エリザとの再会2
固かったエリザの表情は少しだけ柔らかくなったように思えた。
「でもいまミハイルは出かけていていません」
「そうか。何時に帰ってくるかわかるかい」
エリザは首をかしげレノを見つめた。
どうしようか。
太陽はまだ真上にも昇っていない。待つしかない。レノは胸ポケットから一枚の名刺を取り出し、裏にペンで書いた。
「帰ってきたら渡してくれるかな」
レノから渡された紙をスカートのポケットに入れると大きくうなづいた。
東アムサーラ地区を出、すぐ近くの繁華街である南ソーランド地区の喫茶店に入った。
ディエゴのときと同じようにカフェオレを頼み窓際の席に座ってから道行く人をしばらく見てから、湯気のたっているカフェオレに口を付けた。
ミルクの甘さとコーヒーの苦味が上手に交じり合っている。加えて砂糖の甘みが深い味にさせている。今度はしっかりと砂糖の味を感じることが出来た。
病気にでもなったのかと思い、心配したがそんなことはなかった。単に緊張からきたものだろう。貪るように、二口、三口と口をつけ、力が抜けたかのように椅子にもたれかかった。
さて、どのくらいでここに来るだろうか。夕方までには帰ってくるとエリザは言っていたがーー予想が正しければ……。
しかし、指名手配も解かれた以上どうして、隠れる必要がある?
ぼんやりと考えているとユリから渡された緊急性を示す速達を思い出した。




