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勇者の復讐  作者: にけ
プロローグ
62/84

現状把握1

自分の任務は軍内部でも数人しかいない。だが、もう過去の話なら別段構わないだろう。

「准尉。今王国内で騒がれている事件を知っているか」


「もちろんです。暁の稲妻の内部争い、そして亡国の騎士団も内部争いです」

「そうだ。詳しいことは話せないことを前提に聞いて欲しい」

 レノは少しもったいぶるかのように間隔を空け言った。


「あの原因を作ったのは俺なんだ、と言っても空いていた隙間に穴を開けただけだけどな」

 ユリは椅子をレノのほうに向けた。好奇心を隠せないのか目を輝かせている。


「少し判りにくい説明になるかもしれないが我慢してくれ。仮に全体の勢力を100としたとき数週間前までの勢力は、暁の稲妻を45%とすると亡国の聖戦は大体、30%くらいになる。新興勢力である魔獣の奏者は大体、15%くらいかと思う。残りはこの国の小さな勢力だ。そして大きな三つのある勢力の中には後ろ盾をもっている勢力がある。今は少し違うが暁の稲妻と亡国の聖戦にはなかった。二つとも権力者たちと一線を画していたからな。傭兵団なんてそんなもんだろう。しかし魔獣の奏者の背後には夕刻の聖騎士団が控えている」

 

大きく深呼吸をついて、真剣なまなざしのユリを見た。普段はどこかやわらかい雰囲気

をもっているユリだが、今のユリは本物の軍人のようだった。本人に言ったら怒られるだろうが。


「そして現在の勢力だが、もちろん確実なものではなくおおよそ予測したものだ。暁の稲妻は20%くらいになっていると思う。ただこれも場合によってはもっと減少するかもしれない。亡国の聖戦も戦力ダウンが免れないだろう。この後説明するが、団長派と副団長派に分かれるからおよそ、10%ずつだ。そして魔獣の奏者の勢力は25%前後くらいに上昇しているだろうと思っている」

 

 ユリは紙にレノの言ったことを逐一メモしている。何か疑問に思ったのか小首をかしげた。


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