おとぎ話のその後2
「どういうことだ。前半はなんとなく分かるが、後半は何かの比喩だよな?」
頭をひねりニールに尋ねた。
「ええ。そうだと思います」
「宝、か……」
ミハイルが腕組みをしていると考えているとニールが再び口を開いた。
「コレックから少し離れたところにメンフィスという小島があるんです。当時、ある村人が目撃したらしいんです。なにやら大きな物体が村に向かって来ると、両翼のようなものがある巨大な動物、まるで竜のようなものがメンフィスに上陸したと。ただ深夜だったため、不確実だったらしいです。
しかし当時メンフィスに住んでいた人間はそんなのはいなかったと証言しています。メンフィスもコレックの村の一部で村長が管理をしていました。
その日村長が傷ついた身重な女性と一人の男を連れてきたんです。しかし女性は子供を生んだ後その後すぐに亡くなったらしいんです。男のほうは女性が死んだ直後いなくなってしまったらしい。村長はすぐにその小島に住んでいた住人たちをコレックから強制退去させその女性をメンフィス島に埋葬したんです。以後島は立ち入り禁止になりました」
「それがどう竜と関係あるんだ」
「もう少し聞いてください。数年後村長が死に女性が残した子は村を出て行方不明になりました。村長はどうして島を立ち入り禁止にしたのか。死ぬまで誰にも話すことはなかったそうです。しかしある日二人の酔っ払った男たちがヤツがメンフィスに肝試しと評して行ったそうです。そこの墓らしいところに書いてあったらしいんです。フローラここ眠る、と」
「フローラ? 誰だそれは」
首をひねりしかめ面になっているミハイルにニールは続けた。
「分かりません。ただ、推測をするなら、深夜に来たあの巨大竜のような物体とコレックにきた女性は同一人物の可能性があると思います」
「それにどうしてその女を島民を強制退去させてまで、墓にしたんだ? それに竜が存在するということにはならない」
「ええ、話を少し戻します。数日後。その酔っ払った二人の若い男はまるで竜の爪に引っかかれたような傷と真っ黒な墨になって遺体となって出てきました。そんなこともあって今日以来、近づいた村人はいません」
「……。その出て行った子供はそのフローラの子供はまだ生きているのか」
「さすがに生きていないと思います。もう何百年も前だ。竜の寿命は分かりませんが」
「仮にだ。その出て行った子が人間と結婚して子供を設けたとしたら竜人はまだ生きているころになる」
「理屈としてはそうなりますが……」
「それに女が死んですぐにいなくなった男の存在も気になる。そいつはもう死んでいるだろうが」




