廃屋の中へ
ここらで造られているような造りの家ではなく、はるか昔に建てられた一軒家のようだった。
廃屋の周囲には成長し自分の身長ほどになった雑草が兵士たちのように侵略者から幾年もの間守っているように感じた。
ミハイルは兵士たちをなぎ払いながら敷地内へと踏み入れ廃屋周辺を歩いた。
木造の一戸建ての外観は元々の外観が何色だったのか分からないくらいに腐敗し変色している。腐敗のために空いた穴をこの森の木々がふさいでいる。
何百年もかけこの廃屋が少しずつだがこの森と一体化しているようだった。すでに枯れてしまっている井戸、さび付いた手斧が無造作に置かれ少なくとも人が住んでいるような、雰囲気はない。
先ほどまで鳴いていた小鳥のさえずりは鳴くなり、ミハイルは特別何かを信じているわけではないが、廃屋から何か不気味な何かが臭っているように感じていた。
誰が何のためにここに居を構えたのだろう。ミハイルは廃屋を眺めながら思った。
木々を掻き分け、空いている穴から廃屋の中に入った。部屋は強盗が入ったかのように荒らされ、いたるところに物が散乱していた。探索してみたい、という欲求が高まってきた。空腹やのどの渇きはいつの間にか感じなくなっていた。
この廃屋は意外に広いことが分かった。いくつかの部屋を巡り、たどり着いたのは大広間のようだった。




