ねむの木学園1
ロワは師匠に命じられていた。
毎日裏山で素振りをすること。
君は兵法のほうは優秀なんだが剣術のほうはあまり上手ではない。だから人一倍剣を振りなさい。そうすれば君は一流の兵法家になれる。
師匠はそう笑顔でロワに微笑みかけた。それからロワは暇があれば剣を握り、素振りをしている。
ねむの木学園のみんなが本を読んでいたりしているときにもロワだけは剣を振っていた。師匠もロワには剣術に没頭することを認めていた。ロワは勉学のほうでは周囲の生徒に比べて一歩も二歩も進んでいたからだ。
ある昼下がり、いつものようにねむの木の裏山で素振りをしていた。二時間ほど剣を振っていたとき、耳に覚えのない複数の男の悲鳴が聞こえてきた。
ロワは反射的に、急いで山を下りた
山を下りねむの木学園の途中に見慣れない群青色の服を着た男が三名うつ伏せに倒れていた。三人とも背中をまるで刃物で切られたかのような十字の傷跡。いずれも絶命しているように見える。
何度か街に買い物に山を下りたとき、見覚えのある服だった。確かあれはーー。絶命している三名を見下しているかのようにる師匠は立っていた。明らかに師匠が三人の男たちを殺したのは明白だった。他の生徒たちは、教室の中から何が起こっているのかを、見ているのが分かった。




