表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の復讐  作者: にけ
プロローグ
1/84

序章

序章 


なんとしても護りたい。私の身はどうなろうとも――。

 

霞んでいく視界と自由に動かなくなった翼を必死に動かし目的地へと進んだ。


幸いお腹の子には影響がない。

 

傷つけられた場所は背中とわき腹。致命傷になったのはわき腹だろう。


今でも青紫色の血液が流れ、地上に血滴が落ちている。


背中に乗せている愛しい人の声が聞こえた。

 

うめき声のようだ。


私以上に重傷なのが分かる。


滴り落ちる真っ赤な血液の量は尋常ではない。


しかし幸い脳や心臓には傷をつけられていないが一刻も猶予がない。


彼は私と同じ道を歩むことに同意してくれた。


人間を捨て竜人の仲間入りになることを。


しかし私と同じ不老ではあるが決して不死ではない。

 

この戦いが終わってゆっくり三人で暮らそうと言ってくれた。


山奥の家であまり人と会わずに住むところで。

 

目に浮かぶようだった。


私は夕飯の準備をしている。


彼と子供が家にお腹をすかして帰って来る。


笑顔で私は二人を出迎える。


そんな平凡だけど幸せな日々を過ごすという夢もどうやら叶いそう


もなかった。思わず涙がこぼれる。

 

意識が絶え絶えの中力強く目を見開き、最後の力を振りしぼり、


両翼を強く羽ばたかせた。


私の望みを叶えてくれた彼だけは死なせたくない!

 

ようやく見慣れた町並みが少しずつ地上に見えてきた。龍人の町に。

 

もう少し、もう少しで着く……。

 

薄れていく意識を奮い立たせ懸命に翼を羽ばたかせた。


伝えないといけない。それにこの戦いは本当に無意味で


人間側にはめられた戦いだということを。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ