には先輩

方の扱いの他にも戦わなければいけない理由が有るんです!精一杯頑張って

来ます!」


オッパイの間から顔を上げてフィアナ先輩(そうこの世界では俺の方が年下

だからな)に誓って見せた。男の方?どうでもいいだろ。


「ではそろそろ行こうかの、それでは先生方後をよろしく頼みますぞ。」


空から三台の浮遊自動車が降りてくる。見た感じがごつく如何にも軍用な作りで

前と後ろの2台は護衛の兵士が乗っていて俺と学園長は真ん中の浮遊自動車に

案内された。そう言えばイロイとサーシャが先ほどまで居たが姿が見当たらない。

別れの挨拶が無いのは寂しいけれど彼らもやる事が有るのだろうと納得しながら

浮遊自動車に乗ると後から二人が乗ってきた。


「遅れてすいません、準備に手間取ってしまいました。」


慌てて乗り込んでくる二人を見ながら子供を戦場に連れて行く気かと学園長に

詰め寄ると


「二人には後方の救護部隊に待機してもらう。武装しない救護部隊は攻撃対象に

しないと言う取り決めがあるから安心せい。それよりキキお前の命が危うく

なったら周りの事は構わん、強力な魔法を使いまくってでも生き残るんじゃ!」


学園長から激励と思われる大変危険な発言を聞きながら浮遊自動車は動き出す。

流れ行く窓の景色を見ながら出来る限り問題なく事が済むと良いなーっと

思いながら戦場に向かった。


5月には書き終えるはずだったのですが仕事のギアが一気に上がって残業・休日

出勤の連発で書く暇が無く書けば話が延びる延びる延びる!

1話で魔法戦争まで書こうとしていて3話でも書けきれなかった自分の無謀さに

乾いた笑いしか出ません。

次は前半の山場の魔法戦争と一騎打ちがあるのですが出来れば8月には書き上げ

たいなと思っています。

そう言えば某250万部売り上げている某先生は未定は未定、未定だからずれるのは

しょうがないみたいな事を言っていたので文才も経験も何も無い私も喜んで未定と

させて頂きます。

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