ディエゴとの会談2
ディエゴが指定した店は大使館からほど近い、オープンカフェ店だった。
開店したばかりにも関わらず、席はほぼ満席だ。
それでもオープン席にいるディエゴはすぐに見つけることができた。明らかにここにいる客とは異質の空気を醸し出しいつも通りの黒のスーツの長髪は遠くからでは表情が読めない。他人を寄せ付けない空気を纏っている。
レノはディエゴが座っている席に近づき声をかけようとしたときだった。長い前髪をかきあげ端正な顔が覗いた。まだ少年といっても差し支えないような表情だった。
「ボスはあちらです。雑誌を読んでいる女性客の隣です」
少年は表情を崩さずに、声だけで場所を指示をした。ディエゴとは違った声と顔にレノは驚き、背後を振り返った。指示された人物は、ディエゴとは想像できないような、目立たない普通の服装だった。それに長かった髪の毛は短く切りそろえている。
「なるほど、影武者というわけか」
「あまり話しかけないでもらえますか。怪しまれてしまう」
「そうか。悪かったな」
レノは踵を返し、本物のディエゴの元に向かった。
「うまくだまされてくれましたね。ここのカフェにいる人は全員私の部下なんです」
ディエゴの声は少年が大人にいたずらをしたかのような弾みがあるような声に聞こえた。レノがディエゴと向かいあうように椅子に座るとディエゴは読んでいた新聞をたたみ切り出した。
「数週間前に時間を戻し検証しましょう。そもそもどうしてあの日、あのタイミングでロバルト・シャーン殺されてしまったのか。まるでタイミングが良すぎるんですよ」
「俺が漏らしたと言いたいのか」
レノは眉をひそめ声を荒げようとしたところをすんでのところで止めた。
「あの事件前は魔獣の奏者を封じ込めるため。ということであなたがたの本当の意味を聞きませんでした。しかし今は違う。数週間前とは状況が違いすぎる。あなた方の本当の目的を聞くまでは少なくとも協力はない」
そこまで言うとディエゴはジャケットの内ポケットから二枚の手紙を取り出した。
「こちらの手紙は現、暁の稲妻団長、からです。内容は改めてお互い共存共栄でいこうとの内容です」




