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勇者の復讐  作者: にけ
プロローグ
63/84

現状把握2

「暁の稲妻にしても亡国の聖戦にしても戦力ダウンになっているのは判るんです。でもどうして魔獣の奏者がこんなに戦力がアップしていると評価しているんですか」


「単純なことさ。二つが内乱でごちゃごちゃしたら、それ以外の組織は戦力が温存される。

ただそれだけさ。今現在の背後関係だが、暁の稲妻は今のところないと見ている。亡国の聖戦は団長である、ハイルトン・ヒューストン派と副団長であるディエゴ・ユーロピアス派に分れている。話しによるとハイルトン・ヒューストンは魔獣の奏者とすでに合併の準備が出来ているという話がある。だから俺は先手を打って暁の稲妻と亡国の聖戦のディエゴ・ユーロピアス派をくっつけさせるのが目的だった。そうすることで魔獣の奏者の独走に歯止めをかけられる。しかし合併前日にロバルト・シャーンが何者かに殺されおかげでこの合併は水に流れちまった」


「でもロバルト・シャーンは確か暁の稲妻の幹部、カルサス・テキーラが殺し、その後で自殺したって書いてありましたよね」

「少なくとも俺は信用していない。カルサス・テキーラは何者かに利用され殺された、そう考えている」

「暁の稲妻にはもう一人幹部がいましたよね。確か……」


「ミハイル・ドランコフ。アイツの派閥はカルサス・テキーラの連中に皆殺しにされた。生き残りもいるかもしれないが。ほとんど皆無だろう。それにミハイルに限って言えば、暁の稲妻に居場所はないだろうな。無罪とはいえ前団長殺しの容疑がかかってしまったんだ」


「なんか可愛そうですね。でもそうすると、暁の稲妻は背後には今のところ何もなく、特別合併とかも考えていないんですよね」

「一概には言えん。何しろ現団長に座っているのは、シェン・ヤンだ。とにかく頭が回る。油断はできない」


「そうなると亡国の聖戦が二つに分かれ、ハイルトン派は魔獣の奏者に合併される。ディエゴ・ユーロピアス派は後ろ盾がない。ということは、暁の稲妻のシェンと組む、とは考えられませんか。30対35で拮抗している状態なら大丈夫じゃないでしょうか」

「このくらいの勢力差ならカルーダは王国は火の海になるだろうな。それもかなり一方的な戦いになる」

「それはどちらがですか」


 ユリの息を飲む音が聞こえた気がした。


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