10+2分の1
<アルト先生視点>
今日は、転校生が来る。
わしは、とてもワクワクしている。あの、無愛想な侯爵から、紹介された子だから。
玄関前で待っていると、馬車が校門前に止まったのが見えた。
その馬車がそうだろうなと思って眺めていると、一人の女の子が降りてきた。長い黒髪の子だ。
遠目にも、とても顔が整っていることがわかる。
その子は私の視線に気づいたのか、少し小走りでこちらに走ってきた。
やはり、可愛い。もう少し大人に成ったら、とても美しい女性になりそうだ。
わしの耳を見て、少し驚いていたが説明すると納得したようだった。世界を航る者だと聞いていたけど、余り動じていない様子だったから、何となく安心した。
わしの口調には慣れていなさそうだったが、まあすぐに慣れるだろうと思い特になにも言わなかった。
何となくいい学園生活になりそうな気がした。
さすがに白龍を呼んだ時は驚いたが。
<エルト視点>
私は、公爵の娘でありクラスメートより少し年上だった。そのせいか、話しかけてくれる人は少ない。でも、なんとか皆と話したいという思いを持っていた。
アイという子が転校してきた。その子は世界を航る者だったから、色々困るだろうなと思って話しかけた。
その子はとても可愛く、美しい。だから、余計に心配した。
話しかけたとき敬語を返されたので、気軽に接して欲しいという思いを込めて言ってみた。少し迷っていたようだけど了承してくれた。
少し時間が遅くなってしまったので、食堂に急いでいく。この行動は家では控えるように言われるけど、学園だからいいよねと思っている。
(私だけ)息を切らしながら行くと運のいいことに椅子が空いていた。
ランチを取りに行くときも、そのあとも何か子供扱いされたけど楽しかった。でも、子供扱いはやめてほしいが、この様子ではやめないだろうということが分かったので諦めた。