二通の手紙
翌朝、新聞を読みながら朝食を食べていると、ロバートの言ったことを思い出した。ロバルトが言っていたことを確かめたくなった。
急ぎ、サンドイッチを口の中に詰め込み、エリザに出かけてくることを伝えた。
自分の思っていたことがもしかしたら間違っているのかもしれない。そう考えると捜査はやり直しになる。
階段で数人の住人とすれ違った。軽い挨拶をしてアパートから出る前に郵便受けに何か入っていないか確認した。
おや。思わずミハイルは声をあげた。
二枚の封筒が入っている。一枚は、薄紫色の封筒で宛名はおろか封筒には何も書いてはいなかった。もう一枚は茶色い封筒に差出人宛てにミハイルの名前が書いてあった。裏を見た瞬間ミハイルは衝撃を受けた。
急いでエントランスを出てアパートの側にあるベンチに腰をかけ急かされるように封筒の中には一枚の手紙が入っていた。手紙を広げると横書きの真っ白な便箋に意外にも達筆で読みやすい字のことに驚いた。
出勤の時間なのか何人もの二十代から五十代までの様々な男が座っているミハイルを通り過ぎる。ある者は走りまたある者はどこか蔑んだ目でミハイルを見ていた。
東から昇りつつある太陽に前日の夜中降ったであろう雨が水溜りになっている。近場の木々で雀の鳴き声が響く中、書いてある手紙に目を落とした。




